4月12日(金)の記 Black Box Diary (2024/04/15)
Black Box Diary ブラジルにて
まずは出先からの車での帰宅。 今日は金曜なので覚悟をしていたが、割とスムースに帰宅がかなった。
午後からブラジルドキュメンタリー映画祭のプログラムのハシゴ。 本命は『Black Box Diary』、伊藤詩織さん監督の今年が製作年となっている最新作だ。 インターナショナルコンペ部門である。 そもそもこの映画祭のコンペ部門で日本人の監督の作品が上映されたことがあるだろうか?
ひょっとして伊藤詩織さんもこちらに来ているのかな? あの女性は…、うむ、違うな。
開演時間となり、スタッフと英語で話しながら本人がやってきた。 英語で「金曜の夜にお楽しみいただけるような作品ではなさそうですが」とユーモラスに語って場内を沸かせてくれた。
映画祭のラバキ代表は作品を絶賛。 「世の中を変えようとするドキュメンタリー映画は少なくないが、それをかなえつつある稀有な作品」 「つらい事件が偉大なドキュメンタリストを生んだ」と語る。
映画の方は、よくここまで撮って・録っていたと驚く。 性犯罪の被害者の女性が主人公で、しかも本人が監督を務めているのだ。 ひとつ間違えるとみていられない作品になりそうな懸念あり。 が、それを見事にクリアしたと思う。 伊藤さんの本気そして覚悟、さらに良質な支援者の存在の故だろう。
質疑応答では質問がきちんと彼女に伝わっていない感もあり。 こちらも早口でむずかしいポルトガル語はよく聴き取れないし、英語はなおさら。 時間がおしているとのことで、ほどほどでお開きとなる。
会場には日系人らしき人はちらほら見えたが、日本人一世というのは僕だけのようだ。 日本語で伊藤さんに話しかけてみる。 伊藤詩織さんはこれまでテレビドキュメンタリーを手掛けていたが、劇場公開作品は初めてだと語っていた。 それもあって自己紹介で牛山純一プロデューサーの名前を出してみるが、特にリアクションなし。
この映画の気になる日本での公開については、いまのところ予定はないとのこと。 日本でもろもろのことどもに苦しむ人たちに力を伝えてくれる作品だと思う。
帰宅後に伊藤詩織さんのフィルモグラフィ等を検索。 彼女はテレビドキュメンタリーと言っても日本のテレビとは離れて世界各地のテレビ局とドキュメンタリー番組を制作していたのだ。
わが牛山純一ドキュメンタリーの、もとから抱える問題と限界を考え直している。 そして奇しくも、伊藤詩織さんの事件のもみ消しに自民党総裁・首相が動いたとみられることにこの作品でも言及されているが、牛山プロデューサーの「南ベトナム海兵大隊戦記」を放送中止に追い込んだのも時の政権を握る自民党の幹事長だったのだ。
|