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熟年クラブ連合会
     俳句・短歌・川柳・詩  (最終更新日 : 2019/02/15)
2015年7月号

2015年7月号 (2015/07/17) 俳句 (選者=樋口玄海児)


ふところ手解いて大型寄附されて
狐火や度胸だめしの墓一周
マリヤ月今日はじいちゃんの誕生日
黒奴の裔の老婆のほり深き
絵手紙は柿の虫喰い落葉なり
【猪野ミツエ】
(評:一句目。最近はあまり寄附という言葉を聞かなくなったが、昔はよくあった。近いところでは福島地方の津波地震などがあった。その中でこの句は、ふところ手解いて大金を出してくれた句。最近では珍しい句が出来上がった。三句目。マリヤ月、五月の月。結婚の月。おめでたい月、それをこのぢいちゃんの誕生日にできた句。面白く、うまい。)

同郷の方言丸出し日向ぼこ
グァラニーの曲美しや奴隷の日「ビラロボス」
母の日や姉妹仲良きこと嬉し
一キロの花絨毯や聖体祭
【香山和榮】
(評:一句目。ブラジル語では同郷をパトリッシューと言って同郷同志が親しく話しているのを見る。ブラジルでの句、面白い。二句目。グァラニーの曲とある。評者は音楽にうとく、分からないが、奴隷の日に歌ったら、何となく哀れが分かるようだ。ブラジル季題では面白く、よくできていると思える。)

老いどちの体操励む移民の日
バス停に屋台のけむり冬の町
味噌汁にかぼちゃとうどん冬至の夜
宇宙よりウルブー見下す草千里
【森川玲子】
(評:一句目。リベルダーデ広場では毎日、朝にラジオ体操をやっていると聞く。その場面を句にした。ブラジルの移民の日、六月になって寒い朝かもしれない。移民の日、ブラジルに第一番に移民船が着いた日を「移民の日」と決めた。)

視界うすき吾に秋の小雨かな
犬小屋の犬も出て来ぬ秋の雨
寒き夜は家族で頂く鶏雑炊
娘の心込めし夕餉の温かし
【矢島みどり】
(評:一句目。作者は最近目を病まれた様子。老いてくると、目また耳、足と皆が弱ってくる。色々と気をつかうことが多くなる。三句、四句目にあるように家族に感謝の気持ちがある様子。体を大事にしてください。)

円描くウルブ次第に間を狭め
余り飯使い一人の冬至粥
子や孫はブラジルの民移民祭
二世等も年金暮し移民祭
【畠山てるえ】
(評:一句目。ウルブの舞う様子を上手につかんでおられる句。ウルブの舞いは最初はほんの五羽、六羽で飛んでいるが、何か餌を見つけるとまたたく間に多くになっていく。またウルブの輪も大きくなったり小さくなったりそれぞれに変わって姿をよく捉えている。思うにこれぞ本当の写生俳句です。)

六世も元気に育ち移民祭
老いし二人食は少なく冬至粥
ウルブ舞い逃げし子牛の死を知りて
六十年ブラジル暮し移住祭
【原口貴美子】

太陽と同じ明るさミニトマト
句作する老を励ます秋の鳥
移民祭百数年とは夢の如
ブラジルの秋風吹かれ杖と行く
【山田富子】

減食の八頭身に冬ぬくし
冬籠賢治の詩集に支へられ
寒ゆるむ老の日課の庭掃除
煌めける冬の星座に師在す
【青木駿浪】

州道に買って初ものピニョン飯
割れて降るピニョンの話ピニョン飯
天高し又々優勝ケニヤ人
風光るまっ赤な新葉ピッタンガ
【清水もと子】

過ぎし日に食事作りし炭火かな
トレンジンニョ降りて散策冬の浜
黄イッペー青空を背に花多し
【村松ゆかり】

大根白菜蒔いて余りし畑かな
大根蒔く老ひには広き畑ばかり
農道はどこ歩いても虫の声
長い舌出して蝿取る蟇
秋耕や元気な蚯蚓出るは出るは
【樋口玄海児】


短歌 (選者=藤田朝壽)


お互いに年を重ねた旧友は昔話しに時も忘れて
移り住み八十年のこの国に夢の田畑に富有柿まっか
移民とは土を掘り起こし一鍬で無から始まる汗のかたまり
【ツッパン 上村秀雄】
(評:二首、三首ともにお上手です。一鍬で無から始まる汗のかたまりを八十年もご立派です。)

人生は長いようでも長くない共に仲良く生きて幸せ
卒寿過ぎ今だ老クの役をする囲りの人の為になるなら
【バレットス寿楽会 池田正勝】
(評:老ク連も池田さんのような人で支えられていることを知り、ありがたく思います。)

