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熟年クラブ連合会
     俳句・短歌・川柳・詩  (最終更新日 : 2019/02/15)
2012年1月号

2012年1月号 (2012/01/14) 俳句 (選者=栢野桂山)


胡蝶蘭みんな花持つ朝陽かな
街路樹の若葉さわやか朝の風
サビア鳴く街路樹多きビルの街
種蒔くや地平線まで大豆畑
【杉本鶴代】
(評:平らな広い土地に大きな種蒔機で大豆を蒔いていく。その音まで聞こえそうである!)

焚火して話題が弾む冬の宵
山鳩の来て鳴く狭き庭の春
春立つや街路のイペー花盛り
青き踏む歩ける事の有難き
【小野浮雲生】
(評:若草の茂りゆく野を歩いて行くという決意の蔭には〃生きて行くことの有難い〃という言葉が隠されている。)

外風呂につかりし頃よ蛍飛ぶ
遠巻きに鶏騒ぐ大蜥蜴
割れ物の如く扱ふはしり桃
【畠山てるえ】
(評:初めての果物を〃走り〃と呼び、まるで大切な割れ物のように扱うのはわが国民の大事にする心構え。)

花冷えの雨に咲き次ぐ七変化
芯つよき姫萱草を供花とせん
一病を守りつ年越す老二人
【本広為子】
(評:〃一病〃とだけあるが、現実には中風のような長い病気の老夫を看取る―という固い決心がある。)

血圧の平常うれし餅を焼く
杖を曳く夫と元気で年忘
夫に肩貸して歩まんわが余生
【青柳ます】
(評:〃肩を貸す〃という言葉の裏にはそうして老いた夫に代わって暮しを支える決意がある―。)

リベイラの水まだ濁り春浅し
連山に霞たなびく谷深し
枯バナナ幽霊じみて朧月
【大岩和男】
(評:稔り終ったバナナの切るのを忘れて居たのが、おぼろ月ではっきりせず、まるで話にある幽霊のようだ!)

背丈程の出水汚れの壁洗ふ
農薬のかからぬ苺とて見事
開けかねてもとへ戻しぬ落し文
【佐藤孝子】
(評:〃落し文〃とは落葉に生んだ色々な虫の卵のこと。どんな虫の卵かと開けて見ることにしたが、虫のことを思って元に戻してやった!)

プラタナス若葉を縫って赤電車
教会の広場傘張る大夏木
夕焼けて崖のファベーラ絵の様に
【木村都由子】
(評:崖続きの処にある貧民屈。それに久しぶりの大夕焼で美しく楽しそうに見えた―。)

冬のない養国農の夢かなひ
寒渡来て出番たのしい冬衣装
養国をみのり豊かな国にせん
【三上治子】
(評:〃養国〃とは移住して来たこの国の事。寒い北国で暮して来た身にとって、暖かい土地で暮すことが人生の夢だった。)

長生きを謝して祝うや晦日蕎麦
胸元の露わな服に夏の風
向日葵の様に明るい女孫
【野村康】
(評:向日葵のように明るい女の子の孫を詠んだ。)

夕サビア畑のみかんが無いと啼く
彼岸会や庫裏にぼた餅作る老
春夕焼スザノ盆地はピンク色
【寺尾芳子】

本年も皆元気にと屠蘇祝う
年男力一杯餅なげて
除夜の鐘四方に響き年新た
【原口貴美子】

それぞれの持ち寄り料理納め句座
赤色の表紙にはなやぐ日記買う
ひまわりの小さなひとみに似るごとし
【吉崎貞子】

風涼し満点の星仰ぎつつ
風涼し夜風に二人夕散歩
夏涼し老に手をかす若き娘等
【山田富子】

五十年過ぎて未だにポ語よめず
日焼して孫帰り来る年の暮れ
だんだんと藤の寝椅子が好きになり
【青柳房治】

ポインセチア咲いてナタール華やぎぬ
子等集いナタール楽しむ老の幸
持寄りの大皿並ぶ聖夜かな
幸不幸の人生行路様々に
【矢島みどり】

パラナ路の山並み続き冬晴るる
降り続く雨と寒さに老の愚痴
リベイラ河出水で延期流灯会
【疋田みよし】

虻蜂の羽音唸れる向日葵に
バルサ跡手庇すれば夏の風
釣りに行く野宿する気のハンモック
【纐纈喜月】

冬休み終え学問に戻る子等
野球場の風にゆられて団体旗
子や孫と共に誘われ七夕へ
【玉置四十華】

思い出すあの娘のお下げ蛍狩り
ハンモック静かに揺れて夢浅し
あれこれと計画半年秋暮るる
【秋元青峯】

逝きし友思い出させて除夜迎う
吊り床に祖母猫抱いて夢うつつ
主の無き吊り床ゆらゆら右左
【矢野恵美子】

遡るアマゾン大船のハンモック
疵小僧膝たえぬ児の半ズボン
袋取るすこし色づくはしり桃
【森川玲子】

紙の香の未来を秘めて初日記
州越えて雑木紅葉の相変る
町のビル遥かに大豆畑の涯
たもと糞まこと効きたる鎌鼬
草渋に野良着でごわごわ油照り
身のほども知らぬ壮言おでん酒
草打ちてまこと稚き牧夫婦
【栢野桂山】


