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熟年クラブ連合会
     俳句・短歌・川柳・詩  (最終更新日 : 2019/02/15)
2015年4月号

2015年4月号 (2015/04/12) 俳句 (選者=樋口玄海児)


稼ぐ気などサラサラなしとサンバふむ
カーニバル果て常の夫婦に戻りたる
かかりたるドラード花藻に大あばれ
ドラードに憑かれて通ふ径のあり
【猪野ミツエ】
(評:一句目、現代的な娘カーニバルの一週間は仕事などほったらかしで踊りまくる。ブラジルである事を良い事にしている。娘息子を持つ親の気持ち、分からないでもないが、ブラジルではカーニバルは日本のお祭りのような思いの子供等。)

秋近しふるさと想い緑茶飲む
アバカッテ木になるバターてふ実旨し
野ぼたんや旅の最後を彩りて
コスモスや街に涼風運び来る
【村松ゆかり】
(評:四句目、コスモスの花は秋を知らせる花。日が落ちるとたちまち街は涼しくなって来た。秋を知らせる風と感じた句。よく季節を見た句だと思う。このように肌で感じた句は詠む人も気持ちが良い。)

カピバラの愛嬌ふりまく動物園
節水令鳥の行水のごと済ませ
雛壇へ玩具も飾り幼き子
稲の花畦で遊びし幼き日
【香山和栄】
(評:一句目、これはテレビで日本のカピバラを映している。それを見ての句だろう。ブラジルでもカピバラはなつき易く人が見ている前で色々な動作をしてくれる面白い動物である。またネズミ族ですので、一腹で八匹も十匹も産む。泳ぐ時は自分の背に五匹も六匹も乗せ泳いでいるのを見た事もある。)

流れ星航空写真の我がシチオ
ブラジルはムラタで持つカーニバル
山車押して全伯ゆさぶるカーニバル
さわやかや汗もかかずに熟睡す
【野村康】

庭の花秋雨通り生き返る
日本の佞武多も参加カルナバル
日伯外交盛大参加カルナバル
青マモン漬物にしておいしかり
【原口貴美子】

小川超え町の名替はる花ジンジャ
診断は腸の風邪とや秋暑し
アボガドの刺身旨しとわさび買ふ
朝な夕頬なでる風秋めきぬ
【森川玲子】

太き葉に坐して動かぬ大バッタ
女等に流行る花柄街は秋
秋暑し午後はきっと来る日照雨(そばえ)
【三原春風】

初句会亡母(はは)の手縫のブラウス着
初句会金糸刺繍の日傘さし
アカシアの燃えて明るきアベニーダ
除夜競争グリコの絵のごとテープ切り
【香山和栄】

サンバ踏む山車ゆさぶって美女機嫌
サンバ踏むすぐ生まれそうなお腹して
クワレズマ早や活気づく魚市場
【清水もと子】

つなぎ犬今日の暑さに舌出して
夏時間終りて朝寝ゆっくりと
夏深し猛暑にあえぐ幾日ぞ
【小野浮雲生】

連休に静かな街のアレルイヤ
夏時間終り一日の長さかな
夏の雨降ればメトロも止まるほど
【矢島みどり】

茹でミーリョ食べて日帰り旅終る
秋近し路傍の雑草まだつぼみ
食べ頃を考えマモン買ひにけり
【畠山てるえ】

カーニバル世界を躍らす素裸
曲線美これ見よがしのカーナバル
アバカッテジュースの美味さもう一杯
【秋元青峯】

カーニバル立ちねぶたのみごとなり
テレビ見て一人満足カルナバル
町に出て帰り吹く風秋近し
【荒田田鶴子】

トウモロコシのアイスクリーム孫所望
ブラジル萩水晶村の霧が好き
鰐の目の光大河にランを捕る
雨続く伸びほうだいの竹の子に
ブラジル萩霧を宿して美しき
ブラジル萩一せいに咲き畑の径
昨日より深い霧来て萩咲けり
【樋口玄海児】


