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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2021年の日記  (最終更新日 : 2021/10/28)
2月の日記 総集編 花と壺と米の寿

2月の日記 総集編 花と壺と米の寿 (2021/02/01) 2月1日(月)の記 ちいさなミッションのあとで
ブラジルにて


午前9時30分に予約を入れてある。
白ではないけど、ワイシャツを着て。
靴も、革靴にするか。

在サンパウロ日本国総領事館にて、こちらの一族の長老の旅券更新の代理申請。
本人出頭必須の受領時に備えて、最寄りの駐車場や降車場所などもチェック。

わが子の手続きの時に書類差し戻しとなったため、ぴりぴり。
…、
やれやれ、オッケー。

階下にある、店員も見当たらないマテ茶のスタンドで下見兼一服。
受領の段取りの考慮の要があるが、懸念のヤマ場を越した。

グラフィティの採集のため、パウリスタ大通りの高台から、セントロ方面に徒歩にて下ってみる。
知らない道に…
いやはや想像を超える景観があるものだ。
周囲の雰囲気がヤバくなるにつれて、グラフィティも散見。
https://www.instagram.com/p/CKwOO3XnTMp/

さて、帰路につくか。
最寄りのメトロの駅は…
スマホは使わないで歩く。
いやはやキョーレツな坂があるものだ。

おや。
このモニュメントは…
何年か前、付近のギャラリーを訪ねる時に見ていたな。
歩いている方向が逆だな。
軌道修正。

あ、あの絵は。
行きに最初に目についたが、食指が動かずスナップ撮りを控えたシャッターに書かれたグラフィティだ。
これまた方向が逆だ。

これまで目にしていた二つのモニュメントのおかげで、この道はいつか来た道にたどり着くことができた。


2月2日(火)の記 朝令暮改
ブラジルにて


昨年までは…
大サンパウロ圏の地下鉄、バス、電車は60歳以上の高齢者は無料で乗車できた。
ところが年末の選挙で首長が変わると、クリスマス直前にいきなりこれを65歳以上に変更してしまった。

既得の権利を取り上げるとは何事かと声も上がったが、クリスマス休暇、そしてコロナ禍で盛り上がりが欠け…

消費者団体による訴訟が起こったが、けっきょく2月1日から65歳以上とされた、ということになった、ようだ。

されどブラジル。
ダメもとで今日、「60歳以上の」パスを自動改札にかざしてみると、パスできたではないか。
また事態が変わったのか?

ところが1時間ほどしてまた使用してみると、NGと出た。
改札にいたスタッフに聞くと、「サンパウロ政府の決まりが変わったのを知らないのですか?」ときた。
昨日、家人がメトロの券売所でこの件を聞くと。自分らは知らない、と答えたとか。

それにしても手口が日本の自公政権のようでいやらしい。

かつては日本からの旅行者でも60歳以上だと改札でパスポートを見せれば無料でメトロに乗れたのだが。
ここでサンパウロ交通公社のウエブサイトをあたってみる。
…大サンパウロ圏居住の65歳以上の人に適用、とある。

すると旅行者はそもそも適用外だったのか?
まあ郵便局でも局によって「決まり」が異なるぐらいだから。

みんなちがって、みんないい?


2月3日(水)の記 大豆ミートにあう
ブラジルにて


月曜にパウリスタ地区に出た際、見つけたビーガン系の店で「大豆の肉」を買った。
畜肉風に加工した大豆製品を乾燥させたもの。
僕はブラジルに移住してからこちらでこういう食品があるのを知った。

これは日本語ではなんと言うのか、調べてみよう。
ふむ、「大豆ミート」か。
もうひとひねり欲しいところだ。

もう30年近くなるだろうか。
僕がこれに出会った頃は、ひき肉タイプとブロックタイプがあるぐらいだったかと。
近年はスライス肉タイプ、フィレ片タイプもある。
フィレ片タイプを買って見た。

偏食系の家人が受け付けるだろうか?

乾燥キノコ類と炒めてみることにした。
数種の乾燥キノコと一緒に水でもどして、キノコのうまみを移行させてみよう。
ダシの素も入れてみるかな。

それにしても見た目は肉片そのもの。
うーむ、味の方はやはり大豆ミートの味。
だが食感はだいぶ畜肉に近い。

さて、家人の反応。
食べてもホンモノの肉かと思ったそうで、わるくない由。

うれしい思いと、これにたぶらかされてしまう程度の味覚かという、ちょっとがっかりした思いも。


2月4日(木)の記 早朝から危機一髪
ブラジルにて


今日は義母の新旅券受領に同伴することに。
わが車はサンパウロ市の乗入れ規制の日なので、早朝7時前にその区間内を出なければならない。
わが家は区間内、義母のところは区間外。

6時過ぎに出れば楽勝かと思いきや…
出家前に昨日のウエブ日記をアップしておこうと思うが、やめておく。
なんだかんだで、けっこう時間が経つものだ。

日中はグラフィティのスナップ撮影の余裕とチャンスがあるかどうかわからない。
往路の抜け道で、車中から先日みつけたグラフィティをスナップしておく。
逆光で鮮明さ、美しさが欠けるが。
(けっきょくこれはオクラ入り。)

