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水耕栽培プロジェクト
     プロジェクト紹介&言いたい放題  (最終更新日 : 2003/05/23)
01、「今の日本でいいのか!」

01、「今の日本でいいのか!」 (2003/05/23) ― はじめに、大森さんご自身の経歴からお聞かせ願えませんか?

なぜ今に至ったかというわけですね。まあ農業経験、多少なりはあるけれど、聞かせるほどの…全くの江戸っ子でよ(笑)…そんな経験豊かもクソもねえんよね(笑)。
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水耕栽培の簡便性を強調する大森さん
写真提供:サンパウロ新聞
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作業中の大森さん
写真提供:サンパウロ新聞

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大森麗裕(よしひろ)
東京都生まれ。
東京農大農業拓殖学科卒。
在学時に派遣実習生としてブラジルで1年間農業実習。
79年移住。
ミナスジェライス州サンフランシスコ等の農場、
横川エレトリカ・ド・ブラジル(現横川アメリカ・ド・スル)社
マットグロッソ農場での営農体験を経て、
16年前サンパウロ市近郊のイビウナで友人と共同で水耕栽培を始める。
以後、日本から導入した技術をもとに改良を重ね、
資金と労力の掛からない水耕栽培農法を確立しその普及に成功する。
家族は妻と子供3人に猫2匹。
モジダスクルーゼス市在住。
下町育ちらしい、べらんめえ調の語り口と照れ屋な一面が印象的な48歳。
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~ 莫大な資金がゴミの山に…「今の日本でいいのか!」 ~

~ 休耕地の活用、安い設備費、雇用の創出 ― 見えてきた"現実的な"プロジェクト ~

― それでは今回、日本での水耕栽培プロジェクトの立ち上げを構想された理由・動機をお聞かせください。

今日の日本を見ていると、農業という経済活動が、国内総生産のたった2%の産業に陥ってるわけです。
日本は戦後50年以上もの間、食糧の増産のために、農業に対する莫大な投資をして、世界的にも抜群の農業インフラを造り上げた。土地の編成をして、平らな土地にして、水路を引っ張ってきて、電気まで、道まであって。それが今日に至って、農閑地、休耕地が年々増えている。つまり投資した農地の上に草がどんどん生えてきてるんですね。非常にもったいない、痛ましい状況が目の前にある。これをなんか活用できないかという発想ですね。
それと、なぜ日本の農業がそこまで衰退してったかを踏まえると、まず、ここ(=ブラジル)で長年農業をやってる我々は当然ながらコストをいつも非常に頭に入れてるわけです。だけど日本の農業の形態を見ていると、生産規模からいって必要のない機械や装置を持ってやってるように見える。
(日本は)いい値段で産物が流通している。つまり、傍から見ると非常に魅力的な市場である。それなのになぜ儲からないかというと、やっぱり採算ベースに合わないという答えが出てくるわけです。どこにその原因があるかというと、要するに設備に高いコストを掛け過ぎてる。それが借金になって、その返済に追われちゃってる。
じゃあ我々が昔(ブラジルに)持ってきて、もっと安いものに変えたシステムを今、日本に持ってったらどういうことになるか、ということから始まったわけ。
幸い、休耕地は今まで農業やってたわけですから、いつでも(生産を開始)できる状況にある。ブラジルで考えた場合、処女地を買っても開発費用に莫大な金が掛かることに対して、はるかに日本のほうが今から農業をやるとしたら安くできる。でもって、採算が合うためには我々がこちらで導入した安い施設を作れば、使えば、条件に合うんじゃないか、と。
なおかつ日本の中には今、雇用・失業問題もあって何をしたらいいかと迷っている人たちも多いようだし、行政としてもリーダーとして先を見通していく能力もないようだし。
そこで、誰でもできる農業で、大きなお金も掛けないで、今すぐにでも始められる、ちょっと特異な農業スタイルを紹介したいという考えで、今、事を始めたわけです。
歴史的に見ても、こういう失業者が多い時にどこの産業が吸収できたか、っていうと農業しかないわけで。そしたら条件、状況を全部合わせると今がチャンスではないかと。また逆の言い方すれば今、日本としたらそれが必要じゃないかと。突破口が見えてないんで、どういう方法があったらいいかっていうことに気が付いてないと。それなら私たちがやってみましょうかということでね。で、我々は提案したいという意識で乗り込んでみようと、いうことなんですよ。

― 去年だったか、「日本の食料は60%輸入に頼ってます」なんてテレビで政府広報のCFを流していました。国家が大変な額の投資をした農地が荒廃している一方で、食料の国内自給率は半分にも満たない。おかしな状況ですね。

現在も農業の援助資金ってのはすごい金が動いてて、それがたった2%の産業ですからね。べらぼうな話です。なおかつ、その資金はサラリーマンの税金であって、そういう人たちがもうあえいでる時代なんですよ。
実際たまに日本行ってみて農村見たって、畑にいるのは腰の曲がった大先輩方ばっかでね、若手がいないし。そら目の当たりですわな、今の農業ってのはどんなもんか。で、昔畑だったとこだって草が生えてるし。
僕らがつくづく思うのは、今の日本を見てるとすごい莫大な金を注ぎこんでね、それがゴミの山になってるわけですよ。こんな無駄なことをしていいのかと、これをリサイクルしたらどういうことができるんだ、という発想からね。それと今の日本の社会の状況を見て、表現としては語弊がありますが、人間までリサイクルできるほど余ってるわけで…(苦笑)。

― いわゆる中高年のリストラ、ですね。

だから、そういうことを状況を集めてみたら、一つは"今の日本、何かしなきゃいけないんじゃないか"っていうこと。わざわざブラジルに移住して来てこっちで適当に生活してるのに日本に目が向くってのは、"今の日本でいいのか"っていうのと、逆に"我々が活躍する場所があるんじゃないか"ということです。
まあブラジルも今景気いいわけじゃない。だけど僕らが蓄積してきたノウハウ、知識が今の日本に非常に合うんじゃないかと。と言うのは、今起きてるデフレの現象も我々はすでに15年前からくぐってきた。もうこの国住んでると荒波だらけだからね、もう抵抗力なりそれに対する対応能力もあるわけで、何が起きるかだいたい想像もつく。そういう時をくぐってきた人間ってのは経験があるわけですね。それを総合すると一つプロジェクトが、非現実的じゃない、現実的なプロジェクトが見えてきたわけですよ。

― その、プロジェクトとしての構想が出てきたのが4年前、でしたね?

そうです。
日本で農業成り立たないのは、さっき言ったように、そういった高い資材を使ったりして、本人たちはコストが合わないようなことを言ってるわけだけど、コストを合わせさえすればあれだけ高い物が流通してる市場は非常に魅力的ですから当然成り立たなきゃいけないと思ってるわけで。ですから、その一番ウェート掛かってる部分を排除することができれば農業やってもいいっていう人がもっともっと出てくるんじゃないか、と。


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