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     サービス業関係  (最終更新日 : 2003/04/11)
写真家: 湯川 宣孝さん

写真家: 湯川 宣孝さん (2003/04/11)
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氏名湯川 宣孝
住所
職業ネイチャーコーディネイト兼ネイチャーフォトグラファー
生年月日
出身地栃木県
渡伯年月日1983年


2001年11月

※どこに住んでいるんですか?

 現在、パンタナールの入り口の町、ポコネに居を構えています。将来自然写真家のプロを目指して今やっています。

※ブラジルに来られたのは、どういう動機ですか?

JICAの開発青年で92年から95年までの3年間活動しました。最初は農業として入って1年目はベレンで熱帯果樹の農場管理をしていました。本当は3年間そこで働く予定だったんですが、自分はアマゾンとかパンタナールでそういった仕事をしたいということで我侭いって職探しの旅にでまして、たまたまウニベルツールがパンタナールの方でロッジを持っていまして牧場とホテルの管理の仕事をみつけて2年間そちらで働きました。

※日本ではどういうことをしていたんですか?

自分はもともと工業系で、高校も工業でずっと、そのまま順調に進んでいたら設計事務所かなんかで大人しく働いたと思うんですが、小さい頃から動物が好きで、最終進路決定のときに、きれてしまいまして、動物野生のことについて勉強できる専門学校に進路変更して、そこで生態と環境アセスを勉強しました。でも自分が思い描いていた勉強がなかなかできなくて結局は1年間で中退しました。それよりも自分は20歳までに日本を出て大自然の中で生活したいというのがあったんです。それでウダウダしているよりも先に出てしまって後から勉強してもおいつくのではないかということで思い切って出てしまいました。

※どうしてまたブラジルを選んだのですか?

自分が絞っていたのは、カナダのロッキー山脈とかアラスカの自然に魅力を感じていました。自分が興味のあったのはロッキー山脈とアマゾン、ケニア、タンザニアですよね。これは自分が死ぬまでには絶対行ってみたい、ただ、旅行者してみるのではなくて、腰を据えて定住者として自然を見てみたいというのがあったんです。それで考えたのがビザの問題で、どの国が果たして一番可能であるかと考えたらカナダとブラジルの永住ですね。当時JICAに農業移住というのがありましたのでそれに応募したら、運が良いことに合格してブラジル行きを決意しました。

※動物写真を撮るようになった動機は

パンタナールの牧場ホテルにいて、何気なくそこで勉強していたんですが、94年に動物カメラマンの伊藤さんという方に知り合ってカメラをするようになりました。その人に出会わなかったら多分カメラをしなかったと思います。

※パンタナールとはどういうところですか?

世界最大級の湿原地です。浸水面積、及びその低湿地帯の面積というのは本州に匹敵するくらい、約23万平方メートルです。その70~80%が雨季で雨が多いときは浸水してしまいます。わずか日本の本州に匹敵するくらいの中に記載されている鳥が650種前後といるといわれています。世界で約8800種から9000種と言われているんです。パンタナールの外縁部のセラードというところでは約930種と言われており、パンタナールの近辺だけで世界の鳥の10%がみられます。パンタナールはバードウオチャーの憧れの地なんです。それとワニ密度は世界1だと思います。町からたった30分、1時間も入れば動物が簡単に見られ、押し付けるような圧迫感を与える熱帯雨林じゃなくて恐怖感を与えない優しい自然なんです

※パンタナールに入って何年くらいですか?

ホテル時代から考えると93年からなんで足掛け8年です。

※今はガイドの仕事を中心にされているんですか?

最初は95年からは旅行代理店の雇われガイドだったんですが、そういった仕事を3年間くらいやって経験をつみ、ここ3年くらいは、個人的なお客さん、ブラジルで知り合った方だとか友達のコネで直接コンタクトをとってくれた人達にパンタナールの案内をしています。ちょっとした雑誌に記事を書いているだけでほとんどは口コミですね。

※今回はどうしてサンパウロに来られたんですか?

