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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2026年の日記  (最終更新日 : 2026/08/11)
4月の日記 総集編 核兵器使用と第三次世界大戦の危機

4月の日記 総集編 核兵器使用と第三次世界大戦の危機 (2026/04/06) 4月1日(水)の記 霊石 ビジュル
ブラジルにて


さきの訪日の沖縄旅行では、相当な量の本を買ってしまった。
浜比嘉島の「本と商い ある日、」さんでは我ながらあきれるほどの量を…
締めは那覇の真打ち「ウララ」さんで、店主の宇田智子さんが見つけてくれた驚きの一冊から宇田さんの続々と刊行されている著書まで。

泣きたくなるほどの分量となって土産類の購入は断念、那覇空港でひーこらと国内旅行用キャリングケースに詰め込んだ。

さらにブラジルへの持ち帰り…
そのなかから今日は小原猛さん著『呪術奇談 霊石(ビジュル)』(竹書房怪談文庫)を読む。

小原さんは京都出身、沖縄に移住して怪談系の調査と執筆を専門としている。
短編集だが、いずれも事実に基づいている由。
これといったオチのない話が少なくなく、そこにかえってリアリティを感じてしまう。

タイトルの『霊石』にルビ打ちされた「ビジュル」の語。
なにやらポルトガル語っぽい響きだ。

それなりに推測してみる。
「内地」でいう「おびんずるさま」の変形ではないか?
どうやら、ビンゴ!

あの宇田智子さんをとりこにしたほど沖縄には県産本が多いが、この沖縄の怪談集は「全国区」の竹書房の文庫本。

山形通いをしていた頃に、黒木あるじさん著の『山形怪談』を買って読み耽ったが、これも竹書房だった。
はるか縄文時代にまでさかのぼれるかもしれない山形の奇習が書かれていて、わくわくしたものだ。

わが少年時代に読み耽った『少年マガジン』や『少年サンデー』の怪異特集の読み物を想い出す。

ワタクチの原点は、あのあたりにあるように想う。


4月2日(木)の記 小豆チャウダー
ブラジルにて


故人宅からいただいてきた小豆が少量ながら2種ある。
もうだいぶ年月が経っているだろう。

一昼夜、水に漬けて…
検索すると、蒸した方が早いというレシピあり。
蒸してみたが、茹でるより時間がかかる。

なかなか柔らかくならず、途中から茹でることにする。

半分以上は、甘く煮て。
蒸しをすすめる動画は、小豆チャウダーというレシピを紹介している。
これをこさえてみよう。

チャウダーというと、クラムチャウダーを想い出すが。
チャウダーとはなんぞやと問われると、はて。
牛乳を用いるスープのことか?

検索してみると、語源も諸説あり、かならずしも牛乳を使うということではないようだ。

わが家では、ベーコン、シメジ(ヒラタケ)、タマネギ、ニンジン、グリンピースといった、ありもので…
そして牛乳。
あと、小豆。

ふむ、悪くはないが…
家人は、小豆がもったいない、ぜんぶオシルコにした方がよかった、という意見。


4月3日(金)の記 今年のパッション
ブラジルにて


キリスト受難、いわゆるパッションの休日である。

土日を含めて3連休ということで、サンパウロ市内では一千数百万台の自動車が市内を離れて海岸地帯などに移動中、とのこと。

祖国日本とは違った意味で、中東戦争による石油危機と節約という意識がいまだこの国の政府にも市民にもリアルではないようだが…

午前中、冷凍食品店に明日の食材を買出しに。
今までこの店にこんなに客のいたことはなかった。
スーパーはどこもレジに長蛇の列。

クルマで遠出をする層もさることながら、市内にとどまる層も例年より多いような観あり。

今日は特にクリスチャンは肉食・暴飲暴食を避ける日。
夜は昨日買っておいた、シメジ、そしてパウミット(ヤシの芽)の餃子を焼く。
どっちがどっちだが、食べてみてもよくわからないけど。


4月4日(土)の記 せんキャベツのナゾ
ブラジルにて


トンカツをつくることになった。

まずは、せんキャベツの準備。

最近は、まるごとのキャベツをスライスして、せんキャベツを水洗いしてから水切りすることにしている。

「せんキャベツ」にはそれなりに想い出があり、まずは検索してみる。

え⁉
今のいままで「線キャベツ」だと思っていたが。

どうやら「キャベツの千切り」の略で「千切りキャベツ」が「千キャベツ」なったということらしい…

小学校の給食の献立表にも「せんキャベツ」とあったと記憶するが、「せん」がひらがなだったか漢字だったか…

「線状に切ったキャベツ」ということで「線キャベツ」だと思い込んでいたのだが。
検索したところでは、「線キャベツ」というのはまるでヒットせず。

オレだけが60年近く勘違いしていたのか?


