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熟年クラブ連合会
     俳句・短歌・川柳・詩  (最終更新日 : 2019/02/15)
2013年2月号

2013年2月号 (2013/02/13) 俳句 (選者=樋口玄海児)


捨てかねし物ふえてゆく年の暮
子等海へ吾れは我が家で寝正月
更けし夜や襲撃蟻の話など
サングラスかけてスタイル決まりたり
【畔柳道子】
(評:三句目、入植時の家で戸などあってなきが如く、どこからでも蟻や蛇など自由に出入りできる家。本当に貧しい家でした。蟻襲撃の季、良く出ている。)

菜葉服仕事始めの清掃夫
騎馬で行く森の細道夜鷹鳴く
岩山の割目野生のアマリリス
潮騒を聞きつ留守居の寝正月
【纐纈喜月】
(評:三句目、アマリリスの原種はブラジルと書いてあり、貝塚のあるカナネイアでよく見かけた。ただ、原種アマリリスは少なく、アチバイアの石山に見かける。)

初閧は向いのバールのチャボなりし
女王花のピンガ漬けとはありがたし
初厨一番客は野鳩二羽
貧厨に四つの窓や庵涼し
【三原芥】
(評:二句目、女王花のピンガ漬け。評者も少し飲んでみたいものだ。ブラジルに来て世界中の酒を飲んで、まだまだ女王花の酒を口にしたことがない。)

バラ赤し幹スマートな庭の椰子
街師走どこふく風とドミノかな
植へし木も庭も古りたり年暮るる
夏の果てホ句を始めて六十年
【伊津野朝民】
(評:二句目、ブラジル人は年が終わろうとしているのに全く暢気(のんき)。長くブラジルに住んでいても呆れる作者。)

夜鷹鳴く山のホテルの駐車場
古コロツテに咲かせし頃や布袋草
ガイドの娘みんなに笑顔アマリリス
庭のある家に住む幸アマリリス
【畠山てるえ】
(評:一句目、最近珍しい所、また変わった所にホテルができ、きれいな道路で簡単に行けるようになった。しかし、夜にはさすがにまだまだ未開の土地を思わせる夜鷹などの声に気を取られる場所と思わせる。五七五の言葉をうまく組み合わせた面白い句。)

健診の医者欠伸びして夏時間
看護婦も医者も欠伸びや夏時間
一千Kの旅疲れして夏の果て
果樹園も鶏飼いも果て蕨もえ
【高尾ケン一】
(評:一句目、ブラジル季題を上手に句にした。出来上がりも良く、夏時間の句として上等と言えよう。)

湖風の吹き上げて来る茸狩り
根腐れの蘭甦れと移植せる
遠く来て山百合の野はただ広し
何につけ仰ぎし南十字星
【伊津野静】
(評:四句目、移民当時に何も分からず、何かにすがりたい気持ちが出ている。高い句と評したい。)