おや、6時台でもう渋滞が始まっている。
アプリの到着予定時間もだんだん遅れてくる。
むむ、この調子だと乗入れ制限区域を7時までに抜けられるか、まさしく線上だぞ。
換算して数千円の罰金になるが、セツヤクを重ねていてこの出費は痛い。

まさしく7時の時報の時に境界をまたぐジャガレ橋を通過。
たぶん、オッケーかな。

今日は思わぬトラブル、アクシデントが続き、夜になってどんでん返しのオチがついた。

義母より、共通の知人の父がCOVIDで亡くなったと聞かされる。


2月5日(金)の記 ちょっとカフェでも飲みたいけれど
ブラジルにて


午後、銀行での支払いと買い物に出る。

かつてはブラジルの日系の銀行だったが、身売りに身売りを重ねて今やグローバル銀行である。
ATM利用では本人確認のため、何度となく登録してある指紋の指をべったりと読み取り装置に押し付けなくてはならない。
自分の口座に入金するのもこれが必要。

一回の操作で何度も指紋を要求されて、少しでも位置がずれたりすると、またはじめからやり直さなければならない。
付近にはアルコールもペーパータオルもない、

これがパンデミック下のグローバルな銀行か。
ようやく操作を終えて、手持ちのアルコールジェルで手指を消毒。
このATM装置も、ブラジルでここのところ一日1200人を超える死者を出し続けているコロナウイルスの伝播に貢献していそうだ。

昔ながらの文房具屋に入って出るころに、スコール。
庇のある所をたどっているうちに小やみになった。
目的のスーパーで買い物。

その向かいにドアもない小さなカフェがある。
その近くにも昼間だと暗いカフェがあるのを知った。
小さなカフェは今は無人となったが、先ほどまで何人かの女がぎゃはぎゃはやっていた。
暗いカフェは客が見当たらない。

軽く一服しつつ、ささやかな貢献もしたいが…
新たなコロナのピークのなか、家族のなかでもっとも生産性の低い僕は自粛するか。

祖国で一年前に「この1~2週間がヤマ場」などとかまして、その後はアッカンベーで別のホラを吹き続けてる政治家め。
全走行距離のわからないままの長距離マラソンだ。
それに短距離走で臨まされ続けていては、ばててダレるのも無理はなさそうだ。


2月6日(金)の記 リスク・コミュニケーションとオンライントーク
ブラジルにて


昨年3月の訪日時。
そもそもウイルスとはなんなのかの基本を学ぶ新書か文庫が欲しかった。
新刊書の並ぶ本屋で平積みにされていた一冊が『「感染症パニック」を防げ!リスク・コミュニケーション入門』という岩田健太郎さん著の光文社新書。
岩田さんの名前は昨年2月のダイアモンド・プリンセス号告発事件で知った。

この本には「緊急重版!」「新型コロナウイルスを『正しく恐れるために」という帯がかけられている。
まずは購入。
ところが。
僕の知りたい、ウイルスとは、感染症とはという基本はすっぽかされている。
それどころかタイトルにもある「リスク・コミュニケーション」とはなにかについても端的に簡潔には説明されず、僕のアタマでは混乱するばかりだ。

ブラジルに持参したもののそのままにしていたが、改めて読み直してみた。
他の良著などでウイルスや感染症についてある程度の知識を得ている。
意外だったが、この本の「プレゼンテーションの準備」の稿がオンライントークについて僕が探りえていたことと重なり、面白かった。

「一番多い間違いは、プレゼンテーションの準備を『スライド作り』と勘違いすることです。(中略)スライドを完成させて満足してしまい、その先のプレゼンの練習を怠るのです。これでは本末転倒です。
 あくまでも、スライドはトーク(しゃべり)のついでにある添え物です。トークこそがプレゼンテーションの主役なのです。」
「(引用者註:自分がスライドをほとんど使わなくなったのは)噺家がそうするように、スライドを示さないでも、相手の想像力を喚起することで、ほとんど医学的なトークができるようになったためです。」

これはわが意を得たり。


2月7日(日)の記 ちいさなよろこび
ブラジルにて


日曜の路上市へ。
またサーモンのアラを購入。
油で焼いていただこうと思う。

陋屋からまさしく「発掘」した『香辛料の民族学』(中公新書)が面白い。
西暦1988年、ブラジル日本人移民80周年の年の発行だ。
すでに絶版のようだが、内容はいまなお新しく、最先端ではなかろうか。

その影響もあって、露店市の香辛料店に立ち止まる。
売り子のお姉さんに、サーモンの油焼きにあうものを尋ねてみる。
ちょっと考えた彼女は「ライムと香辛料のミックス」をすすめた。
「味見してください」と少量を出されたので、マスクを外す。
うん、わるくない。

二すくいで5レアイス(約100円)ぐらいかなと思ったら、3レアイスだという。
今後、忘れないためにと彼女は青マジックを取り出して袋に「ライムと香辛料のミックス」とポルトガル語で書いてくれた。
なんという気配りと良心。