4月5日(日)の記 チャリの天国と地獄
ブラジルにて


日本では4月1日から自転車をめぐる罰則が強化された由。
日本では歩行者として自転車に脅かされることの方が多い僕あたりには、むべなるかなと思う。

とはいえ、日本で今後、車道走行を義務付けられた自転車と自動車の事故が増えて死傷者も続出するのではないか。

ここで振り返るに、日本でもブラジルでも歩行者として自転車による被害に遭った人が少なくないのに気づく。
自動車事故より多いのでは。
ブラジルでは、知人のお連れ合いが自転車にぶつけられて亡くなっている。

して、日曜のサンパウロは「自転車天国」。
わが家の前の大通りは片側三車線だが、うち中央の一車線ずつをコーンで仕切って自転車専用となる。
いっぽう三車線の歩行者寄り一車線はバス停があり、路上駐車も多いので、自動車の走行は実質一車線になってしまう。

それに加えて日曜は自転車もジョギング走者もわがもの顔で信号無視、自動車専用車線も行き来するので、危険この上もない。

さらに加えて!
今日はイースターの祝日で、こちらの一族が集って昼食会となった。
ところがその会場となる一帯は、今日は自転車の行事で日中は車両進入禁止となってしまった。

まことに往生しました。

ちなみにサンパウロでは、自転車は日本のように生活上の足の延長というより、スポーツジムでの軽運動に近い感じ。
それをできる階層が優先されるのは、あまり愉快ではない。

日常の歩行者のための設備はなっていないのに。


4月6日(月)の記 芸術と鯨術
ブラジルにて


パンデミックのはじめにはじめて、そろそろまる六年!になる日毎のストリートアートを中心とするスマホ撮りとインスタ上げ。

今日は隣駅前近くの小径で、ともくろんでいた。
先日、通った時に片側が上塗りされて「グラフィティ作画予定」と書かれていた。
そろそろ新作が描かれていてもよさそうだ。

人がすれ違うのがやっとの細い道で、しかも途中で90度に折れていて、見通しが効かない。
地下鉄の駅・大通り側から行くと、その先にスラム地帯があり、そこそこの緊張感が伴なう。

上塗りされた側の新作はまだだったが、反対側に未撮影でそれなりに面白いものがある。

いったん通り過ぎてから、今日はこれにしようかと思ってUターンしようとするが…、

ちょうど小径の折れた角で、ヤバそうな若者が二人、立ち止まって何かをしている。
視線を向けるのもはばかられたが、ドラッグ系の受け渡しを思わせた。

とても戻ってスマホでグラフィティ撮り、というシチュエーションではない。

とにかく先に進んで、スラム方面へ…

このあたりはスラムの片側が開発されてマンション建設が進んでいる。
今日はまだ工事の行われている時間。

そんななか、こんな写真が撮れました。
https://www.instagram.com/p/DW9HTnrDRrg/

これと同じクジラが一頭、先ほどのヤバかったあたりの上塗りされた部分に描かれていたっけ。

この日毎の撮影もヤバいなと思ったことが何度かあったが、おかげさまでこれまでぶじでこれた。

ますます慎重を心がけよう。


4月7日(火)の記 核兵器使用と第三次世界大戦の危機
ブラジルにて


アメリカ合衆国大統領による「イランを一夜にして壊滅させる」というツイートの実行予告時間が、当地の夜に迫った。

恐ろしい。
ブラジルCNNのテレビ放送をかけ流しにしておく。

新聞スクラップからちょうどこんなのが出てきた。
https://www.facebook.com/photo/?fbid=10238669613573995&set=a.3410845544903 ¬if_id=1775570574291383¬if_t=feedback_reaction_generic&ref=notif
スマホ撮りして、フェイスブックとX:ツイッターにあげておく。

予告時間の直前になって、壊滅攻撃は「とりあえず」取り止めになった由。

とりあえずほっとするが、まだまだ予断は許さない。

「人類の進歩と調和」というのは、西暦1970年の大阪万博のうたい文句だったか。
人類に精神的な進歩があるようには思えなくなってきた。
後退どころか、かつてない破滅の道に踏み込もうとしている。


4月8日(水)の記 日本の市民の決起にエールを
ブラジルにて


日本時間の今晩、国会議事堂前をはじめ日本全国津々浦々で「高市やめろ」「憲法守れ」「戦争反対」を唱えるデモが行われた。

SNSで刻々と状況が伝わってくる。
折しも昨日、アメリカ軍によるイランへの核攻撃という最悪の事態はいったん避けられたばかり。

若い人たちがこれほど立ち上がったことは、うれしいサプライズだ。
先日の選挙での自民党圧勝で、祖国はもう絶望と滅亡に向かうばかりと思っていたが。
もっともっと、燃え上がってもらいたい。
日本にいたら、ぜひ参加したかったところ。

