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熟年クラブ連合会
     俳句・短歌・川柳・詩  (最終更新日 : 2019/02/15)
2017年10月号

2017年10月号 (2017/10/14) 俳句 (選者=吉田しのぶ)


秀句佳句残し尽くされ冬銀河
歌好きの御霊を偲ぶ冬の堂
無事知らす被災地の友冬日燦
寒波にも破れジーンズの若者等
【鈴木文子】
(評:最初の二句共、今年六月二十五日に亡くなられた杉本絃一さんを偲んでの哀悼の一句となりました。初七日は寒い寒い日でした。また一つ木蔭句会の灯が消えました。ご冥福を祈ります。)

漫遊の黄門偲ぶ立葵
葱坊主傷めし犬の詫びを言ふ
春雨や濡れば花浮くたたみ傘
反抗期仔猫に見せる別の顔
【猪野みつえ】
(評:映画でお馴染みの水戸黄門「この紋所が目に入らぬか」葵の紋をかざしての名場面を思い浮かべます。立葵を見て葵の紋を連想した、想像力豊かなのも俳句を作る醍醐味ですね。)

春眠に駅乗り越してしまひけり
小学生抱いて頬ずり捨て仔猫
整列の野球少年葱坊主
春昼や近くにスーパー建つ話
【畠山てるえ】
(評:「春眠暁を覚えず」よくある光景です。うとうと眠気をバスに委ねてふと気が付けば乗り越してしまった。バスも地下鉄も、物騒な世の中狙っている輩がいますよ、くれぐれも気をつけて。)

子猫きて社長の訓示終わりたる
黄門の印籠さながら葵の葉
春めきてお地蔵様の赤頭巾
【香山和栄】
(評:猫好きな社長さん、これぞ「猫可愛がり」訓示そっちのけで、子猫に目がない様が、訓示終わりたるでよく表しています。社員もホットしたことでしょう。ユーモアのある句になりました。)

猫の仔とヒヨコと子豚庭の昼
ふるさとは遥か遠のき葱坊主
猫の仔の心音かすか抱きしめて
春時雨傘のまばらに葬の列
【森川玲子】
(評:都会に暮らしていると、このような情景はお目にかかれない。近郊農家の長閑な昼下がりを想像します。ごく自然な田舎の暮らしですが、農家の庭先にはいくらでも句材がころがっています。)

北朝鮮に非難集中春寒し
葱坊主直立不動の当番兵
カーテンの裾はボロボロ子猫どち
難行の膝に這い来る子猫かな
【田中保子】
(評:日本の上空を飛び越えてミサイルを発射し水爆実験をするなど、核の脅威は全世界を震撼とさせました。北の暴挙を止める手立てはないのでしょうか。春寒しと言って、心まで寒くなります。)

春寒し止むこと知らぬ汚職かな
黄一面たんぽぽ群れる川辺かな
水温み厨たのしき夕支度
春めける地蔵の赤きよだれかけ
【岩崎るりか】
(評:いつの世も汚職の絶えることはありません。ブラジル政界の汚職は目に余るものがありますね。汚職のない平和な世の中はいつくるのでしょう。)

葱坊主泣く子笑う子みな元気
春めくや影まで淡くやわらかく
胸に抱きあやす仔猫のふっわふわ
水温む川面の朝日やさしかり
【川井洋子】
(評:子供は風の子、泣いたり笑ったり叱られたり、親の愛に育まれて元気に育ちます。葱坊主になぞらえて、成長していく姿がよくとらえられています。)

花見時季逃せし悔いやしとど降る
葱坊主母の畑を思い出す
鉢植えに十本ばかりの葱坊主
薄着して風流気取り春の風邪
【井出香哉】
(評:雨が降り続き、花見時季をとうとう逃してしまった悔やしさ、誰にでもその経験があるでしょう。来年こそは逃さないで見に行くぞ、その思いがこの句には込められています。)

眠気誘ふ経営講座や花曇り
【田中エレーナ】
(評:二世の方です。企業に働いているとこうした講座に出席するのも仕事の内難しい話は眠気を誘う、もっともです。外はどんよりとした花曇り、眠気を誘う雰囲気がよく出ています。)

