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熟年クラブ連合会
     俳句・短歌・川柳・詩  (最終更新日 : 2019/02/15)
2012年4月号

2012年4月号 (2012/04/14) 俳句 (選者=樋口玄海児)


帰農して土の息吹きを踏む跣足
グラビオラクプアスーアサイのソルベッチ
毛深き犬身のおき所なき残暑
【佐藤孝子】
(評:二句目、面白い句でほとんどカタカナでブラジルらしい新しい着想。季語のソルベッチも上手に使われている。)

ツピー語でアンタの道とや天の川
突き出せる乳房躍動踏むサンバ
女王は又もとの婢にカルナバル
【香山和栄】
(評:ツピー、グゥワラニイ族はブラジルのインジオ。そのツピー族は「天の川」のことを「アンタの道」と言うとか。夜空にうっすらと白い天の川はアンタの通った道のように見える。美しい句である。)

夢でしかもう逢えぬ人夜の秋
野の風を添えて秋草活にけり
【山田富子】
(評:二句目、九十歳近い人の感性に驚いている。女性らしい言葉使いも野の風を添えてと全くやさしい俳句。)

古里はスザノ福博月仰ぐ
ビルの肩はなれて昇る月まるし
【野村康】
(評:一句目、移民百周年もなれば、移住地生まれの二世、三世と増えて次男坊はバストス生まれとか言っているのを聞くと何となく微笑ましい句。)

秋高しひたすら木句に生きんとす
初生りのピーマン太し黄と赤
【吉崎貞子】
(評:一句目のこの気持ち、いつまでも続けて下さい。)

カピバラ ワニも恐れづ群れ遊ぶ
花のごとピメンタ色づき庭先に
【原口貴美子】

耳よりも鼻の良く利くカピバラ
ダム出来て流れ変りし水澄める
【纐纈喜月】

麻州旅話の種に鰐試食
白も良し紅も美しさるすべり
【田中保子】

山荘の窓開け放ちクワレズマ
雨に濡れザンバラ髪や破芭蕉
【森川玲子】

国産かと聞いて秋鯖買ひにけり
蟋蟀や移民乗せ来し保存汽車
【畠山てるえ】

別の道来て妻と会う秋うらら
カルナバル女泣くこと知らぬ世に
【柏野桂山】

新涼やアマゾン大河下る旅
抜けがらを庭に残して蝉鳴ける 
旅終えてアマゾン日焼け笑ひ合う
【松崎きそ子】

移民シネマ撮りし農場クワレズマ
かまきりと呼ばれて泣いた日もありし
【大橋昭子】

朝顔に流し目浮世絵の女
【猪野ミツエ】

水澄んで青空映す川面かな
【秋元青峯】

朝陰を手をつなぎ行く老夫婦
【岩崎ルリカ】

誘われてポッソデカルダス温泉の旅
【矢島みどり】

夜も賑はうアパートのプール熱帯夜
【寺尾芳子】

ダリア祭ホームの老人にこにこと
【杉本鶴代】

おめでとう言われて嬉し女性の日
【青柳ます】

クワレズマ街も野山も真盛り
【杉本君枝】

カラオケの歌い始めの老夫婦
【青柳房治】

黄金藤今満開の庭明り
【本広為子】

弟妹は日本永住天の川
【古賀マリア】

老いの足まけじと早足銀杏散る
【鈴木ともや】

温泉郷第二の故郷柿うるる
【玉井須美子】

カピバラのしたり顔して川渡る
【宮腰陽子】

日盛りは働き蟻も巣に篭り
【木村都由子】

遠くの山近くの山もアレルイヤ
遠くの山近くに見えてアレルヤ
アレルイヤ咲けばアレルイヤ山と呼び
蜻蛉の空を汚せしウルブの輪
【樋口玄海児】


短歌 (選者=藤田朝壽)


だんだんと耳遠くなり「ちぐはぐ」な言葉交わして友と和みぬ
秋晴れの小さな花壇を打ち返す土の匂いは吾を励ます
ステッキと言えばハイカラしゃれていて杖は何だか爺(じい)くさくあり
【スザノ福栄会 青柳房治】

この年の最後となれる満月をふたりて見んと夫を呼びたり
ガス栓は良いか先行く夫の声に再度たしかめ今日も出かける
難聴となりたる友は電話にてわたしと言うにまた聞きかえす
【スザノ福栄会 青柳ます】

新しき入歯に口許若返り帰り来し老夫がウインクをなす
アパートでは聞けぬ地を打つ雨の音しみじみ生きてる実感が湧く
世界中に届くジャイカのカレンダーに吾が四万十の青き流れが
【スザノ福栄会 寺尾芳子】

