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宇江木リカルド作品集
     詩集「反転の幻想」  (最終更新日 : 2003/05/23)
おかしな俺

おかしな俺 (2003/05/22) 俺自身がまだ存在しなかった過去と
俺自身がまだ存在していない未来と
その行間にすぎない現在の生活空間のなかを
小さな脳髄を総動員して
ああ、総動員だなんて、いやな言葉を使ったりして
取るに足らない物と名を求めて
齷齪としてきた醜悪さと浅墓さと
耐えられない空虚さと無意味
まて! どうして意味が必要なんだ
もともと意味もない存在なのに

限りなく自己分裂を起こす俺は
浮薄に浮遊して俯瞰しながら
自身よりも恵まれている人を憐れみ
自身よりも偉い人を蔑み
自身よりも豊かな人に同情を寄せ
途方もなく巨大なものに憤怒し
どうでもいい権利を主張し
独楽鼠のように働きながら退屈を覚え
憎悪と熱愛を裏腹にぶらさげて
生きているなんたる愚劣さ

いまだに痙攣をつづける羚羊を
血の吹き出すなかで貪るライオンの
冷酷さも峻烈さもなく
半死半生でもがく昆虫を
寄ってたかって運ぶ蟻たちの
冷徹さもなく残酷さもなく
徹底した生と死の狭間の豊穣なる美を知らず
中途半端な懶惰のなかで
見境もなく食と性に溺れていながら
偽善だ邪義だと罵り
正常な人たちを嘲笑する
俺はおかしな存在だと
自分自身が呆れながら視ている


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