薬草ゼリーの販売: 浅村 龍彦さん (2003/04/10)
| 氏名 | 浅村 龍彦 | 住所 | サンパウロ州 サンパウロ市 | 職業 | 薬草ゼリーの販売 | 生年月日 | 1947年 | 出身地 | | 渡伯年月日 | 1953年 |
2001年11月
※何歳の頃ブラジルに来られたのですか?
両親が北京で日本人学校の先生をやっていまして、姉は北京で生まれました。その後両親が日本に帰ったので私は日本生まれです。日本に6歳の時までいて、43日かけてパナマ運河経由で53年にこちらにきました。 こちらに来て48年ですから、もうブラジル人ですよ。ははは。
※その頃の記憶はありますか?
ありますよ。甲板で遊んでいて、風に飛ばされそうになったんですが、船員さんに助けられた思い出なんかね。船のお風呂に入って焼けどしたことなんかよく覚えています。
※言葉なんかは日本語とブラジル語はどっちが得意ですか。
やっぱり、ポルトガル語です。基礎は大学まで全部ブラジルの学校でしたから。日本語といっても母親の日本語の教室で小学校5年生までしか習っていないものですから、いざとなると全然ダメですね。
※話した感じは日本人の日本語ですよね。
こちらに来ている人には違和感が全然ないと言われるんですけど、日本に行ったとき、すぐあなたは外人ですね、っていわれたんですよ。口を開いたとたんアクセントとか、なんか違うんでしょうね。さすがに日本にいちゃうとすぐばれちゃうんです。
※ご自分としてはブラジル人あるいは日本人、どちらのアイデンティティがあるわけですか?
やっぱり自分のアインデンティティとしては日本人だと思うんですよ。でも日本の人たちと接してみると結構これは間違っているなっというのを強く感じます。幸せにもブラジル系と日系の二つの会社にはいりまして、ひとつはブラジルの航空会社ヴァリグに24年、もうひとつはKDDで6年働きました。
※日本の会社のいいところと、ブラジルの会社のいいところとか感じますか?
特に日本の会社は、いかにきちんと調査して真剣にやっているかがわかるわけです。ところがヴァリグの場合はやってみたらどうにかなるだろう、という感じが非常に強いんですね。そういう点で大きな差がありますね。
※どっちが働き易いですか?
そうですね、上司次第じゃないかと思うんですね。会社としてはヴァリグは非常にいい雰囲気だったんですが、どんどん雰囲気が変わっていって、最後の方はこれじゃー、ってクビをかしげることが随分あったんですけど、その点KDDの木元さんという元社長は本当に素晴らしい人で、私の知っている日本人は全然違った印象がありました。腰の低い柔らかい人で本当に素晴らしい人でした。 去年の8月に53歳になりまして、30年仕事したということで早期停年の依頼をして会社をやめました。ブラジルは35年働いたら停年なんですが、政府はお金がなくなってくるから、自分がもらいはじめるころには憲法とかがどんどん変わる可能性があるんです。おとどしは年金のお金が20%カットされ、もう4年たつとさらに20%カットするという話があるので、今のうちに退職して年金をもらう方が確実なんです。それで、さっさと退職しました。
※でもKDDではいい役職についていたわけですよね。未練はなかったですか?
なかったですね。今まで、航空会社でリストラにあったときには、ちょうどKDDで私のような人間が必要だということで話がトントン拍子にすすんで働くようになったんです。
※日本ではリストラにあって、クビをつったりする人もいますがブラジルではそんなことはないですか?
ブラジルではないと言えるでしょう。ブラジル人はなんでもある程度できますから。これしかできないと言う人はまずいないでしょうね。日本の自殺したなんていう話を聞いたりすると非常にびっくりします。
※KDDを辞めるにあたって、何をやるかということを決めていたわけですか?
そうですね、7割程度は。妹がゼリーを開発して販売する人が必要だということを知っていましたから。それで、やってもいいかなっていう気持ちがありました。辞めるにあたって、木元さんから「あなたが希望するならどこでも働くところは紹介できるから」って言われたんですけど、やっぱり日本人の中で働こうっていう気がしないですよね。昔からヴァリグにいるときも、日航から働かないかっていう相談があったんですけど、私の日本人のイメージというのは非常に堅苦しいイメージがあって嫌だったんですよね。KDDではそんなことはありませんでしたが、他のところはそんな感じではないかなと思ったのでやっぱり遠慮しました。
※今はどういう仕事をしているんですか。
妹が、グループ・ウートラというブラジルでは結構大きな会社に働いていまして、辞めて自分で新しいものを開発したりしているんです。というのは彼女は化学関係の人間なんです。自分の持っている知識を利用して新しい何かを作りたいということで約2年間、マルチナショナルの薬剤師と、ベオドウオールという伝統的な薬局で働いていた技術マネージャーと組んで開発したのが薬草を使ったゼリーなんです。このゼリーを身体に塗ると痛みが柔らぐんです。そういうものを開発したわけです。開発したはいいが今度は誰が販売するかということになってやっぱり是非そういう人が必要だと言っていましたから私がやろうということになったんです。
※新しいものは、なかなか受け入れてもらえないんではないですか?
