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熟年クラブ連合会
     俳句・短歌・川柳・詩  (最終更新日 : 2019/02/15)
2017年4月号

2017年4月号 (2017/04/14) 俳句 (選者=樋口玄海児)


眼光の鋭き仮面やサンバ踏む
朝霧やゴム採液の人の声
秋曇や去勢の豚のふぐり投ぐ
密植のゴヤスの珈琲秋の虹
【青木駿浪】
(評:三句目。私も豚のふぐりを食べたことがある。他の動物のふぐりは美味しく食べられるが、豚のふぐりはあまり美味しくなく、食べられなかった。この句の様に誰でも不味いと思ったでしょう。ついでに、カスカベールの肉などは美味しく食べます。また、鰐の生肉なども美味しい。)

菊香る一人のロビーに一人かな
秋茄子洗えばきしむ籠の中
宿坊に灯がこぼれ居り萩の庭
日課なる散歩の道も秋に入る
【大原サチ】
(評:二句目。茄子の特長が良く出ている句であり、秋茄子と俳句は季をうまく使うことが大事です。)

金鳥の蚊取線香も移民の荷
蚊を打たむ電話のつづき生返事
電子ラケット見事一匹蚊を射止む
桔梗見に唯それだけの遠回り
【猪野ミツエ】
(評:三句目。これは最近出ている電子蚊取り機でしょう。老人にはなじめない機。子供の遊びの様である。しかし、頭辺に置けばすごく便利。良い物が出たものである。)

ビル建たぬ旧き町並小鳥来る
宿に着き足のほてりや萩の雨
佛壇のこがね色の扉菊供ふ
馬肥ゆるゼブーの瘤も太るなり
【森川玲子】

白萩の菩提寺眠る父と母
是非も無き酷暑に告別耐えており
天高く一病守り恙無く
狭庭の小鳥に果物盛合せ
【田中保子】

たんぽぽや絮まんまるく風を待つ
口よせてたんぽぽの絮吹いて見る
大空へ屋上たんぽぽ絮の風
【清水もと子】

思ひ出はくろしほ紀州の鰯ずし(鎌倉直子さん)
三月や月下美人の残り花(二つ咲く)
春場所や淡々と取る平常心(希勢の里)
桔梗開く心も素直になりさうな
【香山和栄】

庭に萩咲かせ和食のレストラン
遊園地に少年誉手の馬肥ゆる
肥ゆ馬に乗りて少年騎士気分
【畠山てるえ】

幼な日の萩の道あり村のあり
黄色菊丸ごとひとつ揚げており
落日の影落としける萩の道
【坂野不二子】

野菊持つ花嫁迎ふ農夫なり
野の萩の無数の小花あるはあるわ
残暑にもめげず微笑む地蔵かな
【岩埼るりか】

入院の窓に遠目のパイネイラ
秋雨に洗われ新たむ街の景
平凡てこんなものかな鰯雲
だらだらと只だらだらと町残暑
【川井洋子】

開拓に老ひし二人や木芋汗
アルゼンチンに通じる道やアレルイヤ
一年中ゴーヤの出来る地授かりし
赤道の南に住んで木芋汗
火焔樹の花にはじまる移民墓地
【樋口玄海児】


短歌 (選者=新井知里)


夏ひと日曾孫お守りわらべ唄うたえば跳ねておどるいじらしさ
ひと月の帰省の孫等空港へ又会う日まで丈夫で居りたし
生れ来る五人目曾孫のシャデベベー幸多かれと暑きリオへ行く
【サウーデ文化協会老壮部 山田かおる】
(評:五人目の曾孫さんのシャデベベーに九十過ぎてリオに行き抱いてこられた由、幸多い曾孫さんでこちらまで嬉しくなります。)

帰郷して何と云っても郷土食満腹なれば目で見てがまん
朝六時天候は良しスケジュール目指すは展望東京スカイツリー
総高は六〇〇米のマークあり展望台は四百五十メートル
【セントロ桜会 大志田良子】
(評:みなさまのお元気なことに驚いています。あっという間に日本に行き、スカイツリーに登られたのですね。)

見なくてもテレビをつけて人の声聞いて安心一人の我は
日本語のテレビのお陰さびしさも憂いも無く一日が過ぐ
テレビより教わる知識何故か本とは違い心残らず
【サンパウロ中央老壮会 西原訓子】
(評:約二十年前からNHKの日本語のテレビが見られるおかげで移民たちは五割ほど郷愁を癒されたように思われます、私もその一人です。)