短歌 (選者=藤田朝壽)


万歩計つけて踏み出す第一歩二十一世紀への夢を抱きて
冷え勝るイタペチおろし受けながらいまひと息と人参を引く
アフガンも中近東も関わりなし朝市に出す大根洗う
【スザノ福栄会 青柳房治】

料亭ゆ朝帰りの夫も改心し歌ひとすじに早や四十年
バリーゼの痛みなければありがたしラジオ体操に大股で行く
若き日の加藤操が浮かびくるのど自慢いま「浪曲子守唄」
【スザノ福栄会 青柳ます】

ペン先のすべりを試すに「永」の字をいくつか書きぬ明るき室にて
訪日も日航便は無くなりて心もとなく旅空さびし
忘れてはならぬことまで忘れしが忘年会とはいともややこし
【スザノ福栄会 原君子】

帰り来し部屋に揉むなり八十八ヵ寺を巡りしこの小さき足
窓近く差しくる満月寝たままで眺めて思うかぐや姫など
【スザノ福栄会 寺尾芳子】

幸せはこう云うものか夫が居て手を取りくれる子らの居ること
一年があまりに早く逝くことにとどめる事の出来ぬ人世
夜の街スザノに向かう車窓より巨大な聖樹の輝きを見る
【スザノ福栄会 杉本鶴代】

春なれど降れば寒さのもどり来て老いの外出をはばむがに冷ゆ
転ぶがに若きは階段かけおりてメトロに乗ればドアは閉まれり
純白の胡蝶蘭壷に活けられて部屋ぬちはらう無垢なる気品
【サンパウロ中央老壮会 野村康】

日本から男孫夫婦がかえりくる小さな曾孫二人をつれて
吾が部屋に読書しおれば香り良きコーヒーを手に嫁が入りくる
【セントロ桜会 上岡寿美子】

二つ三つ開きそめたる合歓の花足をとどめてしばし見つむる
この年は十二月になりても時おりに風つめたくて重ね着をする
【セントロ桜会 井本司都子】

ブラジルは孫子の古里移り来て五十余年は夢の如しも
愚痴ひとつこぼさず田舎で一生を終えたる母をしきりに思う
【セントロ桜会 上田幸音】

もろもろの悲しい過去や思い出はみんな忘れて明日に生きる
もう師走やってきましたプレヂィオに実物大のサンタクロース
【セントロ桜会 板谷幸子】

かにかくに無事に過ししこの一年子等に感謝仏前に掌を合はす
亡き夫の祥月命日息子と共に墓前にぬかづき過ぎし日おもう
【セントロ桜会 鳥越歌子】

遠くより吾が歌会の皆様に蕨(わらび)のお土産・藤田さん「ありがとう」
いただきしワラビに灰まぜ一日おきその味かおり郷愁さそう
【セントロ桜会 大志田良子】

竹群の葉はようやくに緑ますこの二、三日雨の続きて
垂れさがるジェラニュムの蕾は次々と首をもたげて紅の花咲く
【セントロ桜会 富樫苓子】

椰子の葉もザクロの枝もゆらぎもせず風なき朝の静かなひと時
吾が部屋の窓越しに見る隣のザクロ天までとどくとばかり伸びおり
【ツッパン 林ヨシエ】

議会の裁可も受けず市役所はボーナス給料お手盛値上げ
公共仕事中途半端に身勝手に汚職天国ブラジルの国
三陸の大天災に公職の役員一同給料減らす
遺伝子の法則神代の昔から家柄大事に守る祖父母よ
【サントス伯寿会 三上治子】

ラヂオ体操健康の秘訣古里の弟妹にもすすめ八十路の励み
寒空に咲ける桜はいま満開訪づる吾等を迎うるがごと
冬の朝体操始まる老いどちの見ていし人らも仲間に這入る
糯米(もちごめ)の蒸せる香満ちる厨辺にうすみどり色のよもぎ餅つくる
【サンパウロ中央老壮会 彭鄭美智】
(評:ヨモギは中国が原産なのであろうか。字源を引くと三千年前から用いられている。モチ米の蒸せる香とヨモギ餅をつくる作者が目に見えるように詠われている。)

逝く年は災害多き年なりし新しき年に願う「平和と安らぎを」
雨後の冷えやわらぎ夏を思わせる並木の道も青葉色増す
久かたのスッキリ晴れし夏の空小鳥の囀り一きわ高まる
【プ・ダ・アルボレ老壮会 矢島みどり】
(評:「久方の」枕詞をつかって成功した一首。)

アマゾンの緑の密林伐り開きわが同胞は楽土築きし
一束の古新聞を読み耽る活字に飢えし植民地の頃
この年が最後の作と例年より棉種多く積みて雨待つ
【ツッパン 上村秀雄】
(評:棉作りはこの一作でやめるのである。棉種の袋を数多く積み上げて良きしめりを待っている上村氏。私も昔を思い出しました。)

