1月の日記 総集編 水俣一年・サンパウロ四百七十二年 (2026/01/03)
1月1日(木)の記 灼熱の元旦 ブラジルにて
ブラジルの親類が集っての新年会に向かう。 もらいものだが、日本から担いできた日本酒を冷やして乾杯。
手づくりのお節料理などご馳走が並ぶ。 が、運転なのであまりアルコールを摂取できない。
広めの集合住宅だが、それでも今日は人口稠密。 途中でしばし、階下の庭園スペースへ。 遊技場、スポーツスペース、バーベキュースペース、菜園などがあるが、亜熱帯の真夏の昼下がり、ほとんど無人。
大きなマットの置かれた東屋で、ごろりとしてみる。 すこしうつらうつら。
かゆみと、軽い痛み。 腕のふくらみは、蚊に刺されたかな。
日本の小学校の校庭にいたようなサイズのクロアリがまとわりついてくる。 これに咬まれたかもしれない。
ああ、森の小径を歩きたい。 携帯蚊取り線香持参で。
1月2日(金)の記 味噌ラテ ブラジルにて
クリスマス時期にお会いできなかった知人と、今日の午後にカフェをともにすることになった。 先方のお宅に近い日系のカフェで。
この時期は営業している店が限られるが、ここはオープンの由。
僕は「みそラテ」をオーダー。 最初は「勇気」がいったが、これがなかなかイケる。
少し理屈を考えると、味噌が発酵食品であることはよく知られるが、コーヒーも発酵食品。 とはいえ、「納豆ラテ」というのがあったら、さすがに引いてしまうが。 糸をひいたりして。
ミソラテ、というと♪音階が出てきそうだが。 すでにラテの底にミソの層があるとのことだが、さらに小さじにキャラメル色の味噌を添えている。 それなりにどの味噌が合うか研究したのだろう。
悪くない。 えも言えぬ深みがある。
それにしてもこの店、冷房きかせ過ぎ。 知人は「上着を持ってくればよかった」。 カフェの冷房対策に、上着持参というのも。
かつて、フィリピンの長距離バスはこれが常識だったのを想い出す。 ブンカだから、ではすませたくない、なにか。
1月3日(土)の記 ミックスダウン ブラジルにて
最新作の編集作業。 ギョーカイジンの頃にはミックスダウンと称していたプロセスに年末から突入している。
検索してみると「ミックスダウン」とは音量や音質の調整をいうようだ。 僕の方はナレーションの音声を編集して、編集済みの映像と現場音を考慮してナレーションの位置を定める、という作業なので、ちょっと異なる。
これのあとで、音の上げ下げを行なうことになる。
ちびちび、こつこつと、少しだが大晦日も元旦も連日、続けている。 こういうのは、初めてかも。
そもそも「毎日が日曜」状態ながら通常は土日は家族が休みでもあり、こちらも作業はやめていた。 今年はなにかと追い込まれているので、かたちだけは土日も返上。
1月4日(日)の記 日系料理 ブラジルにて
連日アップしているこのウエブ日記とインスタグラム。 先の訪日時ぐらいから「いささかの」タイムラグが生じてしまった。
ようやく両方とも二日前ぐらいまでは追いついてきた。 さて、今日、一昨日のインスタ・今日のアートをアップするにあたって…
迷うが、これにしておく。 https://www.instagram.com/p/DTF9cbCDd4o/
「1908」という日系人経営のカフェの調理場にあった暖簾。 いかにもホンヤク日本語が面白い。
それにしても「日系料理」というコトバはこちらで暮らしていても目に耳になじまない。 comida japonesa:「日本料理」を訳したのだろう。
こころみに検索してみて… おお、ペルー発信で「ニッケイ料理」というコトバがそこそこヒットするではないか。 ペルーは料理そのものが多様で豊かなことが近年、注目されている。 そのペルーのなかで変容・洗練されたニッケイ料理、興味津々。
おや、さらに検索していくと、在イギリスの日系ブラジル人による「日系料理」という本があるではないか。
南米への日本人の移住はペルーの方が古いが、数はブラジルの方が桁違いに多い。 料理に関しても個々のエピソードはいろいろあるし、自分も一家の料理人として「一家言」あるつもり。
