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熟年クラブ連合会
     生活・健康  (最終更新日 : 2018/12/14)
2016年12月号

2016年12月号 (2016/12/18) カインブラ (こむら返り)

サンパウロ市 土居洋三
 今春眠の時季。夜もぐっすりと眠れ、目が覚めた時は体がこわばった感じで背伸びをしますが、その時、脚にひきつけを起こします。ひきつれを起こした時、その脚がすごく痛く、それを治すのにかなりの時間がかかりましたが、簡単に治す方法を発見しました。
 発見という表現は少し大げさかも知れませんが、かなり痛いのは確かです。
 私は子どもの時から泳ぐのが得意でした。私は日本の片田舎で生まれ、その頃はプールという便利なものはなく、子どもたちは皆、川で泳ぐことを覚えたものです。夏になると、川へ泳ぎに行っていました。その川ですが、私が生まれた所は愛媛県伊予郡砥部町という焼き物で有名な町です。その川の一部に「突上断層(つきあげだんそう)」という天然記念物がありました。その部分は人工的な割石にコンクリートで固めたような岩漿(がんしょう)で出来た岩でした。両側からの岩盤で狭まった所はかなり深い淵になっており、下流には自然の池状になった所から巾四十メートルくらいの滝になっており、その下は直径五十メートルくらいの大きな淵になっていました。かなり深く十メートル以上あったと思います。その底に潜って、石を拾ってくるのが私たちの遊びで全員はできずに私は出来たので得意でした。
 また上の淵の川底を大きな石を抱え歩くのが子どもたちの競争でした。またその地形の変わった所でかなり高い所から飛び込んだりして鬼ごっこをやっていました。とにかく河童だったのです。そのために右の耳は中耳炎になりよく聞こえませんが、かわりに左の耳は良く聞こえます。その上、ラジオの音量ダイヤルのように、自分で音量を変えることができるのです。不思議でしょう。神様はよくしたものですね。いつも感謝しています。
 話が脱線しました。元に戻ります。カインブラのことですが、朝、目覚めた時に起きるのですが、それが起きた時、そのままの姿で足首を上下に動かすのです。ちょうど招き猫が「おいで、おいで」をするように。そうすれば即刻良くなります。句友の皆さまが忘れないように語呂合わせを作りました。「カインブラ覿面(てきめん)足首招き猫」いい語呂でしょう。この現象は皆さま既に知っており、私だけが知らなかったのかも知れませんが、私には発見だったのです。


=齢と共に= 五体不満足

サンパウロ鶴亀会 井出香哉
 先日メトロで隣り合わせたブラジル人の奥さんがしきりに洟をかんでいる。私に向かって「なんだか洟(はな)が出そうな気がして」と言う。「私もそうよ。かんでも出ないのに、なんだか出そうな気がするのよ」と二人で頷き合った。この頃は体にガタが来て、まず物忘れがひどくなった。何かを取りに行って、その何かが思い出せない。ひどいのは煮物をしていてケロリと忘れて本を読みはじめ、「何か焦げ臭いな。隣は気が付かないのかな? こんなに臭いのに」と のんびりしているうちに益々臭くなってくる。「まさか」と本を放り出して台所に走っていくと、鍋まで黒くなり、中身は灰になっている。
 まず頭からいくと、頭は振るとガラガラ音がするほど空っぽだし、髪はアレルギーがあるから染められないので、白髪のままだ。私だって髪を染めて若返ってみたいと思うけれど、アレルギーでゴッソリ抜けるのが怖いので白いままにしている。
 耳は少しずつ聞こえなくなって、テレビの音がだんだん高くなる。目はカタラッタ(白内障)の手術をした時はよく見えたのに、今では本を読むのに虫眼鏡を使っている。子供の頃、マリリアの田舎に住んでいて、トラホームになり、目に傷をつけたらしい。そのために視力が弱くなって女学校の一年の時、広島の県立病院のお医者さんに「三十歳で失明するかも知れない」と言われたが、八十六歳まで失明しなかったので、文句は言えないと諦めている。
 歯は総入れ歯で齢と共に歯茎(はぐき)が弱くなり、堅いものは噛めなくなって、味覚も怪しくなって、娘に「母ちゃんの味、変わったね」と言われる始末。
 鼻は一応、ちょこんと付いているが、若い時は鼻の高い人が羨(うらや)ましかった。低いくせによく鼻炎になって、鼻を詰まらせていた。医者は三十キロ離れたドラードスの町まで行かなければ居なかったので、目と目の間に絆創膏(ばんそうこう)を貼って「女ぶりがいいでしょう」と冗談を言っていた。
 食道炎(しょくどうえん)で喉をやられて、高い声が出なくなり、咳(せき)ばかりしている。
 昔、内職に縫い物をしていて、いつも俯(うつむ)いてミシンを踏んでいたので、胃潰瘍(いかいよう)になって、医者は手術を勧めたが、私はアロエで治した。あの時手術をしていれば、胃が丈夫になって、今のように咳も出ず大きな声も出たかな、と思うことがある。
 足は何度も転んで膝を痛め、しゃがむのも難しい。こうしてみると、五体満足という言葉があるが、私は五体不満足だ。それでも私には愛(いと)しい身体だ。いつか旅立つまで労(いた)わって、これ以上ひどくならないように気をつけて、毎日を楽しく暮したいと思っている。


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