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     創立三十周年記念  (最終更新日 : 2005/12/07)
老ク連創立三十周年記念 第七回誌上俳句大会

老ク連創立三十周年記念 第七回誌上俳句大会 (2005/11/12) 兼題=小春、時雨、狐火、蟹仙人草、瓢骨忌(選者=栢野桂山)


出稼ぎも時の流れや瓢骨忌
牧小春人工受精の孕み牛
又バスに置き忘れたる時雨傘
狐火の殺し屋の家囲みしと
【菅原岩山】

お隣りの赤ちゃん借りて庭小春
孫よりの借り着だぶだぶ時雨寒
足まかせ小春日和の散歩道
追ひつきてからかさ渡す夕時雨
【風間慧一郎】

狐火や埋めし奴隷の数知れず
落ちこんでならぬ看とりや夕時雨
主病み蟹仙人掌の花貧し
病人の髪刈り上げて小春かな
【佐藤孝子】

狐火や鬼門と言はれあの辺り
日本祭り終り時雨るる目出度けれ
園小春奉仕の娘快活に
連載の伝記に偲ぶ瓢骨忌
【畠山てるえ】

蟹仙人千羽鶴めき翔つかまえ
瓢骨忌碑を守る園のパイネイラ
大角笛牧歌を奏で牧小春
狐火とまがふ湖畔のあやしき火
【本広為子】

狐火や奴隷つなぎし広場跡
蟹仙人掌日光浴の好きな花
時雨るるや日本土産の蛇の日傘
【木村都由子】

移民悲哀詠みし御句碑瓢骨忌
戦後移民いとしめる句碑瓢骨忌
小春日を賜る郷土慰霊祭
【名越つぎ代】

ホ句愛し移民の父とし瓢骨忌
狐火や墳墓としたる麻州の地
難聴の老に啼き次ぐ小春鳩
【青木駿浪】

育ちゆく五才の仔馬牧小春
明日を待つ蕾ふくらむ園小春
熊本県人の意気見せ瓢骨忌
【前橋光子】

小春日や一期一会の手を握り
吉備団子頬張り小春の俳句展
夜逃の句今に伝へて瓢骨忌
【香山和栄】

爪つみてつませて夫と部屋小春
絹よりも繊(ほそ)き艶もつ五月花
狐火や祖母に抱かれて見たる夜
【寺尾芳子】

時雨るるや水中体操しぶき上げ
ブラジルに老いての句縁瓢骨忌
狐火や邦人墓地に供花いつも
【吉崎貞子】

小春日やのんびり鶏の卵鳴き
親子孫四代揃ひ家小春
移民の父俳諧の父瓢骨忌
【田中紅梅】

小春日や街の広場に孫と来て
ふさわしきポンポンダリヤ瓢骨忌
十代の頃見し闇の狐火よ
【矢萩秀子】

枝広げ蟹仙人掌の花の数
小春日やテレビの声も夢うつつ
笠忘れ肌心地よき時雨かな
【三上治子】

狐火の噂に怖じて遠廻り
青白く狐火燃へて闇の牧
気まぐれの時雨に逢ひし旅中ば
【庄司よし子】

小春日の集ひ曾孫の誕生日
傘持たずままよと濡れて行く時雨
健やかに曾孫の育つ小春かな
【矢島みどり】

よく降ると声に急かるる夕時雨
空缶に色を集めて蟹仙人掌
空缶に蕾の競ふ蟹仙人掌
【中井秋葉】

燃ゆるごと蟹仙人掌や東洋市
盛んなる井戸端会議五月花
花市の蟹仙人掌に足とまる
【彭鄭美智】

小春の日受け犬と猫居眠れる
雨蛙葉にべったりと時雨去り
狐火とは如何なる火かや見たきもの
【平沢万里子】

この道を行けば狐火見ゆるかと
心神を移民に捧げ瓢骨忌
気候異変愁ひ蟹仙人掌咲けり
【村上冨士子】

小春日や喜寿恵まれし異国の地
狐火や獣道とて急ぎ足
小春日や土入れ替えて鉢五十
【中川操】

流るとも見えぬ大河の小春凪
狐火に一人の旅の憂さつのる
伏し拝む夜逃げの句碑や瓢骨忌
【湯田南山子】

夕時雨待ち呉るる人なき家路
遺句にわきくる思慕の情瓢骨忌
狐火や一家死に絶えたる耕地
【纐纈喜月】

飴一つ貰ひし記憶瓢骨忌
はち切れそうなペイト・ブンブン街小春
見落しの誤字の原稿瓢骨忌
【三原芥】

青空に鶴舞はせたき瓢骨忌