が、まとめるとなるとなかなか。 こっちも料理人ではあっても、研究者のつもりはないので。
して今日の台所は… 路上市で買ってきたカツオがおいしくて。 昼はカルパッチョ、夜はタタキと煮つけでいただく。
1月5日(月)の記 ヴェネズエラの受難とサンパウロの冷夏 ブラジルにて
年末に伝わってきた、韓国で明らかにされた統一教会と高市首相はじめ自民党関係者のつながりの件が気になっているところに…
1月3日、米国がわが隣国ヴェネズエラの首都カラカスを急襲、大統領夫妻を拉致という事件が。
ますます落ち着かないが、自分のすべき作業を。 今日は今年初めての一日断食。
クリスマスいらい酷暑の続いていたサンパウロだが、今日は最高気温が昨日より12度低い涼しさ。
この奇貨を活用して、ビデオ編集の追い込み作業に精を出しましょう。
ヴェネズエラのことは、またあらためて。 いまは、目先の水俣の記録を。
1月6日(火)の記 セボのプラセボ ブラジルにて
ブラジルでは古本屋を「sebo」と呼ぶ。 この語には「獣脂」という意味もあるのだが、なぜ古本屋がこの語なのかははっきりしない。 一説に、古本にはいろいろな人の指の脂がつくから、とか。 うーむ。
近所の古本屋に行く。 ここの女性店主、と言っても彼女がひとりできりもみしているのだが…
ブラジルでは知られた高原の街で30年以上、店を営んでいたものの故郷のサンパウロに戻ることにした由。 店は小さいが、アンチークも置かれていておもしろい。
かなり本好きなのだろう、しょっちゅうインスタで一冊一冊の本を紹介していて、値段もまあリーズナブルである。
今日はお店に日本の特撮系のフィギュアがあるのを発見。 聞くと、在日本の日系ブラジル人の小説家が放出したという。 その彼の小説の透明フィルムがけの本も取り出してきた。
寡聞にしてその名前を知らない。 「え、知らないの?日本で有名な作家よ」と女主人。
かなり部厚で、安くはない値段。 だがこうしたお店の維持賛助も兼ねて、フンパツ。
帰宅後、開封。 自費出版的な感じ。 著者の名前を検索すると、ポルトガル語のインスタグラムなどがヒット。 日本でブラジル人の多い地域で長年、暮らしているようだ。
ちなみに日本語のヒットは見当たらない。 序文だけ少し読んでおく。
他に読まなければならないポルトガル語の本が目白押しだし、いやはや。
1月7日(水)の記 クイアバ流でござる ブラジルにて
家族の夕食をどうするかに想いを巡らすのはキライではない。
今日はクイアバ風ソーセージをメインにするか。 クイアバとは、ブラジルはマットグロッソ州の州都。
何度か立ち寄ったことはあるが、現地でクイアバ風ソーセージというのに接した記憶がない。
ソーセージのなかにチーズのかたまりが入っているのだが、肉は豚だったり牛だったり。 わが家の近くではやや高級なスーパーか冷凍食品店で売られている。
今日はチキンのがあるのを知り、チキンにしてみる。
なぜクイアバ風と称するのかを検索。
おや、発明はサンパウロ州のようだ。 レシピに牛乳を使用、ともあり。
起源は畜肉を牛乳に浸したもの、といった記載も。
まあ、だいたいの感じはわかった。 「本場」クイアバでお目にかからなかったことも。
家人のサポートを受け、いしくいただきました。
1月8日(木)の記 サンパウロのころびきりしたん ブラジルにて
明日より州内一泊小旅行の予定。
最新作の作業を通常より根を詰めてキリのいいところまですすめる。
そのため日課のウオーキングがおろそかになった。
夕食後にマンモス(までいかないかな)団地のオープンスペースを歩こうと、降りて…
ここでマンモス団地の定義を調べると、おおむね戸数1000戸以上の由。 うちはそこまでいかない。 マストドン団地か。
おー、外は小雨状態だった。 さすがに他にウオーキングや夕涼みの人は見当たらない。
サンダル履きで水たまりのあるので足も濡れるが、ちょろっと歩く。
ふたたびわが棟の勝手口から入り…、 不覚。 最近、設置された視力障害者用に床に打ち付けた金属標識にすべって転倒。 膝の皿のあたりを強く打つ。
なんとか起き上がってわが家まで戻るが…
明朝の運転はだいじょうぶかな?