そろそろ大根が欲しい。
夏場のせいか、どの店のもだいぶサイズが控えめになった。
スーパーや食材店では大根は葉っぱなしがふつう。
路上市では葉っぱ付きなのがそそる。

何軒か見て、日系のお店で買うことに。
いつも若いお兄さんがいるのだが、今日アテンドしたのは日系のお姉さん。
お連れ合いかな。
葉っぱ付き大根を買う時の常で「葉っぱをどうしますか?」と聞かれる。
「いただきます」と言うと、もっと持っていきますか?と聞かれた。
葉っぱ不要の人の分をストックしてあったのだ。
2本分ほど余分にもらう。
ありがたや。

帰宅後、さっそく大根葉を刻んで塩こうじに漬けておく。
自家製松前漬けにも投入してみた。
ネットで大根葉のレシピもチェック。

冷蔵庫にあったカラブレーザソーセージとマヨネーズ炒めにして夕食の一品に。
これもわるくない。
サーモンのライムと香辛料ミックス焼きもよろしかった。

大根葉、まだまだあるぞ。
サーモンのアラをこそぎ落としたのと大根葉の混ぜご飯を断食後につくってみるか。


2月8日(月)の記「カレーの木とワサビの木」
ブラジルにて


昨日付で少し触れた『香辛料の民族学』(吉田よし子著、中公新書)の副題が「カレーの木とワサビの木」。
ようやく読了するが、これは座右の書クラス。
発掘したのは西暦1988年の初版本で、鉛筆(シャープペンかな?)のラインもあるから一応は読んでいたのだろう。
まるで記憶にない。

今回、再読してこの30余年でいかに僕が変化したのかがわかる。
ただ料理を食べる側から、食材を選んでつくる側になっていた。
あと30年したら、食材もつくる側に、はないだろうけど。

今日もこの本の記載についてさらに知りたくて、いったん本を置いて何度となくノートパソコンに向かう。

例えば…
・日本では都市部の雑草になっているアリタソウという和名の植物には駆虫作用があり、アメリカ大陸の先住民が活用して今日のメキシコ料理にも欠かせない、とある。
ブラジルでもこの植物は利用されているのだろうか?
・オレガノと呼ばれる植物ほど、いろいろな場所で別の種類の植物が用いられるハーブはないだろう、とのこと。
こちらの食材店で「ペルー・オレガノ」として売られているものがあるが、これの正体は?
・バジルの種子は水に漬けると膨張してカエルの卵のようなゼリー状になり、こうして料理に使われているという。
チア・シードも同様に水で膨れるのだが、その相違は?

…、といった塩梅である。
食材の多様性について、自分の知らないことの膨大さに驚くばかり。
豊かなフィールドワークと実践、そして観察と科学の伴なうグルメと民族学の融合。
読後の一言は、「ごちそうさまでした!」

巻末の部分を書き出しておこう。
「森林浴などで私たちが吸収する揮発性物質の多くはテルペン、それもモノテルペン類が多い。香りのよいハーブは、すでに述べたようにさまざまなモノテルペン類を含んでいる。つまり小さいながら立派な「大気のビタミン」源である。ミニガーデンのハーブの散歩道でも、都会生活でささくれ立った神経を労り、活気を与える効果は決して小さくない。
 いずれはこういった匂い成分の、人間に対する作用がもっと詳しく分かるであろう。そして街路樹もその発散する成分によって、住宅街、学校、病院、ビジネス街などに適したものが植えられるようになるかもしれない。現代科学の粋を集めたその成果が出てみたら、実は昔の、または今も昔ながらの生活をしている熱帯の発展途上国の人々が、家のまわりや道路そして畑等のまわりに植えている植物と、かなり高い確率で一致するのではないだろうか。」


2月9日(火)の記 コトバワカラナイ
ブラジルにて


祖国日本の、ブラジル以下のていたらくが恒常化している。
いっぽう残念ながらここのところ身辺で、さすがブラジルと感心するばかりのでたらめなことが少なくない。

既得だったサンパウロでの60~65歳のメトロとバスの無料乗車が廃止されてしまった。
そのため今朝、以前に使用していたカードに窓口で入金をした。
ところがこのカード、改札口でブロックされてしまった。
スタッフに聞くと、このカードはブロックされているからジャバクアラ駅のバスターミナルに行って手続してくださいとのこと。

ジャバクアラはここから南で、これから北方向に行くのだ。
いずれにしろデポジットの入金は徴収して、使用できないというのがスゴイ。

北方面ではサンベント駅で手続きができるという。
所用のあとで、サンベントに行ってみると…
ここではできない、という。

「ドンペドロ2世」のバスターミナルに行ってください、とのこと…
こうした事態でブラジルでは、まず誰もあやまらない、責任を取らないのが標準かと。

知らないところに行くのがキライではないので、ドンペドロ2世ターミナルに行ってみる。
窓口の列について…
窓口とは透明の厚い仕切りで区切られて、お互いマイクの音声でやり取りをする。
しかもお互いマスク使用。
腕にタトゥーをしたアニキが対応するが、彼の言っていることが早口でちゃらちゃらしていてわからない。
向こうもこっちの言っていることがわからないという。