短歌 (選者=新井知里)


エニシダが映ゆる日の午後友来たる飲み仲間なり目刺を焼こう
医者にまで奇跡と言われ吾が病状快方にむかい心あかるし
生きることまだまだ楽し今朝の膳病みて一年食うもの旨し
【スザノ福栄会 青柳房治】
(評:生きることが楽しい房治さん。御快復をお祈りしています。)

盛りつけの器も美事な京料理久びさに会える妹の歓待
朝市に売る人あるとう老人の言葉うべないケンポ梨食む
【スザノ福栄会 寺尾芳子】
(評:ケンポ梨の懐かしさがよく出ています。)

八階のベランダに寄り見る花見今年の幸せ願いてやまず
正月のご馳走ようやく出来そろいみんなで祝う元日の朝
長男がお供で行きし拝賀式生き生きとした老夫婦の顔
【スザノ福栄会 杉本鶴代】
(評:優しいご長男の様子が浮かびます。)

ブラジルはこれからきっと良くなると父の言葉を胸に渡伯す
金婚式に気づかなかった金メダル六十年はあなたの胸に
【スザノ福栄会 青柳ます】
(評:仲むつまじい御夫婦、見習いたいと思います。)

仕舞いおきし羊の枕とり出して今年の干支に願いをこめる
次つぎに高層ビルの建ち並びつクワレズマ咲く山をかくせり
何事もスピード時代になりたればめくる暦に老いの戸惑い
【スザノ福栄会 原君子】
(評:「めくる暦に老いの戸惑い」。よく詠まれています。)

老いたりといえどおみなと生れし身は初鏡に刷くたしなみの紅
フランゴの料理に使うコニャックを夫に呑まれしかの日もありし
雷をともないて来る夕立に乾きし貯水池満たせと願う
【サンパウロ中央老壮会 野村康】
(評:水不足の願いをよく詠まれました。)

夏暑き午後の陽射しにユーカリの木肌は白くかがやきて見ゆ
窓越しに見るユーカリの丈高し暑き夏日に静もりて立つ
【スザノ福栄会 藤田朝壽】
(評:「暑き夏日に静もりて立つ」の情景、お上手です。)

放牧の牧草青々と雨季来る親牛子牛まるまる太る
モジの墓地高台に眠る兄夫妻マンチケーラを遠くに望みて
独身で移住して来た我れなれど孫に曾孫大家族と成る
【ツッパン 上村秀雄】
(評:独身で移住された上村さん。今、大家族となられ敬服いたします。)

白鵬の優勝回数新記録歴史に残るモンゴルの星
狭庭べのゴヤバ熟るれば孫来たる爺ちゃん手入れの接木のゴヤバ
日傘差し木陰を歩く炎天下ソルベッテ売りは声あげて行く
【インダイアツーバ親和会 野村文恵】
(評:爺ちゃんのゴヤバは特別でしょうね。)

ジャバクァラの短歌に入会月日過ぎ新年となり次の歌会に
記録せし手帳の短歌読みかえし思いはよぎるあの日あの時
【セントロ桜会 大志田良子】
(評:手帳の歌はみな懐かしい思い出の日々ですね。)

紅に咲き満開なりし百日紅雨少なきを好みいるがに
水不足どこ吹く風と豪華なるカルナバルは練るここはブラジル
水不足話題となれば伯人は「デウスマンダ」と屈託もなし
【セントロ桜会 富樫苓子】
(評:ユーモアがあり感心しました。)

じっとして居ても汗出るこの暑さ地球の変遷感ずる日頃
止むことなく自然の時に流されて何時しか過ぎしハナの年齢
地下鉄で通学女性に譲られた座席に残る若きぬくもり
【レジストロ春秋会 小野浮雲生】
(評:楽しい予感のする日ですね。よい歌です。)