1月9日(金)の記 温泉を読みたい ブラジルにて
午前7時過ぎからドライビングマイカー。
サンパウロ州内陸の鉱泉の町「聖ペドロの湯」に向かう。 ブラジルの温泉ではここが至近ということもあり、もっとも通っている。 途中のいっぷくも含めて3時間あまり。
今回は他人にはあまり教えたくないような穴場の宿を見つけて取れた。 ひとり占めではなく、自分の方の予約が取れないとシャレにならないから。
ここは成分の異なる3種の源泉がある。 硫黄分は地球上で知られるところでイタリアの鉱泉に次いで世界第2位の硫黄分の高さを誇る。
とはいえ、イオウ臭は日本の硫黄泉に比べると格段に弱い。 そのあたりのリクツをワタクチにもわかるように説明してくれている日本語のウエブページがあったのだが、見当たらない。
ここの市営湯治所は、個別のバスタブで、一回が20分。 透明でぬるりとした聖ペドロの湯につかる。
先回の訪日ではついに秋田の玉川温泉につかることができた。 玉川温泉に関しては現地でもその奇蹟的な薬用効果を記した本が2種類、売られていた。
ここについても1冊あるのを知ったのだが… 現地では週末に著者が売りに来ることがあるという程度で常時売られているところがなく、かつてネットで探して古書店でようやく求めた。
自分も家族も病気に苦しむ著者の自伝で、温泉についての客観的なデータ類は付録程度だった。
もっとこの温泉のことが知りたい。 20世紀になっての石油探しで見つかって、ブラジルでも有数の鉱泉リゾートというようなことはすでにインプット済み。
藤井一至さんの『土と生命の46億年史』のような… とはいえ、あの本もそうとう著者の個人的なことが書き込まれていたが、温泉についての言及は覚えていない。 あまり興味はないのかな。
大地の恵み、地球の営みとしてのブラジルのこの鉱泉とヒトについてもっと知りたい。 「ブラジル学」の中隅哲郎さんのような、おもしろくてためになる本で。
1月10日(土)の記 炎熱鉱泉 ブラジルにて
帰路も運転時間は3時間程度だが、しばらく長時間の運転はしていなかったせいか、疲れた。
かつては日に10時間ぐらいはブラジルを走行したものだが。
宿で朝食のあと、ふたたび公営の硫黄泉SPAへ。 土曜なので混雑を恐れていたが、まだ早い時間でもあり、あっさり入湯できた。
入浴後の外気は午前中でも30度を超す熱気。 付近はアスファルトにコンクリートの観光街、中央に小川があるものの陰は乏しく、冷房空間を求めたくなってしまう。
宿の部屋でチェックアウト時間まで涼んで。
午後のまだまだ暑い時間にサンパウロのわが家に到着。 まずはイッパイいただきましょう。
1月11日(日)の記 ブラジルのUchimizu ブラジルにて
外でまいても、うち水。
今日も灼熱日和。
昼過ぎに野外での法事、そのあとに親類の家でお茶の集いということになって。 法事は木陰のもとで助かった。
お茶の集いは庭のある一軒家で。 入口部の庭は切り石で覆われているが、庭木を植えている地面のスペースもある。 近くに蛇口とホースがあるのを確認、家主に許可を得て打ち水をしてみようと思う。
「お茶」と軽食類のなかにワインやおフランスのチーズなどもあるが、こちとら運転であるので味見程度にしておいた。
ブラジルでは庭のある家に暮らしたこともないので、打ち水体験があるわけでもない。
道路に面した入口から建物の玄関までの切り石敷きの部分も濡らしてしまうので嫌がられるかと思ったが、太陽さんさんで短時間で乾いてしまう。
屋内から「水をムダにするなよ!」の声を浴びせられる。 たしかに大サンパウロ圏では水不足が言われるようになってきている。
とはいえ、個人宅のプール使用や水洗トイレの「大」の流し、日に何回も浴びるようなシャワーに比べて…、 冷房のない家に20人近くが集っている目前での、涼気を誘うためのささやかな数分程度の散水も、糾弾されるべきだろうか。
僕に水をムダにするなと言った家庭では、揚げ物に一度使った油を流しにそのまま流していると聞いている。
エコロジー的に、どんなものでしょう。
からからだった庭木と土壌生物には喜んでもらえたような気がする。
1月12日(火)の記 ぬられ壁 ブラジルにて
いよいよ最新作の仕上げの最終段階。 朝から根を詰めて作業。
通常モードだと、ほどほどにしてウオーキングや買い物で外出するのだが。
とりあえずの一段落がついたのは夕方となってしまった。
今日は一日断食で、家族の夕食作成も免除。
とはいえ、日毎のストリートアートの採集に出ねばならない。 近くの徒歩圏では厳しいので、メトロ使用をはかる。
いっぽうすでにたそがれてきたので、それでも人工照明でスマホ撮りができそうなのがありそうなところは…
メトロを乗り換えて降りた駅前の学校の壁に、そこそこのグラフィティが描かれていたが、あれあたりかな。 学校側の依頼で描かれたとみられる安定した作品。
駅から降りるというか、地下鉄の構内から登って出て驚いた。 あの絵巻物が白壁に変わっているではないか。 いやはや。
付近をあるくと、この時間でも開いているこじゃれたカフェがある。 今日は断食のため、ミネラルウオーターぐらいしか飲めないので残念。 ちょいとしたものでも読むのに格好だな。
