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熟年クラブ連合会
     俳句・短歌・川柳・詩  (最終更新日 : 2019/02/15)
2012年11月号

2012年11月号 (2012/11/10)
俳句 (選者=樋口玄海児)


春風や甘い香を撒く菓子工場
花マモン窓に聞えるコロニヤ語
日語校の辷り台なつかし子供の日
朝蔭の表紙に咲いて桜草
【野村康】
(評:三句目。今では少なくなった日本学校。昔の大きな移住地は日本語学校には色々な遊び道具があった。その一つ滑り台が老いにはなつかしい。子供の日にぴったり。)

冷ピンガ憂さ晴らしにもせし昔
不味いものとされて笑みおり早人瓜
薄塩の味が身上はやと瓜
地響の近ずいて来る牛の旅
【伊津野静】
(評:四句目。今はサンパウロではまず見ることができないが、昔を思い出しての句。何百頭の牛の旅。地響きもまた牛群の恐さを身に感じた思い出。ブラジルらしい俳句。)

横文字の演歌を唄う日永かな
一発の春雷涙を吹きとばす
今日も吹く幸せ風よ花リッシャ
春雷が話題を変えてくれました
【畔柳道子】
(評:四句目。同じ話が続いてた。その話がまだ続こうとした時に春雷が鳴り、今までの話は途切れ、次の話に救われた気持ちになった。春雷では珍しい俳句。)

一人にも慣れて希望の種を蒔く
ていねいに汚れを舐める恋の猫
話しかけ草餅供え水供え
【吉崎貞子】
(評:三句目。まだ日本人の家では仏壇がある。それに出来たての草餅など供えたり、女の人であるので夫か父母また子供の位牌に話しかけながら供えられたのでしょう。十一月二日はブラジルで墓参の日になっている。)

四階の枕照らして春の月
春光や盲導犬の人の杖
のどかさや幼児二人と世界旅
荷車に子連れ自転車旅は春
【清水もと子】

小春日のデートコースの園の道
綿雲を着てジュキヤ富士マリア月
狐めく痩犬連れて春野行く
セラードを自由に輪をかく群ウルブ
【栢野桂山】

畝後の残る畑の春の草
夕焼の明かりの残る闇の空
精いっぱい羽根を振るわせ囀れる
南国の紅葉の色にも驚きぬ
【大橋昭子】

せせらぎの喜び弾む春の川
つんつんと鉢に溢れるシクラメン
月光の雫にぬれて草の径
人声に混ざりて鳥ごえ園うらら
【清水照子】

夏近し草原いよいよ緑ます
子供の日海で遊びし頃恋し
スザノ市は日系市長夏近し
【杉本鶴代】

ガラス戸をノックして行く春の風
大学生の孫帰り来て青き踏む
コスモスの花も明るし子供の日
【青柳房治】

脂草夕日に華やぐ丘の牧
とって置の柚子味噌添えて冬至粥
郷土祭老には欲しきものばかり
【木村都由子】

剪定の果樹に小鳥の巣を残し
天井なき墾家の屋根に猫の恋
二つ程鳴りて春雷消え去りし
【纐纈喜月】

外灯や粒を顕に春の雨
春塵の見えぬ夜窓を開けて書く
春蚊来てほそき腕にくちづけす
【佐藤美恵子】

春雷の我が老犬は縮こめり
春の蚊にメール打つ手を刺されけり
一世も二世も老ひし春惜しむ
【村松ゆかり】

手仕事のひと日はかどる家日永
永日日や仕事帰りのボテコかな
収穫を夢見る輩種を蒔く
【宮腰陽子】

春雷の過ぎたる空に群雀
春雷や子等ちりぢりに家路へと
激しくも実らぬことあり猫の恋
【宇野博】

盆踊り終えて過疎の灯も消える
同郷の絆をつなぐ盆踊り
里人も紅白浴衣で盆踊り
【小野浮雲生】

夏来る木々の緑も鮮やかに
バス停に程よき影や牛蹄花
見はるかす空の青さよジャカランダ
【松崎きそ子】

混雑の特売店や町日永
母は菜娘は花の種を蒔く
釣り堀に向かふ横径花リッシャ
【畠山てるえ】

野の風を添えて春草活にけり
春風に合格二文字光りけり
波の音が決心させる春の旅
【山田富子】

帰化しても吾日本人春耕す
音も無く春雨一夜で上りけり
外灯に遮られてる星朧
【高尾ケン一】

臭ひしは屋根のウルブの巣なりけり
杖の歩に遅れ寒波の風まとも
白き花ぼんやり暮るる冬小雨
【伊津野朝民】

朝寝する子等にはら立て妻かなし
春暑しうちはの風ももの足らぬ
【佐川のり】

山登り苦難の道に人造り
蛇口水へりはじめたる春旱り
【三上治子】

虫鳴くや蛇酒並ぶ棚の隅
聴え来る夜警の笛も秋の声
【湯田南山子】

見上げ佇つマネキンモーダ夏隣り
アルバムの昔とくらべる子供の日
【寺尾芳子】

戦争の時代を生きし子供の日
ものを言う仔犬のおもちゃ子供の日
【青柳ます】

イッペ散りジャカランダ咲き春寒し
着ぶくれて熱きスープや戻り風邪
【矢島みどり】

ひたむきに生きし人生孝子の忌
粧はぬ顔間延して春の昼
【猪野ミツエ】

放れ馬驚かしたる春の雷
馬の尾の振りの止まりし春の雷
畑日永太りの早きアルファッセエ
【樋口玄海児】


短歌 (選者=藤田朝壽)