そもそも今朝、入金したばかりのカードのブロックを解かせるのに、まずこっちの母親の名前を聞かれるとは夢想もしなかった。
日本人の名前を口で言ってもわからないだろうから、手帳に書いて指し示す。

とにかく時間がかかる。
彼氏は横の椅子に置いたものをちらちら見ながら、ついでに作業しているようだ。
どうやら、スマホを見ているらしい。
それでいて「ながら」で仕事のできる能力はないようで、何度となく席を立って別のスタッフのところに聞きに行っている。
カードの作り直しに30分近くかかる。
できあがったカードのデポジット使用は三日後からとのこと。
余分な現金を所持していないと、ブラジルのキャッシュレスシステムでは往生するという次第。

バスターミナルはかなりの広さで、いくつもの軽食のスタンドがある。
ホットドッグにドリンク付きで5レアイス(邦貨にして約100円)という、こちらにしても格安のがある。
話のタネに食べてみるか。

ジュースは粉ジュース系の味。
ドッグも小腹に収めるにはいい感じ。
据え置きのケチャップをかけてみると、色も味も僕の知るケチャップとは別物だ。
かつての日本の駄菓子屋を想い出す。

スタンドで立ち食いしていると、物乞いの男が寄ってきた。
声も出さずに、よこせというしぐさ。
断りのしぐさをして食べ続けると、じっと横に貼りついて動かない。

僕にはこういう人に食べかけを提供する文化がない。
店員男子が「カレはこっちの言葉がわからないんだよ!」とおじさんに言って追い払おうとする。
そもそもおじさんに言葉で言われた覚えはないのだが。

マスク着用であまり話さないようにしているが…
これほどまでにポ語(ポルトガル語)が聞き取れず、相手からもポ語がわからないと思われているとは…

夜、家人にこの話をする。
いわく、ジャバクアラのターミナルの方なら日系人も多いし、「ブラジル人」も日本人日系人のポルトガル語に慣れていて簡単だっただろう、との指摘。
そ、そんなものか?

確かにドンペドロ2世広場のあたり、サンパウロ市のどまんなかだが他に日系人は見当たらなかったな。


2月10日(水)の記 不勉強を恥じる
ブラジルにて


読みかけでそのままになっている本が多い。
ひっきりなしだった訪日のせいにしていた。

が、みてみるとコロナ巣ごもりになってから読み始めてそのままになっている本が増えている。
訪日を控えていては、とても読む気がしなかっただろうポ語(ポルトガル語)と英語の本を日が暮れてから開いてみる。

…わからない単語をいちいち辞書でひいていては先が進まない。
キーワード以外は、流す。

ポ語も英語も、スピードは遅く書物は厚い。
今まで存在も知らなかった貴重な本。
これまでトークで言及しておきながら、読んでもいなかった本。

わが不見識と不勉強を恥じるばかり。
この巣ごもりがなかったら、それさえ気づかなかったかも。


2月11日(木)の記 今日という日
ブラジルにて


今日の祖国は…祝日か。
カトリックではフランスのルルドで西暦1858年、14歳の時に聖母マリアの出現を迎えた聖ベルナデッタの記念日である。

ところが、日本のSNSのカトリック関係のグループからこんなメッセージが流れてきた。
「今の日本という国があることをイエズス様と神武天皇に感謝し建国記念日の祝日のお祝いを申し上げて参りました」

同じ宗(むね)の人の記載とは思えない。

訪日中、地方都市のカトリック教会の大通りに面した掲示板に日本の新元号をお祝いしますと掲げられていたことがあった。
それの写真と僕の疑問をSNSにアップすると、素性のわかりかねる人からひどい中傷をされたことがある。

カトリックにも極右から極左まであり。
十字架のように左右上下にいろんなのがいるというわけだ。

第2次大戦前にブラジルに移住したプロテスタントのリーダー格の信者が、いわゆる「勝ち組」に走った例をいくつか知っている。
ヒトがカミになるというのが好みなのだろうか。

天皇崇拝とキリスト教の習合はプロテスタント(の一部)にみられる傾向かと思っていたが、旧教の方もまんざらではなさそうだ。
よく系譜を検証せずに、古く長く続いているものがいい、という信仰だろうか。

