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熟年クラブ連合会
     活動報告  (最終更新日 : 2019/02/15)
2008年11月号

2008年11月号 (2008/11/08) 草々さんがやって来た!

 突然老ク連に朗報が舞い込んで、またサロンで落語口演が行われることになった。今度は本職の落語家ではないが、つい先日までNHKの朝ドラ「ちりとてちん」に出演しておられた青木崇高さん(あおき・むねたか、徒然亭草々さん役)である。 ブラジルでこんなに最新の有名人を見られるのは久しぶり、とのミーハー婆ちゃん達の話がたちまち伝わり、当日は約百五十名の満席。毎日NHKの話題が尽きない老ク連では、朝ドラも見ている人は多いので、解説無用である。
 十月十五日十時半頃から「ちりとてちん」の最終二回分をDVDで流した後、百八十三センチの長身の本人が登場。早速張りのある大きな声で落語「道具屋」が始まった。プロの落語家と変わりなくとても解りやすく面白い。笑いの連続のうちにあっという間に二十分が終わってしまい、「落語のアンコール」という声がしきりにする。
 一寸休憩の後、質問をどうぞと言われ、観客は遠慮なく思ったことを次々に聞く。出演は映画の方が多くテレビは少ないとか、元々南米は見たかったとか、くせっ毛だとか、このモジャモジャ頭で、せりふや落語をブツブツと覚えながら道を歩くので、おかしいと思われたとか、何でも面倒くさがらず答えてくださる。生身の人間はとても純情で気さくで、気持ちの良い好青年であった。時間も迫っているのに、何回も記念撮影の注文にも応じてくれ、最後に「必ず貫地谷しおりさんなど仲間の出演者にも、ここのおじいさんおばあさんのことを話すから」と言われ、一同大変気を良くした。
 集まった人達は大満足して「百周年の今年は色々と良い思いが出来て幸せネー」などと礼を言いながら散会した。


親睦ビンゴ大会

 十月三十一日老ク連サロンで第十四回親睦ビンゴ大会が行われた。今回も百八十人ほどが参加、皆が全てのことを取りやめて夢中になった四時間余であった。初めての人が多かったのか、慣れてきたせいか、係が数字を読み上げるごとに思わず発する合いの手が、いつもより大きな声で会場に響き渡り、賑やかなことこの上ない。
 賞品は一回につき三十七個用意されたが、いつもはすっかり達観している様子の高齢者も、最高賞のピカピカのステンレス製鍋を巡っての真剣なやりとりがまたおかしく、一日中笑いに満ちた老ク連であった。
 目玉の賞金は最初が一人締め、最後の大物は四人が同時に当たり、仲良く折半となったが、今回はなぜか中心となった役員に回ってきた分が多く、時には労も報われるのかと感じられた。