たゆまざる努力と命かけて来しパラリンピックの選手を讃う
リハビリに手摺たよりて上がり降り八十路確かな今朝のはじまり
歌好きの吾に息子の送りきし昭和の歌謡くり返し聴く
銀シャリと遠き日言いきビニールにつきたる飯の一粒を食う
【スザノ福栄会 青柳房治】

春日受け黄金にかがようイペーの花今年の祭に咲きしうれしさ
山鳩の間遠なる声聞きおりていつしか寝椅子に眠りに落つる
隣国は戦の最中トルコへとチェスの試合いに孫は旅立つ
【スザノ福栄会 寺尾芳子】

人間は百二十年生きれると力説したり日野原医師は
ワープロの前に座りて留守居する夫は歌会の短歌をつづる
血圧の薬のむ夫のまぬ吾平常たもちて今日も体操
NHKのテレビゆ蝉の声きこえ此処はブラジル春風そよぐ
【スザノ福栄会 青柳ます】

郷土食求めて群衆列なすと聞くだに祭りに行き難き老い
体調の自己診断に神経を使いすぎると娘らに叱らる
ラッシュアワーの中を走れる自動車の尾灯は火玉の流るる如し
【スザノ福栄会 原君子】

次々と高層のビル建ち並び発展著(しる)しサンベルナード
うららかな春の陽射しを浴びながらサンベルナード医院に着きぬ
アベニーダの花壇のツツジ萎れいてしばらく雨の降らぬを思う
【スザノ福栄会 杉本鶴代】

高齢者のわれはポ語の学習の会話になづみ冷汗をかく
杖を曳く我に通れと片手ふる運転士にうなづき舗道を渡る
【サンパウロ中央老壮会 野村康】

為しがたき思いに月日は過ぎてゆく若き頃より今につづく日
からたちの棘に手ふれて傷つきて赤い夕陽を見て泣いた日よ
【セントロ桜会 井本司都子】

さわやかな朝日を受けてたたずめば風は静かに吾が頬なづる
昨夜の夢思い出しつつ懐かしき幼き友との人形遊び
【セントロ桜会 上田幸音】

年ごとにガラクタ捨てんと思いつつ早や十二月の近づきにけり
肩病める夫とリハビリへの道すがら幼なの如く四方ながめつつ
【セントロ桜会 富樫苓子】

アベニーダの埃にたえきし白イペー季(とき)をたがえず凛と咲きたり
長らくを会うなき友に電話せりホームに入りしと家人の言う
【セントロ桜会 鳥越歌子】

物忘れだんだんひどくなる日頃行く末思えば不安のつのる
リハビリにいそしむ夫を見るにつけぎこちのなさに哀れをさそう
【セントロ桜会 板谷幸子】

電車にて席をゆずられ感謝しつつ熟づく思う吾も老いたり
かねてより介護の疲れを温泉に願いかないてカルダスノーバへ
【セントロ桜会 大志田良子】

待ちかねしただ一日の雨なれど庭の芝生に青芽見え初む
イペー散りいつしか紫ジャカランダ寒風に耐え健気に咲けり
寒き夜の乾肉入りの木藷汁父母の膝下で食べし日偲ぶ
【プ・アルボレ老壮会 矢島みどり】
(評:寒夜、家族揃って食べた乾肉入りの木藷汁は体が温まった事と思う。作者にとっては忘れ得ぬ母の手料理の一つ。)

数独の答えはちゃんと出てるのにやり方かえてまた挑戦す
ぶつかって足をいためた小鳩あり仲間が案じてまわりとび交う
休みては必死に羽をばたつかせ小鳩はよおやく芝生の上に
【サントス伯寿会 三上治子】
(評:傷ついた小鳩によする愛情がよく出ている。)

同情は親しき者に限られず老いたる我に如何がとぞ問う
リベイラ富士と兼題に詠みし句の会も現在(いま)は振わず秋を迎えぬ
長年を世話になりたる文芸の先輩知友の訃報に悼む
【レジストロ春秋会 小野浮雲】

灼けるような旱りも雨で一変し寒暑激しく身は耐えがたし
老人会の余興に男性らマイクとり戦中戦後の歌を唄えり
楽しみは老壮の友の短歌欄月に三首が心の拠所
【インダイアツーバ親和会 野村文恵】