僕の親しくしているカトリック、そしてプロテスタントの宗教者たちは「アカ」呼ばわりされる人が多いのだが。


2月12日(金)の記 花と壺と米の寿
ブラジルにて


細々と、ついに、こちらの一族がらみの映像の編集を始めていた。
まずは関係者版。

これが、なかなか面白いのだ。
身内以外の方々にも共有してもらえるようなものにしたい、と当初から思っていたのだが。

とりあえずのタイトルは「花と壺と米の寿」。
けっこうわくわくしながら編集してしまった。

今日の作業で、いったん目鼻を付けられたかな。
この週末に関係者に試写をしてもらえるようにすすめよう。


2月13日(土)の記 住国の危機 祖国の危機
ブラジルにて


カルナヴァルの時期に突入。
本来なら、どんちゃかと市内からテレビからかしましい時期。
さすがに今年はコロナ禍のため「公然とは」中止。

ブラジルのコロナ禍の状況は昨年7月の最悪の時期に迫る勢いだ。
いっぽう市内はあの頃の危機感とは遠い賑わい。
個人で自重せねば。

日本の知人とメッセージのやり取り。
買いもののため、しばし席を外す。
帰ってきてノートPCを再開。
日本の東北で震度6強の地震という速報。

まずは日本の気象庁のウエブサイトを開いてみる。
おや、こちらでは震度3だ。
時間も違う。

気象庁のサイトの速報の方は、6強の地震の後に続く余震だった。
そもそもこの度の震度6強も、10年前の大地震の余震とみられるという発表。

知人とのやり取りは、この件によりいったんペンディング。


2月14日(日)の記 野菜のエルザ
ブラジルにて


これまた何度か読みかけにしていた文庫本。
さらさらと、何度読み返しても面白いのでまた最初から…
ついに読了。

『身近な野菜のなるほど観察記』、稲垣英洋さん著、ちくま文庫。
冒頭の、学生時代に訪ねた友人の下宿の一室の話から強烈。

キャベツとレタスの違いは?
ダイコンとカブの違いは?
野菜と果物の違いと混同。

まさしく身近な「食材」が面白くわかりやすく奥深く広く俎上に載せられていく。
ダジャレ臭くなくダジャレをちりばめるというサービスも。

午後から訪ねる義母のところに置いてくることになりそう。
解説のこの部分を書き出しておこう。

「母や祖母たち、いやもう死んでしまった無数の女たち(ときには男たち)は、台所でこんなものと格闘してきたんだなあ。そのとき、台所の『先人たち』と、初めて心が通いあった気がした。」
小池昌代さんの解説より。


2月15日(月)の記 「アメリカ人をぶち殺せ!」
ブラジルにて


今日のタイトル「アメリカ人をぶち殺せ!」は雑誌『主婦之友』1944年12月号の表紙に踊る言葉だ。

早川タダノリさんの『神国日本のトンデモ決戦生活』(ちくま文庫)を読了。
まことに貴重な文庫本だ。

「神がかりプロパガンダと大衆動員によって作り出されたグロテスクな反-理想郷(ディストピア)がここにある。しかし、これは近未来の日本の姿ではないと言い切れるだろうか?」
これは裏表紙の文。

当時の資料への早川さんの解説の切れ味が鋭く鮮やかだ。
たとえば「アメリカ人をぶち殺せ!」特集の匿名記事「敵のほざく戦後日本処分案」を引用しよう。
「働ける男は奴隷として全部ニューギニア、ボルネオ島の開拓に使ふのだ。女は黒人の妻にする。子供は去勢してしまふ。かくして日本人の血を絶やしてしまへ……日本の子供は不具にするに限る。目を抉(えぐ)つたり……片腕や片脚を切り取つたり、ありとあらゆる形の不具を作るのだ。」
この部分への解説を以下に引用する。
「実はわが帝国軍隊が中国でやったことのアレンジだから、当時はリアリティを持って受け取られたのです。」

祖国、そしてブラジル日系社会の今を考えるうえで、この本から学ぶことは増えるばかりだ。


2月16日(火)の記 はじめにダジャレありき
ブラジルにて


サンパウロ時間の午前2時より日本の畏友・細川周平さんの日文研退官記念オンライン講演会。
眠りは浅い方だが、この時間に起き上がるのはなかなかつらい。

細川さんの話芸と演出は、あっぱれ、の一言。
お題は「チンドンの因縁」。
はじめに語呂合わせ、ダジャレのタイトルを考えて、それから内容を練っていく、と言う。

わが手法に近い。

細川さんとの付き合いは30有余年。
最初の深い付き合いは細川さんが新潮選書『シネマ屋、ブラジルを行く』にまとめられたブラジルのシネマ屋さんのこと。
僕の長編第一作『郷愁は夢のなかで』のプロデューサー役でもある。
移民作家の松井太郎さんをめぐることもあった。

僕が訪日中、竹橋の美術館での藤田嗣治の戦争画を見にいってバッタリ、京都在住の細川さんと遭遇したこともあった。
今日の講演でも日本でガイジンが撮影したチンドン屋の映像に写り込んでいる人が、フジタが1930年代に描いた人物と同一の可能性があるというドラマチックでマニアックな指摘あり。