はからずも、今日は釈迦生誕の花まつりの日だ。
祖国からはそれについては伝わらず、ブラジル日系社会のニュースで東洋人街で恒例の花まつりの行事があったとの報に接す。

データによっては、日本は世界最多の仏教徒を有する国なのだが。
イエスの誕生祝とは、だいぶ趣が異なるな。


4月9日(木)の記 コリアンタウンの午後
ブラジルにて


午後、サンパウロのコリアンタウンに行ってみることにした。

コリアン系スーパーマーケットでキンパップ:コリアン巻きずし を夕食用に購入するのが主目的。

メトロのチラデンテス駅から地上にあがって…

オシャレなカフェが並ぶ。
おや、スペイン語表記の掲示された店がある。

このあたりはボリビアからのニューカマーが増えているが、その延長か。

そそるものがあるが、店内はおピンクのスイート系な感じ。

話のタネにはなるが、落ち着かなそう。

今日はいつものコリアンベーカリー系カフェにしておきましょう。


4月10日(金)の記 殯の熱帯雨林
ブラジルにて


今日は、昨日から始まったブラジル国際ドキュメンタリー映画祭の上映作品を見に行くつもりだった。

が、家族の知人の訃報と葬儀の知らせが入った。
遺体は火葬場兼墓地の葬儀会場に午後1時着、午後4時に出棺の予定だという。
場所は、サンパウロ市近郊。

公共機関ではどれだけ時間がかかるかわからず、タクシー等だとかなりの金額になる。
自動車で連れて行くことになった。
行きは、たっぷり2時間以上かかる…

しかも豪雨となり、有料バイパスの追越し車線が冠水しているのには参った。

僕は、故人もその家族も誰とも面識がない。

途中で、付近の庭園式墓地やチャペルを結ぶ海岸山脈の小径を小雨のなか、散策。
森は、いいなあ。

なにかジコりそうな予感もあったが、おかげさまでぶじ生還。


4月11日(土)の記 聖フィロメナの紐
ブラジルにて


SNSで、サントスのカトリック聖美術館のチャペルで今日、聖フィロメナに捧げるミサが行われると流れてきた。

この美術館は先回、行き漏らしていた。
行ってみる。

時間に余裕を持たせたつもりが。
海に下る街道が、渋滞。

ミサは、始まったところだった。
聖フィロメナについては、検索してもよくわからないことあり。

日本語にもなっているぐらい、世界で崇敬されていた聖人だが、西暦1961年になってヴァチカンは典礼暦から聖フィロメナの名を削除したという。
実在性が疑わしいという理由だそうだ。

なぜ、サントスでその聖フィロメナに捧げるミサがあらたにおこなわれるのか、それが知りたかった。

どうやら、このチャペルに聖フィロメナの像が寄贈されていたから、ということらしい。

「聖フィロメナの紐」というのをいただいた。
紅白の糸で編んである。
いろいろ言われているようだが、この紐には五つの結び目があり、願いごとがかなうと六つ目の結び目があらわれる、というのを聞いた。

ミサ後に、聖美術館を鑑賞。
民衆レベルのカトリックの聖像は、僕には日本の仏像よりおもしろい。


4月12日(日)の記 こどものためのミニドキュメンタリー映画祭
ブラジルにて


午後イチで、ブラジル国際ドキュメンタリー映画祭のセッションをひとつ見に行く。

今年からはじまった「こどものためのミニドキュメンタリー映画祭」という企画だ。
短編三本の上映。

最初の作品、ナイスだった。
キロンボ―ラと呼ばれる、かつての黒人奴隷らが征服者の農場から逃亡して築いたコミュニティの子どもたちと、リオのファヴェーラ:スラム街の子どもたちが「糸電話」でお互いの遊びや暮らしについて紹介し合うというもの。