「今日のアート」もなんとか撮って。 ウオーキングの歩数もそこそこ稼いで帰宅。
1月13日(水)の記 今日もコンツメール ブラジルにて
今日もそこそこ根を詰めて作業。 「コンツメール」というコトバが浮かぶ。 ローマ教皇選挙の「コンクラーベ」に通じるものがある、とか。
検索してみるが、意外とひとつもヒットしない。 こういうばかばかしいことを考えるのはワタクチだけではないことが多いのだが。
夕方、ストリートアート探しを兼ねてウオーキング。 今日は夕食の支度もある。 メトロでの遠征はやめておいて、徒歩圏で。
拙作をいったんまとめ上げて、在日本の主人公に。 あらためてチェックをして手をくわえたいところ、うっかりしていたところに気付く。
とりあえずいったんここまで。
1月14日(水)の記 小正月イブ ブラジルにて
最新作の件で、在日本の主人公とあれこれやりとり。 ようやく。
午前中に知人との語らいでパライゾ地区のカフェへ。
帰宅後、最終段階の作業に着手。 さらにチェック。
ついに、ここまできた。
『ナウシカ』が見たくなった。
1月15日(木)の記 トニーの散髪に行った ブラジルにて
くそ暑い、というコトバを使おうとして、立ち止まる。 「くそ」には感謝こそすれ、否定的、ましてはののしりの意で使いたくない。
検索。 さすがが「くそ」だ、「クソ奥が深い」。
Wiktionaryによると、「くそ」は接頭辞として「名詞、形容詞、形容動詞の前に付いて、並外れたさまを表す。」
まさしく「並外れた」暑さである。 この時期に髪の毛がむさ苦しくなってきた。 散髪に行こう。
ここのところ、近所の坂を下りたところにあるトニーさんの店に決めている。 東洋人街の移民床屋の大塚さんがなくなり、ブラジル人の散髪店をいくつか回って… 近所の日系二世のアキラさんのところに落ち着いた。 このアキラさんも引退してしまって。
トニーさんは非日系で、メリケン帰り。 脳の訓練に、実用の機会もないヒンディー語を学んでいるという変わり種だ。
すでに気心は知れている。 今日「も」他に客はおらず、書類の問題で電話中だった。
いったん通話が終わって、散髪用の椅子につく。 すると、また電話。
うわ、片手で電話を受けながらもう片手で櫛を使い、ハサミまで使い始めた。 …さすがにはじめての客にはこれをやらないだろうな。
電話が終わり、年末に兄弟をなくしたとのことで、お悔やみを述べる。 その延長で、猟奇的な話を聞いてしまう…
ちなみにトニーさんのところではこんなエピソードもあり。 https://www.instagram.com/p/DTsfAnbjUvt/
蒸しタオル・洗髪・顔剃りのない散髪にもだいぶ慣れたなあ。
帰宅後、まずはシャワーを浴びて洗髪、「残り髪」を流す。 なにもかも日本の倍以上になってきたブラジルだが、散髪は日本の格安散髪店より安く上がる。
1月16日(金)の記 サンパウロ州の山の大河 ブラジルにて
最新作の作業が一段落したら訪ねたいと昨年から思っていた。 去年のいつ頃からかな。
サンパウロ市と近郊を結ぶ電車の、最果ての駅。 大サンパウロ圏の鉄道網は粘菌のごとくそこそこに発達している。
その、海岸山脈の方向のどん詰まりへ。
駅名は、リオ・グランジ・ダ・セーラ:山の大河、の意だ。 何故こんな名前なのかを調べてみると趣深いものがあったが、一般向けに書くとなるとそこそこ長くなるので、また何かの機会にでも。
車窓の風景も乗客層も他の路線よりはおっとりした感じで、正直ほっとする。
おお、最果ての駅はサンパウロで二番目に古い駅舎とか。
風景をみていて気付いたこと: ・終点近くになると、パラナマツ:アラウカリアが出現する。 この樹はしかるべき標高ないし低温がないと生育しない。 サンパウロ市内よりだいぶ高いことがうかがえる。 ・山並みが迫ってくるが、平原が拡がっていてガマを彷彿させる植物が繁茂している。 これは終点から歩いてみて、細流の流れる湿原と確認。 夕方だったが、地元民らしい数名の釣り人がいた。
なんだか、気分は宮本常一。 だいぶこっちは劣るけど。
グラフィティ出現率は、サンパウロ市内の平均より高い。 日系人はいないことはないが、まれ。
駅から近い高台にカトリック教会あり。 守護聖人は聖セバスチャン。 なんとここの聖セバスチャンは、ひげもじゃではないか。 三島由紀夫を恍惚とさせた美青年の聖セバスチャンとは別モノの観ありだが、体に矢を受けた場所は同じのようだ。 これも検索してみると、奥深し。
いろいろな偶然の重なりから立ち入ったカフェのおじさんが、なかなかのインテリ。 ちいさい店でほかに客もなく、いろいろな話を聞けた。
彼は昨年、僕が何泊もしたサンパウロ市内の病院に長年勤めていたとのことで、これもびっくり。 スタッフのきちんとした病院だった。
ええっと、あとなにがあったけな…
そうそう、走行中の電車のなかをマウンテンバイクに乗って移動する若者がいた。 こんなのを見るのは生まれてはじめて、だと思う。
1月17日(土)の記 聖市にわか雨 ブラジルにて
亜熱帯の夏の天候とは言え。 同居する家人と、それぞれのスマホの同じお天気アプリの1時間ごとに記される天気予報がまるで違う。 どっちかがパチモンか?
