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熟年クラブ連合会
     俳句・短歌・川柳・詩  (最終更新日 : 2019/02/15)
2016年3月号

2016年3月号 (2016/03/15) 俳句 (選者=樋口玄海児)


大鳩は屋根に学校夏休み
猛暑暮れ大雷の夜となりぬ
初なりのジャッカの実のり日々楽し
ただ一果初なりジャッカ談はずみ
リス棲めりシチオに残る原始林
【清水もと子】
(評:三句、四句目。あの大きな果物ジャッカを見ての毎日。その成長ぶりを見て、毎日楽しんでいる風景。選者まで楽しいです。若い時の思い出だろうと思います。俳句に楽しんでおられることも大事です。)

御降りやユーカリ百幹音なりき
水音のリズムの湧きて夏の川
踏み込める狭庭の芝の色深し
向日葵や太陽の色揃えたる
【青木駿浪】
(評:二句目。水音を聞きながら夏が来たことを知る。自然の移り変わりを感じた。それが一句になった。俳句は考えて作ってはならないと言われている。感じて出来た句が良いと言われている。)

夏河原メインは魚のレストラン
ランバリー釣りたる顔の子等帰る
船料理スープこってるさかな味
鸚哥芭蕉十七連の庭眺め
【畠山てるえ】
(評:四句目。鸚哥芭蕉は赤い房が段々に重ねて咲いている花で、その花は鸚哥に似ているので、この名がある。十七段も咲くのは珍しいでしょう。美しい花である。)

アンナと云ふモレナの娘サンバ踏む
病院に休診の札カルナバル
大雨や芥渦巻く夏の川
かすかなる胡瓜の苦味今日の悔
夕立や大きな葉のある樹の下に
新しきタイヤで走る初荷かな
元日の夕餉のカレー銀の匙
熱帯魚泳ぐアマゾンその支流
【森川玲子】

猛暑日々シマ蚊恐れず半ズボン
フェリスナタール声のとび交う朝カフェー
フェリスナタール見知らぬ人の祝ペイジオ
ナタール卓くだもの色どり美しく
【清水もと子】

娘にものを言はぬ日ありし日記果て
旧姓を小さく添えし賀状かな
追伸し旅行吟三句の賀状受く
カフスボタン力縫する針始
【猪野ミツエ】

這い出して死んでおりたる油虫
初句会佳句出来ねども出席す
魂の句帳忘れて大昼寝
庭椰子の幹を飾りし野朝顔
【三原春風】

初空の美しかりしサンパウロ
地平線に白い雲あり秋の空
秋空の澄みわたる世に山の鳥
【矢島みどり】

日本より多勢参加カーニバル
カルナバル年々華美になり目をうばう
カーニバル女の衣装に目を見張る
【原口貴美子】

火炎樹の花に埋もれ一山家
鯉池に鯉跳ねる音蛙の夜
ふるさとの妹からの初電話
雪の降るふるさとからの初電話
【樋口玄海児】


短歌 (選者=藤田朝壽)


濃淡の緑の樹木しげる園木漏れ日の下空気さわやか
緑陰の風さわやかに今朝の園市制記念日聖市は休日
そよ風にゆれ咲きほこる胡蝶蘭自然が神か神が自然か
【サンパウロ中央老壮会 三宅珠美】
(評:さわやかな園の風がこちらにまで吹いてくるような気持ちです。)

あわただしき正月も過ぎ落ち着きてミシンを踏めば普段に戻る
真夜中に咲く月下美人純白で崇高なるかな心打たれる
藤田さんの「赫い大地」を読み感動亡き奥さまへのお心やさし
【サウーデ文化協会老壮部 山田かおる】
(評:卒寿を過ぎてミシンを踏まれ、あやかりたいと思います。)

今年もまた親交多くナタールはパネトネ買うも早く買わねば
年末の助け合い募金老のせい少し減ったがそれでも一位
新年に久しぶりにて雨多し農家の方に良い年であれ
【バレットス寿楽会 池田正勝】
(評:人のためにと思う人生、見習うことが多いですね。)

久々に見る秋空の美しき自然の世界よ心安らぐ
庭に出て澄める青空仰ぎ見る心清く生きる身の倖
仰ぎ見る秋空澄みて青空に静かに浮かぶ白き雲あり
【プラッサ・ダ・アルボレ老壮会 矢島みどり】
(評:秋の澄んだ空を三首、いい歌ですね。)

陽が照れば若葉かがやく窓の外夫は眺むるまなこ細めて
日々こもる夫はあかずに眺めいるユーカリの枝に垂るる蜂の巣
【セントロ桜会 富樫苓子】
(評:こもっている御主人の様子がよくわかります。お大事に。)

