サンパウロ郊外・ワインの里 (2023/03/10)
(文中のデータは初出時・西暦2005年のものです。)
私の暮らすサンパウロ市は、中南米最大にして南半球最大の人口1000万人を越える国際都市です。 わが故郷の東京と人口も広さもいい勝負をしています。 東京と比べてこちらで特に目立つのは、交通マナーの悪さ、ところどころで目に付くファヴェーラと呼ばれるスラム街といったところでしょうか。 息苦しいほどの大都会サンパウロですが、車で一時間(ラッシュにぶつからなければ・・・)も走ると、これが同じ国かと思えるほどの穴場の観光スポットがあるのです。 今回は山峡のワインの里、サンロケ(São Roque)をご紹介しましょう。
すでにサンパウロ暮らしの長い私ですが・・・ サンロケといえば安物ワインの産地、とは聞いていました、訪問するのは今回が初めてでした。 百聞は一見にしかず、とはよく言ったものです。
サンパウロ市の西にあるサンロケの町は海岸山脈と呼ばれる山地にあり、高いところで標高1000メートル近くになります。 古くからイタリアやポルトガルなどからの移民が集い、ブドウの栽培が行われてきました。
今日、ブラジルのワインの産地としてはアルゼンチンと国境を接する最南部のリオグランデドスル州が知られ、ブラジルの国産ワインは大半がこの州の産です。 いっぽうサンロケは人口6万人台の小さな町ながら、ワイン街道と呼ばれる一帯だけで14ものワイナリー(ワイン酒造)が軒を連ねています。
ワイナリーは、いずれも原則として予約なしでも訪問を歓迎してくれます。 ワインに関心のある向きなら、もちろん試飲は欠かせないでしょう。 ざっと赤白それぞれ辛口・甘口と味わうと、それだけで軽く4杯。 そのうえワイナリーごとに変わったリキュール類なども製造していますので、ひととおり付き合っていると、1軒だけで相当できあがってしまいます。
今回、老舗のワイナリーで珍品を入手しました。 ジェロピガと呼ばれるワインです。 味をきいてみると、ポルトガルのポート・ワインを思い出しました。 老主に聞くと、ワインを「押さえつけて」作るといいます。
はて? 同席したブラジル人のワイン好きも「何のこと?」と聞き返しました。 ブドウが発酵する前にアルコールを加える、とのこと。 なるほど、ポート・ワインと同じ製法です。
もうひとつのオススメはブドウ製の生ビール。 色は赤ワイン、味はフルーティな生ビールといったところ。 夏場ならいくらでもいただけそうです。 残念ながらこれはまだ生産量が限られているので、産地限定とのことでした。
気になるワインのお値段は、700〜800ミリリットルの普通の瓶で、中クラスのもので300円弱ぐらい。 5リットル入りでも800円程度。 味はまあまあといったところですが、これなら値段を気にせずに飲めますね。
さて、家族でワインの里近くのエコロジーロッジ一泊しました。 赤ワインは心臓病にいいといいます。 まず夕食前に町なかで買った赤をひとりで1本、空けてしまいました。 すると宿の主が、食前酒として「ホントに美味いのはこれだよ」とフランスの白ワインをサービスしてくれました。 キライではない私はさらに、ブラジル式ディナーにはやはりこれ、とカイピリーニャ(ブラジルの国民的カクテル)を大きなグラスでいただきまして・・・
心臓はともかく、肝臓が心配になりました。 (西暦2023年3月 加筆再録)
| 木村浩介さんとサンロケのレストランにて。ワインと並ぶ特産品のアーティチョークのグラタンをいただきました。 |
| 再録追記: ポルトガル語の日本語表記はなかなか微妙で、旅行社のウエブサイトで発表時にはサン・ロッキとしていましたが、今回はサンロケとしてみました。 さて、この記事の執筆からすでに18年が経ちました。 ワインはともかくこの地区は手ごろなエコロジーロッジがいくつもあるので、日本からそうした志向のある友人知人が来ると泊りがけで出かけています。 今回、あらたに写真を探して、ミュージシャンの故・木村浩介さんを亡くなられる前年の2015年にお連れした時のものを掲載してみることにしました。 その時に撮影した動画も『木村浩介 ブラジル海岸山脈ソロコンサート』と題してYouTubeにアップしています。 これにはワインは出てきませんが、リンクをご紹介します。 https://www.youtube.com/watch?v=t9PVFB-wgiQ
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