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熟年クラブ連合会
     俳句・短歌・川柳・詩  (最終更新日 : 2019/02/15)
2017年7月号

2017年7月号 (2017/07/12) 俳句 (選者=吉田しのぶ)


竹細工の匠の技や冬日和◎
箒目に何ついばむや冬の鳥
夕霧の流るる寺苑白椿
猫の名はイブセンのノラ日向ぼこ
【香山和栄】
(評:日本伝統工芸の竹細工が展示されているジャパンハウスを見学して本当に匠の技であると感動した。日本人ならではの細工のこまやかさ、微に入り、細に入り竹細工の粋を極めた作品にしばし見入った。冬日和の風に誘われて、竹藪の葉擦れの音も聞こえてきそう。「冬日和」の季語が良く効いた作品となりました。)

木沓蘭ポパイ咥えしパイプに似◎
子任せの旅にくつろぐ冬ぬくし
よく食べてよく働いて日短
綿菓子の少し縮まる霧の園
【猪野みつえ】
(評:席題に出た木沓蘭。この花は蘭の一種でオランダ木靴のポックリに似ており、ポパイのパイプにもそっくりで、その容形をよく表しています。見たまま感じたままを句にできる力量を備えた作者です。よく写生の効いたた句となりました。)

瑠璃茉莉むらさきの垣一直線◎
晩秋の柵の草食む放れ馬
冬の鳥四五羽飛び交う滑走路
日照雨やみ水のあふるる木沓蘭
【森川玲子】
(評:よく生垣の塀に這わせて植えられている、薄むらさきの可憐な花で作者の家の庭にもいっぱい咲いているとか。紫の垣一直線とは写実そのものの俳句です。)

冬の鳥傍若無人菜をつつく
同船の思い出つきぬ遺民祭
冬晴れや慈善バザーに連れ立って
猫の恋我が家の猫はまことブス
【田中保子】

路地の草群れて啄む冬の鳥
穂波打つ線路の土手の脂草
先急ぐ陸橋包む霧襖
小屋巡る小型目に付く冬の蘭
【畠山てるえ】

五粒の薬で始まる今朝の冬
寒椿今年は古稀の誕生日
母の味何かが違う根深汁
望郷の念も薄れし移民の日
【川井洋子】

寒椿白磁に映えて清楚なり
冬の鳥鳴き声荒き川面かな
霧雨の巣に親子鳥ふるえおり
侘助の目にしみる朝入院す
【岩崎るりか】

収穫を済ませ農村大焚火
冬晴れやトンネル多き新街道
勤行に背筋冷たき隙間風
火焔樹を見上げ疲るる項かな
【大原サチ】

冬の鳥樹下に啄みねずみめく
甘酒に杯を重ねてほてる頬
鬨告ぐる一番鳥に冬深む
花散って残り香漂う冬の庭
【寺田雪恵】

湯上りを荘に籠りて冬至粥
全焼す天空のビル夜の大火
生かされて今日ある命日向ぼこ
徐行して海へと下る霧襖
【吉田しのぶ】


短歌 (選者=新井知里)


熊本の地震から今日一年映像と共に故郷に黙祷
赤々とどの出店にも柿あふれ朝市に秋を満喫したり
やっと来たインフルエンザ予防接種老夫と済ませ足どり軽く
【インダイアツーバ親和会 野村文恵】
(評:熊本のお城も修復に十年以上かかるとか。悲しいことですね。出店に柿が並ぶと秋を感じ、予防接種に冬を感じ、どれもよく出来た歌です。)

十日ほど前まで元気にゲートボール気丈な姉の入院の知らせ
七日間入院生活検査ぜめ見舞終えても何も語らず
兄姉はとうに世を去り二人だけその姉も逝きさびしききわみ
【セントロ桜会 大志田良子】
(評:頼りにしていたお姉さんが短い間に逝き、ご愁傷さまです。卒寿過ぎて訪日された良子さんの勇気、きっと頑張られることでしょう。)

