8月9日(土)の記 海岸山脈のコムニダージ (2025/08/15)
海岸山脈のコムニダージ ブラジルにて
ブラジル大西洋森林・海岸山脈のどまんなかで。
入域料は宿に払うシステムで、近くの「コムニダージ」を訪問する。 コムニダージはコミュニティのこと。 この一帯には、キロンボ―ラと呼ばれる集落が散在する、はず。 かつてアフリカから拉致されてきた人たちが、各地の農場で奴隷として労働させられていた。 その人たち・子孫たちが農場を脱出して自分たちでつくりあげた共同体のことだ。
昨今、スラムのことをファヴェーラと呼ばずにコムニダージと言い換える動きがある。 同様に、キロンボ―ラという言葉を避けているのかと想像した。
宿で道順を聞いて、自分たちでクルマで訪ねる。 なんとか入口にたどり着く。 日本の山村のような傾斜地だ。
住民らしき人を見かけるが、いわゆる黒人系ではない。 訪ねあてたコムニダージを仕切る女性も、案内してくれる男性も、黒人系には見えない。
この「バクの川」と名づけられたコミュニティを聞く。 案内人の曽祖父が1920年代に北方の町から新天地を求めて山中を踏査してたどり着き、開拓したという。 このあたりにはキロンボ―ラも先住民も不在だったらしい。 なるほど。 日本人移民のあゆみと重ね合わせてみても面白い。
ここで生まれてふだんは町役場の運転手をしているという案内人が、こちらの奇異な質問にもまともに向き合って答えてくれてうれしい。
ブラジルの森羅万象の話をこれだけするのも久しぶりだ。 全体像とピンポイントの相違が多様性の豊かさというもの。
…夜の宿の食事は、アフリカ原産の淡水魚ティラピアを出されてがっくり。 さっそく「泥くさい」の声が。
セルフサービス形式で、昨日も今日の昼も料理はうっかりしていると残りわずかになっていた。 今宵のティラピアのムケッカ(魚介類の鍋料理)は他のブラジル人ヨーロッパ人の客も及び腰のようで、だいぶあまっている。
「敵」を知るためにティラピアを検索していくと、これはこれで面白い。 そもそもざっと地理的に三系統のティラピアがあるようだが、どれも泥くさいのだろうか。 とはいえ、これ以上この魚を口にする気はないのだが。
お、満月か。
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