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宇江木リカルド作品集
     詩集「反転の幻想」  (最終更新日 : 2003/05/23)
諸手を上げて万万歳

諸手を上げて万万歳 (2003/05/22) 諸手を上げて万万歳
さすがは神だ神様だ
AIDSなんぞという死病を
人間社会に蔓延させるとは
まさに神業 称賛に値する

ふん、神様なんぞというものが と
俺はおまえを信じてなんぞはいなかったけど
こんどというこんどは
考え直してもいいと思ったぜ

おお、神様
どうぞ思う存分罪深き人間どもを
殺してやってください アーメン
さぞかしこの地球が清潔になり
静寂を取り戻すことでしょう

俺も牡だ
酒も煙草もやめたけど
女だけはやめられない
いつかは俺も
そのすばらしいAIDSという病に
挑戦してみようかと思っている

それは美しい自殺という死に方に憧れながら
勇気がなくてうじうじいまだに生きている俺に
このうえない死に方を教えてくれた
神様の御蔭というもの
臆病者も卑怯者も
快楽の果てに自然死できる
勇気なんぞというもののひとかけらも
要らない死に方


「死ぬときはみな独りです」と
どこかの偉い人が言いなすったが
ポンペイのときには手を繋いで死んだ人もいた
地震や噴火はいっしょに死ねても
こんどのAIDSだけは
独りぼっちで死ななきゃなんない
俺だけは最後の一人になりたいものだと
ついでのことに神に願いをかけながら
ぞんぶん快楽に溺れるぜ

おまえに移されたなんぞと野暮なことをいって
互いに憎しみ合いながら死ねばいい
醜いことはいっそう醜くさせると
神様がお喜びになるだろう
武器で殺し合うよりはましというもの
せいぜい快楽のときの味を
反芻しながら死んでゆこう
せっかくのすばらしいAIDSだ
これに罹って死ねることを
最大級の幸せとしよう


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