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宇江木リカルド作品集
     詩集「反転の幻想」  (最終更新日 : 2003/05/23)
俺の審美学

俺の審美学 (2003/05/22) 滑らかな
濁りのない
耳障りなものもない
一人の人間の歴史を聴かされて
俺は嘔吐をもよおす

美しいといわれたものが
ほんとうに美しかったことが
かつてあっただろうか

醜いもののなかにこそ
ほんとうの歴史を垣間見る
人間の本質も視えるのではないのかと
俺は冷笑のなかでねじれる

ざらざらとした肌触りの悪さに嘘を感じないし
とげとげしい女の言葉にこそ真実味を感受する
ひと一人呑み込むほどの大きな口が
男に絶頂感を与えるのを
俺は躰の一部に記憶している

もう迷うまい
善に唾し
惡を愛で
真を疑い
偽りの裏を確かめ
俺は究極の理を限りなく追い求めよう


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