訪日し始めてタクシの中で聞く変りましたと戦後の日本
老ク連の会長より頂きしこの用紙に今日は歌かく感謝しながら
【バレットス寿楽会 池田正勝】
(評:老ク歌壇に初の投稿者。この調子で続けて下さい。)

六十年の長い道程夫と友に二人三脚明日も笑顔で
縁あって共に歩んだ六十年元気な家族が二人の宝
あの頃は良く頑張ったと語り合う新婚当時の勤勉孫にも話す
移り来て四十の来歴を孫に聞かせよと夫は言えり
【サンパウロ中央老壮会 彭鄭美智】
(評:四首ともよくまとまっていて、味わいの深い作品。元気な家族に恵まれた幸せ。何よりの宝です。)

木の梢(うれ)にとまり動かぬ鳥一羽鉄砲射つまねして孫に見す
背景の幕は富士山村芝居東下りの馬子役を演(や)り
葉の散りて枯木のごとく見ゆれども希望の色に黄イペ咲きそむ
【サンパウロ中央老壮会 纐纈蹟二】
(評:三首とも良くまとまった歌。ベテラン級の作家。二首目「東下りの馬子役をやり」で村芝居が目に見えるように詠まれている。三首目、黄イペーを「希望の色」にと詠われたのは氏をもって嚆矢とする。)


川柳 (選者=柿嶋さだ子)


細胞学の山中さんにノーベル賞
道草を食うも人生長い道
虹色に咲かせて上げたい子の未来
【サンパウロ中央老壮会 鈴木ふみ】
(評:子の未来を案ずる母親の切実な思いが伝わって来ます。)

空見上げ人も草木も慈雨を待つ
先生の笑顔が嬉し今日の句座
汚れなき政治を願う選挙の日
【サンパウロ中央老壮会 坂口清子】
(評:清き一票を汚さないで欲しいとは、万人の望むところですが――。)

老いてなお心の糧の句作する
忠告と云えど鋭き刃で突かれ
朝市で数ごまかされる老いかなし
【サンパウロ中央老壮会 交告余碌】
(評:年寄りと見て誤魔化す不心得者もいるから要注意です。)

ゲートボール最後の玉は上り玉
ボールの芯叩いてうまく通過せり
付け玉で敵の玉を叩き出し
【セントロ桜会 中山実】
(評:ゲートボールにも色々とコツがあるのですね。)

外出を医師に許され春来り
負けて勝つ母の笑顔にあるゆとり
【サンパウロ中央老壮会 山田富子】
(評:このお母さんの笑顔で家庭はいつも明るい。)

真実の言葉尊く噛みしめる
悲しみに勝てる力は抱いている
己が位置知って平和な座を貰う
【カンピーナス明治会 塩飽博柳】
(評:自己過信は兎角不和を招くもの。人生の指針を柔和に詠んでお見事。秀逸に頂きます。)

新樹の中古びた校舎建ち残り
新世帯気にせずポイとゴミ箱へ
土砂の道通るは貧しき人ばかり
【レジストロ春秋会 小野浮雲生】
(評:自家用車が無い人達にとっては大事な道なのです。)

敬老会歩いて参加出来る幸
敬老会人の善意が身にしみる
草むしり流れる汗に感謝して
【サントス伯寿会 三上治子】
(評:何事も感謝の心で受けとめる事の出来る人は幸せです。いつも明るい治子さんの笑顔が浮かんで来ます。)

前かけをせねば我が家は落ち着かず
深刻なケンカはもうせぬ共白髪
信仰の深い国ほど戦好き
【サンパウロ中央老壮会 藤倉澄湖】
(評:中東の空には今日も戦雲が漂う。)

フランス展きゅうに賢い主婦になり
青じそを大事に抱いて帰途に着き
あの頃はみんな登れたピッコデジャラグワー
【サンパウロ中央老壮会 新井知里】
(評:あの頃はみんな若かった。ピッコデジャラグワーから眺めた風景と共に、若き日のロマンが浮かび上がってきます。)

◎席題「これから」 余碌出題
これからも趣味に生きます六十路坂【ふみ】
これからも生涯学習マイペース【ふみ】
これからの事は神様まかせとす【ふみ】
これからでも遅くはない習いごと【清子】
カラオケを終えてこれからマージャンへ【清子】
人生はこれから花を咲かせよう【清子】
子や孫に逆う事のないように【余碌】
これからは健康第一生きてゆく【余碌】
認知症人ごとならず心して【余碌】
早や米寿これから先は神まかせ【富子】
これからも上達したい習いごと【富子】
これからは思い通りにやってみる【実】
これからは禁煙すると言ったけど【実】





「詩」

曾孫のお土産は 二包み
一つは みんなに と書いて
一つは ばあちゃんに と書いて
中身は同じ物
【ツッパン老人クラブ寿会 林ヨシエ】


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