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     サービス業関係  (最終更新日 : 2003/04/11)
邦字新聞記者: 松本 浩治さん

邦字新聞記者: 松本 浩治さん (2003/04/11)
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氏名松本 浩治
住所サンパウロ州 サンパウロ市
職業邦字新聞記者
生年月日1966年
出身地大阪府
渡伯年月日1992年


2001年10月

※ブラジルに来た動機はなんだったでしょうか?

 インターナショナルプレスという出稼ぎの新聞がありまして、その写真コンクールに長野の日系の人たちに勧められて、遊び半分で応募したんです。それがどういうわけか、入賞しましてその切符がブラジルの往復の切符だったんです。これれが最初です。

※初めてブラジルに来たときの印象はどうでしたか?

日本の普通の人が思っているように、ブラジルではその辺にワニがおって、ジャングルがあるとか思っていたんですが、サンパウロ着いたときに結構都会やと感じました。特に、あのとき印象に残ったのは、アルコール車からでる排ガスの臭い匂いです。

※日本ではどいうことをやっていたんですか?

大学を卒業してから転々としました。例えば、普通のサラリーマンを1年やったりとか、運送会社で働いたりとかしていたんです。学生のときに知り合ったカメラマンに感化されて、自分も写真をやってみたいと思って写真学校にもいったりしました。その後、何年間かフォトスタジオでアシスンタントなんかもやったりしました。

※職業を転々としたのは何か理由があったんでしょうか?

 自分のやりたい「これや」という仕事がそのときはなかったんでしょうね。で、卒業して1年目に自動販売機の営業の会社にも行ったんです。何年か続けないかんというのもあるのでしょうけど、ちょっと自分にはむいてないわ、ということで学生時代からやっていた運送会社に行ったんです。身体を使っての仕事は嫌いじゃなかったんで、1年くらいやってたんですが、先ほど話した学生時代に会ったカメラマンが忘れられなくて、自分もカメラを武器にして世界に出てやろうと、そういう甘い考えを持ち始めたんです。その頃24、25歳位になっていたんですが、できるところまでやってみようということで思い切ってやりはじめたということなんですけど。まあ、まさかブラジルまで来るとは思ってもみなかったです。

※うつうつとした時代が続いていたわけですか?

 そうですね。いずれは世界を周りたいと短絡的に思っていましたが、日本のせかせかした毎日に追われている生活のなかでは、いつできるのかというあせりみたいなものはありました。

※新聞社に入るきっかけどうだったんですか?

92年に来て3ヶ月ブラジルを周ってきたんですが、サンシルベステ・マラソン大会で邦字新聞の日系カメラマンに会ったんです。そのとき「日伯新聞に一度来て見たらどうか」と誘われまして、ちょっと興味もあったので、見学させてもらったんです。記者としてやってみないかといわれて、「まあ、やろか」ということになったんです。今考えてみると、「よう、そんなので決めたなー」という感じですが・・・。

※日本ではそういう関係の仕事の経験はなかったんですか?

まったく経験はなかったですね。未だにそうですけど子供の頃から作文を書くのが凄い苦手でしたから、まさか記事を書くなんてことは思いもよりませんでしたね。

※取材は主に日系社会ですよね?

そうです。ほとんど日系コロニアですね。

※日系社会の取材をするにあたっての苦労はどんなことですか?

私の働いているサンパウロ新聞にしろ、ニッケイ新聞にしろ読者層がどんどん減っていますからね。まあ、日本語を読める人が少ないというのが大変なんです。取材する範囲が凄く決められていて、ネタを探すんが大変で常にあちこちアンテナをはっておかないとネタが取れないというのがきついいうたらきついですね。
お年よりと話をして昔の移民当時に苦労した入植話を聞いたりして、記事にして喜んでもらえたときというのは凄くうれしいですけどね。話を聞いて取材するというのは、結構好きなんです。取材というよりは人の話を聞いて、歴史を聞くということが、この仕事を通じて面白いなと思い始めてきました。

※ブラジルで取材やってての楽しみはなにですか?

日本で記者をしたことがないので分からないですけど、日本の大手紙だと読者の声というのはなかなか反映されるというのはないと思うんです。こっちは、苦情も含めてしょっちゅう電話がかかってきてそういう声が直接聞けるというのがコロニアならではという感じですね。

※日伯新聞からサンパウロ新聞に移られたんですよね?

