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     サービス業関係  (最終更新日 : 2003/04/11)
フリー・フォト・ルポライター: 楮佐古 晶章さん

フリー・フォト・ルポライター: 楮佐古 晶章さん (2003/04/11)
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氏名楮佐古 晶章(かじさこ あきのり)
住所サンパウロ州 サンパウロ市
職業フリー・フォト・ルポライター
生年月日1963年
出身地高知県
渡伯年月日1991年


2000年12月

※まず簡単に自己紹介してもらえますか?
 
 小さい頃、四万十川の下流の中村という町に住んでいました。だから四万十川は僕にとって母なる川なんです。アマゾンに初めて行ったとき、四万十川の水と同じ匂いなんで、びっくりしました。
 もともと南米にこようと思ったのは、「インディオが俺が呼んでいる」と自分で勝手に思い込んだからです。何故か知らないですけど、当時、赤いバックにペルーのインディオのイメージが頭に浮かんで離れなかったんです。それで初めての海外旅行で、ペルー、ブラジル、パラグアイ、ボリビアを周りました。辞書を片手にカタコトのスペイン語しか話せなかったんですけど楽しかったですね。その旅行がきっけになり91年に開発青年として渡伯し、そのままいついちゃった形です。

※開発青年では何をしていたんですか?
 
 僕は3年間けっこう好き勝手なことをやらせてもらいラッキーでした。1年工業移住者協会というところで事務をやりまして、2年目に日本テレビの特派員の助手、3年目に「オーパ」という邦字の雑誌で働きました。

※「オーパ」は潰れましたよね

 ええ、そうです。今は「ブンバ」という雑誌となって残っています。

※今は「ブンバ」では仕事はしていないのですか?
 
 していません。99年に「ブンバ」を辞めてフリーになりました。

※雑誌社ではどんな仕事をされていたんですか?
 
 写真が中心なのですが、人数が少なかったですから編集からはじめて書くことも何でもですね。ブラジルの観光地はほぼ取材で回りました。

※とくに思い出の場所はありますか?

 やっぱりアマゾンが良かったですね。インディオ部落に入ったんですけど、そのときここだったら住んでもいいなと思いました。本当に水があったという感じでした。

※インディオの男は何もしないといいますが本当に何もしないんですか?

 僕の行った所は、みんな服も着ているし、いわゆるカボクロ(インディオと白人との混血)いった感じの人々とほぼ同じような生活をしていました。そういう人たちは何もしないということはないようですね。ちゃんと狩りにいったりしていましたし。ただまだ一夫多婦制は許されているようでした。

※違和感はなかったですか?

 なかったですね。一緒に行った友人は、自分はこんなところに住めないといっていました。自分にはぴったりなところだと思いました。

※去年高知で写真の個展をされましたよね。そのあたりをちょっと聞かせてもらえますか?

 たまたま高知新聞の方がブラジルに取材に来られて、僕のHP見てくれたんです。それで結構写真を気にいってくれて、高知に帰るんだったら、是非個展をやりましょう、って言ってくれたんです。個展の場所などを手配してくれて随分協力していただき現実にいたったわけです。
 やった場所は小さなライブハウスで、ほとんど写真を貼る場所もないようなところだったんですが、すべて張り終えると、僕の写真に凄くマッチして、「ここでやってよかった」と思いました。そのライブハウスを中心に活動されている方々が共感できるような人ばかりで、新しい出会いもでき今回の個展は非常に満足しております。
 この個展をやって一番うれしかったことは親が喜んでくれたことです。高知新聞にも載せていただいたので、親はすっかり喜んじゃって「息子もちゃんとやっているんだな」と安心したようです。親不孝ばかりしてきましたから、やっと親孝行できた感じです。

※毎日会場にいて挨拶なんかもしていたんですか?

 あれが嫌でしたね。だって恥ずかしいじゃないですか。

※自分の裸を見れらているような感じですか。
 
 そうですね。写真をさーっと見てすぐ帰られるのも、妙に嫌だし、逆に、じっくり見られるのもなんか落ち着かないし・・・。今回やった僕の作品は、本当は個展なんかには向かない写真だと思っています。HPや本で一人で見るものだと自分では思っています。

※どういった感じの写真なんですか。

 僕の普段の生活の中で撮った写真で、それに感じたことや体験したことを数行の文章をつけたものなんです。

※ちょっと暗い感じの写真が多いですが、性格的にはどうなんですか?

 自分では性格は暗いと思ったことは一度もありませんが、人には暗いっていわれますから暗いんでしょうね。この写真を掲載したHPを見てときどき日本から見知らぬ人からメールが来るんですが、僕のことを凄いダンディな孤独な人間と思われる人が多いようですね。ははは。多分そういう人は僕にあったらがっかりするでしょうね。

※そんなことはないでしょうけど。写真の被写体は人物が多いんですか。

 そうですね。

※今後の抱負は?

 今やっているHPを写真集にすることです。

※白黒で撮るということは何かこだわりがあるんですか?

 別に深いこだわりはないんですが自分に一番あっているような気がします。

※このままブラジルにいるつもりですか?

 別に住むのはどこでもいいですね。コロンビアあたりに住みたいな、と思いますが今こちらにいろいろしがらみがあってできませんが・・・

※なぜコロンビアなんですか?

 女性がきれいだし、町を歩いているとヒリヒリしますよね。

※生きているっていう感じですか?
 
 そういうのを生きているっていうのかもしれませんが、日本に帰るとまったくヒリヒリがないんですよね。いつもカメラを持っていますからサンパウロだと四方に気を配っていますが、日本に帰ると何もそういう危険感がないんで、逆に心配なっちゃうんです。物足りない感じですね。もっとも東京は結構危ないんでしょうけど。
 
※危ないような場所も歩いているんですか?

 ごちゃごちゃした場所を歩くのは好きです。
 あんまり悲惨な写真はできるだけ撮らないように最近はしています。確かに撮りたいという気持ちはありますが・・・。撮るのは確かに難しいし、もし自分が撮られたら嫌ですし。例えば路上生活者がガツガツ飯を食べているところなんか。もし僕が撮られる立場だったらたら怒るだろうし。ただ、習慣や意識が違いますから、相手は何も気にしていない場合もあります。むしろ場合によっては撮ってくれ、という時もあります。その辺が難しいですね。今は、少しでも見る人に何かを感じてもらえるような写真を撮っていきたいです。

※最後に今の日本の若者にメッセージみたいなものがあったら言ってください。

 非常に難しいですね。というのは僕は自分勝手な人間なので自分のことしか考えていませんから・・・。とにかく自分なりの生きかたをして欲しいですね。殺伐としたものではなく暖かい生きかたをして欲しいな、と思います。それは自分も目指しています。


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