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熟年クラブ連合会
     俳句・短歌・川柳・詩  (最終更新日 : 2019/02/15)
2014年11月号

2014年11月号 (2014/11/14) 俳句 (選者=樋口玄海児)


ミニチュアの鉢花流行る春の雨
扇風機なくとも結構団扇風
長旅の疲れいやしぬガラナの実
キリン一番供えて拝す雷の碑に
五時起きの教会詣り春寒し
【三原春風】
(評:三句目。長旅の後、疲れ取りの薬草ガラナの実を食べた句。ブラジル原産の木の実を干したもの。流行の時は世界中で広まり、ある時は精力がつくと売られていた。)

ほうれん草日南鍋は水いらず
束の間の老いのときめき春の虹
春愁や十指に余る友逝ける
五世代守りしパン木樹木の日
【猪野ミツエ】
(評:一句目。評者は水のいらない日南鍋を知らない。ほうれん草を湯がくのにこの鍋を使ったと言っている。ほうれん草の季にぴったり。句の出来上々。)

木葡萄の花引く蟻の道を追う
葉引蟻ひきはじめたる柿若葉
ようやくに咲いて椿の色を知る
月蝕の終りし後は春の月
【長谷川ふみを】
(評:二句目。柿の芽や桃の葉を食べる蟻。この国ではサウーバまたケンチンという。果物作りは大敵である。日本語でははっきりした名がなく、日本人は羽切蟻、かつぎ蟻と呼んでいる。名をつけるのは難しい蟻である。また、この蟻は春の新しい芽が好きで、始末の悪い蟻である。)

俳聖の路をたどれば春の風
毎日の風につかれし春を待つ
もうろくはしたくないよと春を待つ
思ひ切り冬物捨てて春を待つ
【山田富子】
(評:二句目。風の強く吹く日はどこに居てもつらい日である。また、疲れる老人には尚のこと。この風の毎日を春を待つといったこと。本当に春は近いでしょうか。)

老の夏呆けてならじと菜作り
週一度出向く会館老の夏
日向ぼこはおいしい(ゴストーゾ)でしょうと若者等
行く春や孫にもらいし縫いぐるみ
【伊津野静】
(評:一句目。誰でも長く生きたいと願っている。しかし、その願いも健康で一日を暮らしたいと願っており、静さんもそれを願っての句でしょう。体が動ける間は庭先でも葱などを植えて楽しんでいられることでしょう。立派立派。)

ベンテビー始めて七面鳥を焼きし娘に
ベンテビーママイの食堂継ぐ三世
黄緑旗の平和と誉(ほまれ)独立祭
黄イペー咲き極まれば少雨来し
【香山和栄】

春寒し今夜は鍋にしようかな
散歩道春風吹いてここちよく
風光る小川の水に目がうごく
【荒田田鶴子】

風光る孫の結婚日も近し
過去となる養蚕村の桑の花
耳ざわり気ざわり天井猫の恋
【秋元青峯】

子等くれし旅の切符や空薄暑
曾孫の誕生祝ひ風光る
風光るハイヒールの娘足長し
【原口貴美子】

履き下ろす靴の軽さや風光る
よくつまる灌漑ポンプ水草生ふ
本物とや草餅届くみどり濃く
【森川玲子】

墓参り句友の墓標の新しき
選挙日を明日にひかえて月仰ぐ
レジストロ住めば都よマンジュバ
【小野浮雲生】

手なぐさみの一グループや園小春
句帳開く若木に杖を立てかけて
美容院の鋏の音や春の風
春昼や椰子の垂れ葉の金に咲く
【伊津野朝民】

原始森原始の蝶の睦み合い
大きな河ゆっくり流れ春の虹
椰子の風サビアの声を乱しけり
捨ててある耕地に森や囀れり
春旱り少なくなりし畑蚯蚓
【樋口玄海児】


短歌 (選者=藤田朝壽)


早春の庭に水仙咲き盛り八十路のわれの生き甲斐となる
北向きの日差しの良さに惚れて買う老人ふたりの終(つい)の住処に
【スザノ福栄会 青柳房治】
(評:二首目。「北向きの日差しの良さ」で言うことなし。終の住処もこれで大安心。)

