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熟年クラブ連合会
     俳句・短歌・川柳・詩  (最終更新日 : 2019/02/15)
2016年12月号

2016年12月号 (2016/12/18) 俳句 (選者=樋口玄海児)


紫の袴人気の教師かな
担任の女教師は紫の袴付け
おとうさん栗ご飯だよと仏前に
着古しを更衣してひとり住む
【田中保子】
(評:一句目。ブラジルでは袴を着たと言っただけで珍しい。それがちょうどブラジルの教師の日で皆が珍しがった。ブラジルでは皆がジロジロと見とれた、その一点を句にした。)

アガパンサス椰子の根元に海の町
一つだけ歌へる校歌教師の日
わが町に墓地は三ヶ所展墓の日
栗山に竹の杖借り栗拾ふ
【森川玲子】
(評:二句目。「一つだけ歌へる校歌教師の日」。人間老いには勝てず、校歌だけしか歌えないことに淋しさを感じる句。出来も上々。)

掃苔やリモンを入れて墓洗い
国旗の日州の名増えて星も増え
黄金と緑の大地国旗の日
松ぽっくりも拾ひて供え墓詣る
【香山和栄】

日当りに鉢菜園や種を蒔く
文盲をなくす取り組み教師の日
散りし花風に遊びて金鳳樹
野遊びの弁当自慢釣自慢
【畠山てるえ】

移り来て植えし桜も花付けし
初咲きのアマリリス真紅花太し
【矢島みどり】

先生の日生徒は手に手に花を持ち
子供達競って食べる栗だんご
新任の若き先生はじろいて
【原口貴美子】

ブラジルの竹の子伸びの早かりし
外つ国にゴーヤの出来る土地ありし
竹の子料理これも移民の食文化
行く春の山に椰子樹は花つけて
血葉木全身燃えて畑の径
ユーカリの裾野の流れ初蛙
【樋口玄海児】


短歌 (選者=新井知里)


新年に久し振りにて雨多し農家の方に良い年であれ
眼も見えず脚も無くても手で泳ぐ努力次第で金メダル取る
【バレットス寿楽会 池田正勝】

春一日孫らと山にのぼり来て四方の山脈絶景なりや
真夜中に咲く月下美人純白で崇高なるかな心打たれる
【サウーデ老壮会 山田かおる】

おてんばと言われながらに柿の木に登り眺めしふるさとの村
アカシヤの花咲きし後あちこちに長き実サヤのたれさがる道
【サンパウロ中央老壮会 武田倶仁子】

吾子のおごり五木ひろし慈善ショー夫と共に連れられて行く
会場は老人多く満席で昔を思い胸あつくして
【サンパウロ中央老壮会 矢島みどり】

今日の雨「紫陽花」のように変り来て降ったり止んだりせわしい一日
夫婦ならどちらが先に天国に旅立つことは自然のおきて
【サンパウロ中央老壮会 大志田良子】

朝ぼらけ名は知らねども暗闇に囀りリズム軽やかなりし
熟ク連先生かこみ笑い合うアバッハッ変顔舌出し皆リラックス
【サンパウロ中央老壮会 西原訓子】

海寄りのビルの沖を眺むれば豪華客船不夜城のごと
全勝の豪栄道初優勝母の目前涙さわやか
【サンパウロ中央老壮会 三宅珠美】

柵かけてニガウリ沢山実をつけた日々見守るや老いの楽しみ
稀勢の里綱取り賭けた秋場所がすべて御破算痛恨の極み
【インダイアツーバ親和会 野村文恵】

明け方に窓から入る涼風を心待ちする寝苦しい夜
ビザが出てイギリスに発つ娘いそがしく嬉しさの中さびしさ感じ
【サンパウロ中央老壮会 尾身千枝子】

雨上がり緑の丘をコンテナの赤青交じる長き貨車行く
新しき年迎うかに門の辺に蕾太りつ向日葵並ぶ
【スザノ福博福栄会 寺尾芳子】

吾が庭の点景となりこの朝椰子の花房黄にかがやけり
長生きはするべかりきスザノ市はビル林立し朝の日に映ゆ
【スザノ福博福栄会 藤田朝寿】

ひとりばえのミニトマト咲き実が成れり狭きベランダ独り占めにし
糸くずの散りたる膝を払いつつ夫の用事にいく度か立つ
【スザノ福博福栄会 青柳ます】

咳きのまつわる老いとついになり腰をたたきて歩き始めぬ
懸命に生れし川をさかのぼり鮭は捕られて燻製となる
【スザノ福博福栄会 青柳房冶】

物さがし一日かけても見当たらず夜半に目覚めふと思い出す
新聞やテレビニュースの不況など除夜の花火と共に散り行け
【スザノ福博福栄会 原君子】

リオ五輪棒高跳びで金メダルブラジル国中喜びに湧く
吾が父の性に似る子と暮らしいて叱られても嬉しい時あり
【サンパウロ中央老壮会 野村康】

この年はやや肌寒きお正月ここち良さに夫もよろこぶ
一斉に咲きそろいたるクワレズマの鮮やかな色見つつ通れり
【スザノ福博福栄会 杉本鶴代】

プリマベーラ今年も咲いたカラオケの教室から眺めて歌う
世界ではテロ戦争わが家では経済戦争どれも苦しい
【サンパウロ中央老壮会 神田桂子】


川柳 (選者=柿嶋さだ子)


