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熟年クラブ連合会
     活動報告  (最終更新日 : 2019/02/15)
2008年9月号 [画像を表示]

2008年9月号 (2008/09/01) 日本移民百周年記念地蔵尊像完成を祝う

地蔵尊建立実行委員長 五十嵐司
 本年六月に移民百周年を迎えるに当たって、約五年前から当州の日系社会においては諸々の記念事業が計画されていたが、私たち老ク連としては、社会の第一線を引いた、言わば隠居の身の会員の集りである立場から、若い世代のコロニア執行部の主導にまかせ、協力と助言への姿勢をとり続けていた。しかるにその諸計画、特に記念構造物及び出版物に関しては紆余曲折を繰り返すばかりで何の進展もなされていなかった。そこで準備期間六ヶ月を残すばかりとなった昨年末に、この体勢を転じて当会独自の記念事業の立ち上げを計ることとなった。代表者会議で選考・討議の上決議され二つに搾られた案は①永久構造物として石地蔵像の建立、と②記念文芸集出版であった。直ちに準備に入った石地蔵に関しては、最初、石材商と話し合いの進められた大理石製像本体一メートルの案を経て、モジ・ダス・クルーゼス市在住の小嶋晃氏に制作を依頼する。花崗岩製本体八〇センチの案に変わり、直ちにサレゾーポリスにおいて御影石の原石を購入、切削作業に入った。制作期間六ヶ月の間に、六十本の鑿(のみ)、十三枚の円形鋸刃(のこぎり)を打ちつぶし、四台の小型電気モーターを焼いてしまうという、固い石相手の長く厳しい作業を経て七月半ばに完成、八月十五日の開眼供養を迎えた。
 この地蔵建立の資金調達については、会員各位の自発的な浄財によるものを尊しとする考えから、連合会の基金に頼らず、クラブへの割り当てを行わず、会員への強要をせず、の方針をとり続けたにもかかわらず、予想以上の金額が寄せられたこと、また、前もって完成予想図などをお示しすることも出来ないままの協力依頼に対しても、全面的な信用でお任せ頂き、当事者として感激いたし厚く御礼申し上げます。これもまた一重に会員方のご先祖・物故先輩方へのご孝養、会員仲間への友愛、そして子孫へのご慈愛の現われと存じます。またこの一事を以ってしても老ク連会員の結束が如何に強いかの証左であることをあらためて知り、誇り高く感じる次第で、心からお慶び申し上げます。
 お地蔵様がご師匠であるお釈迦様から与えられた使命である、五十六億七千万年間もの長い間の地上世界でのお慈悲活動を約束されたものですから、今ここに私たちの仏様をお迎えして、子々孫々に至るまで安心してお守り頂けるものと心からご同慶の至りであります。


地蔵尊像の制作を終えて

作者モジダスクルーゼス市 小嶋晃
 地蔵尊像をお作りしている時一番苦しいと思ったことは、自分の個性を「無」にして行はなければ,皆様方の仏様としてお祀りするものができない、ということでした。今回のような石仏の場合は、ともすれば槌の一打ち一打ちに作者の魂が石に入りこみ、仏ご自身の霊の表れの妨げになることがあるので、個性を出さぬように努めるのが、第一条件だと思われます。そのためには、制作作業中は地蔵真言を唱えるほかなく、それなくしては真の佛面を現し出すことはできません。このことは、仏画・仏像などの制作を経験された方は、よく理解できるのではないかと思います。 第二に苦しいことは、完成された像に対する一般の方々の第一印象による評価で、このことも制作者に精神的な負担を与えるものがあります。
 ところで、皆様は「仏」というものが、お解りでしょうか。多くの人のように私もよく解かりません。そこで、私は私なりに考え「仏」とは自分で内蔵している「心」「魂」と思っています。皆様と一緒に曼荼羅の世界を研究して、「胎蔵界曼荼羅(大宇宙の理法)」、「金剛界曼荼羅(大自然の叡智)」という両曼荼羅を知りたいものです。地蔵尊の縁日は月の二十四日です。地蔵真言は“オン・カカカ・ビサンマエイ・ソワカ”です。地蔵真言を七万回唱えると霊験あらたかになると言われています。
真言(しんごん): 真理を述べる仏の言葉、呪文
曼荼羅(まんだら): 諸尊による悟りの世界、転じて諸神仏の姿を描く絵画
胎蔵界: 仏教大日如来思想における真理と慈悲の面の部門
理法(りほう): 道理の法則
金剛界: 大日如来思想のうち智と徳の方面の部門
叡智(えいち): 真実を悟る智恵
(注:五十嵐)