そこに、差別や貧困といったくくりのない新鮮さ。

来場したのは、こうした意識高めな保護者に連れられた子供たちがほとんど。

とはいえ、広い会場はスカスカ気味だったが、よりによってこちらの座った関の真後ろに座った母子連れの少年の方がやたらにこちらの席にケリを入れてくる。

かたや、退屈してきた幼児たちが周囲を走り回る…

ま、子どものためだからな。

いずれにしても無料だし、こうした企画を実現した主催者の志に拍手。


4月13日(月)の記 ハシゴののぼりまちがい
ブラジルにて


昨日、ようやく開催中のブラジル国際ドキュメンタリー映画祭のプログラムを入手できた。
上映会場がいくつもあり、オンラインにあがっているのは実に把握しにくくて。

今日は2会場で1本ずつ見ることにする。

最初は『Missão 115』というブラジルの作品。
ブラジルの軍政時代に生じたリオセントロ爆破事件について、関係者の証言から探るもの。

昨年、日本で出版された橘生子さんの労作『1964年ブラジル・クーデタと民主体制の崩壊 冷戦期ラテンアメリカにおける軍政の誕生』を読んでいることから、これを見ておこうという気になった。
この映画の存在について、この本の著者の橘さんにお伝えすると、橘さんはこの本の終盤でこの事件についても言及していることを教えてくれた。

次いで、河岸を変えて、ブラジルの短編ドキュメンタリーのコンペを見に行くつもりが…
地下鉄を乗り継いで、そこそこ歩いて会場に到着すると。
上映作品は違うという。

きゃー、こっちのプログラムの見まちがいだった。
うー...
しかたがない、ここで上映される『Aposalipse Segundo Baby』という作品を鑑賞。
Babyというブラジルの女性ミュージシャンの歩みを紹介する作品。
恥ずかしながら、この人のことを知らなかった。


4月14日(火)の記 カトリックの優先事項
ブラジルにて


今日は夕方からドキュメンタリー映画を二本ハシゴ。
昨日の失敗に凝りて、よくプログラムをチェック。

最初の作品は、先週の金曜日に見に行くつもりが近郊での葬儀への参加で取りやめたもの。

アルゼンチンが舞台の『Mailin』。
同名の女性が、5歳の頃から家族と親しくして出入りするカトリックの神父の性暴力にさらされ続けていたことを告発した勇気ある作品だ。

その神父に同様の被害に遭ったことを告発する女性は120人以上にのぼるという。
カトリック教会上層部は告発者に他言を禁止したり、問題の神父を別の地域の未成年担当にするなどを行なった由。

カトリックは、新たに奇跡を起こしたとされる聖人を認定するために、相当な年月と労力を費やしていることが知られている。
そんなのはほどほどに、カトリックやキリストの権威のもとに性犯罪を繰り返す内部の輩の撲滅に努めてもらいたいものだ。

この作品でも、性被害のトラウマは世代を超えて伝わってしまうことがうかがえる。
沖縄での上映で、戦争のトラウマが世代を経ても伝わっているのでは、という話を聞いたのを想い出す。


4月15日(水)の記 今日の2セッション
ブラジルにて


日本から依頼をいただいていた原稿も、よくやくとりあえず終盤に向かい…

夕方からドキュメンタリー映画祭の2セッションを見ておくことにする。

最初の作品は、アマゾンの近代の遺跡を舞台とする。
ここは僕も水銀汚染問題の取材で訪ねたことがあり、日本の雑誌にも書いている。

これはとてもかなわない、といった作品ではなく、なんだかほっとする。

もうひとつは、ノーマークだった映像作家の回顧上映。
本人が来場したが、かっこいいと感じる女性だった。

「実験映画」「女性作家」でくくられる人で、国際的に評価されているようだ。
上映されたのは1980年代にスーパー8で撮影された短編5本。
人物の動きを、やたらにハイスピード:早回し で延々と見せる。

西暦1982年制作の映画『コヤニスカッツィ』を昨年見直して思ったのだが、この映画も早回しを多用している。

今の僕には、早回しで見せるということそのものが陳腐に思えるのだが。

質疑応答で、昨今のスマホでの撮影をどう思うか、といった質問。
スマホの撮影は、すべてセルフィーでしょ?と答えたかと。
なるほど。


4月16日(木)の記 神とスポーツ
ブラジルにて


ブラジルのドキュメンタリー映画祭、今日は夜のセッションに挑む。
家族の夕食を準備して。

今日の一本は『Em Nome do Jogo』、ブラジルの作品で「試合の名において」といった意味で、カトリックの祈りの言葉に引っ掛けたタイトル。

バイア州でのサッカーの試合で、選手やコーチたち、サポーターらがどのような「神頼み」をしているかを紹介する。

カトリックのみならず、ブラジルでも急増した福音派、そしてアフロ系宗教など、さまざま。
法衣の下に、ひいきチームのユニフォームを着ている神父とか。

ワールドカップのイタリア戦などの折に、修道服のシスターたちの激しい応援のさまが、おなじみネタとして紹介されるが…

スポーツの試合において、どちらのチームもそれぞれの神頼みをしていた場合、その勝敗は信仰の優劣でもあるのだろうか?