そして、実際の天候がさらに違う。 この数日の雨の予報はことごとく、はずれるかズレて。
今日の夕刻は降水予報なし。 それをうのみにして、お出かけ袋のなかの折り畳み傘をわざわざ取り出して、外出。
見事な夕立に遭いました。
ストリートアートハンティングでメトロにして数駅離れたところまで遠征中の大雨。 土曜の夕方で、あたりはアルコールメインの店以外はむずかしいか。
おっと、なかなかこじゃれたパダリア:ベーカリーあり。 ミルクコーヒーとスナックをいただいて、雨宿りを楽しませていただきました。
1月18日(日)の記 ロンドンコーヒー ブラジルにて
ロンドンは紅茶じゃないの?と突っ込まれそうだ。 ロンドンにはトランジットで立ち寄った程度なので、よく知らない。
サンパウロにロンドンコーヒーという名前のカフェがあるのだ。 午後、思い切って行ってみる。
日曜の午後は土曜以上に開いている店が少ないので、混雑を予想… おお、それでも窓際の二人掛けの席がとれた。
メニューはQRコードか… アイスコーヒーとバゲットにしようと思う。
だが画面からのオーダーの仕方がわからない。 店のスタッフを読んでオーダー。
アイスコーヒーはレモン入りとのことだが、味からではよくわからない。 氷が浮かんでいるでもなく、ちょっと「ぬるい」感じ。
それでもスタッフの感じがいいのがなにより。
若い人たちの喧騒のなか… 大きめのメモ帳を取り出して、追い込まれつつある書きものの構成をちょびっと練る。
ストリートアートもそこそこのものが撮れた。
1月19日(月)の記 アンデスの歌声 ブラジルにて
今日は、一日断食。 諸々の残務・雑務。
午後から、折り畳み傘持参でストリートアート探索の徘徊。 今日もメトロに乗って。
さてどこまで行こう? チエテ川の手前の駅で、停車時間が長く、思い切って降りてみる。
ほとんど縁のない駅だ。
下町、といった感じ。 ブラジル低地のグアラニー系の先住民か、といった身体的特徴を持つ人が少なくない。 どうやらボリビア系の住民のようだ。
そこそこグラフィティを拾える。 もう少し歩いて、遠目にも鮮やかなものが。 https://www.instagram.com/p/DT2gyliDg39/
東南アジアの山岳民族をほうふつさせるが、ボリビア系の母子を描いたのだろう。 サンパウロ市営の教育施設の壁だった。
ちょいとした大衆バールがいくつもあるのだが、今日は断食で残念。 さあ雨が本格的になりそうだ。
サンパウロのグアラニー系の先住民と、ボリビアのアンデス高地の先住民の邂逅を夢想する。
1月20日(火)の記 髭の聖セバスチャン ブラジルにて
人生は、サッカー模様。 ボールの些細な思わぬ動きから展開ががらりと変わっていく。
先週に金曜日に郊外電車の最果てということで訪ねた山辺の町。 その町のカトリック教会の守護聖人が聖セバスチャンであり、その祭日が1月20日。
記念日のミサをさっそく訪ねてみようと思って、再訪。 町は祝日扱いでお休み、広い聖堂のミサは人であふれかえるかと思いきや…
そこまではいかなかった。 学校等もこの町では休みだが、参列者は年寄りが中心。
オリジナルに近い形で修復されたという、現在の聖堂に隣接するチャペルには木彫りのひげもじゃの聖セバスチャン像が飾られている。 だがこちらはまるでひと気がなく、花のひとつもない。
今日は教会の広場に売店が並ぶよと言う話だったが、それもハズレ。
それでもヤマの空気を吸って、気分転換にはなりました。
髭の聖セバスチャングッズにはありつけなかったが、地元のスーパーで少し変わったものが買えたし。 地元の食堂も、悪くはなし。
1月21日(水)の記 なめくじディレクターとなめことなめたけ ブラジルにて
なめことなめたけの違いをご存じでしたか? この歳まで恥ずかしながら、どちらをも漠然と認知していたものの、その違いを考えたこともありませんでした。
ナメコはキノコそのものがナメッとしたもので、ナメタケはエノキダケ類を調理してナメっとさせたもの。 元のキノコとしては、まるで別モノだったのですね。 これは、ナメクジとカタツムリの違いより大きいかも。
それにしてもブラジルの食用キノコ相は豊かになる一方で、ありがたい。 日曜の路上市でナメコのパック入りが手ごろな値段で出ていたので、買い。
さっそく厚揚げ、リーキとともに味噌汁にいたす。
なめこおろしをいただきたかったが、ナメコも生食はNGのようで、どうせゆがくなら味噌汁で、ということで。
