2月16日(火)の記 はじめにダジャレありき (2021/02/16)
はじめにダジャレありき ブラジルにて
サンパウロ時間の午前2時より日本の畏友・細川周平さんの日文研退官記念オンライン講演会。 眠りは浅い方だが、この時間に起き上がるのはなかなかつらい。
細川さんの話芸と演出は、あっぱれ、の一言。 お題は「チンドンの因縁」。 はじめに語呂合わせ、ダジャレのタイトルを考えて、それから内容を練っていく、と言う。
わが手法に近い。
細川さんとの付き合いは30有余年。 最初の深い付き合いは細川さんが新潮選書『シネマ屋、ブラジルを行く』にまとめられたブラジルのシネマ屋さんのこと。 僕の長編第一作『郷愁は夢のなかで』のプロデューサー役でもある。 移民作家の松井太郎さんをめぐることもあった。
僕が訪日中、竹橋の美術館での藤田嗣治の戦争画を見にいってバッタリ、京都在住の細川さんと遭遇したこともあった。 今日の講演でも日本でガイジンが撮影したチンドン屋の映像に写り込んでいる人が、フジタが1930年代に描いた人物と同一の可能性があるというドラマチックでマニアックな指摘あり。
話は韓国民主化運動の日本のチンドン屋への影響にまで及ぶではないか。
細川さんが稀有の頭脳、才能、行動力を長年にわたってブラジルの日本人移民の文化活動に注いでくれたことの「ありがたさ」にあらためて感じる。
細川さんとお付き合いして感じるのは、人格がノーブルなこと。 他人を悪くいうのは聞いたことがない。 真逆のわが身を恥じるばかり。
「戴冠」を終えて「無官」になった細川さんのさらなるご活躍をねがってやまない。
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