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熟年クラブ連合会
     俳句・短歌・川柳・詩  (最終更新日 : 2019/02/15)
2016年9月号

2016年9月号 (2016/09/16) 俳句 (選者=樋口玄海児)


ヨハネかずらの蜜吸ひし頃懐しき
春浅きパースの丘に永遠の旅
移民船の乙姫なりし句友の葬
極楽の足湯に浸り日本祭
うまかりしとろろ芋入りお好み焼き
【香山和栄】
(評:二句目。木蔭句会では最年長だった木村都由子さんが亡くなられた。毎年念腹忌にお見えになられた人でした。惜しい人がまた亡くなられた。一世の俳人も少なくなるばかりです。哀悼。)

冬の月祈りの太鼓が遠くより
フェジオアーダ添えあるファロファ香ばしく
七夕や伯人和文字で書く願い
見送りぬ七夕短冊焼く煙り
【清水もと子】
(評:冬の月に祈りの太鼓が遠くより聞こえる。味わいがある句の出来上がりである。俳句は五七五の感じが出ていれば良い。)

月の夜や梅の実を抱く春隣り
ブラジルの風に散りゆくさくらかな
鶏の声響き合ふ春隣り
【寺田雪恵】
(評:月夜に実っている梅を「月が抱いている」と言ったところが俳句的である。上出来の句である。)

マンホール穴より声あり春隣り
低き塀よりつづく坂道蔓サンジョン
くるみ入りパン焼き上る春隣り
朝市立つ町の片隅冬ざくら
畠山てるえ
散策の寒桜の並木かな
日帰りの身軽がうれし春隣り
父母黙すあの日あの時終戦日
【森川玲子】

空腹の学徒動員敗戦日
真昼間の校庭に泣いた敗戦日
オリンピック採点に涙二週間
桜咲く東洋街に色添えし
【田中保子】

連れ子して他州に嫁ぐ娘冴ゆる朝
うかと来てカンポスに逢う寒波かな
冬休み番犬孫に小さく居り
瓢骨忌像に眼鏡は亦盗られ
【猪野ミツエ】

大海を染めて落陽の冬茜
立冬にたかぶりもなき景のあり
【青木駿浪】

サンパウロの冬の訪れ早かりし
焚火祭ケントンの香に誘はれて
伯人もたのしみに待つ移住祭
身に込むや病む人の一歩二歩
牧枯るる子等の乳母牛売られゆく
【矢島みどり】

移住地に残る師の句や移民の日
コーヒーの花咲く国の移民の日
マンゴウの花咲く国の移民の日
外つ国に移民が作る新豆腐
【樋口玄海児】


短歌 (選者=藤田朝壽)


二〇年前「骨粗鬆症」と診断され今もかかさず軽い運動ウォーキング
ともかくも世界の平和願いつつ残る人生たのしく生きむ
もう一度盛岡二丁目生れ家へ帰省したいと亡夫かなえず
【セントロ桜会 大志田良子】
(評:生きることに前向きの姿、尊敬します。お元気で。)

昨年は冬無く過し今年はブラジル気候不意に寒さが
ブラジルは寒さ少なく温暖で若い時には半ズボンとシャツ
人間も卒寿過ぎれば寒さには体はよいが手足が冷えて
【バレットス寿楽会 池田正勝】
(評:今年の寒さは特別ですね。春が待ちどおしいです。)

寒つづく南国と言えど伯国もヨーロッパ風のコートにブーツ
夫在りし寒の夜食べしアツアツの煮込みうどんの懐かしきかな
冬日和桜も咲き満ち春を待つ老いには嬉し春の訪れ
【プラッサ・ダ・アルボレ老壮会 矢島みどり】
(評:もう少しで春です。本当に待ち遠しいですね。)

日本の紅葉のように街路樹のサルスベリの葉赤く色づく
冬空の風強き日に街路樹の赤き枯葉は道に舞い散る
【サンパウロ中央老壮会 西原訓子】
(評:街路樹の赤き枯葉に日本を忍んで詠んでいますね。)

頂だきしトルコ桔梗の美しさ淡いピンクにしばし見とれる
連休の雨の予報に出掛けしも好天なりしカンポスへの旅
白と黒灰色まじりの牛の群無心に草食むのどかな牧場
【サンパウロ中央老壮会 三宅珠美】
(評:連休の旅は天気に恵まれ、本当によかったですね。行動が先ですね。)