今は亡き夫はいつも口ぐせに温泉行きを望んでいたが
年末に介護の疲れを癒そうと娘と共にポッソス小旅行
亡き父と共に旅行をしたかった娘はパパの分もたのしむ
【セントロ桜会 大志田良子】
(評:娘さんと旅行できたこと本当によかったですね。歌で物語が読めます。)

良く耐えた琴奨菊の初優勝十年積みし有終の美
故郷の姉より遅き賀状着く入選俳句に笑顔封じて
突然に喉のただれで飲み食えず生きる事とは食べることなり
【インダイアツーバ親和会 野村文恵】
(評:高齢になると何が起きるかわかりませんね。お大事になさって下さい。)

明け方に窓から入る涼風を心待ちする寝苦しい夜
テレビにはサンバのリズム流れてもカーニバルの日々静かに過ぎる
ぬける様な雲一つなき青空に雷雲はいつあらわれる
【サンパウロ中央老壮会 尾身千枝子】
(評:テレビのカーニバルは素晴らしかったですね。この国は不思議な魅力があります。もうすぐ秋ですね。)

長生きはするべかりけりスザノ市はビル林立し朝の日に映ゆ
国民文化祭にわが歌入選す友の報せの有難かりき
【スザノ福栄会 藤田朝壽】
(評:藤田さん、今年は良いことが多くおめでとうございます。)

「日本まで行って来たのね」住所不明のスタンプの押されし手紙を娘は抱く
告げたくも北国生れの君は逝き偲ぶよすがのアカシヤの花
十八の吾を嫁にと乞う青年大正琴を弾くと言いたり
【スザノ福栄会 寺尾芳子】
(評:みなとても胸を打つ歌です。)

鹿の子百合色(いろ)暖かく匂う夜妻との会話もの静かにて
呟きのまつわる老いとついになり腰をたたきて歩き始めぬ
【スザノ福栄会 青柳房治】
(評:お身体、大切になさって下さい。)

クリスマスに子供ら集い老い夫の顔の明るさ年を忘れて
子らはみな其れぞれ勤めに老い夫とすまない思いで留守番をする
お手伝いさん正月休みの暇とれば夫とふたりの食事すすまず
【スザノ福栄会 杉本鶴代】
(評:恙無い暮らしの明け暮れがよく出ています。)

百日紅庭に育てて三十年、年末年始をピンクに咲けり
夜半さめて一人の部屋にひびきくる夜警の笛音たのもしくきく
あどけなき曾孫らの写真部屋におき朝夕ながめ心なごめり
【スザノ福栄会 原君子】
(評:百日紅のピンクがよく効いていて、いいですね。)

お正月楽しく過ぎてまた吾れの暮らしにもどる今年も頑張る
正月もたのしく過ぎて又ひとつ年を重ねて八十路を越える
糸くずの散りたる膝を払いつつ夫の用事にいくたびか立つ
【スザノ福栄会 青柳ます】
(評:三首目のいくたびか立つ、お上手ですね。)

来年は卒寿次は白寿と思いつつギネスブックに載る日を夢に
今日こそはとペンをとれども気のなえて手紙書くこと希となりたり
日系の吾が孫子らよ羽ばたけよ吾がブラジルを背負う身となれ
【サンパウロ中央老壮会 野村康】
(評:大きな夢は気持ちがいいですね。頑張って下さい。)

サクサクと噛む噛むセロリ真白で瑞みづしくて香りもよくて
ころころと公園の道舞う枯葉風と一緒にどこかに行きぬ
【サンパウロ中央老壮会 武田倶仁子】
(評:枯葉が舞い、ぼつぼつ秋ですね。)

紅色のハイビスカスの花びらが朝日を浴びてゆれつつ光る
ジェット機の赤き巨体がせまり来る空港近き我が家の真横を
【サンパウロ中央老壮会 西原訓子】
(評:二首目の歌、実感がこもっています。)

突然に雨川になり渡るにも渡れない今日はこわい一日
モルンビーの墓地で鳥たち鳴いている何を伝えているのだろうか
亡き夫のお墓の前で楽しかった時の事などふと思い出す
【サンパウロ中央老壮会 神田桂子】
(評:小鳥たちの事など考えて優しいですね。)

戦時中夜学で教えたその子等が日本語で手紙昔しのお礼も
暗闇をランプの明りで夜学へと桑畠の小道メイ子等連れて
戦時中夜学で教えた子供達日本語上手、二世の自慢
【ツッパン 上村秀雄】
(評:久し振りの御投稿、とても嬉しいです。夜学で勉強された生徒さんたちもさぞ、感謝していることでしょう。)