人生は苦楽が共につきまとう吾のりこえてもう八十路
雪深き岩手の田舎に生まれいて忘れもしないおぶされ一年生
地蔵様熟連クラブの玄関番今日は派手なる「ボウシ」と前かけ
【セントロ桜会 大志田良子】
(評:楽しい歌ですね。みんな心の中でこの地蔵さまに手を合わせていることでしょう。)

短日や街燈点る五時半に急ぐ帰宅に日は暮れなずむ
検診に娘頼りの医者通い木偶の坊と自分を笑う
モンゴルの巨星現る照の富士優勝旗手に大関の座に
【インダイアツーバ親和会 野村文恵】
(評:照の富士は本当に素晴らしいですね。)

植木鉢手入れをしつつ思い出すそれぞれの鉢頂だきし友
両親に頂だきし名「かおる」なり生まれし曾孫「かおり」と名付く
うれしきはサロン溢れるお客さま卒寿の善き日祝いてくれる
【サウデ文協老壮部 山田かおる】
(評:山田さん、本当におめでとうございました。お幸わせにあやかりたいです。)

移民祭老いし吾にはもう無理とわが家でのんびりNHK観る
七月は桜溢れて青空に鯉のぼりがのどかになびく
足弱きわたしは遂に出そびれて日曜日はわが家で過ごす
【サンパウロ中央老壮会 山田富子】
(評:俳句に川柳に書道、今度は短歌まで頑張られて敬服します。)

病みてより一年振りに帰る家眠るベッドも自分のものなり
訪日の娘ら帰り故里の土産話に夜も更けてゆく
【スザノ福栄会 青柳房治】
(評:娘さんたちも無事帰られ、ご自身も家に帰られ本当に良かったですね。)

一文字も誤りたくなしゲラ刷の拙きわれの歌集の校正
一生に一度の歌集出版のそのタイトルがようやく決まる
【スザノ福栄会 藤田朝壽】
(評:藤田さんの一生に一度の歌集、楽しみに待っています。)

杖をつき静かに歩く夫なれど痛いところなく感謝に生きる
歩くこと四千五百歩とジュディオングの健康体操
【スザノ福栄会 青柳ます】
(評:ご主人を思う歌に頭が下がります。)

予告なき欠席の友案じつつ電話かければUTIとその娘は
閃ける遠山脈の稲妻に過ぎし戦禍を孫らに語る
【スザノ福栄会 原君子】
(評:とてもいい歌です。ハッとします。)

学生ら未来に向かい巣立ち行く会場いっぱいあがる歓声
コパカバナ海辺歩けば三十年前娘が学びし頃偲ばる
リオの孫卒業式も終わりたり飛機にゆられて聖市に帰る
【スザノ福栄会 杉本鶴代】
(評:若い人の元気な姿がよく表現されています。)

弟妹吾子らも揃いて何言おう此処はブラジル幸多き国
足元に音もなく来て刺す蚊ありデングじゃないかと一人おののく
サンジョアキン駅を降りて角バール閉じて二ヵ月寂しさよぎる
【サンパウロ中央老壮会 野村康】
(評:本当にこの店は賑わっていただけに気になりますね。)

街なかにイペロッショの咲きそめてその華やぎはわれをなぐさむ
老いゆくはかなしき事とは知らざりき今にし思う母や姉らを
【セントロ桜会 富樫苓子】
(評:老いゆくとは哀しいことですね。よく歌で上手にあらわしています。)

ノミの市土曜にぎわう公園は中古と云えど安いものなし
火曜日のほどよく近い朝市は人繁くなる終りの頃に
ヤシのほうき公園掃く人使いたりここにはここの良き慣いあり
【サンパンロ中央老壮会 武田倶仁子】
(評:いろいろな方が各々の目で教えて下さるので私は短歌が好きです。よい歌です。)

娘の姑の付きそい優し毎朝の散歩に何かと気づかいくれし
弱視われは杖を頼りにゆっくりと馴れし道行く朝の楽しさ
足痛みし夫も回復秋晴の一刻用足しに出かけて行きたり
【プラッサ・ダ・アルボレ老壮会 矢島みどり】
(評:用足しに行かれるまで回復され良かったですね。)

母の日に嫁さんからの蘭の花心あたたか五月の日曜
飼主は犬を連れて散歩する親子のような平和なひととき
【サンパウロ中央老壮会 神田桂子】
(評:なかなか優しいほのぼのとする歌です。だんだん上手になり嬉しいです。)

白き花コンクリートの電柱の根元に可憐な花を咲かせて
日溜りに鳩たち数羽うずくまり身じろぎもせぬ昼のひととき
【サンパウロ中央老壮会 西原訓子】
(評:コンクリートの電柱の根元に小さな白い花がけなげに咲いている光景が浮かび、いい歌です。)

