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水耕栽培プロジェクト
     プロジェクト紹介&言いたい放題  (最終更新日 : 2003/05/23)
02、シンプルな設備、低コスト、高い生産性

02、シンプルな設備、低コスト、高い生産性 (2003/05/23) ~ シンプルな設備、低コスト、高い生産性 ― 農業は"事業" ~

― ところで、ブラジルで水耕栽培を始められたのは、どういった経緯から?

横川のサンパウロの本家(=本社)が当時、左前になっちゃって、農場もどうするかっていうことで結局閉めることにしたんです。で、サンパウロに帰って来た時、友達が水耕栽培の技術を売る会社を始めようっていうんで、手伝ってくんねえか、ってことで始まったのが16年前の駆け出しなんですよ。
(ところが当初)日本から持ってきた技術は非常に高度な装置が付いていて、非常に(値段の)高いもので、このブラジル市場には適切でなかった。
その当時ブラジルの経済背景っていうのは、今の日本のようなリストラの嵐が吹き荒れた時代でね。なにしろ日本と同じ事やったんじゃ高くて誰もできないから安くしようと、シンプルなスタイルに変えたやつを我々が広めようとした。僕ら、いろいろな所で展示会やったりなんだかんだで、(その結果)取材が来るようになってね。それを見た人たちが、いま広まった所で活躍している人たちなんですよ。
で、試行錯誤があって、日本から導入した水耕栽培の技術をここ(=ブラジル)で普及させて、もう15年が経つわけです。

― イビウナの農場 [...画像] がその実験地というか、発祥の地になったわけですね?

そうですね、その以前の場所もあったんですけど、定着してその周りの農家にも広まっていって、あのへんが言ってみれば発祥の地でもあり、世間で目に見える基地になっていったわけです。

― 実際に農場を見学させてもらいましたが、ポンプでテーブル状の台に水を流しているだけの、驚くほどシンプルな施設ですね。

日本の農家がやっているのとは全然様子が違う、こんなものでいいのかっていうぐらい、本当に、原理だけがそのまま置いてあるような施設で、実際に(作物が)できているわけです。
 
― 簡単な設備だから、スタート時点の投資も安くて済むわけですね。それでは、どのような作物が生産可能なのでしょうか?

一つの事業として考えた場合、生産者としても利益率がいいものを選んでいけばいいわけで、特にそれで見ていくとネギが意外と非常に率がいい。これは単位面積あたり植えられる量が多いわけです。

― 他の作物では?

葉野菜ですね。見て頂いたのは水を流してるだけのシステム(=「NFT方式」)ですけど、レタスだとか、ここ(ブラジル)の野菜でいえばフックラだとかシッコーリャだとかですね。(他に三つ葉、セリ、ハッカ、クレソン、エンツァイ、エスカローラ等)
あと、トマトとか、韓国焼肉で肉に巻いて食べる葉っぱありますよね。ああいう背が伸びる作物に関しては、もうちょい深い装置で固定しやすい資材を使った方法(=「点滴冠水方式」)になります。(他にピーマン、さやえんどう等の果類菜や薬草など)

― 今、「事業」という表現をされましたが、この水耕栽培のシステムで実際に収支が成り立っているのでしょうか?

(ブラジルの場合、生産)コストの安い部分もありますけど、生産物自体は日本のおそらく5分の1以下で取り引きされてるわけで、市場としては非常に日本より厳しいと思う。
トマト1個1ドル、レタス1株1ドル。1ドル=120円=3・5(ブラジル)レアルあれば、ここで買い物したって6株以上のレタス買えます。生産者が卸してるのは1ダース分ですよ、1ドルだったら。
いま土耕(=畑で土に作物を植えて栽培する農業)をやっている生産者たちは非常にきつい状況で、セアザ(=州営市場)を通して商売あんまりしてない人も多いと思う。直接スーパーなんかに卸したりしていますけど、そことの取り引きも支払サイトが1ヶ月とか、市場に持っていくより遅くしかお金もらえないし、メチャクチャ安い値段でしか納入できない。
ただ水耕の場合、多少相場が下がっても土耕に比べて生産コスト、いわゆるランニングコストが安いですから、普通の土耕でやってる農家がヒイヒイ言ってもまだ耐えられるだけの余裕はあるんですよね。それだけコストが安いんです。

― 設備投資だけでなく、生産開始後のコストも安い?

一度装置を設置してしまえばそれからのランニングコストってのは非常に安いわけですよ。
つまり土耕の場合だったら土を耕す作業があって、これにはトラクターとかそういった機械を購入しなきゃいけないし、機械についてはメンテナンスっていうコストも掛かるし、当然償却費も掛かる。なおかつ土耕の場合はある程度の収穫をしてしまわなかったら、トラクターで耕すスペースがなかったら次の準備ができませんから。
その点、水耕の場合は単位面積あたりの生産率が高い。つまり収穫したところには、できている苗をそこに植えさえすれば、もうすでに次のプランテーションが始まっている。土地を耕してやるよりは土地利用の回転率が非常に高い。ですからトータルして単位面積あたりの生産効率は非常に高い。だからそれだけでもコストももっと下がるわけです。

― 土耕の場合は定期的な土地改良なども必要になりますしね。

そうです。それと除草作業も作業の中に入ってきますけど、土だったら植物のそばとかなんとかいろいろきめ細かい除草もありますけど、水耕の場合は施設の上には雑草は来ないですから、せいぜい仕事場の通路に生えてくる草を絶やすだけで済むわけです。そんなものは定期的に除草剤を撒いてれば済むことで、何の苦労もない。

― そうすると、毎日の作業も極めて少なくて済む、ということですね。


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