稀勢の里初優勝に横綱と両手に花のカップの重さ
稀勢の里幾多の苦難耐えて来た神は実在横綱誕生
念願の日本横綱稀勢の里一九年の幕が開く
【インダイアツーバ親和会 野村文恵】
(評:稀勢の里は本当に幾多の苦難に耐え、もう横綱の風格が出てきましたね。よく詠んでいます。)

ラジオにて父の聴きいし大相撲いつも仏壇に灯ともして観る
ブラジルの棋士に選ばれ女の孫はチェスのオリンピックのノルウェーに発つ
荒雨に表土流され育ちたる小蕪の浅漬け秋の味持つ
【スザノ福栄会 寺尾芳子】
(評:相撲が始まれば仏壇に灯をともして観るとは感心しました。それにお孫さんはチェスのオリンピックにあちこちの国に行かれ、みやげ話が楽しみですね。小蕪の浅漬けの味が秋の味持つがいいです。)

毎日のように電話をかけくるる吾を気づかい日本の子らが
今日もまた夕立くるや風吹いて雷のひびきに眉をひそめる
夫逝きて思い出多きアパートに独りぐらしの淋しさつのる
【スザノ福栄会 杉本鶴代】
(評:気づかってくれる日本の子供さん、独りぐらしの鶴代さん。夫婦といえどつらいですね。短歌を作って頑張って下さい。)

新年の願いをこめて鏡餅供えて手合わす神棚の前
明けましておめでとうと手をにぎり家族と祈る今年の健康
餅をつくこともなくなり店の餅買いおき手がるにすます正月
【スザノ福栄会 青柳ます】
(評:今風のお正月の様子がよく出ています。どんなに簡単になってもお餅だけは日本人は食べないとダメですね。)

夕立が日癖となりて今日もまたイタペチの山雲わき上がる
大通り隔てし向かいのアパートに夕陽当たりて日暮れをしらす
【スザノ福栄会 原君子】
(評:本当に決まったように毎日夕立がありますね。イタペチの山というとスザノの中村教二さんを思い出します。)

さやぎいる光と陰の街路樹にネズミモチの花いまを盛りと
早生晩生の甘藷を植え分け来年のおやつ用にと母の言わしき
フェイラでの野菜日ごとに値上がりてトマト玉ねぎあまりに高し
【サンパウロ 野村康】
(評:亡くなられたお母さんの言われたことも、いつまでも覚えているものですね。それを短歌にすると味わいがありますね。)

五つ束の短冊友はくれにけり百まで生きて歌作れよと
敬老会に卒寿を越えて共白髪祝いのケーキにナイフを入れる
七階のビルのベランダで吸う煙草ふえゆくビルを見つつ楽しむ
【スザノ福栄会 藤田朝壽】
(評:藤田さん、百まで生きて歌を作って下さい。三首目のビルを見下ろして煙草を吸う気分はいいでしょうね。気持ちがよく出ている歌です。)

窓越しに朝顔ながめつ飲むコーヒーさわやかなりし今日の始まり
稀勢の里表情変えず十四勝横綱昇進これで確実
騒がれず前触れもなく稀勢の里新横綱の誕生にわく
【サンパウロ中央老壮会 三宅珠美】
(評:初場所でついに日本人の横綱が誕生し、座布団が飛び大喜びでしたね。神風が吹いたようでしたね。)

犬の仔はあっと言う間に居丈になりそれでも仕草は子供のままで
新しく池に入れたる鯉五匹他とまざらず一緒に泳ぐ
どこからか昭和ポップが聞こえると友との教室頭をよぎる
【サンパウロ中央老壮会 尾身千枝子】
(評:買っている犬や鯉のことも短歌にするとなぜかほっとしますね。)

大相撲初優勝の稀勢の里期待に応えりりしい涙
稀勢の里横綱昇進確実に国内出身十九年ぶり
優勝を何度も阻みし白鵬を倒して飾る有終の美
【バレットス寿楽会 池田正勝】
(評:白鵬を倒して横綱になった稀勢の里に神がのりうつったような倒し方でしたね。拍手喝采です。)

ダリア祭援協前からバス五台花見て人見て焼ニシン食べ
【新井知里】


川柳 (選者=柿嶋さだ子)


父の意志ついで昿野に子等育ち
頑張れと二国の旗を振る移民
流す汗余生最後の勝ちいくさ
【カンピーナス明治会 塩飽博柳】
(評:重みのある汗である。正に人生最高勝利の汗と言えよう。)