世の乱れ激しくなりて天候も異状となりて天災多し
人世に苦難は常に絶えねども年にまかせて心鎮める
老いの身に欠かしてならぬ運動と寒さに耐え続ける体操
【レジストロ春秋会 小野浮雲】
(評:健康維持のため老齢の身にもかかわらず、厳寒の朝も休まずに体操を続けられる作者は百歳まで生きられること間違いなし。私ごとですが、十八歳の時から朝起きたらコップ一杯の水を欠かさず飲んでいるお陰で医者にもかからず薬も飲んだことなしです。欠かさず続けることが大切です。)

(謹賀新年:老壮の友の歌友の皆様方にはお元気でご越年の事とお喜び申し上げます。本年も何卒宜しくご協力の程をお願い申し上げると共に、皆様方のご健康とご健吟の程をお祈り申し上げます。)


川柳 (選者=柿嶋さだ子)


再会で初めて知った名士ぶり
ポ語教室今日は日語で伯常識
高齢の競争たった十メートル
【サンパウロ中央老壮会 上原玲子】
(評:初対面では気付かなかった相手の人格を再会で初めて知った時の感動が伺える。)

淋しさは言わず互いに句に励む
人の欲悪へ悪へと国乱れ
老若の笑顔が集い辰年会
【レジストロ春秋会 小野浮雲】
(評:句作に集中することで寂しさもまぎれるものです。

お先棒かつがされてる荷の重さ
不況風すさぶ街角塵芥の山
見聞の広さで歩む詩の道
【カンピーナス明治会 塩飽博柳】
(評:「こんな棒ならかつがなければよかったのにー」。後悔先に立たず、であった。)

名所案内行ったつもりで見ています
パソコンで日本へ投稿出来る幸
壇上に夫婦で並び夢のよう
【サンパウロ中央老壮会 新井知里】
(評:ガイドブックを見ながら名所名所に心を集中するのもまた楽しいもの。)

車椅子の友の入賞おめでとう
オデン食べ病知らずの人となる
一日の疲れお風呂がとってくれ
【サンパウロ中央老壮会 彭鄭美智】
(評:車椅子の老友への思い遣りが胸を打つ。)

ブラジルで売られている病院廃棄物
一挙両得趣味を仕事に出来る事
電線に粗悪品あり事故多発
【サントス伯寿会 三上治子】
(評:外国の病院で使用汚染されたシーツ等が輸入されているというショッキングなニュースである。)

老ク連旅の時だけ若返り
喜寿迎え根性だけの旅まくら
もう師走一歩あの世が近くなり
【サンパウロ中央老壮会 しんかわ】
(評:旅は道連れ世は情け、意気投合する相手も出来て心も若返る。)

小幅でも今日も句会に行ける幸
晩酌のワインで元気生きてます
【サンパウロ中央老壮会 山田富子】
(評:杖を頼りに句会にも欠かさず出席されるお姿に感動させられます。)

世界一高いビル立つ東京都
師走かぜ東洋街に幟り立つ
【セントロ桜会 中山実】
(評:東洋街に出ると師走が身近に感じられる。)

震災の民にも来たれクリスマス
お陰さま今年も何かと終われそう
シュラスコにお寿司も並ぶクリスマス
【サンパウロ中央老壮会 鈴木ふみ】
(評:被災者にとって慰めと励ましのクリスマスとなりますように―。)

酒煙草飽食肥満元気です
美女美男似合い夫婦に見とれ居り
末期高齢言い得て妙と納得す
【サンパウロ中央老壮会 中西笑】
(評:〃酒煙草喫んで百まで生きた人〃という川柳がありました。)

又一つ年を重ねて輝こう
ボーナスが出て活気づく商店街
故郷に思いを馳せて書く賀状
【サンパウロ中央老壮会 坂口清子】
(評:年を重ねる毎に人は磨かれてゆくもの。下の句の心意気が頼もしい。)

してやったつもりが裏目に出て慌て
今一歩踏み込む気概欠けている
人のけて通れば世間の冷たい目
【サンパウロ中央老壮会 交告余碌】
(評:敵もさるもの、先見の明が浅かった。)

◎年頭吟
辰の年若返りたしあばれたし【交告余碌】
生かされて初夢竜と空をゆく【中西笑】
竜のごと上れと祈る世の景気【坂口清子】
新年の誓いも浅く呆ける俺【しんかわ】
正月は嫁の喜ぶ日本食【鈴木ふみ】
大晦日リベルダデ広場に杵の音【中山実】
良い事がありそう今年は辰の年【山田富子】
天に舞う竜と一会の手をつなぐ【柿嶋さだ子】

◎席題「趣味」 余碌出題
趣味多く家事は合間にやってます【ふみ】
趣味のお陰老友多くおて楽し【しんかわ】
一生を働くだけを趣味として【笑】
趣味いっぱい今日もばあちゃん飛び歩き【清子】
趣味増えて新しき友又増える【余碌】
亡き夫を偲びつ趣味に生きてゆく【富子】
読書と散歩趣味といえばそれくらい【実】


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