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水耕栽培プロジェクト
     プロジェクト紹介&言いたい放題  (最終更新日 : 2003/05/23)
04、直販で食卓に安い葉野菜を

04、直販で食卓に安い葉野菜を (2003/05/23) ― あとは販売ルートの確立ということになりますけど、それはこれからの課題ですね?

そうです。理想としてはこのシステムで生産する人たちが増えてきて、生産物の絶対量が増えてくれば、いろいろな展開が考えられると思うんですよ。僕らの水耕で作った商品を、みんなで一体化して、量をまとめて一つのブランドにすれば、それなりの商売の仕方もあると思うんですね。ただ量が少ない間はしょうがないから市場に持ってって売るとか、一般ルートに乗せる。そうすると販売コストも上がってしまいますけど、ある程度の生産規模に広がれば、地場の市場に直販するような方針も取れると思いますよね。

― 直販ですね。

ええ、例えばスーパーに契約栽培することも一つの目標だし。または団地の前で直販する移動販売とか。またはポスト開けて、日本の田舎でよくありますね、無人販売店が、100円入れて下さいとか、あんな式の売り方だっていいと思うんですよ。量が少なきゃできると思いますよね。
で、量が多少出ても、直接販売することによってエンドユーザーと生産者、お互いがしたくないことを省くことができる。つまりどういうことかと言うと、市場を通すと、市場の仲買人が設定してるスペックに合わしたものだけがスーパーなんかの店頭に並ぶ。そうすると規格外の産物が出てきます。でも消費者にとっちゃ多少の大きさの違いなんか関係ないと思うんですね。ネギの場合なんか長ければ長いほど値段が高いわけですが、結局消費者はそれを買ってきたら2つに折って冷蔵庫に入れるようなことをするんだから、別に入りやすい大きさのまんまでいいわけだし。で、生産者としても生産する過程で早く収穫してしまえば回転ももっといいわけだし、それに成長過程が短ければ余計な消毒する必要も回数も減ってくるわけです。お互い様なわけで、コストが下がれば安いものも提供できて消費者に対しても有利性が出る。なおかつパッキングの問題にしても余計な包装資材を使わなければ生産者にとっちゃその資材代だ手間代だいらない。消費者にとっちゃゴミの、つまり今の日本が抱えてる大きな問題に対してもっと楽になる。
お互いにやりたくないことをお互いが省けば、お互いにメリットが出ると。
ですから中間を通さなければ一番理想的な商売ができるわけですね。ただ、いかんせんその販売ルートができてなければしょうがない、一般ルートに乗せてマージンを払って売ってもらう、っていう形しかとりあえずはできませんね。

― そのあたりはこれからの検討課題になりますね。

そうです。だからまあ、そのへんの産地と市場という環境も研究する、どれくらいの量があったらどういう販売が展開できるか、それはケースバイケースのプランを作れると思うんですよね。

― 日本の流通というのは?

根強くシステムできてますよ。今まで構築してきて、そこに動いてる人たちがいるんだから。今、競争。市場の仲買やってる販売会社は、もう産地行って一所懸命商品を送ってもらうようにいろんな手でやってるわけですよ。物が入って来なきゃ食い上げですからね。

― それにしても値段が高いですよね。

もうべらぼうな値段。あんなの異常ですよ、日本の値段なんて。まだ所得がそこそこ伴ってるから買えるけれど、おそらく僕らなんかここ(=ブラジル)じゃ2分の1から5分の1、10分の1の値段のものを食べてるわけですよ。肉だったら10分の1、野菜だったら5分の1ですよ。
なおかつ言ったように過剰梱包して物を売ってるわけでしょ、日本。ゴミの処理だって環境問題までひっくるめたら大変な問題なわけですよ。できれば消費者だってそんな余計なもんいらないわけでね、どうせ食っちゃうんだからさ。そこ省くだけでもかなりのコストが落ちるわけですよね。
そういう構造の中にある市場ですから、どうしても高い相場で物が動いていく。だから流通ももちろん変えていかなくちゃいけないと思いますけど、それはそう簡単には行かないと思いますけどね。でも、モノさえできればとりあえずはコストが安けりゃ商売できるだろうと思うわけです。
だって、例えばネギ1本、手取りが10円だって赤にならないんだから、ウチのシステムでやれば。楽に中国と競争できるでしょ。

― それと、日本の小売店、主にスーパーなんかでは、規格に合ったモノを常に一定量、安定供給するのが基本という考え方してますよね。それが消費者も当たり前と思っている。でも農畜産物のような生き物をそうやってコントロールするのは無理があるんじゃないか、と思うんです。

そう、そろそろ変わってもいいんですよね。時季のモノほど安くて美味くてさ。時季じゃねえんだったら、わざわざ高い金払ってね。もちろん作ってる人がいるわけだけど、それもいいんだけど、買いたい人が買えばいい。そん時の旬のもので一番安いもの食ってりゃいいんですよ。
水耕をテーマに見てもらってもですね、立派な温室をおっ立てて。温室だって北海道よりもっと寒い北にあるオランダの技術なんですね。夏の間は暑くて中に入れない。当然、作物もその間は育てられないわけですよ。じゃあ温室があるおかげで何ヶ月作業ができないか。あえて無理してやる場合には冷房入れたり、さらに水耕の場合、植えてるその下を冷たい水で冷やしながらって、また余計な資金を遣ってるわけですね。そこまでしなきゃ栽培できないわけですよ。
農家も無理して作るから疲れちゃう。その技術で生産できるんだけど、その借金に追われてるわけでしょ皆さん。

― ということは、やっぱり生産者としてある程度の規模にしないと。

そう。だから早くこれを普及させたい。そうすると、我々が理想としている形も描けるわけで。これは勝手に私の理想でほかの人が納得しないわけじゃない、要するに答えを出してくれるのは消費者。消費者が納得してくれればいいわけだから。

― そう、結局は消費者次第だと思いますね。


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