2004年日本祭り(本番初日篇) (2004/09/01)
年々拡大を続ける日本祭りのイベント。我々たこ焼きマン一同も、この時だけはメンバーが増強される。遅ればせながら、今回の登場人物を紹介させていただく。(順不同)
◎笹井さん=親分。今回は東京での重要な任務遂行のため、20数年ぶりに夏季の日本に一時帰国。「日本の夏はアマゾンよりもひどい」と言いながら、日本祭りに参加すべく、開催前日にサンパウロに駆けつけた勇気の人。
◎3号(櫻田氏)=4年後のブラジル日本移民100周年に命を燃やすウェブ・デザイナー。「遠心力の原理」論が得意。宴会とともに成長著しい息子・娘たちをこよなく愛す優しきパパ。
◎カジサコ氏=哀愁のフリーカメラマン。誰よりも今回の日本祭り参加の大切さを主張。動植物に大きな愛着を示す人。
◎ミヤガワさん=出版・印刷業関係会社に勤務。大人しく物静かだが、日本祭りに自ら協力を買って出る熱い魂の持ち主。
◎アライちゃん=昨年に引き続き、参加。昨年と同じく風貌は椎名誠そっくり。気は優しくて力持ち風だが、痛風の持病が気になるところ。
◎コンタニ氏=NHKのエキストラにもなったフリーライター。今回は前線でタコヤキを披露、手先の起用さを見せつけた。人の笑いを取るために、夫婦で歌入りアクション・ギャグを日々練習している努力の人。また、サンパウロ地下鉄名ダジャレクイズも得意。
◎タマちゃん=コンタニ氏の愛妻。いつも陽気。腰痛にもかかわらず、社交性に富んだ姿勢と明るい笑顔で客を引き付けた。
◎ハヤシ=日伯交流協会事務局担当。一人で居酒屋に飲みに行く渋いネエちゃん。日本祭りでは裏方に徹し、女性らしさが光った。
◎ケイ君=アジトを拠点に活動するプロのジャズギタリスト。口数こそ少ないが、心の中に秘める熱い思いと行動力は抜群。真面目な顔をして繰り出すギャグで、相手を動揺させるのが得意。
◎マサ=アライちゃんが連れてきた元気者。初対面でも人と打ち解けることができるが、やたらと声がデカい。
◎トワコちゃん=日伯交流協会の研修生。祭り開催前々日に40度の高熱を出しながら、最終日に焼き手として参加した根性の人。慣れた手付きと思っていたら、大阪出身と聞いて納得。
◎ウエハラ夫妻=タコ切れの危機を救った今回のMVP。期間中は受付だけをやってもらったが、夫は日本食チェーン店で板前をしていたホンマもんのプロ。奥さんは、初めてのタコヤキに大きな興味を示した。
◎オオクボ=1号の嫁はん。好奇心旺盛な性格で、聞きにくい質問をドンドン人にぶつける心憎い人。
◎1号(松本)=メリケン粉(小麦粉)溶き担当。ビール好き。最近、40歳を前にして物忘れがヒドい。ウルトラセブンのファン。
◎タイガーマスク=謎の覆面レスラー。某邦字紙記者との噂もあるが、正体は不明(ウソ)。
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(本番初日篇)
2004年7月23日(金)小雨のち晴れ
下準備を何とか終えた一行は、午後過ぎに三台の車に分乗してアジトを出発し、会場のあるサンパウロ州議会駐車場へ。初日はあくまでも試し焼きと荷物の搬入がメインであるので、フルメンバーではなく昨年の参加者が中心となった。兵庫県のブースでは毎年顔なじみの弓場農場の人々がすでに昼前から手造り品を販売し、盛況の様子。弓場の姐御格・チヒロさんが何故か隣から借りてきた折りたたみ机を使わせてもらい、ブースの半分にプロ用機器と一般家庭用機器を壁に向く形でL字型に設置。メリケン粉を練り、フル装備で早速試し焼き。
しかし、何かやりにくい。
6×4メートルの狭いブースに弓場のメンバーと合わせて十人以上の人間がひしめく。おまけに、たこ焼きに入れる具を両方の機器の間の一ヵ所に置いているために、焼き手が一列に並ぶとそれらが非常に取りにくい。 「まあ、今日は試し焼きみないなもんで、客もそんなに来ることないやろし、そのままいてまえ」とばかりに本格的に焼き始めると、意外なことにけっこう売れる。毎年、金曜日は平日ということもあって客の入りが芳しくなく、どこの県人会も小手調べ程度に売っている。しかし、今年は違う。初日からガンガン売っている団体も数県あった。
我々のところにも、お客さんがマメに足を運んでくれる。
「明日になったら長蛇の列になるよ。今日なら並ばずに買う事ができるよ」と3号。確かにこの分では明日はまた昨年のように、どっさりとお客さんたちを並ばせることになりそうだ。
売れなくても明日、明後日がるという気楽さと、たこ焼きがちょうど焼けた頃にお客さんたちが買いに来てくれるので、非常にやりやすい。改善の余地があるのは、たこ焼き機器の方向だ。「明日はこのままの状態でやったら、絶対に効率が悪い」―。誰しもがそう思い、1号が弓場のチヒロさんにブースの奥側をもう少し使わせてもらうことを交渉。気のいいチヒロさんたちは、「どうぞ、どうぞ」と言ってくれる。
結局、機器の移動は店じまいの時にやることにして、ドンドンと焼いていく。
ふと前方を見ると、いつもお世話になっている兵庫県人会の会員さんが買ってくれている。ブース前の広場には主催者側の配慮で机とイスがあり、会員さんはそこでたこ焼きを食べているのが見える。申し訳ないので、「家族の方々に持って帰ってください」と2箱ほどサービスすると、逆に恐縮されてしまった。
陽も傾き薄暗くなってくると、客足は弱まるどころか増える一方。会社帰りの人々が、夕食代わりに会場を覗きに来ているのだった。持ち帰りのお客さんも結構多い。我々の「フタ付きハンバーガーの入れ物」作戦は見事に的中したのだった。
キリがないので、バケツ二杯分の溶き汁が終わったところで終了。あとで販売数を聞くと、わずかに3時間ほどで180皿が売れたという。我々は、祭りがまだ二日もあることに脅威も感じながらも、確かな手応えを胸に意気揚々と引揚げていったのだった。
しかし、この時、残りの二日間で思いもよらない事態が待ち受けているとは、誰も知る由がなかった。その事態とは・・・・・。ガビーン。(次回につづく)
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