お地蔵様の陶器像について

 移民百周年記念としてお地蔵様の石像の建立が決定し、どこの石工業者に依頼するかが最初に与えられた課題であった。仏像を作れる業者は稀で、ようやく探し出した一社と打ち合わせが行われた。石材の質、大きさ、価格見積もりなども決められたが、実際の作成に従事する石工職人は、墓石や台所の流し台に貼る大理石細工などが主で、石像は時として行うという程度の非日系人であるとのことであった。そのため日本古来の地蔵像のイメージを、写真などでなく実際に手にとって見て貰うために、モデルの供与を必要と思われたのである。その結果仏像制作の経験豊かな陶芸家佐藤方是(さとうまさゆき)氏に、小型の陶器製地蔵像の作成を懇請した。同氏は筆者の嘗ての陶芸の師匠で四十年来の友人である。昨年軽い脳梗塞の病で倒れビハビリ中で、未だ手足の力は完全でない健康状態と言われるのを、押して再三頼みこみ、老ク連の記念計画への賛同とボランティア協力を約束して貰ったような次第であった。
 仏教の参考資料の収集と検討などを経て制作が開始されたのは昨年末のこと、一月半ば粘土原型の作成が完了、石膏型とり、次いで最初の素焼の窯出しが行われた。しかし、この時点では既に最初の石工業者への注文準備は打ち切られ、小嶋晃氏への制作委嘱が始っていたため、佐藤氏の作品である四十センチの陶製地蔵像は、小嶋氏のアトリエに参考品として送られることとなった。小嶋氏は仏教・仏像に造詣の深い入であり、仏の霊波による佛面の具現を求めるという考えであるが、いくらかは参考になったことと思われる。佐藤氏はこの中型モデル像七体を作成、その後引き続き各クラブ配布用の小型お守り地蔵像百体を作り、それらすべてを当連合会に寄贈された。なお、同氏は健康のこともあり、長年の仕事に終止符を打ち、この程、陶器窯、電動ろくろその他の用具一切を曹洞宗佛心寺に提供したので、老ク連の地蔵像が佐藤氏の陶芸作家生活の最後の作品となった。
 小嶋氏、佐藤氏、滝波氏たち多くの方々の善意と全会員の絶大な協力によって、私たちのお地蔵様を多数頂くことが出来た。石像、陶器像など色々あってもよいと思う。日本の各地で沢山の変わった面立ちのお地蔵様が一緒に立っているのを見ても、それがこの仏様の特長であろう。ただ思うに、私たちも安直な神頼み、仏におすがりではなく、昔から言われるように「人事を尽くして天命を待つ」を心がけないと、本当の救いは得られないのではなかろうか。(五十嵐司)


「天にも昇る心地」森本龍石先生をお迎えして

 去る十月十八日、老ク連サロンに於いて書道家・森本龍石先生の講演会とデモストラソンが行なわれました。
 森本先生は北辰書道会の設立者であり、当老ク書道教室を指導して下さっている若松如空先生の先生にあたられる方です。森本先生は今回MASP美術館で開催されている毎日書道海外展「現代日本の書代表作家サンパウロ展」に出席される為来伯されましたが、そのお忙しいスケジュールの合間をぬって老ク連での講演会となったものです。
 はじめに若松先生から森本先生の紹介があり、森本先生は五回目のブラジル、奥様は三回目のブラジルだそうですが、老ク生徒にとっては初めての大先生との対面でした。
講演は先生の雅号「龍石」の由来からはじまりました。そして、私たちは一口に筆で書くことを書道といっておりますが、字を習い覚える「習字」、技術の上達をめざしお手本を写す「書写」、芸道の一つとしての精神性、伝統性、が加わった「書の道」書道。さらに現代はその書道の芸術面が発展して「書」と呼ばれていることをお話になられました。
 また、「文房四宝」と呼ばれる、墨、紙、筆、硯の書道用具に関するお話も伺うことができました。筆毛には胎毛が使われる等次々と興味尽きない話やユーモアに会場は笑い声が絶えません。しかも、その合間には先生が持参された馬の毛や狸の毛を使った大小の名筆が「手にとって見て下さい」と手から手に回ってきます。中には筆の穂先が四十センチ以上もあるものもあってこれでどうやって書くのかと思われるものもありました。
 次いでデモストラソンに移り、参加者から希望する字を募りました。先生はどういう気持ちでその字を希望したのかを聞いてから書きます。「夢」を希望した竹内恵さんは、七十五歳の手習いで書道を始めましたが、親たちを泣かせてブラジルに来てしまった親不孝、妻が逝って一年になるが苦労のかけとうしであったことなど、いつかは自分の人生にかかわった人たちの為に般若心経を書き上げたい.と言うのが今の夢ということで夢をお願いされたそうです。「こんな立派な書を書いて頂いて天にも昇る心地です。家宝とします。」と語っておりました。書の大家というと普通気難しい人を想像しがちですが、森本先生はとても気さくでやさしい方でした。孫弟子達が次々とお願いする字を時間の許す限り最後の最後まで書いてくださり、生徒たちは興奮さめやらぬ中口々に感謝の言葉で老ク連をあとにしました。


