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熟年クラブ連合会
     俳句・短歌・川柳・詩  (最終更新日 : 2019/02/15)
2012年10月号

2012年10月号 (2012/10/12) 俳句 (選者=樋口玄海児)


異国の地に本願寺あり鐘霞む
血統書仔馬に附いて届きけり
時差ボケの戻らぬままの朝寝かな
木の芽晴みちのくの旅米旨し
【森川玲子】
(評:木芽時の日本の旅。花もよし、食べ物も懐かしさでいっぱい。その中で北国の米の旨さに感動した旅の思い出の俳句。いつまでも心に残るでしょう。)

八九月雨無き庭の蘇鉄伸び
景観をくずすブルトウザ春旱り
街の四面山のユーカリ蘖えて
日脚伸ぶ老いて女の洒落言葉
【高尾ケン一】
(評:ユーカリの蘖(ひこば)えは凄まじく伸びが早く、瞬く間に1メートルになる。原産はオーストラリア。同地に住む動物コアラの大好物。ブラジルではコアラは見たことがないが、サンパウロのどこに行ってもユーカリ林が見られる。また、炭はほとんどがユーカリ炭である。)

ばあちゃんのカラシナうまし今朝のめし
気ずかずに八十路迎えしめおとかな
一面の木の芽の中の白き蝶
【佐川洋三】
(評:二句目。健康で何事も気にしないで過ごしてきた夫婦が、気が付いたら八十歳になっていた。おめでとう。)

老体の調子を崩す木の芽時
闘鶏に男勝りの啖呵も出
【纐纈喜月】
(評:一句目。木の芽時の気候の変り目には老いた体はついていけず、色々な病に入りやすく、特に持病持ちの人は要注意。木の芽時の季題を上手に使った佳句。)