買い物と1年に1度くらいはこの大都会の雰囲気を味わない浦島太郎になってしまうというのと、日本人学校の子供達にお話をしに来たんです。パンタナールで知り合った日本人学校の理科の先生と意気投合しまして、去年子供達に是非パンタナールの話をしてくれないかということでお話会みたいなことをやりまして、子供達が非常に喜んでくれたんです。それでサンパウロに来たときにまたやってくれないかということできたわけです。

※それはあご足つきですか? どういうお話をされるのですか?

まったくのボランティアです。自分が撮った写真を紹介しながら、撮ったときの様子や動物の説明ですね。ちょうど写真家とネイチャーガイドをひっくるめたような形です。

※最近エコロジーツアーが流行っていますが、実際はどうなんですか?

エコロジーツーリズモということで流行っていますが、実際にそういうことを考えているところは皆無に等しいですね。自分はできれば、パンタナールの本当の生態系をきちんと紹介しながら環境教育を含めた、大自然の紹介をやっていきたいと思っています。その一環として、子供達にそういった話ができる機会を与えてもらって自分としては、いいことだと思っています。

※この前テレビの仕事をしたという話を聞いたんですが、どういうことをしているのでうすか?

テレビの仕事は94年くらいからコーディネーターやカメラのアシスタントの形でちょこちょこ仕事をさせてもらっています。前回やったのは某テレビ局の動物が専門の番組で、アマゾンのピラルクの話だったんですがそれのコーディネイトのアシスタントですね。

※パンタンールにはどういった動物がいるんですか?

パンタナールで一番代表される動物といったら、ワニですね。あとかわいいところででカピパラですね。

※パンタナールの魅力は?

一言ではちょっと説明できませんが、パンタナール=水鳥の楽園なんで、乾季のお客さんが見るメインといえば鳥ですね。あと限られた水場に集まるワニですね。たぶん世界であれだけワニの密度の高いところはないと思いますね。それも町から車で走って20、30分であれだけ見られるところはないでしょう。

※オーストラリアではアトラクションとして何かをたべさせたりしていますがパンタナールはそういうのはないですか?

牧場ホテルなんかの船着場には夜集まってくるんですよ。それで夕食の残りなんかを与えてワニのショウみたいなことをやっていますけど。

※パンタナールの季節というのはいつなんですか?

一番お客さんが集中する季節は7月から9月にかけてですね。動物が集まってみやすい状態ですから。

※そうするとこの頃は一番仕事がある時期なんですね。仕事がない時期は何をしているんですか?

仕事がない場合は、もっぱらパンタナールに入って写真を撮っています。ボートで奥地に入って見聞を広めています。

※へたに入って出て来れなくなったりしたことはないですか?

 牧場ホテルの管理人の仕事に入ったばかりのころは、何回か迷いましたね。一番近い町からホテルまで2時間半舟でかかるんですよ。夕方でて真っ暗になちゃって、わかんなくなって舟の上で一夜過ごしたというのは何回かあります。

※水は川の水を飲めるんですか?

僕は2年間ホテルの前の川の水をフィルターに通して飲んでいました。多分普通の人が飲んだらおなかを壊すと思います。今はちょっと怖くてできません。昔は牧場なんかもなくて釣り客なんかも少なかったので河もきれいだったんですが、ここ何年か釣り客が物凄い増えて、ゴミも増えてちょっと飲む気になりませんね。
今でもボリビアの国境付近だったら、牧童なんかも飲んでますし、きれいです。すごいおいしいんですね。ミネラルウオーターよりも甘いというか。

※最近旅行者の傾向みたいなのはありますか?

昔は有名どころ、例えばリオ、イグアス、マナウスみたいな感じだったんですが、今は大きな町の観光よりも、むしろ、アマゾンとパンタナールをみたいというネイチャー観光を中心としたお客さんは結構増えていますね。

※ついこの間、日本から親戚が来ていたんですが、パンタナールが一番よかったって言ってました。

 それはうれしいですね。アマゾンを行ったお客さんがパンタナールにもよく来るんですが、ちょっと自分の住んでいる場所を誉めているようですが、たいていどちらがよかったですかと聞くと、パンタナールが良かったっていいますね。

※どういうふうに違うんですか?