椰子帽子幼き顔に紐しかと
病葉や園丁いつも手に箒
宿浴衣久闊果てなき県人会
黒マネキン衣装着飾り黒人の日
【佐々木古雪】

職退いて自由の身なり大昼寝
陽を受けて七色に映えシャボン玉
つつましく姑の面影君子蘭
靴磨く子等に佳き蔭鳳凰樹
【松崎きそ子】

病棟の午後の安息アマリリス
老いの皺隠して闊歩サングラス
花火師は北伯生れ除夜花火
【森川玲子】

サングラスかけて素通り隣りの娘
思い出は耕車で急ぐ拝賀式
年越しのシャンパンに酔い寝正月
【秋元青峯】

習い始めの夫は懸命コンピュータ
サングラス取れば可愛い笑顔あり
亡母育てし庭に一面アマリリス
【原口貴美子】

婆ちゃんの仕事始めやホ句作り
燕尾服似合うが自慢の鋏鳥
山鳥の巣の雛狙う夜鷹とぶ
【野村康】

個性のみちがう双子やアマリリス
なごやかに笑顔が揃う初句会
隣家留守雨後の夜香花香を放つ
【吉崎貞子】

読書すや机上にかがみ餅置いて
高い山の清水ごくりごくり飲む
正月は国民文化がいの一番
【山田富子】

今年よりもち搗機会の出番かな
初日記娘より届きし日記帳
九十六歳夫は元気で年迎ふ
【杉本鶴代】

御馳走は娘まかせのお正月
花の咲く年であれよと蘭の花
【青柳ます】

恩返えし植樹の森がぞくぞくと
屋上で花火見物大晦日
【三上治子】

すらすらと筆で書きたる年賀状
老い二人新居に移りて初日の出
【青柳房治】

夏帽子そろって下りくる観光団
夏帽子ステキと伯人肩たたき
【清水もと子】

梅干や紀州の梅は日本一
緊迫の投票にあり街師走
冬実さん梅干を干しつつ歌手になり
【猪野ミツエ】

発声は腹からコーラス初稽古
冷やっこもめんどうふを好む夫
除夜の鐘花火の音にくぐもりて
【香山和栄】

老夫とはいつでも一緒年迎う
新年を心新たにひきしめて
【矢島みどり】

「妹逝く」
春虹を渡りて妹帰らざる
虹消えて妹さようなら云はざりし
初夏の陽を一杯に浴び移民墓地
墓地の名はフランボーラン晴れていし
【樋口玄海児】


短歌 (選者=藤田朝壽)


新春のカラオケ大会優勝を目指して妻の声はずみたり
八十路過ぎ一日の疲れ湯に浸けて手足の伸びを明日につなげり
六十年ダイヤ婚式の朝をゆく黄花コスモス咲ける野の道
【スザノ福栄会 青柳房治】

黒潮の岩かむ岬足摺の白亜の灯台陽にかがやけり
吾の心音聴きいる医師より目をそらし軒おつる雨音の高まりを聞く
過ぎ去りし絵巻広ぐるごと聞きぬ夜半ゆく貨車の長き響きを
【スザノ福栄会 寺尾芳子】

医師に見せし血液カード異状なし晴ればれとして新年祝う
在りし日の母と揃いに買いし椀年越しソバを盛りていただく
弟は逝きて三年夢に会うふるさと遠き異国にありて
【スザノ福栄会 青柳ます】

穴あきし桶に水汲む思いあり幾年学べど進歩なき吾
新年の松の飾りも造花にてたやすく外し又納(しま)われる
新しき下駄はき幼な日新年の雪にはしゃぎて歯型をつけし
【スザノ福栄会 原君子】