4月17日(金)の記 com binado
ブラジルにて


用事を抱き合わせて、午前中から東洋人街に出る。

...さあ、だいたい片付いた。

今日は午後に映画をいちセッション、見るつもりだが、それまで時間がある。
昼は外食としましょう。

ブラジルで一般的な金曜の魚定食をどこかで、と思うが。
…帯に短し、タスキに長し。

裏道にある、いかにも入りにくい中華料理屋にトライするか。
以前から気になっていた。
このあたりで日本から宗教ミッションに来ていた知人が日中に襲われて半殺しに遭っている。
要注意…

これといった看板もない店で、店内にはチャイニーズ系の若者が数人。
店側のチャイニーズ系女性は、同胞以外を接客する気がゼロ。

...空いているテーブルに座り、カウンターにメニューが置いてあるのを見つける。
おー、漢字オンリーか。
まあ、見当はつくけど。

おや、もうひとつ、ポルトガル語でも書かれているメニューがあった。

中華麵にするか、ビーフンにするか、飯ものか…
保存魚と豚の干し肉のご飯というのにしようか。

ポルトガル語で com binado とある。
com は英語の with.
binado という単語がわからない。

スマホで調べると、
・ミサを一日に二度たてること
・畑を二度、たがやすこと
とあるが、意味が取れない。

ま、頼んでみるか。
相当に時間がかかって…

大きな急須のような土鍋で炊いたものが出てきた。
それで時間がかかったのか。
輪切りにした魚を醤油漬けにしたらしいものの薄片と、中華風腸詰のコマ切れが乗せられている。
それだけ。
なにか野菜か漬物系も乗せるか、小鉢でほしいところ。
汁ものも。

ああ、そうか。
com binado とスペースがあったが、combinado:組み合わせた、というひとつの単語だったのだな。

飲み物はペットボトルの中国製アイスティーを自分で冷蔵庫から取り出して。

しめて55レアイス、他にして1700円といったところか。
日本の倍、といった観あり。
安くないです、今どきのブラジルはほとんどなにもかも。

はじめにクレジットカードは使えない、と言われていたので現金で支払い。

お釣りを投げてよこされるが…
故郷で、おじいちゃんあたりを日本兵に虐殺されている、と聞いているのかもしれない。

いんちき中国語で、おいしかったです、ありがとう、と言っておく。


4月18日(土)の記 短編ドキュメンタリー映画の学び
ブラジルにて


ブラジル国際ドキュメンタリー映画祭は明日まで。
今日の、いちセッションを見ておしまいにしようと思う。

ブラジルの短編5本立てを見ることに。
こうした短編で、ブラジル国内の思わぬ問題を知ることがしばしば。

『Tanaru』という短編が印象に残る。
西アマゾンのロンドニア州に設けられた先住民保護区の名前。

ここでは「穴のインディオ」と呼ばれる未接触部族で虐殺を逃れたわずかな生存者の存在が、1990年代まで知られていた。
その後におそらく絶滅してしまったとみられるが、その存在を記念して、さらに生態系を守るためにこの保護区が設けられた。

セッションは日没前に終了。
…この辺では土日は休みになるカフェが多い。
ちょっとお高そうなバー兼レストランでアルコール抜きに一服してみるか。
話のタネに。

手づくりハンバーガーにフライドポテト、缶の清涼飲料のセットをオーダー。
なかなかよろしいハンバーガー。
ゆったりさせてもらって、お値段は昨日のお愛想なしのチャイニーズ家庭料理屋より安かったぞ。


4月19日(日)の記 カマスのかまし方
ブラジルにて


先週の日曜、路上市の魚屋でカマスをすすめられて買った。
サシミで食べられる、とのことで。

悪くはないと思ったが、家人から「生臭い」との声が。
して、塩焼きにしてみたらこれがいたくおいしい。

カマスはめったに見ない。
ポルトガル語の名前を調べると、barracuda とあった。

店には別の名札があったように思う。
ブラジルの魚名は、地方や扱う人によって、まちまち。
わが居住区は日系人の多いところなので、売り子は日本人からカマスの名を覚えたのだろう。

おう、今日もあった。
キロで800円弱、ふつうに安い方かと。

午前中に戻れたので、少し干物にもしてみよう。
こちらの秋分も過ぎ、わが家の窓から直射日光の当たる時間は少ないが、風もあり午後にはだいぶ乾いた。

夜、干物と日に当てていない切り身の塩焼きを焼いて比較。
うーむ、甲乙つけがたい。

ちなみに店では bicuda の名前で売っていた。
これは、口のとがったもの、の意味。

カマス、いつまであるかな。
日本語で検索すると、カマスは皮が絶品の由。
つい今日も習慣で、店でさばいてもらう時に皮を取ってもらってしまったが。
サシミで食べることはもうないだろうから、次回は皮つきで。