話は韓国民主化運動の日本のチンドン屋への影響にまで及ぶではないか。

細川さんが稀有の頭脳、才能、行動力を長年にわたってブラジルの日本人移民の文化活動に注いでくれたことの「ありがたさ」にあらためて感じる。

細川さんとお付き合いして感じるのは、人格がノーブルなこと。
他人を悪くいうのは聞いたことがない。
真逆のわが身を恥じるばかり。

「戴冠」を終えて「無官」になった細川さんのさらなるご活躍をねがってやまない。


2月17日(水)の記 きのこづくし
ブラジルにて


今日は「灰の水曜日」。
通常の暦では昨日がカルナヴァルの祝日で、今日は午後から仕事始めだ。
コロナ問題で祝日を中止して平常モードとしたところが多い。

昼前後に買い物に出ると…
この行列は何だ。
そうか、銀行はしっかりと休みを取り昼から営業という訳だ。

銀行員はあくびモードで昼からお仕事。
大衆は炎天下にマスクをつけて密な行列に並ぶ、の図。

カトリック教徒は今日は肉食・大食を控える日。
家人から鶏に魚、卵から動物性ダシも控えたいとの希望が。

主夫はこの課題をどう切り抜けるか。
…そうだ、キノコがあった。
ブラジル国産生キノコは切らしているが…
チリ産中国産の乾燥キノコが何種類もある。

昼はキノコがゆ、夜はきのこリゾットとするか。
これに白キクラゲのサラダなどを添えよう。

うーむ、チキンコンソメもNGか。
野菜コンソメを買うか。
いや、そもそもキノコはいいダシが出るではないか。
キノコだけでいってみよう。

おかゆよりリゾットがよりおいしくできた。
白キクラゲもなかなかよろしい。

…生物学的には、植物よりキノコ類の方が動物に近いのだが。


2月18日(木)の記 横丁のテラインコグニダ
ブラジルにて


動画取り込み作業に手間取る。
外出計画が午後になる。
スマホの予報では15時以降、雨の確率が高い。

さて、どっちに行くか。
どこでグラフィティを見つけるか、どんな買い物を絡めるか。
気分は採集狩猟民。

北北東に進路をとる。
近辺では連日、日中から強盗事件が続き、警報がSNSで流れている。

うーむ、一気に標高が下がるとともにヤバさ感も増してくる。
思い切って…

おや、こんな石段のショートカットが。
前を行くあんちゃんをつけるように思い切って降りてみる。
向こうもビビったかもしれない。

石段下で小品をスナップ撮り。
神は細部に宿り給う。
https://www.instagram.com/p/CLcix_9nWm5/

付近にいくつかグラフィティを散見。
逆光であり、長居は無用。
またの機会があるかな。

それにしてもまるで知らなかった徒歩圏だ。
道のつくりが不規則で激しい高度さもあり、よくトポグラフィがつかめない。
あとでグーグルマップでチェックしてみよう。

さあ、買い物だ。
雨には降られなくてスミソニアン。


2月19日(金)の記 聖市から王塚古墳を想う
ブラジルにて


午前中、サンパウロ市内の知人のところに届け物に行く。
少しうかがいたいこともある。
靴を脱いで上がらせていただく。

先方は第2次大戦後の日本からの移住者。
いわゆる花嫁移民だ。
僕の移住当初からの知り合い。
福岡の出身とは聞いていたが、王塚古墳の近くというのは初耳だった。

王塚古墳!
日本の装飾古墳の筆頭にあげられる文化遺産だ。

検索すると「アートな装飾古墳のススメ」というタイトルの福岡県のネット記事が見つかるが、言い得て妙。

カラフルな三角模様で覆われた石室は、草間彌生さんの世界を思わせる。
別のネット記事によると日本の装飾古墳で用いられている6色のうち5色がここで用いられ、色数最多の由。

死と古墳のもたらす暗闇のイメージの真逆である。
仏教の極楽、キリスト教の天国のイメージより僕にはここちよい。

もう四半世紀以上前だが、日本で装飾古墳についての企画展があった。
王塚の三角づくしの絵ハガキをだいぶ買ったが、出し尽くしてしまったかな。

王塚古墳は6世紀中ごろの地区とされ、1934年に土木工事中に偶然、発見されたという。
そして僕が今日、サンパウロで訪ねた人はなんと、この装飾古墳の模写作業のお手伝いをしたというのだ!

今日、古墳内部は特別な時のみの公開となり、復元施設が隣接している。
彼女は鮮明な復元より、剝落のリスクのあった実物の方がよかったという。

縦横無尽にアートを中心としたお話をうかがえた。
裏庭に面した風通しのいいキッチンであったが、すっかり長居をしてしまった。
そのお宅のある道のはじまるアヴェニーダの角にあったグラフィティ。
午前中は逆光でまたの機会にと思っていた。
帰りは木陰だが順光になっていて、スナップ。
https://www.instagram.com/p/CLfLWJLHfLG/


2月20日(土)の記 サンパウロのアートのありか
ブラジルにて


今日は家族全員在宅。
さあどうしようか。

ちょっと気になるアート展が今日までだ。
どうしようか…

思い切って行ってみる。
メトロとバスを乗り継いで、ギャラリーに向かう。
…まあ、見ておいてよかった。
見ていなければ、どんなものか気になって仕方がなかっただろう。
このアーチストを知ったのも、グラフィティがきっかけ。

道中、バスの車窓から見たグラフィティの方が僕には衝撃だった。
グラフィティのメガネ美人。
また会えるかな?


