移民百年祭 Site map 移民史 翻訳
岡村淳のオフレコ日記
     西暦2021年の日記  (最終更新日 : 2021/10/28)
9月29日(水)の記 他人の徳

9月29日(水)の記 他人の徳 (2021/09/29) 他人の徳
ブラジルにて


「他人の徳を認める人は自分の中に徳を持っている人である」
アレイダ・ゲバラさんの語るキューバのホセ・マルティの言葉。
(『父ゲバラとともに、勝利の日までーアレイダ・ゲバラの2週間』星野弥生さん編著・訳、同時代社)

西暦2008年のアレイダさん訪日の際の講演録が中心の本。
読みかけだったのを、いっきに読了。
いい本だった。

この本も学芸大学の流浪堂さんで購入。
編著から翻訳も担当した星野弥生さんとは、在世田谷でドキュメンタリー映画の上映活動を続ける飯田光代さんの縁で、今世紀はじめに知り合った。

そして、アレイダさんとは…
http://www.100nen.com.br/ja/okajun/000044/20120304007996.cfm?j=1

現在は横浜のシネマジャック&ベティの階下の大道の焼肉師・伊藤修さんの仕掛けにノッてしまった。
当時の伊藤さんは横浜大口で裏にパティオまである土地の焼肉店の経営者だった。
東日本大震災と福島原発事故からほんの数か月後に、小児科医にしてキューバ親善大使も務めるアレイダさんが再訪日することになった。
伊藤さんと在日キューバ大使館の奇縁から、アレイダさんが横浜の伊藤さんのお店のパティオで講演会を行なうことになったという。

ちょうどその時期に訪日することになっていた僕に、伊藤さんからゲストとして参加しないかとお誘いをいただいた。
僕はキューバにも、アレイダさんの亡父のチェ・ゲバラにも通じているとはいえない。
以心伝心…
伊藤さんはこのイベントの撮影をしてほしいのだな、とお察しする。

講演や質疑応答をあとからも見やすい記録として残すとなると、僕一人の一台のカメラでは厳しい。
伊藤さんにカネがないのは百も承知、こっちも持ち出しだが…
日本で縁のある映像作家の岡本和樹さんに撮影のご協力をいただけることになった。

アマゾン帰りの無頼・伊藤さんとアレイダさんの丁々発止を期待したのだが…
そもそも時期は真夏、朝から雨でパティオに芝居小屋のような骨組みを組んでビニールシートをかぶせるやら、おおわらわ。
平日の午後だったが、過密な人の入りとなった。
大半がキューバの、特に政治方面でのオタクだとあとでわかる。

肝心なイトさんは…
交通渋滞とかで1時間余り遅れてきたアレイダさんと軽く挨拶を交わすと、パティオの会場にも現れず。
ずっと調理場でひとり肉を焼いていた。

僕のこの時期の関心、そしてこの時いちばんにアレイダさんに聞いてみたかったのは、日本の原発事故についてだった。
しかし、ずっとカメラの長回し…
質疑応答が延々と続いたが、この日本の未曽有の危機の時期にして地震や原発についての質問は、なし。

ようやく会場にやってきた伊藤さんが「そろそろお昼ご飯を食べましょう」とあいさつ。
昼食もそそくさと、アレイダさんは退場。

伊藤さんはこのビデオ記録のおかげでアレイダさんがなにを話したかを知れた、と言っていいかも。
その伊藤さんの心に残ったのが、冒頭に掲げたのと同じ言葉。

ちょうど10年前。
このイベントの終わりかけに伊藤さんは「オレ、出家しようかな」と漏らしていた。
その後の伊藤さんはほんとにこの地を追われるが、得度もしてしまった。
いまや横浜の大道焼肉師にして。伊豆大島富士見観音堂守である。



 


前のページへ / 上へ / 次のページへ

岡村淳 :  
E-mail: Click here
© Copyright 2021 岡村淳. All rights reserved.