アリアンサ九十年祭村総出二度となき日よ感動の一と日
バス二台かけつけ寿ぐ移住祭牛二頭のシュラスコたいらぐ
わたくしを育ててくれしアリアンサ先駆者偲びただただ感謝
【サウーデ文化協会老壮部 山田かおる】
(評:三才でアリアンサに入植、卒寿すぎてただただ感謝の作者。気持ちのよい歌です。)

むらさきのイペー満開庭先に寒さの中に春を感ずる
ひざかけを持ち歩いてる寒い日々暖房のない南国の冬
恒例の花見のニュースを観るテレビ桜に寄せる思いと共に
【サンパウロ中央老壮会 尾身千枝子】
(評:イペーや桜が咲くと春の訪れを感じ心が弾みますね。)

稀勢の里間際一歩で又はずれ望み果せよファンがついてる
庭一面つつじの花の花明りベンテビュウ鳴き春の訪れ
聖火リレー大歓迎の町を行く式典で今見事に点火
【インダイアツーバ親和会 野村文恵】
(評:聖火リレーが見えたなんて幸せですね。オリンピックは今たけなわ。移りし国に勇気が湧いて来ますね。)

隣り家の主が釣りたると日焼顔してイカを下さる
庭先の老い松芯伸びのびと剪定なしいし夫の偲ばる
うずまきの若葉そのままうぶうぶと水にふくれる干しぜんまいは
【スザノ福栄会 寺尾芳子】
(評:二首目の歌、亡き御主人の姿が生き生きと浮かんできます。)

鉢植えの苺作りて爺ちゃんは孫らと共に楽しんでおり
尻餅はつくべきものに非(あら)ずして痛味ののこるいやな餅だよ
「後悔は先にたたず」と知りながらころんで杖つく愚かな私
【スザノ福栄会 原君子】
(評:珍しく面白い歌ですね。笑う歌もいいですね。)

分離帯の紫イペー毬なして医院の帰途の車窓たのしむ
今日からは冬よと娘の言いカザッコやブーツで固めやれものものし
方言と思いて使う(チャント置く)辞書に載っててあれまぁー吃驚
【サンパウロ中央老壮会 野村康】
(評:いくつになってもあれまぁと驚くことが多いですね。楽しい表現の歌ですね。)

老い夫を気づかいて来し甥たちに誘われ料理屋の暖簾をくぐる
老い夫は子らそれぞれがしっかりと暮らしを立てしと言いてよろこぶ
寒さつづきどこえも出かけぬ老い父を口をそろえて子ら心配す
【スザノ福栄会 杉本鶴代】
(評:優しい父と子の情景がよく現われた詠み、ほのぼのとします。)

九十歳を越えたる友の元気な声久方ぶりに聞く嬉しも
申年を七回迎えし夫といて吾は感謝の日々を過ごせり
八十歳を越えても年寄りと思わずに趣味の短歌を吾は詠みつぐ
【スザノ福栄会 青柳ます】
(評:日日感謝で過ごし、短歌を詠みつぐ暮らし、素晴らしいですね。こうありたいものです。)

柔道のラファエラ貧に打ち勝ちてリオ五輪に花を咲かせり
棒高跳のチァーゴは宙を跳び越えて金のメダルをブラジルの地に
ボクシングのホブソン輝く金メダル胸に手を置き国旗を仰ぐ
水泳のオキモト十キロ泳ぎきり美人四世銅に輝く
男子バレー決勝戦はイタリアと火花飛び散り悲願の優勝
サッカーの決勝戦はドイツに勝ち祈り叶いて世界の王者
心配の絶えなくあったリオ五輪笑顔に満ちて幕を閉じたり
ブラジルバンザイ!
【スザノ福栄会 藤田朝壽】


川柳 (選者=柿嶋さだ子)


ポ語教室さすがの教師もお手上げに
一生のうっぷん溜めた腹回り
長生きのお陰で観られたリオ五輪
【サンパウロ中央老壮会 中西笑】
(評:史上最多の二〇五カ国が参加して行われたオリンピック。リオデジャネイロ大会は毎日テレビで放映され、私達の目を楽しませてくれました。次回のオリンピック、東京大会を楽しみに頑張りましょうね。)