いたまないうちに、早く使った方がよさそうだ。 今宵はナメコ、マッシュルーム、ベーコンでパスタとする。 乾燥の「チリきのこ」も用いるか迷うが、これはこれで味が強いので、やめておく。
簡単でおいしくいただきました。
そもそもブラジル人がふつうに(「ブラジル人」「ふつう」というのはなかなかむずかしいが)食するものには、ヌメリ系のものはないと言っていいかもしれない。 オクラもヌメリがなくなるほど煮たりいためたりするし。
せっかく当地で栽培に成功したナメコの存続を願うばかり。 お値段があまり高くなければ。
1月22日(木)の記 今日のみそラテ ブラジルにて
次回の訪日に備えて、ぜひ読んでおきたい本を知人が貸してくれるという。
午後、日系テイストのカフェでお会いする。
ここではもっぱら MISSO LATTE:みそラテをオーダーしている。
話のタネに思い切って頼んで以来、病みつきとなった。 キャラメル風味のミソが、カフェラテによくマッチする。 それなりの試行錯誤があったことだろう。
これのミルクも3種類から選べる。 ・普通の牛乳 ・脱脂牛乳 ・オーツミルク
最後のはオーツ麦を乳状にしたもの。 ミソの方はなに味噌かはわからないが、オーツ麦製のミルクがいかにも相性がよさそうだ。 そうか、そもそもコーヒーも豆だしな。
今日もこれをいただきました。
ワサビ風味のジェラート系もあるようだが、これはまたいずれ。
1月23日(金)の記 タンミョン チャプチェ ブラジルにて
午後から、サンパウロのセントラルステーション下車でコリアン街へ。
気になる店に寄り、コリアン食材を商うスーパーで買い物。
さて、フンパツしてコリアン系の昼食をいただくか。 すでに昼食タイムには遅いけど。
ここで食べたチャジャンミョン:炸醬麵 がなかなかよろしかった。 ちょっと店で怖い思いもしたけど。
せっかくだから別の店を開発したい。
中心から外れて、いかにも入りづらい店がまだ開いているようだ。 「勇気を出して」入ってみる。
おお、店内はなかなか広く、韓国人一家が切り盛りしているようだ。 メニューをじっくりと見て…
チャジャンミョンは見当たらず。 タンミョンのチャプチェを頼んでみる。 タンミョンは、サツマイモ製の春雨、と言ったところ。 チャプチェは、それの炒めもの。
それに白ごはんとスープ、さらにキムチなどの小皿が五品。 おビールも一本つけて、満腹満足。
そもそも壁の装飾を見て驚いた。 韓国の光州事件を題材にした版画が飾ってあった。
男主らしき人とはポルトガル語で「いい作品ですね」ぐらいの話しかできなかった。 知人らしいグループの客も来て。
どうやら絵心、詩ごころのある家族がいるようだ。 ハングルの読みぐらい、覚え続けていればよかった。
韓国がらみでは、あるまじきことが続いたけれども。
1月24日(土)の記 ヤマモリさん… ブラジルにて
昼は家族で近くにフェイジョアーダを食べに行った。 かなり満腹である。
それでも、夜は夜で。 なにか、軽いものを。
日本から担いできた揖保の素麵の残りをゆでるか。
おつゆは… 日本製のペットボトル入りは、ほぼ使い切った。
つゆは自分でも作っていたが、あまったのを使いもらしてだめにしてしまうことしばしば。 ブラジル製の濃縮のも市販されているが、これは見事にうまみに乏しい。
というわけで、こちらの日本食材店で日本製のをフンパツして。 土曜も夕方まで開いている店へ。
…2種のうち、ちょっと安めのを買うことにした。 目を覆う円安のおかげで、1リットルのものが邦貨にして2000yen近くもする。
ネギやワカメのほかに、こちらでは時期のミョウガも刻んで。 まことにおいしくいただく。
つゆは、ヤマモリというメーカー。 三重県桑名市か。
検索してみると… 1889年創業。 ほう、日本ではじめてレトルト商品を開発か。 東南アジア各国にも進出している。
ただ僕がヤマモリさんを知らなかっただけか。 ヤマモリさん… タレはまだ残ってるでよう。
このつゆは、3倍濃縮だが、それでも濃い感じだった。 もうひとつの少し高いのは2倍濃縮だったので、ますますオトク感あり。
1月25日(日)の記 水俣一年・サンパウロ四百七十二年 ブラジルにて
在水俣で甘夏の生産などを手掛ける高倉敦子さんらと、水俣の山岳地帯にある正体不明の遺跡を踏査して、まる一年になる。
その時の記録をもとにしたわが最新作を『水俣ナゾの山岳遺跡を探る』と題して、ようやく完成させた。 サンパウロ時間で1月25日になると同時に、YouTubeにて公開スタート。
