家の中に閉じこもって、パソコンを前に翻訳ばかりしていては体に悪いと思って、健康表現体操を始めた。 表現体操はオジイチャン、オバアチャン用に開発された体操だから無理な運動はないし、体を少し動かすにはとてもいいと友だちから聞き、始めることにした。 やってみると「ストレッチ体操」(ginástica de alongamento)、「刺激の体操」(ginástica de estimulação)、「表現体操」(gin疽tica art﨎tica)、関節の運動、筋肉の衰えを防ぐ体操、そのほか目的別に色々な体操があり、二時間の運動の中にそれぞれを織り交ぜて、音楽(童謡、歌謡曲)に合わせ歌いながらやるので、結構楽しく、もう一年以上続けている。 水曜日の午前十時から十二時まではサンジョアキン通り三八一にある文協で、川添敏江先生と中村リカ先生、土曜日は熟年クラブ連合会(シケイラ・カンポス通り一三四)で川添先生と田中レイコ先生に午前八時から十時まで、重い腰を上げて通っている。 熟年クラブの方は始めの頃、九時から十一時までだったのだが、生徒がどんどん増え、場所が狭くなったので、八時から十時までと十時から十二時までの二グループに分けたのだが、またまたいっぱいになっている。 前にやっていた他の場所の体操は水曜日の午後一時半からということもあったのだろうが、他の担当の先生が一生懸命指導してくれていたのだが、さっぱり生徒が増えず、消滅してしまった。そのため私は、水曜日の午前中に文協で表現体操をすることになったのだが、ここも生徒は増える一方で、まず消滅の心配はなさそうだ。 といっても、我々生徒の方は、年のせいか、振り付けはなかなか覚えられないで、「右手を上げて、左足を出して!」という指示が先生からあると、なぜだか、とっさに反対の左手を上げ、右足を出してしまったりしている。私は、ずうずうしく「あっ、いけない!」と先生が気がつかないうちにさっと変えたつもりで先を続けている。先生が気付かない振りをしてくれる時もある。何度同じ練習をしても一向に覚えられないし、翌週にはケロッと忘れている。 そんな生徒に先生はホトホト手を焼いているだろうが、そんなことは顔にも出さず、いつもにこやかに「うん、皆さん、上手になりましたよ。だんだん様になってきていますよ。」といつも「ヨイショ」してくれる。 そんな先生の気持ちを汲(く)んで、「来週こそは毎日きちんと家でおさらいをして、覚えておこう」と思いながらも、何もせず一週間が過ぎてしまう。その場になって、「あれ!あれ!こんなはずじゃあ~~~」というようなことを繰り返している。 ポルトガル語に "de boas intenções o inferno está cheio"(地獄は善意だらけだ)というのがあるが、まさにその表現を地でいくような毎日だ。 初めの頃は二時間(間で休憩が十五分ほど入る)の運動に汗だくになり、体のあちらこちらが二、三日痛んだが、さすがにこの頃は体のどこも痛まなくなった。六十歳を過ぎ、目まいがしたり、歩いていて、体のバランスが崩れることが多々あったのも治り、最近はあまりふらつくこともなく健康な毎日を送っている。 ただ、休憩時間に皆が結構手作りのケーキなどを持ってきたり、甘いものを買ってきたりするので、誘惑に負けやすい私はついつい食べてしまい、運動の効果の一つに痩せることを期待していたのだが、それは全然ない。おなかの周りの脂肪は悲しいことに増える一方だ。誰か「お腹いっぱい食べても太らない方法を教えてくれないかなぁ~」と虫の良いことを考えながら、もしかしたらこれを読んだ誰かが、何かいい方法を知っているかもしれないと、少しばかりの期待を込めて書いている。そうなれば、痩せたら着ようと思って誰にもあげずに大事に取ってあるお気に入りの服もまた着られるのだけれど...。