富有柿のかわ剥ぎ二人の食す朝果物天国ブラジル大好き
台所で過ごす時間の多かりきたった二人の食事のために
寝そびれて深夜の床で思案する明日の献立二回の分を
【サンパウロ中央老壮会 三宅珠美】
(評:主婦の細かい日常の中でも歌は作れるものですね。少し直しました。)

ちぢまりし脳も臓腑も春風に大きく伸してほぐれゆくなり
高き地位得し子おらねど日本語をうけつぎくれて話しあう幸
サザンクルスにあこがれ移住せしという友を偲びて夜空を仰ぐ
【スザノ福栄会 寺尾芳子】
(評:むずかしい日本語をお子さん達が受けついで話し合えるのはお幸せなことですね。)

アパートの庭歩くのが日課にて朝日浴びつつ心がなごむ
不景気にドロボウ増えて子供らの学校帰りが心配になる
アパートの庭に咲きいる花々に今日も来ているベイジャフロール
【スザノ福栄会 杉本鶴代】
(評:日常の生活が見えてよい歌です。)

ラバジャットのニュースにカルネも加わりて伯国の上層部に暗雲ただよう
カラオケの父の拳骨偲ぶ歌笑って聴きつ涙を拭う
日本語の名も欲しかりと思えども生れし曽孫はヘンリーと呼ぶ
【サンパウロ 野村康】
(評:だんだんと日本名が無くなるのでしょうか。時代を感ずる歌ですね。勉強になります。)

見上ぐれば秋の大空夕ばえて生きる力の静かにぞ湧く
新蕎麦を届けてくれし歌の友と星の輝く空を見上げぬ
【スザノ福栄会 青柳房治】
(評:生きる力が湧いて来た房治さん。おめでとうございます。よい歌が出来ますように。)

ふるさとの桜満開のテレビ観て行ってみたいよ夫と一緒に
窓開けていても一匹の蚊もいない住みやすい街われらのアパート
日曜日孫ら集まりその中に曽孫もいて吾が家にぎわう
【スザノ福栄会 青柳ます】
(評:一首目、夫と共にもう一度桜咲く日本へ行ってみたいや三首目の集まる孫の中に曽孫もいて賑わっているこうした素直な歌はいいですね。)

土曜日の朝市立てば独り行き豆腐一丁もとめて帰る
豆腐入れネギを刻んで味噌汁をつくりて老いの命やしなう
白飯に味噌汁香のものあれば老いの食事はこと足りにけり
【スザノ福栄会 藤田朝壽】
(評:二首目の老いの命やしなうはいいですね。お上手です。)

ブラジルに里帰りして吾が娘め子供を抱いて親子三人
里帰り光陰矢の如し見違える孫は立派な大学生に
日本の孫は常院大学の学位授与式写真をくるる
【バレットス寿楽会 池田正勝】
(評:素晴らしいお孫さんに成長されおめで  とうございます。祖父母にとってはなによりの孝行ですね。長い年月の積み重ねと思います。)

入り口を入るといつもホッとするキンモクセイの香りほのかに
久しぶり息子が帰る週末は頭の中に料理が渦まく
高い空綿雲浮かぶ秋の朝うでを広げて空気すい込む
【サンパウロ中央老壮会 尾身千枝子】
(評:金木犀の香りは良い香りですね。日本を感じます。息子さんの帰り来る週末は頭の中に料理が渦まくなんて、よく詠んでいます。)

余生たのし昨日も今日も招かれし二人の友の卒寿の宴に
新しいパスポート手に旅プラン幾十年ぶり生れ故郷へ
五月花木靴らん咲く秋の朝花々お早うありがとう
【サウーデ文化協会老壮部 山田かおる】
(評:三首共とても楽しい気持になりました。生れ故郷に卒寿を過ぎて行かれるなんて、本当にお幸せな方だと思います。)

裏庭の苗から植えしイペーの木十二年たてど花咲かぬまま
一晩中雨が降ってた今朝の庭はれて小鳥の喜びの声湧く
【新井知里】


川柳 (選者=柿嶋さだ子)


北鮮よそんなに戦(いくさ)したいのか
祭り事支える元気な老いパワー
愛犬もそっと寄り添う日向ぼこ
【なつメロ倶楽部 坂口清子】
(評:相次ぐミサイル発射で日米の安全を脅かす北鮮の強固な行動を詠んでお見事。)