還暦を祝う吾が子はかたえなる父に感謝の言葉を述べる
成長期の学生らしきこの写真ありし日偲び義妹と見る
【スザノ福栄会 杉本鶴代】

ねぎごとのありて百年地蔵尊にしずかに合わす掌熱く
ビル間(あい)のソブラードの屋根葺き替える職人ふたりの帽子が光る
【サンパウロ中央老壮会 野村康】

見渡せば右も左も緑こきゴヤス高原牧場のつづく
白雲が空いっぱいに広がりてブラジリアまでの二百キロ遠し
【セントロ桜会 上岡寿美子】

子供らの写真の額を見上げつつ朝のコーヒーマモンとバナナ
時折に朝のコーヒーともにする娘(こ)に豆乳わかす土曜日の朝
【セントロ桜会 井本司都子】

雪霏々と降る祖国のニュース聞きまた思い出す被災地の人々
温かきこのブラジルに住みふりて長寿たもつは幸せなりき
【セントロ桜会 上田幸音】

朝夕の寒暖の差がはげしくて何を着るかと迷う毎朝
遠き日にわが子に作りしお手玉を今日は曾孫に作る幸せ
【セントロ桜会 板谷幸子】

大正に生まれ昭和平成と生きて時代の進歩に戸惑う
九十六歳の生日めざして巳の年の朝を転ばぬように起き立つ
【セントロ桜会 鳥越歌子】

年末のNHKの歌合戦若さあふれて見ていて楽し
テレビーの除夜の鐘を聞きながら蕎麦を食べおり除災願いて
【セントロ桜会 大志田良子】

捨てる物多くして明日整理せんと思えばはやも疲れ先立つ
雨ごとに紫蘇は茂りて上田さんを思い出したり差し上げたきに
【セントロ桜会 富樫苓子】

球連の偉大な指導者鈴木氏が心筋梗塞で急逝したり
パソコンの時代になりても先生は手書きがいいと便り下さる
クリスマス年末近く忘年会御馳走つづきで胃もたれくすりを
【サントス伯寿会 三上治子】
(評:パソコンで打った儀礼的な手紙よりも、手書きの方が受け取られた人は喜ばれる、と察して手書きの手紙を寄せられた先生は情の人である。先生の手蹟を見ることによって、より一層の親近感を持つ作者。)

色々な苗木に花を咲かせおり客の目をひく日曜朝市
蜩を蝉か小鳥か知らずして少年のわれは後を追い行く
二十年土地耕せど見こみなくすべてを売って町に移転す
終戦を境に移民は永住と決めて子弟にポ語教育を
【ツッパン 上村秀雄】
(評:ブラジルでお金を儲けて十年したら帰国すると誓って渡伯した戦前移民は、終戦を境に永住と決め子弟のポ語教育に専心。子孫繁栄の基礎を築いたのである。かく言う私もその一人である。)

年越しは海の家でと娘の家族おかれし犬にわれは餌やる
わが短歌選者の添削で読みごたえする歌となり活字となりぬ
【インダイアツーバ親和会 野村文恵】
(評:第一首目の歌、素材がよくてまとまった歌。この素材で四、五首作って下さい。一首だけでは惜しいです。)

師の君の今日は哀しき野辺送り会葬の人ら言葉少なく
残されし遺族の哀しみ如何ばかり胸せまり来て言葉も出でず
安らかな顔容(かんばせ)拝し師のみ教え胸にたたみて冥福祈る
【プ・ダ・アルボレー老壮会 矢島みどり】
(評:亡き師によする作者の想いが切々として、読者の胸をうつ作品。)

年末の助け合い募金にこの年も高齢者われいつもトップで
紅白の歌合戦に出場し吾が白組が優勝したり
この年も新年会に出席し司会者に名指され祝辞を述べぬ
【バレットス寿楽会 池田正勝】
(評:新年会の祝辞を述べることは名士と決まっている。高齢者である池田さんは祝辞の上手な方ということが解る。)

帰国する夢も消え去りこの国に帰化する気もなく曾孫抱きしむ
買い漁りたる文庫本読みたきといえる人には無料で配布す
句の会に並べられたるジャトバの実割りて中身を食べて見せもし
(評:いつもながら三首ともよくまとまった歌。俳句で鍛えられただけあって、流石です。)

頌春
 老ク連合会会長をはじめ、歌友の皆様方よりご丁寧な新年のご祝詞を頂き忝く有難く厚くお礼申し上げます。本年も何卒宜しくご協力の程お願い申し上げます。(選者=藤田朝壽)


川柳 (選者=柿嶋さだ子)


己が力振りしぼって行く句作の灯
趣味と言う卒寿半ばの句にひたる
やれるだけやって悔いなし老いの道
【カンピーナス明治会 塩飽博柳】
(評:生き来し己れの人生をこのように達観できる人は幸いである。精一杯に生きて来たことへの充実感が漂う。)

妻の咳どこ吹く風の夫です
お互いに孫自慢して年明ける
よろしくね後期高齢仲間たち
【サンパウロ中央老壮会 新井知里】
(評:上五の呼びかけがいい。新年も又、同期の仲間達と相互扶助、快楽に過ごしたい作者の思いが伝わってくる。)

