05、中高年に新たな活躍の場を (2003/05/23)
~ 中高年に新たな活躍の場を、施設の障害者・高齢者に生きがいを ― 対象は農業未経験者 ~
― そこで、この事業の最大のテーマというか、最大の"売り"だと思うんですけど、これを生産するのはどういう人たちを想定しているか、ということをお聞きしたいのですが?
今いわゆる余剰労働力ですね。そこでやる気のある方たちが出てきて頂けるとちょうどいいんですよ。昔から農業をやってる方たちを中心に私たちは考えてない。いわゆる素人さんで農業をやりたいと考えている方たちが対象で、しかもある程度高齢というかもうリタイアしたか、途中でリストラされちゃって、お子さんもそこそこ育ってて多少食うには困らない、っていう人だったら300万円前後の施設の投資ができると思うんですね。 まだ隠居したくない、その代わり運動もしたいし、まだ生産活動をしてみたい、というような方がいらっしゃったらちょうどいい。一番合うわけです。
― 定年で、あるいは早期退職された中高年の方々ですね。
そのほかに福祉施設にいらっしゃる人たち。作業自体は先ほど言いましたように植え付けと収穫ぐらいなもんですから。特に刃物とかを使わないし、身体に障害がある人でも危険はない。例えば車椅子の方にしても、植え付けてる台の高さをそれに合わせて設定すればいいわけだし、通路のところも土じゃなくてアスファルトなりコンクリートでやれば車椅子の通行もできる。そうなると300万以上になる可能性もありますけど、それだって大したもんじゃないと思います。それに、なにもコンクリート、アスファルトじゃなくても車椅子が歩ける施設、方法を付けることは可能だと思いますし。
― そうすると老人ホームや身体障害者施設でも可能だし、また知的障害者などの吸収にもなりますしね。
そうです。今まで世間では障害を持った人たちも受け入れるような言葉的な雰囲気はありましたけど、現実問題ね、具体的な数は活躍する場を与えられていない。なおかつ、こう不景気になれば障害を持ってない人ですら仕事場がない状況です。ですから、そういった気がつかれない立場の人たちが社会貢献できて充実した意識を持てるんじゃないかと、まあ私たちとしては勝手な意識もあるわけで。 例えば老人ホームだって、収容されているというだけじゃ、中に居る人たちも大変な苦痛があると思うんです。年とったからそのままホームに入った人ばかりじゃないんです。精神的とか身体的にいろんな状況の、立場の人がいるわけですよね。 私の学校の後輩に、茨城で養老院を経営している者がいまして、そこではイギリスの園芸療法を導入している。要するに花植えたりとかの園芸作業をして。それが適度な運動と、喜びだとかそういったことを狙った一つのテラピーになるわけです。 で、彼も農大出てるんで、その園芸を我々のシステムで作物にしてみようかっていう計画でいま考えているんですね。そうすると適度の運動ができるし、栽培して成長過程を喜べることもできるし、また人に配って喜んでもらうこともできるだろうし、自分で納得して食べてもらうこともできるだろうし、または販売してもいいわけですね。なにも営利目的じゃなくたって自分のテラピーのつもりでね、やりながら喜びを感じることもできるんじゃないかと思うし、ですね。 だからそういった福祉関係、つまり障害を持った人たち、養老院なんかに入ってる人たちの所にもオファーできれば、という狙いでいます。
― 自給するにしても販売するにしても、その人たちが日本の農業の一翼を担えるわけですね。
食糧生産っていうのは国として考えれば重要な産業なわけで、その中で例えば彼らがそんな産業を担えるということは立派な誇りを持てる仕事だと思う。いま国内総生産の2%にまで縮んでるということは、農生産やってる人たちがその分いないわけで、いくらでも、何人でも、まだまだ十分に労働力を吸収できるスペースがあると思うんです。ですから失業されてる方、および、高齢者や障害者で仕事のない方たちも充分活躍する場として考えられる仕事となると思うんですね。その方法を我々は提案したいんですよ。
― では茨城の養老院が、福祉施設向けプロジェクトの最初のモデルケースとなる計画ですか?
やってみたいと言ってますんで、そこが最初になるかも知れませんね。
― それから今の日本の、高卒、大卒で、目標が見えなくて就職もせずアルバイトで食べているような若い労働者の吸収にもつながるのでは?
ええ。ですから私たちが考えてるのは、この装置を買ってくれる対象っていうのは、例えばそういう施設・ホーム。それ以外に、例えば経営者として自分で生産活動したいって人。または装置だけ買って、誰かを雇い入れて生産してもらうっていう手もあるしですね。だから、それはいろんなケースでうまく組み込んでいけると思うんです。 例えば余ってる土地がある。そこに装置をやって、自分ではやる暇がないけども、誰かパートのおばさんでも雇ってやるとか、または若い人でなんかやりたいっていう人がいたらそこで作業してもらうと、そういうことだってできるわけですから。経営者になる人であれば、いろんなケースケースで対象が作れると思うんですよね。
― それにしても、農業をしたことのない人が、すんなりと生産活動できるものですか?
ブラジルのこの界隈で発展してる人は全部、いわゆる農業の素人さんですよ。経営・管理能力は普通の農家よりいいから、ちゃんとビシッバシッって計算する。だからうまく行っちゃう。ちゃんとした経営するから、一般の農家との差がもうダントツですよ。管理能力があるからムダが省けちゃう。さらには外国まで視察旅行に行ってもっと勉強して来る。ある程度わかり始めたらあとは応用問題ですから。
― ああ、なるほど。サラリーマンや自営業の経験者だったら、たいていの人は管理能力があるから、コストや生産の管理ができるわけですね。
そこでシステムを更新していくだけのことで、同じ作業をするんだったらこっちの方法がいいだとか、(パイプが)詰まってしょうがないからこれを使ったほうがもっと効率がいいとか、フィルターかましたほうがもっと楽だとか(いろいろな工夫をする)。(必要最小限の)投資をしておけばチェックする人夫はいらねえし保険代になる、って計算できる。だから未経験の人がいいんですよ。
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