熟連の習字の先生誕生日豪華な賞品ビンゴは楽し
【藤田朝壽】


川柳 (選者=柿嶋さだ子)


八月の空に忘れぬキノコ雲
天変地異地球は人科がかきみだす
流す汗余生最後の勝ちいくさ
子や孫の故郷築いて住む異国
【カンピーナス明治会 塩飽博柳】
(評:錦衣帰郷を夢見て渡って来た異国で祖となることなど思いもよらぬ事でした。)

認知症予防のおしゃべり今日も又
大臣は百万円で首切られ
政治家は厚顔無恥で生き残り
【サンパウロ中央老壮会 鈴木ふみ】
(評:政界の乱雑を描いて妙〔政治家にはなれぬ嘘がつけぬから〕。どこかでそんな句に出会ったような気がします。)

リベルダデのすずらん灯にある風情
東洋街に猿のノボリが活を増し
リベルダーデ椅子が無いので立ち話
【セントロ桜会 中山実】
(評:座ってゆっくり話ができる場所が欲しいですね。)

川柳に世の憂さ詠んで気晴れする
庶民の夢超インフレーに消えて行き
温暖化待ったなしの地球危機
【サンパウロ中央老壮会 角谷博】
(評:迫り来る危機への対策にもっと真摯に取り組んでほしいもの。)

夕焼けが優しく明日を待てと云う
交流の広さ葬儀でしめくくる
軽々と持つ新聞の重い記事
【サンパウロ中央老壮会 藤倉澄湖】
(評:微妙な組み合わせを上五、下五で巧みに詠み上げた表現力、流石です。)

親と子は小言いい合い平和です
恐しい世界に育つテロリスト
人徳が光る葬儀の長い列
【サンパウロ市 市田イツ子】
(評:故人の人徳が長い葬列に見えるようです。)

まずほめて小言ちょっぴりそれでよい
橋なくて遠回りした大昔
強盗に人命無事でほっとする
【サンパウロ市 渡辺文子】
(評:かけがえのない命に別状が無くて幸いでした。)

今日も無事感謝で祈る老いの幸
みな老化不意に転ぶ人が増え
名を忘れ皆んな呼び名はおばあちゃん
【サントス伯寿会 三上治子】
(評:しずみ勝ちな老化現象を明るくユーモラスに詠んでお見事。)

記憶力まだある日々に感謝して
補聴器をはずせば雑音ない世界
長生きで進歩する世に置き去られ
【大矢のぶ子】
(評:世はIT時代。老人には寂しい時代になりました。)

ほめられて大器晩成型が伸び
友の文挫折に寄りそう温かさ 
申年と丑年六十年(むそとし)祝い共白髪
【サンパウロ市 彭鄭美智】
(評:合性を信じて末長くお幸せに―。)

囲まれた土俵で力士は勝負する
やる気だけ先走りするわが余生
腹時計が教えてくれるお昼どき
【オザスコ市 太田孝江】
(評:時計がなくとも腹時計がちゃんと教えてくれる。)

人助け良いか悪いか迷う国
不便でも野外囲む高い壁
年を取る節目を祝う誕生日
【オザスコ市 斉藤晃伯】
(評:それだけの事と言ってしまえばそれまでだけど、節目を祝えることはおめでたい事に違いない。)

この暑さ句作にも気が乗らず
土性骨すわった人への信頼度
盛りつけに料理の味もさえてくる
【林久美】
(評:一流の料理人は盛りつけは特にこだわる。盛りつけも味のひとつだと心得ているから―。)

夫と父秤にのせて悩んだ日
電話帳に消えゆく名前胸いたむ
余生の字余勢にかえて前向きに
【サンパウロ市 大塚弥生】
(評:その心意気にエールを送ります。頑張って下さい。)

友の町遠くてついつい無沙汰する
物価高年金暮らしにきつすぎる
重労働果たした汗に生き甲斐が
【オザスコ市 井上風車】
(評:湧き出る汗に生き甲斐を悟り更にパワーが湧いてくる。)

仲間うち腹立つ友も友のうち
親切に橋渡しして徒となり
忘れたか向こう三軒両どなり
【スザノ市 飛松信雄】
(評:北朝鮮も中国も隣国同士。ミサイル発射など止めて隣人愛を忘れないでほしい。)

インフレー油断は出来ぬ懐手
しんがりで励ます声はいつも母
手伝いになる範囲での思いやり
【おちば光子】

アイ・テイに押されて押して行く世紀
報復のその報復が生むドラマ
五七五リズムが奏でる人生譜
【柿嶋さだ子】


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