嫌われる蛇も今年は愛されて
無駄なもの捨ててすっきり大掃除
又老いるそれでも新年おめでとう
【サンパウロ中央老壮会 坂口清子】
(評:老いることより新年への抱負を大事に、プラス思考で未来に向かって――。)

エコノミーエコロジーの進歩望む年
DVDとゴロ寝で過ぎたお正月
何はとも家族揃ってお正月
【サンパウロ中央老壮会 鈴木ふみ】
(評:これに勝る良いお正月はありません。)

魂胆を隠してお上手並べたて
掛かり合い恐れ騒ぎに近寄らず
憂き事は忘れて凛と前向きに
【サンパウロ中央老壮会 交告余碌】
(評:前向きの姿勢がいい。作者の凛とした心構えにエールを送ります。)

天と地の神を拝してお正月
お正月雑煮の後の昼寝かな
お正月酒を出されて座りこみ
【サンパウロ中央老壮会 山田富子】
(評:珍客も何とやら――。長居はしないように――。)

コリンチャンスクラブ対抗で世界一
流石サンパウロナタール装飾素晴らしい
俺なりに生きた証を残したい
【セントロ桜会 中山実】
(評:有名人でなくてもいい。自分なりに誠実に生きた証が残ればいいのです〔少し添削しました。参考になさって下さい〕)。

長寿で趣味持つ人は若々し
大掃除部屋に新たな空気入れ
プレゼントやっぱり嬉しいクリスマス
【サントス伯寿会 三上治子】
(評:プレゼントを呉れた優しい人の思い遣りが、クリスマスを一段と楽しくしてくれる。)

文明の危機急速に温暖化
開拓史薄れ文化の種細り
文明が義理人情を薄れさせ
【サンパウロ中央老壮会 藤倉澄湖】
(評:文明の進歩と共に人徳が薄れて行く事への寂しさと不安を感じている作者。)

作文が好き数学苦手のわたしです
寝ころんで本だけ読みたしわが余生
古本市文学老女が本漁る
【サンパウロ中央老壮会 彭鄭美智】
(評:目を皿にして本を漁る老女の姿が見えるようです。)

利用するは得と思えど我出来ず
約束に気のない返事はする気ない?
悪いことあいそ笑いでごまかして
【サンパウロ中央老壮会 上原玲子】

◎席題「餅」 余碌出題
七難をかくす餅肌親ゆずり【ふみ】
手作りのあんころ餅の伸びのよさ【ふみ】
外人も餅をほほばるお正月【清子】
貧しくも雑煮で正月祝う幸【清子】
年の暮れ餅もアズキも売り切れて【富子】
リベルダデ名物餅にもありつけず【富子】
リベルダデの餅搗き人出二千人【実】
リベルダデの餅搗き市長も杵をもち【実】
搗いた餅上手に丸める若い娘等【余碌】
手掘り臼で餅搗き上ぐる年の暮れ【余碌】


シルバー川柳 (社団法人全国有料老人ホーム協会「シルバー川柳」より)


起きたけれど寝るまでとくに用もなし【吉村明宏・埼玉・73】
つまずいて何もない道振り返り【山田徹・群馬・44】
目覚ましのベルはまだかと起きて待つ【山田宏昌・神奈川・71】
延命は不要と書いて医者通い【賣市高光・宮城・70】
忘れ物口で唱えて取りに行き【角佐智恵・福岡・77】
誕生日ローソク吹いて立ちくらみ【今津茂・大阪・63】
万歩計半分以上探しもの【工藤光司・大阪・68】
少ないが満額払う散髪代【林善隣・東京・66】
未練ない言うが地震で先に逃げ【廣川利雄・千葉・84】
ボランティアするもされるも高齢者【合田杉朗・神奈川・49】


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