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宇江木リカルド作品集
     詩集「反転の幻想」  (最終更新日 : 2003/05/23)
死にたくない

死にたくない (2003/05/22) かげのなかに沈んでゆく明るい緑
あの裏側に未来があるのだろうと思う
私の立っているこちら側の現実世界が
もう思っても身の毛の弥立つ深い暗さ

向こう側の見知らぬ世界で
全裸の女たちが笑い興じ
踊り舞うのが目に浮かぶ
根も葉もない自らの空想だとわかっていながら
嫉ましさに思いがよじれ
喉元に饐えた贓物が突き上げてくる

私はまだ死にたくない
柔らかい女の肉の塊に抱き締められ
甘い女の囁きに包み込まれることなど
もうないとしても
なお執拗に生きつづけたいと思う
なぜなら決して終わることのない
長い長い詩を書いているから
たとえ明るい未来に辿り着けなくても
たとえ愉楽の桃源郷に行けなくても
たとえ雁字搦めの現実に縛り付けられてでも
いつまでも生きつづけたい


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