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熟年クラブ連合会
     俳句・短歌・川柳・詩  (最終更新日 : 2019/02/15)
2017年8月号

2017年8月号 (2017/08/18) 俳句 (選者=吉田しのぶ)


鳴きやまぬ犬の遠吠え冬ざるる
冬の朝湯が沸くまでの指体操
手話の娘の赤き寒紅よく映えて
五センターボ拾ふ人あり冬ざるる
髪うすき頭をかくし冬帽子
【森川玲子】
(評:犬の遠吠えが聞こえる冬の荒涼とした景色を想像する。しかも何時までも鳴いている。野良犬であろうか、その鳴き声が尾を引いてもの悲しく聞こえるのである。哀れみを誘って、冬ざるるが動かぬ季語となった。)

老ひてなほ願い事あり星祭
赤ちゃんのお尻まる出し日向ぼこ
冬帽子父子おんなじ耳をもつ
ダイエットする娘しない娘冬至粥
【川井洋子】
(評:毎年リベルダーデ広場で開催される七夕祭り、近年はブラジル人の人達が多数を占める催しとなっている。年老いても願い事があるのは、夢があって楽しい。)

日本祭ユバの味噌買ふ行列に
まりイペー盛りの墓地に友送る
訪日の娘は空港に冬ぬくし
あらアラまあお久ぶりと移民祭
【田中保子】
(評:日本祭りの人込みを掻き分けてようやくユバのバンカにたどり着いた。列に並んでお目当ての味噌を買うことができましたね。実は私も列に並んでその味噌を買ったんです。むせ返るような会場の雰囲気がよく出ています。)

白髪隠し禿かくしてふ冬帽子
孫よりも祖母の寒紅濃ゆかりき
今川焼き食べつつ七夕飾りみる
小判抱く猫の薬玉星まつり
【猪野みつえ】
(評:日除け、防寒以外にも帽子は外出の際に白髪を隠したり、薄毛や禿をかくすのに誠に重宝である。冬帽子となれば、被って温かく一石二鳥である。)

寒紅をきりりと引いてホ句の会
移民の子神戸で買いし冬帽子
酔えばすぐ「枯芒」の唄口ずさむ
日たまりに朽葉色して冬の蝶
【香山和栄】
(評:ホ句の会にかぎらず、熟練クラブの教室に通っていらっしゃる高齢の皆さん方、きりりと寒紅を引いて身だしなみもきちんとして、溌剌としていらっしゃいますね。センスは服に、美意識は爪に、清潔感は髪に出るそうですよ。)

暮易し出入りに使う鍵三つ
屋台に聞くお国言葉も日本祭
消防車発つ警笛に煙霧濃し
味の良き日本種と言ふ藷を焼く 
【畠山てるえ】
(評:日の短い冬はすぐに日が暮れる。ちょっと遠出をしようものなら、時間が気になって落ち着かない。物騒な世の中、家の出入りには三つの鍵を使って厳重に戸締りをする、暮易しといって短日の慌ただしい情景が目に浮かぶ。)

冬ざれの野に来たりなば耳痛し
冬帽子探しあてたる古ダンス
手袋を脱いだ君の手あたたかし
冬めける部屋に一人居アリア聞く
【坂野不二子】
(評:風をさえぎるもののない冬ざれの野に佇つと、寒気と強風にあおられて耳が痛くなった。昔寒風の吹き荒ぶパストで、愛馬に餌を与えた記憶がよみがえった。帽子を被っていても耳が痛くなる。実感である。)

昃れば淋しさ募る枯野道
寒紅を濃く颯爽と出勤す
すれ違ふ人にも笑顔冬日和
病みてより仕舞しままの冬帽子
【大原サチ】
(評:末枯れの野道は殺風景である。あたりに人影もいない、昃れば一層さみしさが募る。夕暮れの冬の景を詠んで、枯野道が動かぬ季語となった。)

墓碑のごと牧の蟻塚冬ざるる
目印は赤き冬帽ガイド嬢
むらさきの冬帽で決める朝散歩
桃の花バケツに盛られ朝市へ
【岩崎るりか】
(評:奥地へ行くとき、広大な牧場の中を一本の国道が走っているその道沿いに、大小さまざまな蟻塚が並んでいる光景を目にする。冬ざれの牧場の中の蟻塚が墓碑のようだと読んでうらぶれた牧場の描写がよく出ている。)

凧追って走る子に犬じゃれついて
七夕の短冊ゆれて人の波
人ごみに友見つけたり星祭
イベーの花くすんで見ゆる曇り空
【井出香哉】
(評:凧揚げは冬の風物詩。凧を上げて走る子に犬もじゃれついて走る。寒風の中を子供と犬と一体となって凧揚げを楽しんでいる光景がよく出ています。)

冬ざれて句碑荒涼と園の中
水害地手つかぬままに冬ざるる
世を避けて目深かに被り冬帽子
冬ざれや空き家と見ゆる垣根越し
【吉田しのぶ】


短歌 (選者=新井知里)