楽しかった敬老会

サントアマーロあおぞら会 柘植博嗣
 毎年九月、あおぞら会では恒例の敬老会が開かれます。今年は二十二日に行いました。料理は会員それぞれの一品持ち寄り。刺身と飲み物は会負担となります。年四回ある同様の催しは会員の特に待ち望む催しの一つで、出席率の高い日となります。
 今年は老ク連より松平和也第一書記、田巻夏枝カラオケ教室指導者、内山卓人理事、貞弘昌理シニアボランティアの出席を頂き、より一層の盛況のうちに田村福八副会長の司会の下に午前九時に開会されました。
 重道清富会長の挨拶に続き、お客様である老ク連の松平さんの歌、内山さんの手品、貞弘先生と田巻先生によるギターの弾き語りと様々な出し物に皆、拍手喝采のひと時を過ごしました。ただ、歌詞プログラムがお年寄りには一寸難しいのが残念でした。敬老の日の記念品を頂き、二時頃お開きとなりました。
 また、来年もこの場でお会いできますよう…。楽しい一日をありがとうございました。
 老ク連のお客様は田村副会長が送迎の任に当たりました。


御礼と近況

インダイアツーバ親和会 早川正満
 今年はブラジル日本移民百周年という大きな節目の年です。私個人としては五十年という小さな節目ですが、私人として何か残したいと思うのは、老年期にあるものとして普通の発想だと思います、そんな時、老ク連での記念行事、創作選集、随筆募集というものに応募させて頂き、思いもかけず入選させて頂きました事に大変感謝しています。
 私だけでなく、多くの人が七十歳を過ぎた頃から昔の子供の頃の事を鮮明に思い出すといいます。それは脳に蓄積された記録の棚から溢れた現象でしょうか。
 先日、NHKの土曜ドラマの中に昔、満州で子供の頃に見た「チエンピン」を焼き上げる風景を見て「あぁ、今の中国にも同じ風景があるのだなぁ」と感慨深くなりました。
 すでに日本より海外での生活の方が長くなりましたが、ブラジルでの心地よさをしみじみと感じている昨今です。


お地蔵さま

サンパウロ中央老壮会 中山保己
 老ク連本部の前庭のお地蔵さまを見に行った。隣家とのムーロ(壁)を背に、白い石材で彫られた高さ八十五センチくらいのかわいらしい立像で、周囲に菊の花の鉢などを並べ、お菓子も供えてある。
 賽銭(さいせん)箱も置いてあり、一レアルや五十センターヴォの硬貨が入っているので、私も一枚入れて手を合わせた。
 お地蔵さま建立は、ブラジル日系老人クラブ連合会が、百周年記念事業として計画し、約六か月の期聞と一万五千レアルの予算で完成したという。八月十五日に開眼供養を催したが、私の参詣は一か月のあとだった。
 お地蔵さまは、子供のお守りという他、すべての人のお守りで、日本では道端や山の木陰など各地に立っているそうだ。
 釈迦入滅(しゃかにゅうめつ)後、五十六億七千万年経って、第二の釈迦として弥勒菩薩(みろくぼさつ)が現われるまで民衆(みんしゅう)を救済(きゅうさい)守護(しゅご)する、ありがたい仏さまだという。
 昔、目を通した仏教の経文に、これに関する言葉があったと思いだし探してみたら「念仏(ねんぶつ)御和讃」の中に、「…五十六億七千万弥勒菩薩ハトシヲヘン…」と記してあった。
 日本語の印刷物が乏しかった時代に手当り次第に読んだ少年の日の記憶が、ちぎれちぎれに脳細胞(のうさいぼう)にひっかかっていたのだ。
 老ク連の百周年記念行事の一つ、地蔵尊建立が、私たちの心のよりどころになり、少しでも安らぎの境地が得られたら、たいへん有意義な記念だといえる。


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