大型トラックわがもの顔に通り過ぎあふりの風に帽子とばさる
思い出は年を取りても消ゆるなしお針を習いし老師の墓前に
【スザノ福栄会 寺尾芳子】
(評:二首とも佳。「あふりの風」巧みな用語。)

街路樹のみどりの若葉萌えたちて咲くそよ風にさゆらぎにけり
町中に住みて季を知るこの年はつつじとイペー共に咲きいる
町行けばイペーの花が満開で思わず声あぐその美しさ
【スザノ福栄会 杉本鶴代】
(評:スザノ市の街角に咲くイペーの花は身贔屓ではないが美しい。作者ならずとも、声をあげて立ちどまる。)

ふるさとのうたはなつかし朝早く夫と聴きいる「日本のうた」
割箸にあやめは支えられながらそよ風うけてベランダに咲く
【スザノ福栄会 青柳ます】
(評:アヤメの支柱は割り箸である。日本女性のつつましさの分かる歌。)

音楽に合わせて上手に踊る曾孫音痴な吾もつられて手拍子
くりかえし何時も話せば曾孫は回らぬ舌で日本語まねる
みどり児は見えぬ眼をうごかしぬ生まれ来し世をいぶかるごとく
【スザノ福栄会 原君子】
(評:三首目。みどり児のさまがよく分かる。生れ来し世をいぶかる如くがいい。)

渋滞のタクシーの席にて在りし日の夫の運転をしきりに思う
唄うさえ難儀なリズムを二人組むダンスの動きに眼をみはる
卵とじにして貰いたるニラ食めばお袋の味おもい出さるる
【サンパウロ中央老壮会 野村康】

健康を誇りし時期は夙(つと)に過ぎ身心ともに疲れてならぬ
寒期すぎ若葉のみどり色増して牧場も森も春のおとづれ
若白髪の目立つ長男やさしくて吾が疲れしを気づかいくるる
【レジストロ春秋会 小野浮雲】
(評:三首ともよくまとまっている。特に三首目の歌に心ひかさる。)

初春の良き日に曾孫の初誕生祝うふた親よろこびに満ち
弱視われ気づかぬうちにイッペ散りジャカランダ咲けるを落花見て知る
天候は不順なれども鉢の蘭春の花つけ明るく咲けり
カトレアの古株数本茎のばし春の季節を彩り咲ける
【プ・ダ・アルボレ老壮会 矢島みどり】

「ふる里」をカントーラマリ子と合唱す皆老移民敬老の日よ
見事に咲き夫婦で見上ぐ藤の花この地に根づき半世紀たつ
起きぬけに空見上ぐれば南十字星われの頭上にかがやきてあり
【インダイアツーバ親和会 野村文恵】
(評:敬老の日に歌手と共に合唱した「ふる里」。当日の喜びのさまが良く分かる歌。)

細き文字葉書いっぱいに埋めつくし途絶えいし友の便りに安堵す
わが友は脳梗塞と診断され見舞えるたびに眠りているも
時おりに病夫の寝顔見つめてはも一度手つなぎ歩きたくあり
【セントロ桜会 大志田良子】
(評:長病みの夫を見ていて今いちど手をつないで歩きたいと願う切実な妻の心。)

乾季にもめげずアベンカと紫蘇の苗ガラージのわれ目に競いて生ゆる
満員のオニブスの中わづかにも入りくる風にすくわれており
幾たびもおなじこときく老い夫にわれはつかれて生返事する
【セントロ桜会 富樫苓子】
(評:三首とも佳。第三首目、同じことをいくたびもきく夫に、しまいには生返事をする心づかれがよく分かる。)

往来する車の音は静かにて吾は安堵す環状道路に
環状道路出来てわが家は何となく大都市に近き実感に居る
夜となればヘッドライトの光茫が環状道路を綾なし走る
六車線の環状道路に俄かにも地価の上がりぬ喜ぶべしや
三男は農を継げる子このような土地は得がたし売りたくなしと
晩年に至りて運のめぐり来しか苦労して求めし郊外の土地
【藤田朝壽】


川柳 (選者=柿嶋さだ子)


句作の灯頑張れと言う声を聞く
趣味の道十七音字に響く詩
雨期雲に期待はずれの雨の音
暇と言う余生の汗を鍬が持ち
【カンピーナス明治会 塩飽博柳】
(評:百寿に近い作者。この心意気、流石です。ご健康第一にいつまでもお元気で句作を続けて下さいますようにー。)