これからは転ばぬように気を付けてゆっくり歩き用を足すこと
卓の上に味噌汁こぼしあわてども女孫はすぐに拭きてくれたり
老いわれを二人の吾娘は頼りとす弱りならじと神に祈りぬ
【サンパウロ中央老壮会 富樫苓子】
(評:老いて行く身は大変ですが、弱りならじと祈っていたらきっと神さまは聞き入れて下さるでしょう。)

キャーボと鶏肉コンビ旨いねとたまには嬉しいほめことば
我が家族移住六人皆逝きて残るは二世の我と兄
風の色紫に染め散るイペー歩道は紫のじゅうたんに
【サンパウロ中央老壮会 三宅珠美】
(評:一世の移民家族も残り少なくなり、時代はどんどん過ぎて行きますね。キャーボと鶏肉のコンビを作ってみましょう。)

大相撲新横綱の稀勢の里怪我で無念の休場をする
関脇の高安関は念願の大関昇進伝達式に
稀勢の里弟弟子の高安が大関昇進祝福をする
【バレットス寿楽会 池田正勝】
(評:NHKで日本の相撲が観られる世となり、楽しみが一段と増えありがたいですね。贔屓の方は誰でしょうか。)

余生たのし昨日も今日も招かれし二人の友の卒寿の宴に
五月花木靴らん咲きうれしさにお早ようありがと花に礼を云う
子等と共にマ州のボニートへ滝や洞窟おどろくばかり
【サウーデ文協老壮部 山田かおる】
(評:卒寿をとうに過ぎてから若者みたいな山田さん。健康な心とからだは宝ですね。見習うばかりです。)

去る四月娘のバースデー友人等集いて祝うその半世紀(パラベンスー五十才)
好天気娘と二人ウォーキングパパと三人よく来たところ
ストレスを深く留めいる娘見て亡夫似ではと吾かいしゃくす
【サンパウロ中央老壮会 大志田良子】
(評:一人娘の娘さんは様々のことを考えるのでしょうね。素晴らしい親子と思います。)

丘こえて緑の草原どこまでも目にもまぶしい英国の夏
聖堂を囲む芝にそこかしこ短い夏を楽しむ人が
いにしえの人の思いで運ばれし巨石の群が草原に立つ
【サンパウロ中央老壮会 尾身千枝子】
(評:英国に嫁がれた娘さんを訪ねる旅。緑の季節の中で思い出深い旅だったことでしょう。景色が目に浮んできます。)

夜を通しかけいの水のおつるおと高野の宿坊の枕辺に聞く
夕空にかかる三日月金色にとがりてうれい心をそそる
【スザノ福栄会 寺尾芳子】
(評:三日月が金色にとがるとはなかなかの表現ですね。夜通し聞こえたかけいの音も聞こえます。)

アパートに独りで留守番しているとつまらぬことまで思い出さるる
クワレズマに朝くる小鳥たのしみに散歩に出かける心がはずむ
【スザノ福栄会 杉本鶴代】
(評:小鳥がさえずると心が弾みますね。独りで留守番しているとつまらぬことまで思い出されるとは、よく心の中のことを表されて同感です。)

ふるさとの校歌のメロディ流れきて庭に草引く吾も合唱
足を病む吾を車椅子に乗せ妻は過ぎし暮しを語りつつ行く
【スザノ福栄会 青柳房治】
(評:八十才過ぎた御夫婦の温かい一瞬ですね。よく表現されています。)

いつまでの幸せなるや夫といてテレビを観つつ笑いあえるは
ふるさとの岸をはなれて幾年ぞ八十路をこえて夫と異国に
【スザノ福栄会 青柳ます】
(評:いつまでも一緒に生きられない身、悲しいですね。でも、人の世の常だから仕方ありませんね。)

長生きも得することもあるという三台連結のバスを見ている
カンテラの灯火のもとでのお見合いを娘らに聞かす卒寿の吾は
【サンパウロ 野村康】
(評:三台も連結したバスは見たことがありません。カンテラの灯火のもとでのお見合いも楽しい話ですね。)

冬の朝首さし伸べて庭歩むガンソなくとき息ほの白し
吾が長女肝太ければ伯銀の融資をうけて大家買う
背高き友と一緒に歩むときいつでも我はおくれがちなり
【スザノ福栄会 藤田朝日子】
(評:ガンソは可愛い鳥ですね。背の高い人と歩く時は私もいつも遅くなります。小さなことにも材料として短歌はいつも近くにありますね。)

今日のよき日よ
兄夫婦妹めい等もかけて来て分かちあいたるわが喜こびを
足よわき母を助ける父がいて厨仕事も母より上手
八十五と共に祝える父と母いつもいっしょのおしどり夫婦
【リベイロン・ピーレス 大城みどり】
(評:うらやましい御夫婦、素晴らしいですね。そんな御両親のお誕生日を御兄弟やら遠くはボリビア、アルゼンチンのご親戚まで招ばれ、皆さんさぞ喜ばれたことでしょう。)

