死にたくない (2003/05/22)
かげのなかに沈んでゆく明るい緑 あの裏側に未来があるのだろうと思う 私の立っているこちら側の現実世界が もう思っても身の毛の弥立つ深い暗さ
向こう側の見知らぬ世界で 全裸の女たちが笑い興じ 踊り舞うのが目に浮かぶ 根も葉もない自らの空想だとわかっていながら 嫉ましさに思いがよじれ 喉元に饐えた贓物が突き上げてくる
私はまだ死にたくない 柔らかい女の肉の塊に抱き締められ 甘い女の囁きに包み込まれることなど もうないとしても なお執拗に生きつづけたいと思う なぜなら決して終わることのない 長い長い詩を書いているから たとえ明るい未来に辿り着けなくても たとえ愉楽の桃源郷に行けなくても たとえ雁字搦めの現実に縛り付けられてでも いつまでも生きつづけたい
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