移民百年祭 Site map 移民史 翻訳
岡村淳のオフレコ日記
     西暦2025年の日記  (最終更新日 : 2025/11/16)
11月5日(水)の記 武甲山へ帰れ

11月5日(水)の記 武甲山へ帰れ (2025/11/16) 武甲山へ帰れ
日本にて


今回の訪日ミッションの、まさしくヤマ場を迎えた。

緊張で、眠りも浅い。

池袋からのあさイチの西武線秩父行きの特急を目指す。
この有料特急の乗り方も勝手がわからなくて、ひやひや。
これを逃したらと思うと、ぞっとする。

目指すは、秩父の武甲山。
今回はプライヴェートな訪日のため、自分のイベントや取材は入れないつもりだった。
が、編集中の最新作の展開に行き詰り、日帰りの武甲山詣でを思い立った次第。

想えば武甲山には、名前ばかりできちんと向き合ったことがなかった。
格好の機会であり、試練でもある。

車中よりビデオカメラを回し、午前8時過ぎに横瀬駅下車。
駅の隣に土産物兼食堂があるが、食事とお土産は帰りにしよう。

うわあ、これが武甲山か。
石灰岩採掘のための中腹のえぐれがいたいたしい。

ネットで武甲山登山情報を少しはチェックしていたが、なるほど書かれていたことが実感できる。
登山口まで徒歩で1時間半近く。

林立する石灰岩採掘企業に気兼ねしながら歩いている感じ。

武甲山はほんらい、地域の霊峰だった。
しかし良質の石灰岩を産出することから採掘がすすめられ、日本の高度成長期には山頂の磐座などの神域まで破壊されてしまった。

こんなことが、よくもまかり通ったものだ。
16世紀のスペインからの新大陸の侵略者の蛮行を想い出す。

ようやく、登山口。
ここから現在の山頂まで、3時間近くか。
こちらは撮影もあるし。

クマ注意の看板。
地元の人からもクマに用心、とアドバイスをいただいたが、クマ笛の用意を怠ってしまった。

登山者は思ったより少なく、時折りクマよけの鈴の音が響いてくる。
いやはや、ひたすらのぼりの階段が続いているような山道に、何度もへたる…

ここにきていくつか重要な案件のやり取りを抱えているが、山頂展望台に到達していきなり電波が通う。
スマホに入ってくるメッセージに、下界の現実に引き戻される。

撮影の成果はぼつぼつといったところか。
どうやら撮影の事故、人身事故、雨などもなくてなによりでした。

なにより、実際の武甲山を訪れて感じ、思い、考えたことが貴重だった。

11月の関東の日暮れは早い。
ふたたび横瀬駅にたどり着いたのは午後5時をまわっていた。
あの土産物屋兼食堂は、5時までだった。

駅員さんに近くにコンビニはありますかと聞くと、とんでもない、といったふうに「ありません」とのこと。

さて、そこそこGパンは泥にまみれた。
これから羽田空港にブラジルからの身内を迎えに行かなければならない。

東京の宿に寄る時間がありそうだ。
あわただしく仕切り直して、羽田空港第三ターミナルへ。












 


前のページへ / 上へ / 次のページへ

岡村淳 :  
E-mail: Click here
© Copyright 2025 岡村淳. All rights reserved.