熟年の幸せ今が花盛り
人類の愚かさ核とテロリスト
トランプの気まま政治に手を焼いて
【サンパウロ中央老壮会 鈴木ふみ】
(評:明るく豊かな長寿社会がモットーの熟年クラブは熟年のオアシス。正に今が花盛りといったところ。)

老人会医者より詳しい奴ばかり
秋晴れやどこもかしこ移民祭
傘さして雨の芝生に語りかけ
【サンパウロ中央老壮会 角谷博】
(評:どこの老人会でも健康維持に関する話題が多い。ツウの人が揃っていて、次から次へと話題はつきない。)

長距離のバスの便座と格闘し
知らぬ土地今か今かと迎え待つ
模様がえ却って部屋が狭くなり
【JICAシニアボランティア 鈴木京子】
(評:飛行機、バスでの長距離旅でのトイレは実に煩わしいもの。下句のユニークな表現法、お見事です。)

人はみなお迎え来れば天国へ
老いの足杖がなければ上がらない
兄弟も母が違えば顔違い
【セントロ桜会 中山実】
(評:このお迎えばかりは不可抗力。天国を夢みて素直に従いて行きましょう。)

自信抱き二足のワラジなどいらぬ
自信満々浮世の風が笑ってる
四月馬鹿騙されましたで事が済み
【カンピーナス明治会 塩飽博柳】
(評:一足のワラジに人生を託して生き抜いて来られたご信念、流石です。)

回る金おらのとこにも寄っとくれ
望む月メルヘン消えて宇宙熱
孫ミーリョ爺はやき芋東洋街
【オザスコ市 原幸雄】
(評:庶民の本音をズバリ。しかも、さらりと詠んでお見事。)

誇る気を鎮めて向かう祝い席
通院で友がだんだん増えてくる
誇り持ち頑張り抜いて来た移民
【サンパウロ市 秋吉寿子】
(評:慎ましいたたずまいがより光って見えます。)

耐えたこと指では数えきれぬほど
夫老化要介護文字忍び寄る
ひかえめが家族和合のひけつです
【サンパウロ市 大塚弥生】
(評:ご苦労なさったのですね。「耐えること美学に生きた移民妻」私もいつか亡き母を偲びながらそんな川柳を作ったことを思い出しました。)

かなうならやはり行く先天国へ
見え透いたウソは愛嬌ですまされる
移り移ってやっと見つけた安住地
【スザノ市 飛松信雄】
(評:人の道を正しく生きてさえいれば、きっと叶えられますよ。)

人類の生き方変わる未来像
一日の成果で旨く飲むピンガ
庭いっぱいゴミ吹き寄せて風は去り
【オザスコ市 井上風車】
(評:人が世を変え世が人を変えて行く。将来、人の生き方はどう変化するのか想像難い。)

隠しても喜怒哀楽は顔に出る
自信いっぱい積んで船出の大統領
貧富の差なくす事などやはり無理
【サンパウロ中央老壮会 渡辺文子】

頼まれたピンク色鶴折り上げる
折り紙に夢中になって目をいため
移民の子親の苦労背なに見て
【サントス市 大矢のぶ子】

百才が平均寿命となる未来
引きこもる友に電話かけてみる
高血圧つけもの味噌しる遠ざけて
【オザスコ市 太田孝江】

値段より好みで買う癖高くつき
安らぎを顔に浮かべて友は逝き
世の変化ついて行けずに呆け始め
【オザスコ市 斉藤晃伯】

◎席題「愛」(ふみ出題)
愛してるそのひと言に騙されて【清子】
人間も愛がなければ人でなし【実】
人はみな愛があるから生きられる【実】
愛してる口は言うけど目が違い【京子】
愛してる犬も家族の一人です【京子】
知を愛す我が胸底に燃えている【博】
愛すること世界平和の始めなり【博】
夫婦愛つかず離れず五十年【ふみ】
いつまでも子等への愛は揺るぎなし【ふみ】
究極は家族愛と言う絆【柿嶋さだ子】
義理でない無償の愛が美しい【柿嶋さだ子】


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