2月21日(日)の記 ミネラルウオーター満タンで
ブラジルにて


サンパウロ、酷暑の時期は過ぎ去りつつある気配だが…
昨日、水道水で口をゆすぐと久しぶりにアオコ臭さを感ず。

そろそろミネラルウオーターが底をついてきた。
10リットル瓶を据え付けるサーバーを使い始めてみたが、水漏れがする。

購入からひと月以上経つが、交換可能かどうか、新たな水汲みとともに市内のペトロポリスの源泉へ家族3人で向かう。

サーバーはスタッフがテストをしてくれて、蛇口の部分が緩んでいたとのことで修繕してもらう。
10リットル瓶ひとつ、5リットル瓶八つで計50リットルを汲む。
お値段は邦貨にして500円足らず。

子どもにもらったコーヒーの「豆情報」の書き込んであるカレンダーを読んでみて…
世界で2番目に飲まれている飲料はコーヒーの由。
一位は、水、とな。

家族3人でひーこらと50リットルとサーバーを担ぎ上げる。
…思えばわが車の燃料タンクの満タンが50リットルだったかと。
乗用車一台のなかにこれだけの容量の液体が入るわけだ。

さあわが家の方はどれぐらい持つかな。
それにしてもクルマでちょろっとアルカリ水を源泉に汲みにいけるというのがありがたい。


2月22日(月)の記 月曜に歩く
ブラジルにて


さあ、月曜だ。
在サンパウロ時の恒例の一日断食に入る。

今日の買いもの兼グラフィティ採集はどうしようか。
午前中に出るか。

家人からの発注、さらに台所で足りなくなってきたものに思いを巡らせて。
東側の、下にくだるか。
くだるのも要注意だが、上りは心臓破りの急坂地帯。

くだり切った河川沿いの街道にある大型青果スーパーまで行こうか…
が、途中でそこそこのグラフィティをスナップできたし。
スーパーで安売りの果物をキロ単位で買い込むと、他の買いものもあるので上りがさらにきつくなる。

途中から別道を上って帰る。
なかなかそこそこの運動になったと思うが…

スマホの万歩計をひらくと、約4250歩。
ネットの記事で見た日本男児の一日平均歩行数は6794歩。
理想の9000歩には2000歩以上、足りないとな。

今どきの日本人、けっこう歩いでいるのだな。
僕もこれでもう一、二回外出すれば理想に近づくだろう。

それなりに家ですべきことがあり、そもそもパンデミック下。
人ごみに出るわけでもなければ、人に会いにいくわけでもないが、油断は禁物。
このあたりで自粛しましょう。


2月23日(火)の記 『ねじ式』のT字衣桁
ブラジルにて


先の引っ越しの際に書籍を詰め込んだまま、いまだ開封もしていない段ボール箱がいくつかある。
おそるおそる開けると、思わぬ掘り出し物があって面白い。

読み直したかった、つげ義春さんの『ねじ式』の文庫本が出てきた。
小学館文庫版だ。
マンガ本の文庫化の嚆矢だったと記憶する。

『ねじ式』は意味の取りにくい、夢をそのまま描いたような話だったことだけを覚えている。
読み返してみるが、ロジックを排した不可解な世界そのもの。
おお、3コマ目に洗濯ものアートの世界が展開されているではないか。
寺山修司さんの映画の世界のような。

…むむ、衣服はあまり洗濯をしたようにも思えない描かれ方。
衣類がかけられた支えの名称を検索してみる。
「T字衣桁」に近いと思われるが、描かれたのは設置型だ。

さる日曜の朝、ミネラルウオーターの源泉に向かう途中、目についたグラフィティあり。
思い切って車を停めて、家族に待機してもらってスナップしてきたのが、これ。
https://www.instagram.com/p/CLjssP9nv8H/

洗濯ものをアートとして意識したのは、2年前にイタリアのソレントで洗濯もののインスタレーションを見て以来。
黒澤明監督の『酔いどれ天使』を見直して、洗濯ものアートというジャンルを提唱してもいいなと思っていた。

このグラフィティ、そしてさらに『ねじ式』のこのカットを見つけてその思いを強くした。

日本で町なかの洗濯もののウオッチをしていたら警察通報モノだろうな。
そもそも衣類は下着から靴下まで見られることも意識してデザインされている。
それをきれいに洗って広げて配するという行為は、表現そのものではなかろうか。

振り返れば僕も『あもーる あもれいら』シリーズ、『橋本梧郎と水底の滝』シリーズですでに取り入れていたことに気づく!


2月24日(水)の記 勝ち組あとのグラフィティ
ブラジルにて


スマホの予報だと、午後から雨。
午前中は日差しもあり、今日の外回りに出よう。

さて、今日のグラフィティのスナップ撮り。
ブラジルの「勝ち組事件」で勝ち組の中枢組織とされた「臣道聯盟」の本部跡に目をひくグラフィティが新たに描き込まれていた。

つい先日、これに気づいたのだが午後で日陰になっていた。
今日はこれをシュートすべしと、意気込んで向かうが…

なんと左側が木の陰になってしまっていた。
日差しの下ではコントラストが強すぎて、スマホ撮りすると片方がつぶれてしまう。
うーん、別の時間帯、天候条件の時にするか。