夏の海みをつくしとは哀しき語
千両に似あいの小さき小鳥の巣
倖せと言はれうなづく老いの秋
【伊津野静】

セラードは希望の大地仔馬駆け
二つなき命生のび大朝寝
大粒の星の宿りて木芽時
【栢野桂山】

ニキビの娘根太出す子や木芽時
世界でも珍らし木葡萄樹木の日
つつじ植う父を謳わん樹木の日
【野村康】

うれしげにタンポポの絮飛び立ちぬ
種蒔くは男の仕事野良楽し
美しき胸のぞかせて春の街
【三原芥】

剪定の音のみ聞こゆ今日の晴
剪定の手を休めずに答え居り
長生きの顔が微笑む木の芽晴
【畔柳道子】

ひととせの療養ぐらし柿芽ぶく
蔓サンジョン季節はづれに花つけし
【玉井としお】

箸使ふを覚えし孫や木の芽吹く
剪定に庭木すっきり風のみち
【畠山てるえ】

アルファルファのもやしのサラダ春浅し
門前の牛蹄花の白今盛り
【寺尾芳子】

黒肌の壷にうっすら春埃り
植樹する人山を焼く人樹木の日
【鈴木ともや】

樹木の日青年の森と人は言ふ
蛙鳴くかつては灌漑用水池
【杉本鶴代】

明日がある今日も幸せ日向ぼこ
恙がなく数えの八十教師の日
【青柳ます】

迷彩服のアマゾン部隊独立祭
教師の日音楽指導に身を捧げ
【香山和栄】

湯上りの一杯の水春の宵
湯の宿の夜明を告げるベンチビイ
【矢島みどり】

奇妙なる枝ぶり露は落葉して
若草や引くのこぎりの先ふれて
【伊津野朝民】

独立祭にこやかにパレードジウマ女史
春を待つ蕾にさそわれ庭に出る
【清水もと子】

木の目時花種まいて庭作り
退職し気持ゆるんで大朝寝
【原口貴美子】

取り立ての鰆を片手に友来る
官学の試験パスして大朝寝
【秋元青峯】

句作する老いを励ます春の鳥
転んでも杖を放さぬ山笑ふ
【山田富子】

独り身の広き厨やジャカランダ
親馬に仔馬ほほづり甘えかな
【吉崎貞子】

鉢植えや光の中に木の芽萌ゆ
久々に夫との旅や花曇り
【村松ゆかり】

富有柿色良く形良く味もよし
鰯干す網を動かぬ牛の蝿
【大橋昭子】

写経する吾れに明るき黄イペー
振って見るかすかな音や花の種
【青木駿浪】

リベイラの流れは豊か遠霞
モザンビーク土産のスカーフ春の風
【香山和栄】

六十日雨降らぬ畑埃立つ
【古賀マリア】

パウブラジル花咲きそめし樹木の日
【杉本君枝】

塩田や塩山光り風光り
【木村都由子】

子供等の豊作踊り美しき
【三上治子】

父の日や親子揃って餅を搗く
【小野浮雲生】

健康が自慢の妻の大昼寝
百姓の健康法の大昼寝
牧童の大きな夢や春の虹
早春の畑に早やもアスパルゴ
【樋口玄海児】


短歌 (選者=藤田朝壽)


八十歳となりても若さ失わずカラオケに行き短歌も詠まん
ふるさとをテレビが映す満開の桜はわれの郷愁癒す
土曜日の夜中にはじまるのど自慢傘寿の夫は眠りはじむる
【スザノ福栄会 青柳ます】

優男の孫の花嫁落ち着きて婚礼の席に頼母しく見ゆ
大方は葉桜となりし寒き日にヒマラヤ桜の満開に出会う
【スザノ福栄会 寺尾芳子】

ロンドンのオリンピックの開会式夫とふたりで息のみて見る
留学より帰りし孫は祖父母にとイタリア料理を作りて呉れぬ
骨折の癒えて妹帰り行き火の消えしおもいにアパートに居る
その昔ゴムで栄えしマナウスは今は各国の工業団地
【スザノ福栄会 杉本鶴代】

雨風に枝折れせんかと気づかいし庭木の剪定今日終りたり
将棋のこと何も知らぬにアニメのチャーロに駒の役目を吾は教わる
吾の寝相も時計の針もまっすぐに今朝の六時の目覚めすがしき
【スザノ福栄会 原君子】

あの夢は高嶺の花であったけど諦めまいぞ明日の日がある
わづかなる雨がさそえるこの寒波日本祭の人出や如何に
ピポケーロ初売りと言い鈴鳴らし鳩にも時折り撒きて与うる
【サンパウロ中央老壮会 野村康】

プラタナス芽吹き初めたる薄みどりまだ散りきらぬ枯葉ちらほら
お若いと云われ喜ぶ年齢(とし)でなし食欲のみは昔なみにて
パソコンのゲームに夢中の孫達の学業いかにと思いやる老い
【サンパウロ中央老壮会 纐纈蹟二】
(評:三首とも良くまとまっている。第一首目、プラタナスが芽吹き初めて、まだ散りきらぬ枯葉ちらほらがいい)

母親のいうことのみはよくわかる二歳の曾孫がわが前に来る
寝ぬるには早しと思い本読みおればしづかな音に雨降り出だす
つつがなき昨日につづく今日ありて窓に明るき朝の陽はさす
【セントロ桜会 井本司都子】
(評:三首目の歌、何事もなく昨日も無事に過ごすことが出来たひと夜明くれば朝の陽は窓に差している。生きる喜びを身にしみじみと感謝している。沈濳した深い味わいのある作品。)

雨遠く花期長き藤の満開を夫と飽かずに眺めているも
皺増えし顔にクリームなすりつつ今日もがんばれと鏡のわれに
夕暮れに色極りて咲き盛る藤ははらはら花こぼしつつ
【セントロ桜会 富樫苓子】
(評:紫の藤の花は日暮れになると色が濃くなる。作者はそれを、色極りてと表現したのはさすがと言いたい。下句、はらはらと花こぼしつつ、とつつ止めにしたので秀歌となった。)

わが齢(よわい)百まで生きたしは夢のゆめ九十五歳容易にあらず
坂多き長崎観光つかれきてオランダ屋敷はわが足かなわず
長崎の平和公園の巨像を仰ぎ原爆しのび祈りささぐる
【セントロ桜会 鳥越歌子】
(評:三首ともよくまとまった作品。二首目の長崎観光では坂が多いためオランダ屋敷を見ることができなかったのは心残りであったことがよく分かる。)

アパートに独り暮しの我が友はアジーロに行くと寂しく告げる
老いるとはこんなに切ないものなのか他人事ならず明日は吾が身も
今日もまた花火の音が空に爆ぜ夜も眠れぬ時がしばしば
【セントロ桜会 板谷幸子】

