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     文化・芸術・スポーツ関係  (最終更新日 : 2003/04/11)
長刀の師範: 阿部 恵子さん

長刀の師範: 阿部 恵子さん (2003/04/11)
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氏名阿部 恵子
住所サンパウロ州 サンパウロ市
職業長刀の師範 ラッピングの先生
生年月日
出身地サンパウロ州パラガス・パウリスタ市
渡伯年月日


2002年8月

※今どんな仕事をされているんですか?

 仕事というよりはボランティアが多いんだけど、お金をもらっている仕事としてはラッピングを教えているだけです。ラッピングというのはプレゼントなんかの包装ですね。

※ そういうのは今ブラジルで流行っているんですか?

やる人はやるけどね。ブラジルのお店の包み方はすごく汚い包み方でしょ。私のは日本で習ってきたからきちんとした包み方なんです。日本の特異な包み方があるんですよね。折り紙をおりながら包んでいくような感じのものとか、デパートでは斜めにおいて素早く包むやり方なんか。ブラジルはベタベタテープを張りますよね。
1994年から始めたからもう8年目です。

※ またどうしてわざわざ習ってきて始めたのですか?

サンパウロ州の関係の仕事を、一人で毎日毎日遅くまでやっていて、停年してから楽しいことだけやろうと決めたんです。それで日本にいって包みって凄くきれいだから、ああやりたいて思ったんです。とにかく何か日本で変ったことをやりたいと思っていったんです。最初は3ヶ月か4ヶ月の滞在のつもりだったんですが、いろんなことをやりたくなって1年近くいてしまいました。包み方とか、お料理とかいろんなものを勉強してきました。手を使うことが大好きだったんです。

※ たくさん生徒はいるんですか?

宣伝すると結構増えるんですけどね。始めたころは凄く人が来て、最高15人までって言ってたんですが、月に3組くらい教えないと間に合わないくらい人がきました。今はときどきやっている程度です。宣伝が足りないようですね。
だいたい4日間で、1回2時間半、計10時間でやります。ラッピングの続きで風呂敷でやりたいですね。もうだいたい計画はしているんですが、やっぱり宣伝しないとだめですね。

※ いつから長刀ははじめたんですか。

1990年から始めました。
友達に電話すると、彼女はいつも長刀に行っているというんですね。最初は長刀という意味が全然わからなかったんです。たまたまその友達の家に行ったとき、長刀のテープがあるから見ないかって言われたんです。見たら凄く気にいったんです。何か踊っているような感じで。問題があったとき、やーって気合を出せば心が軽くなるんじゃいかと思って始めたんです。今は3段です。
 
※ ブラジルで一番強い人は何段ですか?

一番上の人はやっぱり3段ですね。長刀の会長さんをやっている人だけど,彼女は日本生まれでずっと経験も豊かな人です。
審査を受けるときは大先生が3人いないとできないんですね。だから、ブラジルにいたら絶対受けられない。ロスで親善大会があって、そのとき参加して一緒に試験も受けました。

※ やっぱり型があるんですか?

あります。刃の変わりに竹刀をつけてやります。ただ大先生のデモンストレーションのときだけ本物の刃を使います。

※ 長刀の魅力はなんですか?

動きがきれいなことですね。

※ 泥棒がきたらやっつけられますね。

長刀は2m20ありますから、部屋の中では使えませんね。でも気合は使えると思う。気合で脅かすというかそれはできると思います。

※ 今長刀人口はどれくらいいますか?

始めてすぐの頃はたくさん集まったみたいですけど、数的にはまだまだ少ないですね。だから連盟ができないので会なんです。ブラジル人はちょっとやると自分でできる気分になって続きませんよね。私たちは稽古すればするほど、まだまだという気になるんだけど、彼らはもうできるから来なくてもいい、という気になるみたいですね。国民性の違いですね。稽古を始める前にお掃除をするんです。それもひとつの修行ですが、ブラジル人は自分で家も掃除しないからしたがらないんです。だから、わざと遅れて着くんですね。お掃除だけどただのお掃除ではないと言っても分からないんですね。難しいものです。でも少ないですけどちゃんと一緒になって掃除をする人もいます。

※ 長刀というと女の人のイメージがあるんですが、男の人もやるんですか?

ブラジルはまだ女性の方が多いですね。あと他の国や日本は男の方が多いです。男性では、剣道やっていて長刀もやっている人が多いんです。剣道の動きで長刀やるんで試合とかは凄く強いですね。

※ 日本とブラジルを比較すると、どうですか?

嫌じゃないけど、日本人って少しかわいそうな感じがします。凄くひとりひとり締まってような感じがするんです。ブラジルみたいにわーっとした感じがなくて、初めて行ったときは凄く窮屈で肩がこっちゃいました。68年に観光で初めて行ったんです。お店に入っても誰か付いてくるでしょ。すごく窮屈でね。日本人は話していても相手の顔を見ないし、声もかけない。ブラジル人は全然知らない人にも声をかけるし、個人的にも声をかけるんですが、日本では絶対できないですね。寂しい世界だと思いました。
たまたまあるお店で、ラッピングを教えてくれるところを親切に教えてもらったんです。それでそこに行くと、先生は思っていた日本人とは違ってすごく明るい人だったので気が合って、ブラジルにも来てもらいました。

※ 日本の若い人に対して何かありますか?

 髪をへんな風に塗ったり、だらだらの格好をしなくても、自分の世界を広げられると思います。見ていると、親や大人はいないような感じで、反対なことばかりしているような気がします。

※ 今夢は持っていますか?

夢はいつも持っていないとお終いですね。みんな仲良く生きるにはどうしたらいいだろうかって考えたりします。宗教だけじゃなくって、みんなが明るく過ごせるようなひとつの輪のようなものを作っていきたいです。


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