以下のリンクからアクセス可能です。 https://www.youtube.com/watch?v=-vJY7utbBEM
主人公の高倉敦子さんら関係者には事前に試写をいただいてOKをいただいている。 しかし製作者と登場人物らとで激しくもめている祖国で公開中のドキュメンタリー映画のようなケースもあるので、予断は許さない。
ちなみに今日はサンパウロの町の創設記念日である。 西暦1554年の今日、現在のサンパウロのセントロ地区の丘で、イエズス会士たちが先住民らとともにミサをたてたことによる。 1月25日は新約聖書の著者のひとりである聖パウロが「回心」した日であることにちなんで、サン(聖)パウロと名づけられた次第。
先日、サンパウロのながいキリスト教の宣教師がこの故事を知らないというので、さすがに驚いた。
1月26日(月)の記 カランジル ブラジルにて
さあ今日は一日断食。
昨日YouTubeで公開した最新作には、いまのところ修正を余儀なくするような指摘や抗議もないようだ。
たまりにたまっている残務雑務に、ちびちびと着手。
午後からストリートアート採集とウオーキングの外出。 今日は、というか今日もメトロで北上。
あの駅で降りてみるか… 駅前に、かつてラテンアメリカ最大級のカランジル刑務所があった。 西暦1992年に暴動が発生、当局により111人が虐殺された。
すでに僕がブラジルの住民となり、リオで国連の環境会議が行われた年だ。 この頃の僕はアマゾン流域の水銀汚染問題やブラジル各地の岩絵遺跡の取材に取り組んでいた。
それから約四半世紀を経ての着地点が、今回の最新作『水俣ナゾの山岳遺跡を探る』だと思う。 https://www.youtube.com/watch?v=-vJY7utbBEM
虐殺事件に戻っていえば、わが家から地下鉄一本で行けるところにある刑務所で、100人以上が虐殺されたのだ。
カランジルの語源を調べる。 この一帯は大河川チエテ川の支流カランジル川流域の湿地だったようだ。
そのcarandiruの語源は… 先住民の言葉で、カランダと呼ばれるヤシに営巣するハチの名前だという。
この虐殺事件は、『蜘蛛女のキス』のヘクトール・バベンコ監督が映画化、西暦2003年に公開されたが日本では未公開。
ただいま世界の著名な映画賞に輝き続けてブラジルで人気騒然のワグネル・モウラも出演している。
近々、ブラジルシネマテッカでリマスター版が上映されるようだが… あまり積極的にまた見ようという気が起こらない。
今日は、というか、今日も、書いているうちに思わぬ方向に行ってしまった。
1月27日(火)の記 発酵パン彷徨 ブラジルにて
メトロで二駅ほど南下した地区にある発酵パンのベーカリーに行ってみることにする。 少し前にインスタグラムで見て、折を見て行ってみようと思っていた。
通りの名前は憶えている。 その道を突き進むが、それらしい店は見当たらない・・・
立ち止まってスマホを開く。 いやはや、だいぶ手前の方だった。
お目当ての住所にたどり着くが… アイスクリーム屋ではないか。 SNSの情報が古くなっていることはしばしばだが、つい先日に見たのだ。
お店の女性に聞いてみると、すぐ裏だという。 知らなければ入れない細い通路を進んで、呼び鈴を押す。 雑居地区だ。
ようやく青年が出てきて、たしかにパン屋だという。 事前オーダーのみの受付の由。 そこまでインスタを読み込んでいなかった。 だが、売り物もあるという。
店主は昼食で外出中で、自分は焼き上がりのパンを取り出さなければならず「5分待ってもらえますか」という。
15分経過。 この近くにはカフェ併設の発酵パン屋もある。 もういいよ、と出ようとも思うが、発酵食品を求めるのに短気はソンキというものか。
ようやくまだ若い店主が戻る。 感じがいい。 冷凍もののゴルゴンゾラチーズとクルミ入りのものを買う。 ずっしりと重い。
はじめてということでのディスカウントもあり。
それでも、パンを買うのに前日以前に予約、というのが僕にはどうもメンドクサイ。 他にオプションはあれこれあるので。
まあ、明日、味をきいてみましょう。
1月28日(水)の記 路傍アートのよろこび ブラジルにて
最新作の件の残務雑務、次回訪日の諸手配、そして積もり積もった諸々に呆然としながら着手…
その合間にウオーキング兼買い物兼ストリートアートハンティング。
隣駅近くの水曜の路上市まで、歩いて往復。 帰りは、アヴェニーダを通っていくか。 おや、これは...!