4月20日(月)の記 されどアマゾン
ブラジルにて


水俣の作品の仕上げ、訪日やプライベートな事情等々でしばらく中断していた『千住博 南米流転』シリーズの編集再開に着手。

その体制に切り替えて、エンジンがかかるまでに時間がかかる。

あらためて撮影素材をチェックできるまでの段取りをすすめて…

思わぬ障害に気付く。
いやはや。

このシリーズは、編集していても大アマゾンやイグアスーのゆたかな音と光景にあらためて浸れるのが楽しみだったが…

そうは簡単に問屋がおろしてくれないようだ。
ほいほいとは、いかなそうだ…


4月21日(火)の記 火曜祝日
ブラジルにて


今日のブラジルは、独立運動の志士チラデンテスを記念しての祭日。

まあこちらは毎日が休日のようなものだが、それでも平日が休みとなるのは格別なり。

スクラップ用に分けてそのままになっている古新聞のかたまりを、少しだけ腑分け。
ポルトガル語のものはさらさらとは読みこなせないので、たまるばかり。

いまやブラジルに一紙だけ残る日刊の邦字新聞も、紙版の発行は一旦停止となってしまった。
新聞紙は台所の生ごみ袋に入れるなど、なかなか重宝なのだが。

僕の幼少時の祖国では、古新聞をトイレの紙に使用しているところもあったなあ。

遅々たる作業ながら、古新聞のスクラップ記事を読んでの知見は、自分の血肉になる感あり。


4月22日(水)の記 ディーゼルの臭いとピンクのコーヒー
ブラジルにて


午後から、パウリスタ地区に気になっていた映画を一本みにいく。
『Cheiro de diezel(ディーゼルの臭い)』というブラジルのドキュメンタリー。
ブラジルでのサッカーワールドカップ開催やオリンピックの開催の動きのなかで、軍隊が治安維持を理由に出動したリオのファヴェーラ:スラム街 の話。

サンパウロではさすがにファヴェーラに軍隊が乗り込んだというのは聞かない。
ちょうど日本の自衛隊の戦車が暴発して、三人の自衛隊員が殉職したというニュースに接したばかり。

リオのファヴェーラに軍隊が、といってもせいぜい装甲車ぐらいかと思っていたが、なんと戦車が何台も出動していた。
ファヴェーラに暮らし、自分はファヴェーラのジャーナリストだという女性を軸にする。
彼女がガザの人たちとの連帯を実際に行なっているのに、心を動かされる。

そろそろ夕方のラッシュが始まるが…
どこかでコーヒーブレイクが欲しい。
パウリスタ大通り沿いに、今まで気が付かなかったピンクトーンの小さなカフェがある。
思い切って入って、少し読みかけのものに目を通す。

ガラス越しに大通りを行きかう人を眺める。
…向こうからも、ピンクづくめの店にひとりたむろするこっちの存在は、さぞ異様だろうな。


4月23日(木)の記 プチ森さんぽ
ブラジルにて


再開した動画編集、はかばかしくすすまない。

撮影をしたのが西暦2008年。
当時のメモがないと…
それの発掘に手間取る。

午後から、外歩き。
メトロで二駅の、わずかながら森の残る公園まで行ってみる。

数日前に、ブラジルの新聞のスクラップ記事を読んで。
いわゆる森林浴の効用と、それが日本からもたらされたことに言及されていた。

まさに大都市のささやかなホットスポットといったところ。
敷地の境はフェンスがあり、ガードマンもいるので犯罪都市サンパウロではまずこれがありがたい。

平日の午後だが、今日は特にベンチに座って談笑する女性たちなど、市民が多い感じ。

「芝生を踏まないでください」という掲示があるものの、すでに芝生らしいものは見当たらないのも愛嬌。

ちょびっと歩いただけでも、なんだか爽快。

近くの天然酵母パンでパンを買って、イートインでアイスコーヒーを飲んで帰ろう。


4月24日(金)の記 イピランガ行
ブラジルにて


少し家内制手工業の動画編集をすすめてから…
思い切って、イピランガに行ってみることにする。

イピランガはブラジルの国家にもうたわれているブラジル独立記念の地。
が、今日の用件は俗なことで。

日本で買ったヨーロッパのメーカーの家電機器が故障。
調べてみるとこのメーカー、ブラジルに支店がない。
が、修理に応じる代理店らしきものがイピランガ地区にあるとわかった。

電話をした方が確実だが、あえて飛び込みで行ってみることにする。
未知のグラフィティにありつけそうだし。

バスと、歩きで…
見事にウエブサイトに表記された住所にはそれらしきものがなかった。
電話をかけてみると自動音声になっていて、とても町なかの「立ち話」では太刀打ちできないシステムだ。