朝夕に交わす挨拶さわやかにアンドレ一家と親しみを増す
移り来し向かいの主は二十年前隣に住みいし腕白少年
幼な日を過ごしし所に住みたしと一途に励みし二十年とぞ
【スザノ福栄会 原君子】

一年が一度に来しと思わるる人生波乱に満ちし新年
六人の子等それぞれに一家成し九十歳の父を祝えり
涙さえこぼさぬ妹夫のとむらいに子等を指図し気丈さを見す
【スザノ福栄会 杉本鶴代】

座礁して世界のニュース豪華船チタニッキ以来百年目なり
街角にジャッカ売り居り人群れて食ぶる者あり持ち帰るあり
巴旦杏バラッカに香り閏年の二月を飾る幸あれかしと
【サンパウロ中央老壮会 野村康】

馬に乗りたくみに牛を追いまわる少年がいてのどかなる里
しぼられし残りの乳を力こめ子牛は親につきてはなれず
【セントロ桜会 上岡寿美子】

曾孫たちの育ちてゆくは早くしてもう片言に話しかけくる
テレビにて独りドラマを見ておりぬ忠犬ハチ公と言う物語
【セントロ桜会 井本司都子】

朝明けて窓を開くれば唐突な一陣の風吾を驚かす
尋ねてくる人もいなくて独りいる吾に寄り来て子犬はなれず
【セントロ桜会 上田幸音】

矢印の形に翔びゆく雁の群れ見上げて散歩の足をとどむる
吹く風も涼しくなりぬ朝と夕 秋はしずかに近づくらしも
【セントロ桜会 富樫苓子】

いつの日かきっとよい日が来るものと信じて今朝の第一歩踏む
四歳でサントスに着きし吾が息子今日は六十歳の生日を祝う
【セントロ桜会 板谷幸子】

朝夕の風はひんやり空すみて朝市の柿に初秋を知る
窓くれば静かな夜明けパダリヤの煙は風の向きに流るる
【セントロ桜会 鳥越歌子】

早朝にベンテヴィの声に覚めたまたま見し夢なかばで切れぬ
甘きもの好きな私に亡き姉が残しし言葉「常に検査」を
【セントロ桜会 大志田良子】

音信の絶えいし友より便り来ぬ生きていたのと思わず口に
大借金やっと返済定年を馴れた日本で働くという
出稼ぎは金になるなり夜警でもと働きざかりを日本へ行く
【サントス伯寿会 三上治子】
(評:第一首の上句は「音信の絶えた親友久しぶり」とありましたが会いにきてくれたのか、それとも手紙をくれたのかと読者は迷います。久しぶりに便りが来たのであると思って手を加えました。「生きていたのと思わず口に」は素晴らしい作者の歓びが一首の中に溢れています。他の作品「多過ぎる」「多ぜい」「建て直す」の作品、今一度推敲して見て下さい。実力のある方ですから、今一度の推敲で秀歌になる作品です。)

☆宮崎県福祉総合センター短歌大会 入選作品

天照らすたった一つの太陽がすべて受け入れ愛の偉大さ
【三上治子】

カラフルな大小の傘が街を彩りて今日も雨なりため息が出る
大根の炊き込みご飯を吾がつくり家族で味わうカルナバルの日に
伝統の日本舞踊の祭典に個性ゆたかな舞い姿みる
【サンパウロ中央老壮会 彭鄭美智】
(評:カルナバルの日に大根の炊き込み飯をつくりみんなして食べる。その素朴な味に故郷を偲んだことであろう。)

待ちわびし雨雲あれど雷のみで焼きつく暑さ夕まで冷えず
鉢植の花も酷暑に耐えなんと水吸う音が聞こえるごとし
新聞の文芸欄の梅崎氏の作品を読み健在喜ぶ
【インダイアツーバ親和会 野村文恵】

この年は冷夏のせいか前庭の百日紅の花とぼしらに咲く
久々に夏の朝(あした)の散歩道並木のクワレズマ華やぎて咲く
連日の雷雨も止みてカルナバル群衆賑わい今日で了りぬ
【プ・アルボレ老壮会 矢島みどり】
(評:三首ともつかみどころがよく素直な歌。)

さりげなく詠みて諭(さと)せる母の歌 切なく胸にひびきてぞくる
雲の上(え)を見えかくれして飛機はゆくいづこの国へ往きてかえるや
【セントロ桜会 星井文子】
(評:二首とも歌の骨格がしっかりしています。第一首目の歌の上の句「さりげなくつづりし短歌の親心」の「つづりし」は適切な言葉とは言えないです。他に適切な言葉があります。三句の「短歌の親心」も一考を要します。作者の気持ちは判じて解りますが一読した丈で誰にもわかるよう具体的に詠むことが大切です。下の句は素晴らしいです。係り結びが正しく詠まれています。掲出のように添削してみましたが如何でしょうか。)

