6月3日(月)の記 『パライゾの寺』 (2024/06/05)
『パライゾの寺』 ブラジルにて
この本のことを何で知ったんだっけ。 ブラジルで読んだ日本語の記事だったように思う。 訪日したら探して読もうと思ってメモして。
日本でネット検索して、古本の単行本を買った。 ブラジルに持ち帰って。
今日は奉公先で昼食もつくり、リライト中の原稿作業が一段落してから帰宅。 帰宅後、この本の残りをイッキ読み。
短編集だが、タイトルとされたのはいわゆる隠れキリシタンにまつわる伝奇。 遠藤周作の『沈黙』に勝るとも劣らないと僕は思う。
いずれの短編も宮本常一の「土佐源氏」に影響を受けた筆者が、それを彷彿させる手法で、面白い。 柳田民俗学が削ぎ落した女の性が、女性によって描かれていく。
著者の坂東眞砂子さんは僕と同じ年の生まれだ。 かつて『死国』というのを読んだが、これは期待したもののさほどノれなかった。 ところが『聖アントニオの舌』というエッセイ集がいたく面白い。 再読してしまった。
坂東さんはクリスチャンではないようだが、イタリアに留学して本場でカトリックの土俗について研究をして現場を訪ねている。 坂東さんの著書も含めて、カトリックについてはカトリック信者以外の識者の書いたものの方が面白いと思う。
『聖アントニオの舌』を再読した時に、つくづくすごい作家がいるものだと検索してみて、2014年に他界されていたことを知った。 惜しい。
とはいえ、相当数の著作を遺してくれている。 次回以降、訪日時に本屋の文庫棚をまわる時の楽しみにしよう。
ウイキによると坂東さんは環境大臣時代の小池百合子とひと悶着あったようだ。 とはいえ、両者の間にディスカッションがあったわけではなさそうだ。 この問題を検索していくと、かなり深い問題がうかがえる。 坂東さんの著作とともに考えていきたい。
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