最近の科学の進歩は年々素晴らしいものがある。今までは神の領域とされていた宇宙創造の謎や、人間生命誕生の謎解きの解明が現実に成功しつつある。つい先頃、ニュースを見ていたら、日本の宇宙科学研究所が二年前に打ち上げたマイクロ波を用いたイオン・ロケット(電気推進)が地球に一番近い1998SF36という極超新星に到着したと報じた。近いと言っても日本がなんと二年前に、たった五百㎏のサンプル採集用の小型科学探査機をぶち上げた。それが今漸く、大きさ僅か数百メートルの小さな木星の惑星に、着地成功したと言うニュースだった。これから二年後には其処の岩石破片を採取し持ち帰り、宇宙創造の謎を解明しようという壮大な研究である。現代バイオテクノロジー技術では、現実にやろうと思えばクローン技術で、老いた女房を若返らせる事も可能な時代だ。時々、私も老妻とこんな事を話題にしながら、果たして、これが人類の幸せに繋がるのかなぁと深刻な顔して考えることがある。率直に言って私はノンである。だが、家のかみさんは「いい事じゃないの」とのお返事だった。不如帰(ほととぎす)の浪子のように旦那が好きで好きで、千年も万年も生きたいと言う訳でもなさそうで、日頃の行動を見ればお分かりだ。女は実に不可解な動物である。少し前に「繁殖能力を失った者は最早女性ではない」とか何とか言って、裁判沙汰にされた、さる有名な東京都のお方が居ったが、私も全く同感である。 そう言ったら「あんたのような男に、女心が解ってたまるものですか」との御託義だった。私は女房再生は結構だが、古女房の処置に悩んでいるのである。姥捨山はここにはありませんからねぇ。女は益々不可解な生き物で、それ以来、すっかり笑いを忘れてしまい、ノイローゼ気味の毎日を過ごしている。 数日後、早朝のテレビで、話して居るのは、NHKでも美人で有名な国谷裕子キャスターが「笑いで病気を治せる」という一寸変わった課題で頑張っている。結論的に言うと、笑いが健康に効果がある、といっているではないか。以下は、それを基にしたクローズ・アップ現代です。インテリ美人の早口だったので、聞き間違えの程は御容赦下さい。 内容は最近の遺伝子工学の研究で脳の司令塔を携わると言われる六十四ある遺伝子の各々の役目・機能が一つ一つ解明され始めた。どうも昔から日本では「笑うかどには福来る」と言われ、笑いと健康は何か関係が有るのでは?という疑問に着眼した、関西大学医学部のさる教授の統計結果からも、それが実証されつつあるというデーター紹介から始まった。 大阪府では既に、この研究結果に着目し、補助金交付を決定した。遺伝子工学の世界的権威である筑波大学の村上和雄教授の笑いと、遺伝子、健康と間の相互メカニズムの研究結果は以下の通りである。 人間の脳には司令塔を司る器官があり、これを素早くキャッチするHBB遺伝子、RPL遺伝子が笑いが起こるとスイラチオンやオンニオルなどの作用で、ホルモン、酵素など人体の活動に必要な栄養素や健康に直接作用する重要な物質を分泌する命令を下す。この機能がどうやら人体の健康を維持する効能に繋がっているのではなかろうかと、この大先生は推測しており、更なる研究を継続されている。笑うと何処にどう変化が現れるか、統計の結果、生活習慣病、睡眠、血圧、血糖値などに関係していることが、ほぼ、彼の研究室や老人ホームの担当医の統計結果で紹介された。特に老人ホームで顎の外れない程度に、大笑いすると二時間後の血糖値に変化が現れる事が実証された。これを糖尿病の治療に応用出来ないかと努力中のようだ。 栃木県那須市の特別養護老人ホームでは既に、ホーム内に「お笑い学校」を開設して、その為の担当者を養成し、施設のお年寄を如何に大笑いさせるかに、四苦八苦の毎日で、その効果如何にと注目している。日本では最近は、寄席や落語、お笑い劇場が大繁盛との事だ。 村上龍夫関西大學医学部教授も大笑は互いの信頼関係を育み、複雑なしがらみや、こだわりをぶっ壊す効果がある。一人住まいの老人で憂鯵症気味な方、色々な悩みの持ち主、ノイローゼ・ストレス症候群、淋しがり屋な性格の方に特に効果が有ると言っている。無闇に笑ったからと言って軽蔑しない事、些細な事に腹を立てない事が大事で、日常生活にて笑いを取り入れ、認め合う大切さを強調している。まだ、未知の部分が沢山あり、六十四ある遺伝子のメカニズム解明で、段々に笑いの効果が科学的に解き明かされつつあると言っている。 そんな訳で、ブラジルの老ク連などもそろそろ「お笑い教室」でも開設する事を提案しようかと思っている。この辺りはUNICEP、FMU、UNINOVE、IPEPなど六大學の新校舎と三予備校がひしめき、学生街にと様変わりしつつある。日語普及センターでは日伯大學建設構想をお持ちのようだが、計画は大いに結構だが万全の計画で望んで欲しいものだ。 ブラジルでも統計予想では日本と同様、少子高齢化が急激に進む事が予想されている。殊に日系社会では老ク連に顔を出す人はまだ良い方で、孤老一人住まいが増え、老人養護問題の対応策が急務になって来ている。また、若者は親の面倒を見ない事が当たり前の風潮で、政府施設がやる事だと思う傾向になっている。 下手な日伯大學建設よりは大いに笑わせ大いに長生きした老人に、如何に生きる喜びを与え、生きるからには何の為に、どう生きるかの人生の目的を教える事が大事ではなかろうか。少子高齢化が進むこれからの社会では老人パワーをどう活かすかが、大事な課題ではなかろうか。その為の生涯学習としての"お笑い大學建設構想"をぶち上げてみてはどうでしょうか。 狙いは停滞する文協活動に頑張っておられる、二世・三世の役員方に老人パワーで如何に貢献し、協力するかが狙いです。此処では争い事は笑いで吹き飛ばすのが唯一の内規です。 "By the old people, Of the old people, For the old people"をモットーにした総合的生涯学習を盛り込んだ、老ク連の将来構想の構築でもあります。大いに笑い、大いに長生きし、文協の活性化に協力しましょう。