日曜に出会って感激した作家の作品ではないか!
一日一枚アップが原則なので、日曜はヒキ画にした。 https://www.instagram.com/p/DUD-hY_kXhc/
今日のは、日曜と同じアヴェニーダだが、ひと駅ほどの距離を隔てた反対側。 https://www.instagram.com/p/DULPW-SDoLP/ これに描かれているのは、アマゾン地域の先住民の仮面と見た。 日本趣味だけにとどまらない画材がうれしい。
本日付の写真の方を拡大すると、この版画の地にしているのは月刊『文芸春秋』2006年9月号だとわかる。 見事なアートによる再生だ。
作者は、ルシアノ・オグラさん。 https://www.instagram.com/lucianoogura/
アート市などで作品の販売もしているようで、いずれ会えるだろう。
1月29日(木)の記 junos ブラジルにて
午後から、ダウンタウンへ。 現地で肝心なものを忘れたことに気付く。 …またわが家に戻る。
ついでに東洋人街で買い物。 チャイニーズの食材店へ。
今宵は残りご飯をチャーハンにしようと思う。 ワンタンを買って、スープにしよう。
うむ、そうなると紹興酒が飲みたくなる。 日本なら中華料理といえば紹興酒ということになろうが…
この店には、料理用の紹興酒しかない。 他をあたるか。
以前、紹興酒を買ったのと別の食材店に行ってみる。 …ない。
が、ここには中国製の柚子酒:POMELO WINE というのがあった。 瓶がオシャレ。 これでいくか。
アルコールは5パーセント、これはじゃんじゃん飲めそうで困る。
さて、柑橘類の種類というのはそうとうややこしい。 中国で「柚子」と呼ぶものは、日本のユズとは異なるのではないか?
検索。 日本のユズは、学名 Citrus junos。 junos は四国や九州で「ゆのす」と呼ばれていたためという。
して、中国語のユズは… 学名 Citrus maxima。 これは日本だとザボンだった。
さらに突っ込むとますますややこしいので、この辺で。
1月30日(金)の記 ご近所のチャンジャンミョン ブラジルにて
隣駅近くにあるコリアン系らしいお店でチャンジャンミョン(炸醬麵)を出すことがわかった。 行ってみる。 テイクアウト中心の店かと思ったら、階上にたっぷりテーブル席があった。
給仕の若い女性はブラジル生まれのコリアン二世だという。 家族経営のようだ。
まずは小皿料理が三品、運ばれてきた。 これはお代わりも持ってきてくれて。
メインのチャンジャンミョンは… 悪くはないが、以前サンパウロのコリアン街で食べた時の感動までいかない。 鶏肉を使っているが、牛か豚の方が合うように思う。
値段はブラジルの庶民定食の倍近いが、ボリュームも倍近くあり。
韓国語で「おいしいです」ってなんだっけ。 スマホを繰って。
マシッソヨ。
1月31日(土)の記 とん活三昧 ブラジルにて
今日は、トンカツをつくることになった。
わが家でのトンカツはご馳走であり、ひと仕事である。 前日に冷凍食品店で豚のフィレとロースのかたまりを買っておいた。
大玉のキャベツをスライスして、洗って水切り。 最近、線キャベツはこうしている。
あらたに大きめの揚げもの用の鍋を入手したので、以前より楽になった。 それでも長編映画一本ぐらいの時間は所用。
キッチンドリンク付きだけど。
遅い昼食と夕食のメインのおかずはことたりる。
そうか、トンカツサンドも食べたかったな。 今度はもう少し揚げるか。
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