スカイツリー東京タワーを遠くに見再会の子と観覧車の中
江戸川を肩を並らべて妹と梅雨のあいまの陽射しを浴びて
下町の人と車が行く中を髪なびかせて自転車が縫う
【サンパウロ中央老壮会 尾身千枝子】
(評:三首共、訪日された時の歌ですね。みなよく出来て日本の風景が近くに見えます。)

朝食の膳に薬を並べおき間違わずに飲む吾も老いたり
忘れ得ぬ友は世になく思い出の句集ひらけば優し面影
国々に起きる人災絶え間なく天災までも猛威をふるう
【レジストロ春秋会 小野浮雲生】
(評:本当に今年は特に災難が多いように思います。どの歌も型が整っています。)

※毎月十日が締め切りですので、よろしくお願いします。


川柳 (選者=柿嶋さだ子)


久方に日本の香り届く文
衣食住足りて人生欲もなし
おはようの声に振り向く犬達も
【サンパウロ中央老壮会 坂口清子】
(評:「おはよう」の声に一せいに振り向く犬たちの表情が見えて来るようです。愛犬家ならではのユニークな発想。お見事です。)

医者通いしていて風邪を貰いうけ
主婦業もたまに欲しい連休日
老いの坂持ちつ持たれつ一歩ずつ
【サンパウロ中央老壮会 鈴木ふみ】
(評:お互いに手を取り合って前向きの姿勢で一歩、また一歩――。)

まだ先と思っていた古希目の前に
老臭をはじき飛ばす玉の汗
汚職天国庶民の夢は細るのみ
【サンパウロ中央老壮会 角谷博】
(評:掘れば掘るほど出て来るのは黄金ならぬ汚職の渦。そのしわ寄せで国民の肩は益々重くなるばかり。)

ニューヨーク遊覧バスはみな二階
ニューヨーク平和の塔は河に建ち
ニューヨーク街の信号赤と白
【セントロ桜会 中山実】
(評:通年の「赤と青」が此方では「赤と白」。〝所変われば″と言われる所以ですね。)

世界地図表も裏もない地球
時として句作に燃える灯がゆらぐ
師の恩へ感謝句作の灯をともす
弱音など吐けぬ句作の灯は消さず
【カンピーナス明治会 塩飽博柳】
(評:一度消したら再度句作に灯を点ずる事は難しいもの。ご健康に留意されながら今後ともご投句を続けられますよう、お待ちしております。)

人間のエゴで戦が果てしない
咲いて散る花に聞きたい老いじたく
八十を超えると齢を言いたがり
【サンパウロ中央老壮会 藤倉澄湖】
(評:「もう八十を超えました」「えっ、そんなに見えない。お若いですね」そういわれて思わずニッコリ――。)

奇跡です再度命を貰い受け
あの痛み再度おきずにいて欲しい
じわじわと老化のいじめ追ってくる
【サンパウロ市 大塚弥生】
(評:老化はじわじわと来る。老化現象に気が付いたら、それへの配慮が望ましい。)

カルナバルさすがブラジルナンバーワン
万人の夢乗せパレード活き活きと
初参加青森ねぶたまかり出る
難聴になって声がだんだん高くなり
お盆にも墓参出来ぬ齢となり
無理通し道理を退かす頑固者
【サントス伯寿会 三上治子】

約束はしたが予約はしておらず
忘れない向こう三軒両どなり
みな仲間腹立つ者も友のうち
【スザノ市 飛松信雄】

頼まれた約束果たして安堵する
真夜中の電話ドキリと胸をさす
中心がなければ話まとまらず
【オザスコ市 杉浦いつ】

洪水に浮かぶ家具類悲惨すぎ
やる気いっぱい末長かれと生きている
自然の美すべてを愛で守りたい
【オザスコ市 井上風車】

電気消し一句浮かんで電気つけ
囲まれて鍵も財布もみな渡し
退院で戻れば家族走り寄り
【オザスコ市 藤重昌子】

生命の保証なき世を明日にかけ
不況かぜ頼りの年金慎ましく
こぼれ種咲いた朝顔美しい
【オザスコ市 林久美】

◎席題「悩み」 ふみ出題
楽ありて悩まぬ人生味気なし【博】
悩んでも元に戻らぬ夫婦仲【博】
悩みごとありし青春今宝【ふみ】
悩み事忘れ第二の青春期【ふみ】
悩みごと美女にはいつもついてくる【清子】
悩み事忘れ気楽に生きてます【清子】
なさそうで誰にもある悩み事【実】
悩み事あって人生おもしろい【実】


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