書道展今年も近づき筆をとる齢とるごとに字はかたくなる
人知れず道辺に咲けるタンポポがそよ風に吹かれ坊主となりぬ
亡き友のかたみの万両一年中たえることなく赤き実たわわ
【セントロ桜会 大志田良子】
(評:第二首目のタンポポの歌佳、「そよ風に吹かれ坊主となりぬ」。よく見ていて詩情がある。)

お盆の日沈む陽ながめ思いおり今年四人の法要せしこと
思出も新たになりて七年忌梅の花見ず姉は逝きにし
七年ぶりの訪日旅行に発ち行かん子の家なれば心もかろし
【レジストロ春秋会 小野浮雲】

夫の風邪癒えて娘等に誘われてしばし保養の温泉(いでゆ)の旅に
ゆったりと湯舟にひたり目をつむり世事を忘れて心安まる
弱視なる吾を気づかい娘等の気配りうれし身にあまるなり
【プ・アルボレ老壮会 矢島みどり】

百歳で美声で唄い終わりたる高比良さんに大きな拍手
支援会美声で歌いし百歳で上位入賞ホームの星よ
大量に中国製靴が入荷して伯国業者は泣くに泣かれず
【サントス伯寿会 三上治子】

米国に遠征の少年野球優勝なして無事に帰伯す
起き抜けに裏口に出て見さくれば残月淡くビルの彼方に
つつじ咲き藤の花咲き桜咲く春爛漫の我が庭に立つ
【インダイアツーバ親和会 野村文恵】

引き出しの古い手紙を整理中南支で戦死の兄の手紙が
親の無学恥ぢて五人の子供には苦しい家計を言わず学ばす
スイッチを押せばテレビに雪景色汗かく肌に寒さ感じつ
【ツッパン 上村秀雄】

知らぬ間に百歳となりたるとは我ながら驚きの目を見張るのみ
この歳で我とは思えぬこの健康すべては神のなせる業(わざ)にて
【ツッパン 林ヨシエ】


川柳 (選者=柿嶋さだ子)


いっぱしの物識ぶって恥をかき
筋違い正義かざせば友は去り
丸腰じゃ強気外交成り立たぬ
角とれた云われて地金引っこめる
【サンパウロ中央老壮会 交告余碌】

父と来た異国故郷の地に替わり
勝ち負けを論じた移民風化する
褒められた言葉の裏を読む余裕
やれるだけやったと言える己が道
【カンピーナス明治会 塩飽博柳】

父の日はお茶パーティにパステスで
父の日や肩のこらないカラオケで
数独に時を忘れて答え出ず
おすそ分けばあちゃん同志のおつき合い
【サントス伯寿会 三上治子】

人生の節目節目に助けられ
好奇心もつ人いつも若くいる
主婦の顔立てて今日はちらし鮨
【サンパウロ中央老壮会 鈴木ふみ】

この度は総理になれそうこぞって立つ
二人して寄り添い寝てるシルバー席
飽きたとて買い替え出来るよき時代
【サンパウロ中央老壮会 上原玲子】

紅たして老いの突かい棒にする
子育てを終えてモードに目がはしる
山脈を越えて明日が見えてくる
【サンパウロ中央老壮会 山田富子】

パラー州も日本祭りに参加する
やっぱりコチア日本祭りに野菜売る
日本祭りホリネス教の茶が美味い
【セントロ桜会 中山実】

浅学にいつも寄り添う辞書がある
呼び出しと行司と塩は日本製
優しさのもとは気づかう心から
【サンパウロ中央老壮会 藤倉澄湖】

言いすぎて友を失う羽目となる
やりすぎて又も友情そこなわれ
前後左右目配せしながら外歩く
【サンパウロ中央老壮会 渡辺文子】

煩悩一切水に流して良く晩年
夫婦円満秘訣互いの思いやり
百四年移民の水流美しい
【サンパウロ中央老壮会 彭鄭美智】

犬なのに犬と思っていない犬
ヒマができ庭で小鳥とピタンガを
相撲観る友も起きてるこの時間
大切なめがねあったよ老ク連
【サンパウロ中央老壮会 新井知里】


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