母国出て門松の無き正月を過ぎし年月八十年を
お雑煮は母の代には餅を搗き今は注文買って来る餅
NHKテレビに写る猛吹雪昨年も今年も大雪なりき
【バレットス寿楽会 池田正勝】
(評:昔の正月が懐かしくなります。)

新年はからりと晴れて幸先の良き事なりし心浮き立つ
祖母われの心づくしの福袋よろこぶ孫等を見るも楽しき
愛らしき孫の手を引き嫁来たる笑顔明るき初春となる
【プラッサ・ダ・アルボレ老壮会 矢島みどり】
(評:福袋の歌、たのしいです。)

おとなりの百日紅咲けど独身の青年急死す廃家となりぬ
月下美人七つ咲く夜見せたくも友は遠くて電話で知らす
クワレズマ満開通り海へ行く連休五日満喫の旅
【サウーデ老壮会 山田かおる】
(評:お隣りの独身青年の歌、百日紅咲けどと前面に詠ったのがよい歌になりました。)

初詣熱田神宮清々し厳粛なりと娘よりの電話
娘より送り貰いし干菓子は熱田神宮のおさがりなりし
雨上り十年ぶりにサボテンが薄茶色した花をつけたり
【サンパウロ中央老壮会 西原訓子】
(評:熱田神宮は本当に清々しい所ですね。日本の娘さんとの情愛がよく出ています。)

紅葉に感嘆の声あげながら娘と二人岐阜を旅する
レモンの木数十年を経て今は真白の花の香り漂う
わが家より見ゆる街路樹枝ひろげ庭のガジュツが日影となりぬ
【サンパウロ中央老壮会 中村一江】
(評:娘さんとの楽しい日がよく出ています。)

大学門メトロ入口ジャカランダ花散り敷きて朝風さやか
体操を皆んなそろって一、二、三楽し幸せ健やかなりし
わがドレスすれ違いざまほめて行く知らない美人のブラジル娘
【サンパンロ中央老壮会 武田倶仁子】
(評:素敵なドレスをほめられた時の気持ちが良く出ていていい歌です。)

窓近く不意に白鷺とび立ちて夜行のバスに朝の訪れ
芥取りのわずかに溜りし雨水を猫は飲みおり夕立の後
黄昏に小鳥の群れの静まりて椰子の並木は孤独となりぬ
【サンパウロ中央老壮会 寺田雪恵】
(評:黄昏に小鳥がいなくなった椰子並木を孤独と思った作者。気持ちよく詠んでいます。)

道ばたに可憐な花が咲いている昔のわたし想い出させて
店先に柿が出まわり冬近し年のまわるのあまりに早し
【サンパウロ中央老壮会 神田桂子】
(評:短歌は初めてという作者。気持ちがよく出ています。)

これからは慌てずゆっくり丁寧に生きて行こうと思いて喜寿に
応接間の額に書きたる「天衣無縫」見上げる度にいつも新鮮
【新井知里】
(ご挨拶:藤田朝壽さんに代わり今月から私、新井が短歌欄の選者を担当することになりました。初めての方も大歓迎です。日々の暮らしの情景、思いを歌に詠んでみませんか。前選者同様宜しくお願い致します。)


川柳 (選者=柿嶋さだ子)


欲捨てた気でも損得すぐ響く
事後承諾もう出来ていた二人仲
見過ごしは出来ず重い腰を上げ
【サンパウロ中央老壮会 交告余禄】
(評:ここは年の功。何とかしなければ―。年寄ならではの思いやり。流石です。)

子や孫が育ち故郷となる異国
移り来て故郷はるか柳友(とも)と住む
作付けて農夫の夢は秋を呼ぶ
【カンピーナス明治会 ???】
(評:農夫はひたすら秋の穫り入れに夢をかける。)