さて、このあたりで外食をするか。
金曜の魚定食を、ゴースト代理店の住所の向かいの店でいただきます。

・ライムじだて
・エビソース
の二種あり、ライムの方が少し割安。
貧乏くさく、割安の方で。

うわ、魚フライにシンプルなスパゲティ添えか。
魚のソースがライム味か。

シンプルなスパゲティは飽きるな…
オーダー時に、ライムの方はスパゲティ添えですよ、と言ってくれてもよさそうなもの。

店を出て、外に置かれた掲示を見ると、ライムの方にはスパゲティ、エビの方にはライス添えの写真が添えてあった。

改装したイピランガ博物館ものぞきたいが…
入館は4時まで、また出直すか。


4月25日(土)の記 土曜のノイズ
ブラジルにて


…ようやく日本から担いできた「課題図書」三冊を読み終えた。
いずれもおいそれほいほいと読み流せる内容ではなく、時間がかかった。

最後に読み上げた本の書影を撮り、覚書をSNSにあげておく。

今日はビデオ編集はお休みにしよう。
なにか、柔らかいものが読みたい。
マンガではなくて。

『小説 ノイズ』にするか。
著者の黒木あるじさんには現地で買った『山形怪談』で注目していた。
これも、たしか山形で購入。
おや、映画のノベライズ版だった。

映画は廣木隆一監督だったのか。
廣木さんとはブラジルのミナスジェライス州の映画祭でご一緒している。

冒頭から強烈である。
まず映画化はむずかしそうな描写。
このあたりがノベライズ版ならではの「特典」だろうか。

読み始めたら、やめられない。

書店でつけてくれたカバーを外して…
おや、この文庫本、カバーが少し短くて、本体が見えているぞ。
このカバーは映画公開に合わせて作成したものらしく、これの下に「本来」のカバーがあった。

かつてもこんなのはあったが、いまでもあるのか。

この『ノイズ』、原作はコミックだと知る。
映画とノベライズ版は島が舞台だったが、原作は愛知県が舞台とな。

映画も見てみたいが、内容的に飛行機ではむずかしいかも。
カバーにあるキャッチコピーは「殺した。埋めた。バレたら終わり。」


4月26日(日)の記 アジ三昧
ブラジルにて


♪日曜の路上市に行ったら...

おー、もうカマスはないか。
アジをすすめられる。
1キロほどのやや小ぶりなのを買う。
小ブリでもアジとは。

まずマリネにしたい。
色的にも味的にも赤と黄色のパプリカが欲しい。
手頃の値段のが買えた。

昼はマリネで、夜はナメロウとお刺身で。
いずれもおいしくいただけました。

今日はもう一冊残っていて読みかけだった黒木あるじさんの『春のたましい 神祓いの記』(光文社)を最初からイッキ読み。

パンデミックで伝統的なマツリが途絶えてしまったために生じる日本各地での怪現象に対峙する連作。
『山形怪談』の黒木さんだけに、東北を舞台とした話のリアリティと余韻の深さは格別。

黒木作品を知ることになった山形で、気になっているもののアクセスの問題で行けていない霊地があるのを想い出す。
歩けるうちに、行っておきたいな。

それまで、祖国は持つだろうか。


4月27日(月)の記 悼ー集成ー
ブラジルにて


世のペーパーレス、ブックレス時代に逆行するばかり。
日本で購入・入手して、荷物の重量制限からブラジルに持ち帰れていないものは日本の実家に保管。
こちらにようやく持参したものの、置く場所に往生してスーツケースの中に入れたままのものも少なくない。

そんな一冊を取り出して…
陶芸家の関谷興仁さんの作品集『悼ー集成ー』。
日本の友人からいただいたのだが、美術館の目録の体裁で、しかるべき体積と重量がある。

関谷興仁さんの個人ミュージアムである益子の朝露館についてもこの友人から聞き、彼がミニコミに寄稿したものも読んでいたのだが。
当時の僕は日本のさるアーチストとのお付き合いにどっぷり浸っていて、残念ながら関谷さんに食指を動かさないでいた。

あらためて、関谷興仁さん、そして朝露館の存在のすごさをかいまみる。
特に美術の専門教育も受けず、40歳を過ぎてから、個人でここまでやった!