亡き父の相続もれの山ありて遺産放棄の手続をせり
代替りして久し我が生家便り出せども返事来たらず
鳴かず来て生垣くぐり庭サビア逃げもかくれも人怖じもせず
【サンパウロ中央老壮会 纐纈蹟二】
(評:三首ともよくまとまった作品。文句なしです。私が教わりたい位です。)


川柳 (選者=柿嶋さだ子)


ひなまつり幾つになっても女です
三流の政治と言われ幾とせか
復興を阻む政治と放射能
【サンパウロ中央老壮会 鈴木ふみ】
(評:復興復旧への道程は遠い。いつまでも政党政治から脱け出せぬ政界を衝いてお見事。)

一寸やりゆっくり休む老いの知恵
娘(こ)より先に親が決めたい遅れ婚
義理だけでよいとは虚し支援金
【サンパウロ中央老壮会 上原玲子】
(評:案外裕福な人に多い。貧者の一灯が対照的ですね。)

ボランティア帰路の坂道足軽し
この妻で良かったですかと問いたくて
いつの日かお前のお陰と言われたい
【サンパウロ中央老壮会 新井知里】
(評:言葉にされなくても心の中ではいつも「有難う」と呟いておられるのではないでしょうか。中句の字余りが若干気になりますが、全句よくまとまっています。)

嘘かさね厚さを増した面の皮
自助努力忘れて年金あてにする
趣味の会残る命を温め合い
【サンパウロ中央老壮会 中西笑】
(評:柔軟な表現法で詠んだ哀歓詩。味わう程に深みのある作品の一つ。今回の秀逸に推したい。一、二句ともに佳作。)

泣き上戸笑い上戸の酒酔い加減
傍(はた)の目に亭主関白恐妻家
愚痴よりも子供自慢が聞きやすし
【サンパウロ中央老壮会 交告余碌】
(評:少なくとも子供自慢には未来があります。)

良い子だね誉めて素直な子が育ち
欲のない心が人の平和よぶ
停年後お医者通いで暇つぶす
【サンパウロ中央老壮会 坂口清子】
(評:健康第一。こんな暇つぶしなら大いに結構。)

不況風わが足もとを見て歩く
浅学で非才な句作師に押され
頑張れの二字が燃えてる句作の灯
【カンピーナス明治会 塩飽博柳】
(評:卒寿を越されて尚、句作に励む作者にエールをおくります。ご健康に留意され、益々のご健吟を祈ります。)

一切を忘却落花舞ってゆく
湧き出ずる清水胃の腑にしみわたる
爽やかな風に誘われ杖と行く
【サンパウロ中央老壮会 山田富子】
(評:杖と仲良く一歩一歩に心して――頑張ってください。一、二句は一部言葉を入れ替えました。参考になさって下さい。)

電話口難聴かなし聞きとれず
さすが板前天下一品味の良さ
家庭料理教えてみなに喜ばれ
【サントス伯寿会 三上治子】
(評:簡単に作れる家庭料理は日常生活に欠かせないもの。)

新聞が何より楽しみ老いの日々
カルナバル日系参加増えてくる
カルナバル勝敗騒ぎでミソをつけ
【セントロ桜会 中山実】
(評:少し添削しました。参考になさってください。)

急逝の友が教えた持ち時間
その時は延命やめて自然にね
【サンパウロ中央老壮会 藤倉澄湖】
(評:上語の「その時」に思いが沈む。そして「自然」にたどり着き共感に浸った。今回の特選句に加えさせて頂く。)

◎席題「叱る」 余碌出題
叱られし事も懐し思い出に【ふみ】
父親の叱咤が子供を立ち直し【ふみ】
ガミガミと叱られ馴れて馬耳東風【笑】
他人(よそ)の子も叱って上げよう躾です【笑】
叱らずに誉めて上手に部下使う【清子】
叱責をズンドコ節で気を晴らし【清子】
叱られて頭を下げる良い子供【実】
目で叱る無言の躾親ごころ【余碌】
叱るより諭され素直な子が育ち【余碌】
叱られて使いに走った日の記憶【富子】
叱られて良い子になるとは限らない【富子】





「孫」

 新しき年を迎え孫が
病む私に食べよいようにと
 ソーメンやラーメンを
作ってくれる
 心のやさしい孫
あいさつを身につけ
 一日一日成長していく孫
よく学び よく遊べ
 良き出会いを得よ
十五になったら
 カナダへ留学の話もあるという
すこやかに たくましく
 生きてほしい
人を愛し 人の苦しみが
 解かる人に 育ってほしい
ばあちゃんの願い
 十二歳になった
孫の未来に幸あれ
【ナザレー老壮会 波多野敬子】


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