片言の幼児と語り聞き疲れ
三姉妹歳の順には逝かぬもの
一本の白髪を気にする歳となり
【レジストロ春秋会 小野浮雲生】
(評:まだまだお若い。老いるごとに白髪は気にならなくなるもの―。)

橋あるか俺かなづちだ三途川
九条が発言民に問うてくれ
解釈を変えてうそぶく平和主義
【サンパウロ中央老壮会 藤倉澄湖】
(評:物事は解釈しだいで変わるもの。言葉だけの平和主義は無に等しい。)

宿題を終えた気分で投稿す
暗殺はお手のものだと北朝鮮
年金も慣れてしまえば不足なし
【サンパウロ中央老壮会 角谷博】
(評:始めの頃は不満に思った年金も慣れるにつれて感謝に変わってくるもの。「少しでもやはり年金はありがたい」どこかでそんな句を見たような気がします。)

泣くよりも笑っていれば福は来る
人生の苦楽を越えて光る顔
人の欲つきず汚職後断たず
【なつメロ倶楽部 坂口清子】
(評:どのチャンネルもラヴァジャットで洗い出される汚職ニュースの氾濫である。)

貧しく真っ直ぐ生きて荷が軽い
教育者も虚偽の申請契約書
女性の日朴氏の罷免哀しすぎ
【サンパウロ中央老壮会 鈴木ふみ】
(評:罷免された韓国の朴大統領が女性であることから、国際女性デーの日にあわせて哀感を詠んだ一句。ユニークな着想を頂きます。)

満月に世界平和を願います
泥棒も退治してよと守宮(やもり)見る
此処かしこネット便利で会話なし
【JICAシニアボランティア 鈴木京子】
(評:アイティーの進歩で対人会話は遠のいて行くばかりである。)

サンパウロどしゃ降りすれば川になる
高齢者のゲート大会楽しみに
新聞を読むが楽しみ老いの日々
【セントロ桜会 中山実】
(評:九四歳でまだ新聞を読み川柳を詠まれる作者に頭が下がります。今後とも健康に留意され、いつまでもお元気であられますように―。)

草と作競うを見ては苦笑い
ほっとした時には老いも坂となり
急がない逝く場所動きしないから
【スザノ市 飛松信雄】
(評:行く先は神が決めて下さる。ゆっくり、ゆっくり参りましょう。)

大海を越えてつかんだ今の幸
しつこいと言われてはっと気がついた
先ずほめて小言ちょっぴりそれで良い 
【サンパウロ市 渡辺文子】
(評:大切な処世術の一つでもある。)

年明けて川柳句会盛り上がり
平成二十九昭和も遠くなりました
丈夫だし呆けてもないけどやっぱりね
【サンパウロ市 毬井べる】
(評:「やっぱり歳だなあ」と気付いた時の遣る瀬なさは誰にもあるもの。まだまだの気力で頑張りましょう。)

いつまでも新人でいい柳句会
別れ住み初めて気付く君の良さ
トランプよ隣家に橋かけ壁なくせ
【サンパウロ市 堀井渚】
(評:メキシコとの国境に巨大な壁を作ると言うトランプの発言に、壁より橋を掛けよとのアドバイスともとれる。ユニークな一句である。)

雨季が来て節水気にせず手を洗い
新年と開き直って迎えても
出来ましたやはり試して見るべきね
【サンパウロ市 秋吉寿子】
(評:物は試しと言う。くよくよせずにチャレンジすること。)

氏よりもやはり育ちが物を言い
雰囲気がやはり違うよあの人は
新年の快挙稀勢が横綱に
【ソロカバ市 早川量通】
(評:次の大阪春場所でも是非優勝してほしいもの。)

身と頭老化してるが気は若い
家庭の和あやつり治め主婦の技
夢いらぬ現在(いま)を悔いなく生きていく
【サンパウロ市 大塚弥生】
(評:過去も未来も夢に等しいもの。現実をひたすら生きるのみ―。)

キー叩く指に押されてゆく世紀
究極はやはり親子と言う絆
【柿嶋さだ子】

◎席題「道」(京子出題)
義理人情外してならぬ人の道【ふみ】
もう少し楽しんで行こう黄泉(よみ)の道【ふみ】
振り向けばぬかるみ多い道だった【博】
古稀過ぎて道まだ半ば奮闘す【博】
正直に人の道来て今の幸【清子】
熟連へ今日も歩く同じ道【清子】
サンパウロ輪道百キロあると言う【実】
悪い道足元気をつけ札拾い【京子】
人の道曲がりもあれば坂もある【京子】


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