金メダル胸にうるむ選手の瞳
又解雇暗いニュースに出る吐息
この不況オリンピックで吹きとばせ
【なつメロ倶楽部 坂口清子】
(評:オリンピックが好況へのきっかけとなれば幸いですね。)

ハーブティ飲んでおしゃべり花咲かせ
リオ五輪応援したき我が祖国
リオ五輪国の威信を賭ける時
【サンパウロ中央老壮会 鈴木ふみ】
(評:世界三〇億の目が集まると言うオリンピック。正に国威を賭けての大会です。無事、盛会裡に終わってほしいですね。)

都知事にはひときわ目立つ厚化粧
期待値に押しつぶされて今ニート
稀勢の里又も転んで綱のがし
【サンパウロ中央老壮会 角谷博】
(評:今場所でも横綱昇進を逃してしまった稀勢の里。次の秋場所では多くのファンの期待にぜひ応えてほしいもの。)

リベルダデの鈴らん灯にある風情
リベルダデの七夕祭りでひと日暮れ
卒寿過ぎゲートボール出来る幸
【セントロ桜会 中山実】
(評:いつまでもゲートボールが出来ますようにご健康第一に頑張って下さい。)

神戸出た日のドラ今も耳朶にあり
神戸出た日の夢今も抱いている
聖火リレー日系も名を連らね
【カンピーナス明治会 塩飽博柳】
(評:ブラジル全国を駆け回った聖火ランナーの中には時折り日系人の姿も見られました。)

ブラジルで川柳に会えてありがとう
手紙書く心の扉開き出し
熊本の被災者おいでよブラジルに
【サンパウロ 彭鄭美智】
(評:発展途上国とされるブラジルにはまだ未来への期待がもてます。ユニークな発想を頂きます。)

陽の愛を受ける大地の鼓動きく
混迷の世は見通せぬペンの数
アンケート信じますかとアンケート
【サンパウロ中央老壮会 藤倉澄湖】
(評:不信な世相を突いてお見事、流石です。)

老いる程増える小皺と薬箱
イドーゾと呼ばれて思わず鏡みる
胸あつし杖もつ人に助けられ
【サンパウロ市 大塚弥生】
(評:世の中にはまだ親切な人がたくさんいます。「杖もつ人」に感動しました。)

老いて尚早起きだけは変わらない
物価高プラス、プラスで民泣かせ
吹きだまり作って風は通り過ぎ
【サンパウロ中央老壮会 渡辺文子】
(評:吹きだまりを作ったまま、風は無情に通り過ぎて行く。不運なこの人達が再度風に乗れる日が来てほしいもの。)

古だぬき国民いじめの汚職爺
買い得が欲しくて列の一番目
せめてもの手作りカードに精を出す
【サントス伯寿会 三上治子】
(評:心のこもった手作りカード。きっと皆んなに喜ばれることでしょう。)

ちょっとした目先の欲が災いに
齢とともにカンシャク弾も品ぎれに
角けずり言葉を丸く丸くする
【スザノ市 飛松信雄】
(評:言葉は生きもの。相手を傷つけぬようにとの思い遣りに共鳴しました。)

温暖化地球もだんだん惚けてくる
延命を管に託して長寿とや
不本意な小言思わぬ溝となり
【サンパウロ市 市田イツ子】

ひと目惚れわたしの信号青なのよ
ひと目惚れ磁石のような君と僕
前向きのプラス思考で夢かなえ
【ソロカバ市 早川量通】

片言のポルトガル語で友になり
いい気分思い通りに出来上がり
川柳で学ぶ世相の裏表
【サンパウロ市 秋吉寿子】

◎席題「文句」(笑出題)
文句など言いたくないと文句言い【ふみ】
難しい席題ですと文句言い【ふみ】
妻強し文句小言の連続技(つづきわざ)【博】
文句言う親父(おやじ)の姿今はなく【博】
文句など言わずに楽しい人生を【清子】
文句言う暇があるならまず動け【清子】
年よりに文句はつきもの気にしない【実】
年よりの文句にあやまるほかになし【実】
文句よりいたわり欲しい子育て期【笑】
文句など聞く耳もたぬ反抗期【笑】


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