「孫の冬休み」
シャワーなくトイレもないタイの山村それでも満足象の背に乗り
【新井知里】


川柳 (選者=柿嶋さだ子)


日本祭り衝動買いも又楽し
日本祭りあきれる程の人の波
幸せは背なの温もり日向ぼこ
【サンパウロ中央老壮会 鈴木ふみ】
(評:あれもこれもで思いの外の散財となりましたが、結構楽しい一日でした。)

ジジババは温泉旅行で若返り
イビラ湯に浸って癒す皺の数
カフェからパストに変わり今カンナ
【サンパウロ中央老壮会 角谷博】
(評:温泉湯に浸って顔の皺もすべすべになって若返った感じ。爺ちゃん婆ちゃんの顔が輝いて見えます。)

足腰が元気な内に出かけよう
老いの顔日本祭りに輝やいて
半世紀過ぎても亡き母まだ偲ぶ
【なつメロ倶楽部 坂口清子】
(評:外出は心身ともに元気づけてくれるものです。要は転んだりしないよう、足元に気を付けること。)

忙しいメモはしたけどどこ置いた
顔だけは分かるが誰か名が出ない
話しだけが弾むがサテ誰だっけ
【JICAシニアボランティア 鈴木京子】
(評:忘れぬようにとメモして置いたのに、いざと云う時に見つからない―、よくあることです。)

政界はラヴァ・ジャットで今日も暮れ
雨季すぎてセッカ続きのサンパウロ
さすが県連日本祭の素晴らしさ
【セントロ桜会 中山実】
(評:どのチャンネルもラヴァ・ジャットのニュースで持ちきりの毎日です。)

ゆっくりと黄昏道を辿る我
隠居する幸せ願う日の祈り
水くさい言葉の中にある深味
【カンピーナス明治会 塩飽博柳】
(評:誰もが辿る黄昏の道。過去、未来に花を咲かせながらゆっくり辿って行きましょう。)

誇らしい顔どれもみな深い皺
年とれば動きゆっくり象サイズ
ちびサイズ山椒になれと吾子に言い
【サンパウロ市 堀江渚】
(評:泰然とした顔に虚も実も乗り越えて来たプライドが見える。下句の「深い皺」が佳いですね。お見事です。)

あなた誰鏡で笑う熟女あり
老いてなおときめく夕は花の雨
熟年の憂い川柳でプラスする
【サンパウロ市 毬井べる】
(評:鏡に写る熟女はどんな人物なのか、想像する程に怖気をさそうドラマを含んだ一句でした。)

金婚の名は光れども世話が増え
時が飛ぶ目まいの如く半世紀
わたし古希走らなければ成し終えぬ
【サンパウロ市 大塚弥生】
(評:金婚式を迎える頃になると夫婦ともに世話が増える年齢となるようです。互いに心身共に健全で金婚式を迎えたいものですね。)

外見で測るサイズの当てはずれ
太り過ぎサイズ合わずにあきらめる
政治家は裏で口利き金稼ぐ
【オザスコ市 斉藤晃伯】
(評:物も人格も外見だけでの目測判断はマイナスになる事が多い。)

ひょっとして奇跡起こるか再会で
若き日に汲い込まれてゆくクラシック
熟年者集いて笑い若返る
【サンパウロ市 秋吉寿子】
(評:予想通りの奇跡が起きて欲しい貴重な再会ですね。)

まだまだがもうに替わる日すぐに来る
宵っぱりの朝寝わたしはやはり駄目
欲しい服サイズ合わずで諦める
【サンパウロ中央老壮会 渡辺文子】

才能も使わなければ価値がない
人のこと言うより前に己見て
良い知らせ風邪も頭痛も吹っとばし
【スザノ市 飛松信雄】

外面(づら)の良さが後で裏目に出
氏よりもやはり育ちの大切さ
ケータイがわが脳みそになり代わり
【ソロカバ市 早川量通】

川柳詠み独り頷きほくそ笑む
寒波来る着ぶくれ暖冬待っている
誕生日スラムの子等にプレゼント
【サンパウロ市 彭鄭美智】

老い哀し体も脳も錆びるのみ
引っ込み思案これもやはり生まれつき
枯れ木には登らぬ猿の知恵さすが
【オザスコ市 井上風車】

◎席題「健康」(京子出題)
何よりも健康第一人生は【清子】
老いてなお子等の健康祈る母【清子】
健やかに育った孫は世界一【博】
健康が一番だいじと腹七分【博】
まず笑え心も体も健康に【ふみ】
健やかに老いてまわりに感謝して【ふみ】
お陰さま九六でまだ元気【実】
まだ元気今日も句会に出ています【実】
六十を過ぎても元気で齢(とし)忘れ【京子】
健康を気にするあまり病んでいる【京子】


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