下のファヴェーラ沿いの道を歩いてみるが…
そこそこのグラフィティはいくつかあるのだが、ストレンジャーがスマホを向けるにはリスクが大きすぎ。

パンデミックが収拾したらこのあたりの飲食店にも立ち寄ってみたいとは思うのだが。

その先の水曜のオルガニック市に到着。
今日もめぼしいものがない。
日系の店でバナナを買おうと思うが…

僕より年配の老女が複数、計り待ち。
売り子とそれぞれの会話も続いていて、さすがにしびれがきれる。
ウルトラマンなら、闘う前にアウトになってしまう時間だ。

バナナも向かいのスーパーで買うか。


2月25日(木)の記 僕がコルデルを買うまで
ブラジルにて


アパートメントの外壁塗替えの件で、スタッフがわが家にチェックに来るかもしれないとのこと。
一般ブラジル人に靴を脱げとは言いがたいので、窓まで新聞紙敷きの通路を準備しておく。

さて、夕食のための買いものもある。
訪問者の件でホームワーク中の家族の妨げになってもいけないので、昼時間に早めに済ますことにする。

今日のグラフィティ採集はどうするか。
乏しいのだが、近場のところで…
昨年6月にスナップした色あせた大判のものの部分アップにしてみるか。
このグラフィティの一角にバンカと呼ばれる新聞雑誌類を扱う売店がある。

見てみると、コルデルを置いているではないか。
コルデルとは日本で言うとA6:文庫本サイズで、あまり品質のよくない紙と印刷によるブラジル北東部起源の薄い民衆冊子だ。
いわば、日本の首都圏のキオスクで江戸時代の瓦版が売られているのを見るような衝撃。

すでに経年と日照で、色あせている。
値段を聞くと、一冊3レアイス、邦貨にして約60円。
2冊ほど買って見る。

今日の選書は、
『十字架のミステリー』
『聖セバスチャンの生涯と奇跡』。
わくわく。


2月26日(金)の記 電話という暴力
ブラジルにて


今日は親類のところに泊まり。
夕食をこさえてご一緒して、別室だが夜間のもしもの事態に備える。

夜も深まる21時、電話。
日本語だ。
主と話したいという。

自室でしばらく応対していた主は、僕に代わってくれという。
男性、80代ぐらいだろうか、一方的に話しまくる。
ポルトガル語がわからないという触れ込みで、僕の名前も知っているという。
話をしたいから都合をつけろ、今からでもそちらに行こうかと言い出す。

まったく緊急性も感じられなければ、そもそも興味も持てない。
それに面識もないのにこちらの都合は問答無用。

こっちがキレるか電話をきるか。
しかしこの家を知っているようで、そもそも常識とは縁遠そうな相手だけに今後の凶行も懸念しなければならない。

この男性の通訳をしているという日本語のたどたどしい女性に変わった。
ポルトガル語で最低限のことをきつく申し上げて電話を切る。

ブラジルは24時間で1582人の死者というコロナ禍最悪の数字が今朝の複数の新聞の一面を飾っているのだが。
こういう常識を僕とは異にする邦人がご意見無用でおさまっているだけに、いやはや。


2月27日(土)の記 コロナ新ピークの土曜に
ブラジルにて


夕方5時を回った頃に、買い物に出る。
平日の日中も客の多い食材店をいくつかまわるが、すでに閉まっている。

が、街の人出は多い。

特に若者層の集う飲食店がすごい。
瓶ビールや生ビールでわいのわいのとやる店らだ。

路上まで立ち飲みで占拠して、マスク無用で大声で歓談。
ブラジルは一日あたり1500人越えの最悪のコロナ死者を出し、過去2週間平均死者数も最悪記録を続けているのだが。

連日のデータにがっくりして。
週末の街の様子にさらに愕然。
残念だが、まだまだ最悪記録更新が続きそうだ。


2月28日(日)の記 イタリアルッコラ協奏曲
ブラジルにて


午前中、路上市へ。
野菜類も品数、見栄え勢いのよさもオルガニック市の比ではない。

タカナまで置いている品ぞろえの多い店で、イタリアンルッコラというのがあった。
普通のルッコラより葉が細く切れ目が多く、より春菊に近い感じ。
赤カブとともに買ってみる。

遅い朝食のパンに、チーズやサラミとともに挟み込むため、さっそくイタリア風ルッコラを洗ってみる。
おや、黄色い花が咲いている。

そもそもこんな野菜を買ってみたのも連れ合いの実家に置いてきた『身近な野菜のなるほど観察記』の影響だろう。
あの本には、まだ日本ではあまり身近ではないだろうルッコラは取り上げていなかったと記憶するが。

花に目が行ったのは、ブラジルで華道静月流を教える大塚益代さんの「投げ入れ」の映像を身内向けにまとめてみたせいかな。
活けてみるか。

石井敏子さんの備前焼は太すぎるか…
家人が青いガラスの小瓶を出してきた。
これはナイス。

イタリアンルッコラ、味の方は成長のすすんだ茎は木化というのだろうか、咀嚼できない硬さになるようだ。
あとは葉の見ため以外、非イタリアンルッコラと変わりはない。

活けたルッコラ、葉の部分はしおれたがすでに開花した部分とつぼみはしゃきっと直立。



 


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