まず、動物がアマゾンよりもパンタナールの方が簡単に見えてしまう。アマゾンというのは熱帯雨林で森が濃いんですよ。森の中に入ってしまうと暗くて鳥さえもなかなか見えないんです。夜、ワニの目見学に行っても本当に数えるほどしか見えません。パンタナールになると嫌っていうほど見えるんです。それと鳥の数がまるっきりちがいます。アマゾンではピラニア釣りしてもなかなかつれませんが、パンタナールでは結構大きなものが簡単につれます。そういった意味においてもお客さんはアクティブに楽しめると思います。

※ピラニアは食べられるんですか?

ピラニアは多分私が知っている魚のなかでも一番おいしい魚のひとつだと思います。大きい河であるていど流れのある河でしたら刺身で食べます。生姜とライムをたらすと、コリコリしてちょうど鯛みたいな感じです。

※サンパウロにいる人間とパンタナールの人間とどうですか?

パンタナールで生活しているピョンという牛追いや現地の河沿いで生活している人たちは全然ちがいますね。まずシンプルです。田舎モノというよりはそれを通り越してシンプルです。凄い質素で純ですよね。だから、サンパウロに来ると凄いつかれますね。

※今パンタナールで写真を撮ったりされていますが、それがヨシということになったら次はどうするんですか?

いや、ヨシということにはならないと思います。パンタナールは自分のライフワークになると思いますよ。今自分はパンタナールの一表現手段として写真を選んでいるんですが、これからカメラで表現しきれないことを最先端技術で広がりのあるパンタナールを子供達に見せるプロモーションビデオみたいな形で作っていきたいという希望もあります。それはパンタナールだけでも最終的には終わらないと思いますが、ただ、南米の自然という形でみるとマットアトランティカなんかも凄く面白いし、例えば、そこに住む小さな猿、タマリンなんかに凄く興味があるので、パンタナールが一段落したら自分は猿をメインにしてちょっと写真を撮っていきたいですね。

※やっぱり動物が好きなんですか。

そうですね。とっても気持ちいいですね。自分は動物なんかが住んでいる場所に入って待機しているのが好きですね。写真を撮る瞬間というのは1秒もかからないわけですが、その行程というか、例えば粘っていて、粘っている間にいろんな動物がみれたりするのが自分は非常に好きなんですね。

※まだ結婚はしていないんですよね。彼女は?

今知り合った彼女というのは、パンタナールでガイドをしている英語圏のお客のガイドをしている女性です。すぐとはいわないですけど、このまま順調にいったら結婚してもいいかな、と思っています。

※二人でガイドの仕事をしようとか。

将来的には自分は映像関係、写真やビデオの関係でご飯が食べていければと思っています。それともうひとつ、環境教育とかエコツーリズムとか自分のノウハウを彼女に伝達していって二人でパンタナールを題材にして町の人々と自然との掛け橋みたいな仕事をやっていきたいな、と思っています。

※最後に日本の若い人たちにメッセージみたいなものはありますか?

 とにかく今の人というのは自然に接する機会が凄い少ないと思うんです。大都市に住む子供達はほとんど接することができないと思います。自分が小さな頃はたくさん動物を飼っていたわけです。そういうスペースすらない生活になっていますよね。そういう意味においても両親が少しでも子供達に自然と触れ合う機会を提供してあげられることが、子供達の新鮮な体験となって、行く行くは気持ちにゆとりがもてるようになると思います。やっぱり自然に接することができることは人間にとって必要なことで、町の中で生活しているとどうしてもストレスやなんかで疲れるじゃないですか。そこでやっぱり森の中に入って、町の時間とはまったく違う時間に入ると心が安らぐと思うんです。

※今後の展望は

中南米の動物の情報は物凄く少ないんですよ。特にパンタナールというところはネームバリューが全然少ないところでパンタナールだけの動物に関する本は皆無に等しいんです。それを自分ができる限り情報を集めて、観察して、将来的には自分の写真もしくは絵を交えて図鑑的なものを作りたいというのが一つの目標です。それとは並行して、映像で紹介していきたいといのもありますし、環境教育もやりたいし、あと、大きな目標として最終的にはナショナルトラストみたいな形でNGOを立ち上げてパンタナールで自然保護区を作ってその中にビジターセンターみたいなものを作りたいです。そこにきたら、パンタナールの自然を勉強できて研究者なんかにも喜んでそういう施設をつかってもらって、パンタナールの自然を守っていけたらと考えています。


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