退勤の山門に散るイペーの花
腕組んでカップル春雨気にもせず
原木に咲く春の蘭荘の庭
浮雲を湖面に写し春寒し
【吉田しのぶ】


短歌 (選者=新井知里)


長男の吾が孫獣医にフォルマして授与式があり獣医三人目
二日目は夕食会に招かれて会場盛大多くの人が
三日目はパーティがあり若い者踊る者だけ夜おそくまで
【バレットス寿楽会 池田正勝】
(評:お孫さんまで立派なことは、うれしいことですね。おめでとうございます。)

骨休め休暇なき主婦業たまには冬眠したくなる
外出はせずともせめて身嗜みうすく紅ひき鏡に笑みせ
十七年七月十七鼠年いつの間にやら傘寿坂
【サンパウロ中央老壮会 三宅珠美】
(評:一首目、本当に主婦業はたまに冬眠したくなりますね。二首目、鏡に笑ってのところ、可愛い女の歌になりました。)

早朝に目ざましと共に聞え来るビンチビー唄う元気を出せと
今朝もまた広場に集う鳩の群空腹のもよう餌のあらそい
リベルダーデ広場に一本イペロッシャ季節をむかえ満開美はし
【サンパウロ中央老壮会 大志田良子】
(評:卒寿を過ぎられたのにメトロでリベルダーデに行かれ、鳩を気遣い満開のイペロッシャに美しいと愛で歌を作られる。えらい方ですね。お元気で。)

幼なき日バナナの木陰でかくれ泣き居しことどもも今も忘れず
人知れず泣きし苦労を胸に秘め強く生き来し移民の妻たち
弱視われ曇り日は苦手晴れの日を待つ身に今日も小雨降りゆく
【プラッサ・ダ・アルボレ 矢島みどり】
(評:バナナの木陰で泣いたり移民妻たちの苦労は大変でしたね。晴れる日を信じて頑張りました。)

この頃は力士の腹の太きこと昔は見ざりしまわし超す腹
大地震の予測によれば高知市は三十四米の津波来るとぞ
【スザノ福栄会 寺尾芳子】
(評:確かに昔の力士のおなかは大きくはなかったですね。ご自分の故郷に大きな津波が来ると予測されたら気になりますね。)

カンポスに何年ぶりかに来てみれば昔の歌会が思い出される
電話くれし娘時代の友達に会いに行きたり七十年ぶりに
【スザノ福栄会 杉本鶴代】
(評:思い出のお友達は懐かしかったことでしょうね。カンポスの思い出の歌会は…。)

子と語る短夜の尚みじか過ぎ火鉢の火さえ消えて久しき
【スザノ福栄会 青柳房治】
(評:子と話しをしているお父さん、火鉢の火も消えているのに優しいですね。)

ふるさとの岸をはなれて幾年ぞ八十路をこえし夫と異国に
【スザノ福栄会 青柳ます】
(評:運命とは不思議なものですね。)

ホクホクの鉞南瓜(まさかり)は蝦夷の産種子のあればと思うことあり
死ぬことを忘れて吾は娘の辞書を引いて歌詠む昨日も今日も
【サンパウロ 野村康】
(評:ホクホク南瓜のおいしさが伝わってきます。歌を二世で詠むことは、大変なことだと思います。娘さんの辞書を引くこと、それだけで大変ですね。どの歌も明るくて楽しいです。)

輸出する紙の梱包高く積み港を目ざす大型トラック
パラナグアの港を目指すトラックは日本へ輸出のパルプを積めり
近代設備成る工場の煙突の煙はわずかの汚臭をもたず
【スザノ福栄会 藤田朝壽】
(評:近代設備のある紙の工場。わずかな汚臭もなく製品にし、パラナグアから日本へ輸出していること、とても勉強になりました。)

平凡に良く寝良く食べ健康で老夫と居ればそれだけでいい
青空にイッペホーショの花盛り行き交う車のアベニダ高く
冬の庭育てし蘭に花芽来た日々に見守れど何も進まず
【インダイアツーバ親和会 野村文恵】
(評:三首共よく出来ています。本当にイペホーショは見事な花ですね。私も大好きです。)