わが最新作で紹介した、水俣のあの遺跡の線刻を考えるうえでのヒントにもなりそうだ。
これはぜひ、現物を見学したいものだ。

水俣のあの線刻については、沖縄県立美術館で見たアール・ブリュット展が三区になるのでは、と先日ひらめいた。
これもフンパツして目録を買って持参してきてよかった。


4月28日(火)の記 ちびっこ宣教師
ブラジルにて


午後から気になるブラジルのドキュメンタリー映画を見に行くことにする。

『A voz de Deus』、邦訳すれば「神の声」。
Miguel Antunes Ramos監督、西暦2025年製作。

ブラジルの「ちびっこ説教大会」で脚光を浴びたふたりの少年のその後を、青年期まで紹介。
いずれも7歳ぐらいで頭角をあらわして、その方面では全国的に有名になったようだ。

ふたりともキリスト教福音派の家庭の生まれ。
暮らし向きや父親の職業からすると、ブラジルの中産階級のやや下の方、といった経済環境で育っている。

僕あたりにはきちんと聞き取れないが、それぞれ独自の口調と身振りで熱く「福音」を説いていく。
DVD等の売り上げも相当なものだったようだ。

日常として映し出されるのは彼女とのイチャイチャやゲームに興じたり、ヘヤースタイルや衣装にこだわったり、といったシーン。
聖書や神学書を読みふけったり、ひたすら祈る、といったシーンはなかったように思う。

日本でいえば…
ちびっこ歌手や有名子役は思い浮かぶが、宗教系で活躍する少年少女というのは、現代では思い浮かばない。

カトリックでもミサで説教するのは司祭:神父に限られるし、それになるには何年も要するので早くても20代後半だ。

教祖のイエス・キリストのことを想う。
新約聖書の四つの福音書で少年時代のイエスについて言及しているのは「ルカによる福音書」のみで、イエスが12歳の時に神殿で教師たちの話を聞いたり質問をしたりしておられた、とある。

すくなくとも、少年時代のイエスが説教までしていたことは書かれていない。

ふたたび、ちびっこ宣教師のことを想う。
ちびっこ歌手の歌声に感動するオトナは少なくないだろう。
それに近いものがあるのかもしれない。

映画でフォローされた少年二人の「いま」は、そこそこに歩んでいる、といった感じである。
さらに大成したようでも、落ちぶれたりグレたり、という感じでもない。

いろいろ考えるヒントをもらった。


4月29日(水)の記 水のクロノロジー
ブラジルにて


午後から思い切って映画を一本みにいくことにする。

英題『The Chronology of Water』、Kristen Stewart監督、2025年制作。
実父の性暴力にさらされた女性が、トラウマ克服に水泳に励むといった話、とポルトガル語の解説をななめ読みして受けとめた。

重いテーマだが、こうした性暴力の問題は経済的貧困とは無関係にブラジルでも日本でも生じていることだ。

それをどのように劇映画で描くのだろう?

これは意外な展開だった。
映画は同名の自伝をもとにしている。
主人公の女性は親元を離れた大学でハチャメチャな生活を送りながら文学に目覚めて、自分の体験を文章化して脚光を浴びていく...

性暴力の被害者でこうした展開を遂げる人は、ごくわずかではなかろうか。

ちなみにこの映画、日本では未知の作品のようだ。

映画館そのものも周辺地域もリスクのあるところだったが、ぶじに帰宅できました。


4月30日(木)の記 チャイナからウイーンへ
ブラジルにて


いささかのたうち回りながら作業をすすめていた『千住博 南米流転』シリーズ最新作の編集も峠を越えた、と思う。

午後から用事を抱き合わせて東洋人街へ。
メトロのサンジョアキン駅は、新線工事のため、上のアヴェニーダ(大通り)まで通行止めにしていた。
知らないで入ってきた車の東洋系のおばちゃんがぎゃーぎゃーと暴走したり、あぶな。

明日はメイデーで国の祭日、金曜なので多くの市民は三連休となる。
家族への慰労でケーキを買うつもり。

わが家の近くの店でと思ったが、リベルダージでワレモノの買いものをしたので、帰宅後にまた出るのもメンドクサイ。

まだ買ったことのないチャイニーズ経営のケーキ屋が東洋人街の外れにあるのを想い出した。
カフェテリアにもなっているので、いっぷくにもちょうどいい。

コーヒーは...
値段表をにらんで、chantili入りのを頼んでみる。
chantili は生クリームだと思うが、検索してみる。
英語だと、Whipped cream か。
これを入れたコーヒーは、日本で何というのだろう。
生クリーム入りコーヒーか?

検索。
ウインナ・コーヒーか、なるほど。
ふむ、これも「ウイーン風」の意味だが、和製英語だとウイキで知る。

このお店では受け皿にコーヒーがこぼれるほど生クリームを入れてきた。
お味は悪くはない。

ケーキの方は、家人に言わせると生クリームは日系のケーキ屋の方がおいしい、とのこと。
ワタクチには区別がつかないのだが。


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