矍鑠と百寿目指す人を追い
叱りたる子に叱られて老い達者
孫自慢子なき夫婦にせずにおく
威張り屋も寄付の時は渋い顔
【サンパウロ中央老壮会 交告余碌】
(評:出し渋るのは案外そんな人に多いようですね。)

人作る教育身のため国のため
正直が売り物ますます店繁盛
ボランティアに汗して余生満たされる
【サントス伯寿会 三上治子】
(評:親切は人のためならずと言う。下句がそれを如実に表現してくれました。)

ノーベル賞青き輝き国の春
十七才の未来に期待ノーベル賞
守れるか平和憲法第九条
【サンパウロ中央老壮会 鈴木ふみ】
(評:国民は言うに及ばず、世界が注目しています。)

色気ある女でいたいいつまでも
無難から男を頼って生きること
熟年参加目から鱗のこと多し
【サンパウロ中央老壮会 新井知里】
(評:生涯学習です。鱗を落としてさらに視野を拡大して下さい。)

ネクタイをしめて出かける職探し
住みにくい世の中だけど捨てられず
二枚舌使い分けてるうちが花
【サンパウロ中央老壮会 山田富子】
(評:舌がもつれ始めると花がトゲになることもあります。)

花祭り黒い花に驚かされ
花祭り盆踊りにも花が咲き
アチバイア苺祭りで盛り上がり
【セントロ桜会 中山実】
(評:苺の名産地アチバイアの苺と花の祭りには数千人の人が集ると言われる。)

敬老会ビンゴ当たって荷物増え
デプタード候補も共に彼岸会
世話好きを見込まれ祭りに利用され
【レジストロ春秋会 小野浮雲生】
(評:こんな筈ではなかったと思っても後の祭り。見込まれたからにはそれに応えるのが人情というもの。頑張って下さい。)

子に言われ己の頑固に気づかされ
人生は当たってくだけの繰り返し
思い当たることが後から付いてくる
【サンパウロ中央老壮会 渡辺文子】
(評:「そう言えばあの時たしかに―」と後から気づくことが誰にもあるもの。)

生かされて時の流れの速さ知る
陽の愛を受けて大地にある鼓動
傘の中そんな小さな幸が好き
【サンパウロ中央老壮会 藤倉澄湖】
(評:上五の傘の中の表現法で小さな幸と結んだ技巧。お見事です。)

レールの錆今日せっせと磨いてる
待つことに慣れてそこから出た答え
担い手を見つけバトンを渡す幸
【オザスコ市 平谷伊佐】
(評:良き後継者を得た喜びが下五からことごとく伝わってきます。)

曖昧で程よい言葉適当に
衰えは眼中におかず盛プラン
人の道たまには脱線骨休め
【サンパウロ市 大塚弥生】
(評:人生は直線とは限らない。脱線を骨休みと割り切る作者にエールを送ります。)

負け組の無念の涙光る頬
年金で余生楽しく過ごす幸
ブラジルに生きて幸せ友ありて
【サンパウロ中央老壮会 坂口清子】
(評:何処にあっても良き友は何よりの宝です。)

二〇一四年シルバー川柳

老いるとはこういうことか老いて知る
 城内光子(女性/東京都/64歳/主婦)
つまずいて足元見れば何もなし
 ★おっとっと(女性/北海道/55歳/パート)
どこで見る東京五輪天か地か
 高橋通男(男性/東京都/62歳/無職)
鏡見て懐かしくなる母の顔
 川村恭子(女性/千葉県/55歳/主婦)
粗大ゴミそう言う妻は不燃物
 岡田淳(男性/長野県/71歳/無職)
元酒豪今はシラフで千鳥足
 川辺昌弘(男性/岡山県/38歳/自営業)
円満の秘訣は会話をしないこと
 ★くんちゃん(男性/大分県/69歳/無職)
恐妻を天使に変えた認知症
 芦沢武(男性/山梨県/62歳/農業)
いびるなら遺言書きかえ倍返し
 ★トミスター(男性/福岡県/42歳/フリーター)
(★はペンネーム)
(社)全国有料老人ホーム協会ホームページより


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