好きなれど水中体操おこたりがち心にむち打つ冬の朝なり
寒いさむいと云ってはおれず勇気出し一気に飛び込むプールはあたたか
名物の日本まつりで食べ歩くさぬきうどんは格別の味
【サウーデ文化協会老壮部 山田かおる】
(評:さぬきうどんは故郷の味だから格別だったことでしょう。よかったですね。この寒いのにプールに入るのは勇気がいりますね。えらいと思います。)

何故なのかつい見てしまう椿の木ことしの花はいかに咲くかと
冬の日に雲一つない青い空陽を浴びながら寒さ楽しむ
【サンパウロ中央老壮会 尾身千枝子】
(評:椿の咲き具合は特別ですね。日本の木だからだと思います。寒さ楽しむのはいいですね。こんな気持ちで歌を作りましょう。)

早朝に夫と相撲観ておりぬ同時に見られる画面うれしく
【新井知里】


川柳 (選者=柿嶋さだ子)


ほどほどに義理を欠かさぬおつき合い
義理と言う徳目子等に残したい
幸せは自ら育て掴むもの
戦争のおろかさ命重たりき
【サンパウロ中央老壮会 鈴木ふみ】

世は変わり義理より金が優先し
義理の語意ポ語辞書には見つからず
花よりもダンゴが好きとよく太り
限りある命笑って極楽に
【サンパウロ中央老壮会 中西笑】

散る花に武士の魂見る思い
限りある命を生きて悔はなし
【なつメロ倶楽部 坂口清子】

朝日みて生きてる事に感謝して
あなた先俺より先と死ぬ話
【JICAシニアボランティア 鈴木京子】

義理立てて裏書きしたら家なくし
演歌には義理と人情がよく似合う
限りある命あるだけ愛したい
義理がたく三途の川も同伴で
【サンパウロ中央老壮会 角谷博】

義理果たし心おきなく旅に出る
お義理でも誉めて貰えばやる気でる
義理がたい人におのずと輪が出来る
【サンパウロ市 渡辺文子】

義理人情あって明るい世がひらけ
義理の花咲かす心の道しるべ
義理でする心世間に見透かされ
【カンピーナス明治会 塩飽博柳】

七転び八起きの名句に励まされ
微笑んで生きよう限りある命
【サンパウロ市 彭鄭美智】
サンパウロ市 毬井べる
義理欠いた一日(ひとひ)心晴れやらず
億の母あれどこよなし我が母よ
【】

桜咲くたびに亡母の顔浮かぶ
義理欠けず無理に背負った荷の重さ
【サンパウロ市 大塚弥生】

白寿まで命大切今日も生き
義理という絆織りなす人生譜
二兎追って花も実も得ず日が暮れる
【ソロカバ市 早川量通】

忘れ得ぬ親の教えに義理と義務
つづけたい川柳命あるかぎり
【オザスコ市 井上風車】

義理に泣き人の情けに助けられ
情け受け義理の重みを背に担ぎ
【オザスコ市 斉藤晃伯】

路地裏のスラムで触れた義理人情
義理と言う課題に再度辞書を引く
【サンパウロ市 堀井渚】

義理人情こめて生きたし人の道
義理通し情けで友と和を保つ
【スザノ市 飛松信雄】

高齢で義理人情に生かされて
偉人とは義理にも言えないルーラさん
【サントス市 大矢のぶ子】

義理堅い相手を思い礼尽くす
義理と言う掟守れば世は平和
忍耐と努力で人生花咲かせ
【サンパウロ市 秋吉寿子】

義理人情なき人なるべくよけて生き
移民にはまだある義理と言う掟
【サンパウロ中央老壮会 新井知里】

幸せに生きて命永らえる
ほこらかに咲けどはかなくパイナ散る
【サンパウロ鶴亀会 玉井須美子】

手にとれば花にもあった冬の章
捨てる日の花よ思い出ありがとう
良き友の支え実となり花となり
プラスマイナスそしてゼロになる命
きらきらと生きよう限りある命
義理でない愛が絆を深くする
義理人情昭和も遠くなりました
【柿嶋さだ子】

◎全伯川柳大会の直後となった事から、常例の川柳教室句会は休みとなりました。従って今回は大会の句の中から選出させて頂きましたので、ご諒承下さい。ちなみに、熟連クラブ川柳教室より鈴木ふみさんが今大会の特選賞第一位に入賞されました。心よりお祝い申し上げます。パラベンス!(おめでとうございます!)


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