 そうです。98年に日伯新聞がパウリスタ新聞に合併し、ニッケイ新聞になって3ヶ月ほど働いたんですけど、やっぱりいろいろうまくいかないところが出てきたんです。それで、サンパウロ新聞に移ったら、という人の声もありまして、移ったわけです。

※ほぼ8年記者をやってきたわけですよね。松本さんが思う日系コロニアというのはどんな感じですか?

 そうですねー。ひとつは、日本にいるときは、こういう社会があるということがほとんど教えられなかったですからね。日本人がいるやろう、ということは知っていましたが、国策で移民を送り出したということは知りませんでした。それを考えるとみんなさんの苦労を凄く感じます。
一方で今取材してて、なんで日系社会はこんなにまとまらへんのだろうか、って思います。例えば、ええ意味でもうちょっとまとまってもええんじゃないかと思います。各人取材していると大変素晴らしい方がようけいてるわけですよ。例えば農業面にしても、他の分野にしても凄く優れている人が多いんですけど、ただ、いまひとつ日系社会というのはまとまりが悪いですね。80年半ばから出稼ぎブームなどがあって空洞化しているといわれますが、個人的に素晴らしい人が多いので、もうちょっと華僑やユダヤ人のようにうまくまとまってもいいんじゃないかと思います。特にサンパウロではつながりも弱くなっていまして、指導者がいなくなってきたというのもあるでしょうが、みなさん、足のひっぱりあいというのではなく、もうちょっと前向きに考えていってもええんとちゃうかな、と思っています。紙面にもそういうのを反映させたいというのが常にあるんです。だからしょうもない叩き記事というのは、載せないようにしています、たまにはどうしても載せなければならないこともあるわけですけど。
今、日系三世、四世の時代になってどんどん日系コロニア離れが進んでいるんですよ。県人会や、日系団体の方々は、若い奴がこないと言っていますが、それでは若い人が来る工夫をしているかといえば全然していないんです。そういう努力が少ないです。三世、四世が何を求めているか、をもっと知っていかないかんと思います。その一方で、最近では日系団体がまとまって、前向きの方向に持っていかないかんという雰囲気も出つつあるんですよ。そういうところも取材して盛り上げていきたいです。
そういう意味においても僕らの新聞の役割は盛り上げていくのがひとつと、おかしいことはおかしいというのひとつ、と思っています。

※日系社会というのは松本さんにとっては何ですか?

最近ここに腰をおちつけようという気持ちになってきまして、特に自分らの社会や、っていう気持ちがどんどん強くなっています。前は2、3年の腰掛け気分で、ブラジルをちょっと勉強させてもらって日本に帰るという気持ちがあったんです。今、ブラジルに住むという気持ちになって見方も変わってきたように思います。自分らの社会だからよくしていきたいですね。僕は日系社会があったから定着する気持ちになった気がします。

※定着しようと思ったきっかけは?

やっぱり結婚したことかな。うちの嫁はんの方がこっちにいたいという気があるし、自分でも30半ばになってこっちの方が面白いと言う気持ちがだんだん出てきましたし。

※お嫁さんは日本人ですか?

茨城出身の一世です。嫁はんももとパウリスタ新聞の記者をやっていました。

※今の日本の若者に対して何か。

はっきり言って、アメリカに骨抜きになっているっていう感じはあるかもわからんけど、みんな純粋でがんばっている人はいるんだし、僕らもその時代そうやっていわれてましたから僕らのような進行形の人間がアドバイスをするというようなたいそうなことはいえませんが・・・。
僕もそうだったんですが、ブラジルにはたくさんいいとこがありますから、来てもらって知って欲しいですね。今それができる時代になってきているし、若い人たちは積極的になってると思います。離れてみれば分かることというのもありますから、若い人にどんどん世界に出てもらって、日本のええ部分と悪い部分をみてもらいたいです。

※ブラジルに来てよかったですか?

良かったですね。例えば日本であのまま腐ったままおったら、まだずっと腐ったままおるんじゃないかなーという気がせんでもないですね。

※今後どういうことをしていきたいですか?

先行きというのはそんなに確実なビジョンがあるわけではないのですが、日系人の人たちはええ表情をされるんで、そういう人たちにカメラを向けていきたいですね。7年後の100周年を目指して、ひとつの形ができればなあ、と考えています。ブラジル各地に住んでいる日系人に焦点をあてて、ひとつの記録を残していきたいです。それは新聞社としても個人としてもやりたいと思っています。

松本氏のホームページ「マツモトコウジ写真館」
http://www.100nen.com.br/matsumoto/


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