ブラジルだったら案外できるのではないでしょうか。もちろん何も知らないでそういう仕事はできないので山の中で二ヶ月閉じこもって薬草というものを学んだわけです。山といっても熱帯魚を飼育販売している友達のところなんですが、ここで彼が雇っているジルソンという非日系人が薬草のことについて非常に詳しいんです。彼に指導をお願いしたんです。山の中での生活にも昔から憧れていたもんですから。
※瞑想なんかもしたわけですか?
そこまでいかないですけど、自然と瞑想しちゃうと思うんですよ。家のすぐそばに海岸山脈があるわけです。朝なんか早くおきてみると、刻々と山の表情が変わるわけです。鳥が鳴いたり、そんなのを見ていると、自然に瞑想に入るんじゃないかと思います。自分も絵を描くのが嫌いじゃないんですが、あそこにいると描いてみたいなー、って知らず知らずに絵なんか描いちゃったですよね。 自分自身をもう少し第三者の目から見たいなという気持ちは昔からあったんです。
※何かわかりました。
いやー、分からなかったです、でも何回もそこに戻りたいなー、と思います。
※そういう経験が今の仕事に役立っていますか?
もちろん。薬草っていうものがこういうもんかっていうことが分かったんです。
※どういうものにこのゼリーは利くのですか?
身体の痛みを和らげるということで、神経痛とかリュウマチ、静脈瘤などの問題を持っている方が肌に塗ると、ゼリーが浸透して、血管をひきしめて血行を促進して痛みを和らげる働きがあるんです。苦しみのない1日、楽しい1日を送っていただこうということで勧めています。2月から販売しているんですが、お客さんたちが気にってくれて、自分ながらうれしいです。
※でも、前もらっていた給料を考えると大変でしょう。
ええ、今は給料ないですよ。売ったゼリーのコミッソンですから。かかる費用ぐらいのもんですが、家内も働いているし、娘も働いていますから自分の我侭をとうせるわけです。 私の計画では3年です。
※ダメならやめちゃおうと。勝算はあるわけですか。
だします! もう芽はでます。最初からゼリーといものがどういうものかということを分かっていますし、これはいいものだと自分も信じています。お客さんの反応も得ているんで芽は出始めています。3年たったらこの会社を軌道に乗せられると思っています。 姉がドイツに住んでいますから海外でも売ろうと考えています。また相撲協会の人なんかが日本に持っていって試していますから、本格的に日本にも出そうと思っています。
※違った人間付き合いができたんではないですか?
そうですね。例えば今まではヴァリグのとかKDDの人間っていえばどこに行っても通してくれましたが、今度は自分の力で入らなければなりませんからね。お客さんも今までとは全然関係ないような人が多いんですが、でもやっぱり自分の好きな道を行くということは雰囲気が出ると思うんです。後悔はまったくしていません。今もこの仕事をしていることは嬉しくてしょうがないです。
※今の日本の若者に対して何かありますか?
こんなことをいったら生意気かもしれないけど、戦後の日本を立ち上げた人達はどんどん年老いて停年になっているわけですよね。若い人たちが仕事をする段階になっているんですが、もう少し日本というものに自信を持って、日本人ということに誇りを持ってやってもらいたいなと思います。 ある日本の方から、「もったいない」ということが分からない世代になってきた、という話を聞いて寂しいなと思ったんです。やはり何でももったいないという気持ちがあるということはそれだけ、人間にしろ、品物にしろ、大切にしよう、という気持ちがあるからだと思うんですよ。あまりにも贅沢な生活をしているとそういうもったいないという気持ちがなくなって、なんでも、ああ、次に買えばいいんだ、という気持ちが強すぎるんじゃないかと思います。 また、流行に入りすぎて、外来語を使いすぎていると思います。もう少し日本語であるものは日本語を使って欲しいなという気持ちがあります。
※今後どういうことをやっていきたいですか?
今後、画廊をやっていきたいですね。以前パウリスタ画廊をやっていたホウさんのようなことをやりたいです。妹の旦那さんが非日系人の判事さんなんです。彼は絵が非常に好きで、持っている絵は500点以上だと思います。彼とそういうことをやったらいいんじゃないかな、と思います。ただし、絵の売買だけじゃなくて、皆さんが集まって楽しいところですね。ホウさんはその点非常に上手でカラオケなんかもやっていたしね。そういうことをやったらいいんじゃないかなと思います。絵の趣味が無い人でも、今日はあそこに飲みに行こうかっていうような軽い気持ちで行けるようなところを作りたいなと思います。
※浅村さんはいつもニコニコされていますが、そういう風にするようにしているわけですか?
性格でしょうね。ホウさんもそうですけどいつもニコニコしていると見ていても嬉しくなるわけですよね。こっちがしかめつらするよりは嬉しがってくれると思いますしね。
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