9月3日(水)の記 青い粘液 (2025/09/08)
青い粘液 ブラジルにて
封切り中のブラジル映画『O Último Azul』を見に行く。 タイトルを直訳すると、「最後のブルー」といったところ。 その青とは。
アマゾン(ドットコムではない)が舞台の映画と知って、ぜひ見ておきたいと思っていた。 主人公の女性テレーザは77歳、アマゾン流域の小さな町でつましくひとり暮らしをしている。 政府は「生産性をあげるため」老人たちをコロニーと呼ばれる居住地に収容する政策を取り始めた。
自由を束縛されることを嫌ったテレーザは、当局の追及をかわしながらアマゾンでの冒険をはじめることになる。
このタイトルのブルーの意味のカギを握る単語を babaçu:アマゾン地方に分布するヤシの一種の名前 と思い込んでいた。 この稿を書くにあたって資料にあたると、baba azul: 青い粘液 の聞きまちがいだとわかった。 ナルホドそういうことだったか!
アマゾン流域を舞台とした劇映画を少なからず観てきたつもりだが、これは僕にとって最高峰かも知れない。
これまで見ていたこの映画のポスター画像は船の舵を取るテレーザと船頭の男のの2ショットだった。 ポルトガル語や英語のWikiを見ると、船の舵をとるテレーザに紅白のあでやかな魚を配している。 これはステキ。 この魚にまつわるシーンがすごかった。 あらためて人間2ショットの方のポスター画像を見ると、あ、こっちにも赤白の魚が配してあるものの、ブルーに呑まれて見逃していた…
これほど映画の時空に引き込まれたのも久しぶり。 いい映画だった。 日常を生きていくうえでの、希望と勇気をもらった気がする。
映画は、こうじゃなくちゃ。
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