創作選集授賞式に参列して

レジストロ春秋会 大岩和男
 八月七日の午後、老ク連の事務局から電話が入った。
 「貴方の句が『老ク連創作選集』川柳の部の一位に入賞されました。おめでとうございます。つきましては明後日に文協でその授賞式をしますから、出席して頂きたい」というのである。
 予期もしない急な話で、第一、自分でその川柳を投句したのも覚えていない。「何かの間違いじゃないですか?」と聞き返した。すると、事務局長さんから「貴方に間違いない、入念な審査の結果入選されたのですから是非、お出で下さい」と、重ねて言われた。
 一応、「家族と相談します」と返事をして、その晩、家内と息子たちにその事を話した。
 正常な体調なら自分の一存で出かけることも可能だが、昨年末から体調不良で、五月は一ヶ月近く入院生活を送ったので、以前のように自分の自由にはならない。強気を出して、「一人で行く」と言ってはみたが、その実、自信はない。幸い、息子たちが「ママイを連れて、一緒に行ったらいいよ」と手配をしてくれた。有り難い。
 当日、朝五時にレジストロを出発し、バスで家内と二人で出掛けた。小雨の降る中、九時には文協に着いた。
 「老人クラブ大会&芸能祭」の垂れ幕があり、「そうだ、今日はこの催しがあったのだ」と、合点がいった。入口サロンのバザーは予期しなかっただけに一緒に行った家内はその賑やかさと豊富な商品、大勢の人達に驚き大喜びで見て回っていた。
 事務局の人達にお会いし、十時からこの大会の会場で授賞式が行われると聞かされ、何となく晴れがましさを感じ、家を出る時、家内がパレトーだ、ネクタイだ、と心配してくれたのが有り難かった。生まれて初めて晴れがましい高い所に呼ばれて、年甲斐もなく興奮したようだった。自分の前にも後にも数人の人が賞を受け取られていたが、皆自分と同じ年配の方々だった。
 俳句、短歌、川柳、随筆、自分史の入賞者ということだったが、遠方の為出席できない方がおられたと聞かされ、家内に付き添われてでも、出席できた自分を有り難いと思った。大勢の各界の名士の方が居並び、たくさんのお客さんが見守る中、高所で重岡会長より賞を頂いたことは、何よりも名誉なことと、感謝した次第であった。
 実は、朝、会場に着いてその日のプログラムを見るまで、自分が応募した川柳を思い出せなかった。というのも、丁度、病院に入院して、朦朧(もうろう)とした頭で思いつくまま書いたものを友人に頼んで投句して貰ったような、ボーとした記憶しかなかったのだ。
 それが図らずも賞を頂くとは、夢のようで気もそぞろ。身に余る光栄に浴したことは、老ク連の素晴らしい企画、選者の諸先生方、職員の方々のお陰と心より感謝すると共に、厚く御礼を申し上げる次第である。


老ク連会員の平均年齢

 去る五月、ある会の代表者から「百周年を記念して、各会の平均年齢と最高齢者を調べないか」という申し出があり、理事会で検討(けんとう)した結果、実施することにして各会に依頼した。
 当会では今まで統計を取って資料とする時間的余裕(よゆう)がなく、これは貴重な資料になることと大変喜ばしく思った。(下記一覧表)
 全部の平均年齢は七十八・七歳。会の代表者は常々「ほとんどが八十歳以上だから何も出来ないのは当たり前」と嘆くが、この表で見る限り平均年齢八十歳以上は四割に満たないのだから、常套句(じょうとうく)というものか。男性と女性の平均が大差ないのは、老ク連では結構男性も長生きなのでは? 会長など重責を担っている人が多いことも長生きの秘訣(ひけつ)かも知れない。
平均年齢.gif


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