句作の灯ともし浮かばぬ句にあわて
句作の灯消してはならぬと句にいどむ
満悦の一句心を燃え立たせ
【カンピーナス明治会 塩飽博柳】
(評:川柳一筋、作句に専念される作者の熱意に敬意を表します。今後ともご健康第一にご健吟下さいますように―。)

古本市昭和の匂い手に取りて
フィナードス又甦える父母の恩
絵手紙に描(か)かれし野菜ピカソ級
【サンパウロ中央老壮会 鈴木ふみ】
(評:言われてみると絵手紙には首をかしげる絵画が多い。下句の表現力お見事です。)

大統領選政治音痴も気にかかる
日々過食有難さにも不安あり
過去となる今日を惜しんで入陽(いりひ)追う
【サンパウロ中央老壮会 中西笑】
(評:今日を思い明日を追って夕陽に佇む作者の姿が絵になっている。)

コロコロと変わる天気に着脹れて
川柳会美女の参加で華やいで
年金でボーナス貰ってお買物
【なつメロ倶楽部 坂口清子】
(評:年金にもボーナスが付く年末は思わず心も浮きたつもの。下句の丁寧語に満足感活きている。)

カタカナ語使うが英語話せない
急がない先は長いよあの世には
楽しいね酒は人世(ひとよ)の潤滑油
【サンパウロ中央老壮会 角谷博】
(評:カラオケでよく歌われる演歌では酒のつく歌詞が最も多いという。「潤滑油」とは言い得て妙。)

亡き人のよき想い出に枕ぬれ
ひとひねり出来たらわたしゃ天才だ
話し方その一言で傷つける
【JICAシニアボランティア 鈴木京子】
(評:言葉は生きもの。話し方には常時心したいもの。)

秘めた恋今も時々よみがえる
日常のストレス解消にヨガポーズ
携帯で公衆電話風化する
【サンパウロ中央老壮会 一条留美】
(評:世はスマホ時代。公衆電話も殆んど使われなくなった。)

サンパウロ洪水どうにもならぬらし
リベルダデ暇な仲間が寄って来る
嬉しいね広場に椅子が出来ました
【セントロ桜会 中山実】
(評:仲間で話し合える場所が出来て良かったですね。)

頑固さに磨きをかける遠い耳
家事放棄したい日もある妻の乱
物忘れよりひどくなる物覚え
【サンパウロ中央老壮会 藤倉澄湖】
(評:「成る程と引いた辞書の字すぐ忘れ」そんな川柳があったのを思い出しました。辞書を閉じてまた開いて――。よくある事です。)

テロリスト手を変え品変え攻めてくる
世界中恐怖に落とすテロ憎い
テロ真似た悪事もあってややこしい
【サンパウロ市 渡辺文子】
(評:止めどない社会悪に怯えながらの暮らしに不安は募るばかり―。)

救いたい洗脳されて散る命
テロ止めて泣くのは無垢な人ばかり
気づいてよ命の重さテロ組織
【サンパウロ市 堀江渚】
(評:人の命の尊さを知ってほしい―。万人の痛切な願いである。)

夢でいい紙幣に埋もれて寝てみたい
修理多い体だけど生きてます
歳よりも少し派手な色にする
【サンパウロ市 大塚弥生】
(評:歳だからと言って地味な色は着ないほうがいい。余計に老けて見られます。)

汚職して官房長官隠れ蓑
ジングルベル、ナタール年末すぐ其処に
ジカ(蚊)恐怖嬰児の一生破壊する
【サントス伯寿会 大矢のぶ子】
(評:嬰児の母親、また妊婦の不安を思うと心が痛みます。)

テロよりも悪い議員の多い国
思いやる言葉に情の温か味
施した喜び己に施され
【スザノ市 飛松信雄】
(評:「情は人の為ならず」と言います。)

太陽の恵みの命あるものみな育て
高値でも信用して買う日本製
気楽だが少し淋しい核家族
【オザスコ市 太田孝江】
(評:時代の流れです。気楽で暮らせることに感謝して―。)

◎席題「夏」(京子出題)
夏が来てやせたと喜ぶでかい妻【清子】
夏時間朝の散歩まだ暗く【清子】
夏なのにサウナ通い止められず【博】
夏時間まだ明るいが晩酌す【博】
暑い日のくねくね道路蜃気楼【留美】
夏時間早起き苦手又寝ぼう【留美】
夏来る宇治金時に冷やそうめん【ふみ】
水着着たスリムな体今いずこ【ふみ】
お盆より敗戦記念日夏悲し【笑】
今は昔赤トンボの群鬼ヤンマ【笑】
夏時間夕日あるのに床につく【実】
夏時間床についても眠れない【実】
アラ不思議携帯電話も夏時間【京子】
カミナリだへそより大事なパソコンよ【京子】
冷蔵庫満杯ですとゆずらない【選者】
句会団欒ジョーク飛ばして暑気はらい【選者】


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