3月14日(日)の記 ブラジル移民と蒲団 (2021/03/14)
ブラジル移民と蒲団 ブラジルにて
ブラジルに持参した膨大な未読の本のなかで、岩波文庫の『蒲団』が目についた。 田山花袋の『田舎教師』を読んでみたかったのだが、これは日本の実家に置いたままかもしれない。 薄いのも魅力で、昨日から読み始める。
まるで予備知識はなかったが、これは面白い。 こういう小説だったのか。
文士としてそこそこ名の知れた東京住まいの男のもとに、中国地方の資産家の娘らしい才女から、ぜひ弟子入りさせてほしいと手紙が来る。 男には妻子があるのだが、そうした日常にうんざりしていた男は…
タイトルの由来となるクライマックスは、日本の近代小説、私小説の画期としてしばしば言及されている。 ヘンタイのひと言で断罪されそうな行為が、こうして文学として嗅覚とともに今も異国にいても共有できるのがスゴい。
これはいつ頃、書かれたのだろう? ふむ、西暦1907年の発表。 第一回ブラジル移民船笠戸丸出航の前年である。
彼我のギャップ、コントラストにめまい。
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