カナリアの水浴びる音小春風
狐火消え雨止み暗き移民墓地
【川端マツエ】

車引く女屑屋や街小春
妖怪な狐火しかと見とどけて
読み返す苦難の生涯瓢骨忌
【近岡忠子】

小雨煙る墓地燐光か狐火か
リベーラ富士時雨の後の青さかな
後輩の慕ふ句境や瓢骨忌
【大岩和男】

蟹仙人掌美しき爪伸ばしけり
街小春タコ焼きの店始めたり
今年又いつわらず咲く蟹仙人掌
【遠藤皖子】

身を守る生毛めく刺蟹仙人掌
空睨む武人の像や園小春
【玉井須美子】

旧懐に花を咲かせて蟹仙人掌
狐火に煙草一本煙にす
【伊藤桂花】

朝時雨傘さしかけて体操へ
母の日の近づき咲いて五月花
【宇佐見テル子】

移民皆老いて修する瓢骨忌
盛り上がり蟹仙人掌の深紅かな
【筒井あつし】

病床の窓の時雨に明日思ふ
接穂して三色に咲く蟹仙人掌
【林田てる女】

狐火や迷信ふかき土民村
蟹仙人掌花屋に手入れ聞いて買ふ
【高橋万作】

まみえねど人柄偲ぶ瓢骨忌
スキップし喜々と曾孫等園小春
【梅林千代】

夜行バスの遠く狐火ちらちらす
杖を引く祖母の背を押す時雨寒
【矢野恵美子】

小春日や癒えて夫の初運転
狐火や奴隷の末裔住む部落
【西沢てい子】

小春日や老ク三十年祭修了
蟹仙人掌見事大輪部屋飾る
【軽部孝子】

尋ね行く小春日和のルア長き
蟹仙人掌箒目美しき狭庭
【猪野ミツエ】

幼き日狐火見しはまぼろしか
揺り椅子をゆらして老母庭小春
【井出香哉】

夜逃げする移民今なし瓢骨忌
牛売りし銭狐火にしかと抱く
時雨虹消え一刷けの紅のこる
【栢野桂山】


「句評」


◎ 出稼ぎも時の流れや瓢骨忌 【菅原岩山】
 上塚翁が第一回移民を引き連れて渡伯し、奴隷の代りとなって苦闘する移民と共に、理想的植民地創りに汗を流した。その時代に誰が現在の日本への出稼ぎブームを予想したであろうか。この逆流現象を「時の流れ」と瓢骨忌に当り沁々思った。

◎ お隣りの赤ちゃん借りて庭小春 【風間慧一郎】
 子宝に恵まれない奥さんは、人並みに赤坊を抱いたり背負ったりしたい願望があるようだ。そこで隣家の友人の赤ちゃんを借りて抱いて、その乳の香を嗅ぎながら小春日和の庭を歩いた。

◎ 狐火や埋めし奴隷の数知れず 【佐藤孝子】
 アフリカで捕へられ、鉄鎖でつながれ、砂糖農園や金鉱など鞭の下で酷使された奴隷は、この国の産業開発に寄興したが、栄養不良などで多くが死亡した。作者はそんな悲惨な歴史を知り、雨の夜青く燃える狐火を見て、哀れな奴隷の死体の数を思った。

◎ 狐火や鬼門と言はれあの辺り 【畠山てるえ】
 鬼門とは鬼が出入りする門、万事につけて忌み嫌われる丑寅の方角。病死した家獣の骨から燐が燃えるのを昔から狐火と言い、その方角を相性の悪い鬼門だと思った句。狐火というのは昔、お稲荷様に関八州の狐どもが集って官位を定めたが、その折、一匹の咥えてきた人骨から燐が燃えたので、それを「狐火」と言い、神秘で幻想的な冬の季題となった。

◎ 蟹仙人千羽鶴めき翔つかまえ 【本広為子】
 大株の蟹仙人掌が一せいに花を開くと、その形からまるで千羽の鶴が一せいに羽撃く構えのようだと思う。千羽鶴と言えば広島や長崎の原爆の跡に、全国から寄せられた沢山の千羽鶴を思う。


上位五名


菅原岩山(フェルナンドポリス千歳会)
風間慧一郎(レジストロ春秋会)
佐藤孝子(サンパウロ中央老壮会)
畠山てるえ(サンパウロ中央老壮会)
本広為子(スザノ福栄会)


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