庭の水撒き告発なんてしないでね
ミサ行きにサイフ香典みな忘れ
もう喜寿まだ喜寿ですよろしくね
【サンパウロ中央老壮会 新井知里】
(評:「もう」より「まだ」の意気込みでファイトを持って―。)

人が人危(あや)める宗派義とは何?
楽々と苦なき余生過ごす現在(いま)
おはようの声が飛び交う朝の園
【サンパウロ中央老壮会 坂口清子】
(評:「おはよう」「ボンジア」と声掛け合うウォーキングの仲間たち。爽やかな朝の空気が伝わってきます。)

前頭葉使う体操ボケ防止
食べられる事に感謝の食の秋
震災の四年の重み今も尚
【サンパウロ中央老壮会 鈴木ふみ】
(評:復興にもあまり進歩は見られないまま四年が経過。被災者の上に春の訪れの早かれと祈るのみです。)

戻りたい二十歳(はたち)の頃の体型に
腹の虫怒るな今はダイエット
ダイエット三日過ぎたら逆戻り
【サンパウロ中央老壮会 角谷博】
(評:お望みの体型が得られますように。二十歳の頃は無理かと思いますが―。)

カーニバル、バイバイチームにおめでとう
躍る躍らぬ同じ阿呆なら踊ろうよ
カーニバル流石ブラジルナンバーワン
【セントロ桜会 中山実】
(評:ブラジルで唯一世界に誇れるもの。それはカルナバルと言えるかも―。)

大津波祖国日本ズタズタに
母の名を呼ぶ人母にそっくりと
日本へ使節団とて里帰り
【サントス伯寿会 三上治子】
(評:里帰りも使節団という事で、一段と意義深くなりました。)

ガンバレと弱る心にムチを当て
良い話こころに力を与えられ
チンプンカン言う人する人増えてくる
【サントス伯寿会 大矢のぶ子】
(評:あまり几帳面過ぎるとかえって煙たがられという変な世の中になりました。)

正論を吐いて覚悟の風あたり
金持ちも品格だけは買えずいる
物忘れ練習なしでうまくなり
【サンパウロ中央老壮会 藤倉澄湖】
(評:老化現象と言えば哀しくなりますが、自然現象と割り切って忘れる練習に努めましょう。)

団体旅行恥かき捨ての騒がしさ
ホーム入り浮かんできます一人の夜
気にせずに生きてゆけぬ人との和
【サンパウロ中央老壮会 渡辺文子】
(評:人との和を保つにはそれなりの忍耐と思いやりが伴うもの。)

スーパーでシール調べる前値段
ゴミ出しは夫の役目と知らぬ振り
出る出ないドキドキ蛇口回し見る
【サンパウロ中央老壮会 大塚弥生】
(評:「どうか水が出ますように―」。心の中で念じながら。)

出来ちゃった結婚しちゃった飽きちゃった
親の夢どうりにゆかぬ子の育ち
月曜日朝のあいさつどうでした
【サンパウロ中央老壮会 山田富子】
(評:前日、ニチユ帯の行事の結果を問うあいさつは大抵共通したもの。)

◎席題「老」 博出題
まだ歌い踊れる幸に感謝して【清子】
老いの坂回れ右してのぼりません【清子】
日々新た感謝の心で老い知らず【ふみ】
まだ若い若いと言って息切らし【ふみ】
健康第一認知症にならぬよう【博】
追い抜かれ歩く速さに老いを知る【博】
息子らが呆けたと言うけどまだ呆けぬ【実】
まだ食べて歩けるうちはあきらめぬ【実】





詩「晩秋の心情」

 異国の丘の向こうに夕日が沈む時
 子供が一人でも寄り添っててくれることは
 老夫妻に最高の安らぎ
 子が巣立ったと喜ぶは
 若き時の夫婦
 老骨に激する今となると
 子を呼び戻したくなる
 移住地が安住の地となれど
 やはり一世には異国の地


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