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宇江木リカルド作品集
     詩集「反転の幻想」  (最終更新日 : 2003/05/23)
ある予感

ある予感 (2003/05/22) ある予感がある

近い将来に
林立する高層建築群が
一瞬に音立てて崩れ去り
見渡すかぎりの廃墟と化し
地球の果てまで青く見通せ
銀河鉄道をとことこ走る列車が視える

在りし日に
廃墟と化した都市を見
海の藻屑と化した若者たちのいたことを
世界じゅうの人たちが識っているはずなのに
もうすっかり忘れてしまったかのような
白けた現実のなかで

私は決して忘れない
焼夷弾の雨が降った
あの瓦礫の下に
埋もれてしまった父と母のことは
近い将来に
また林立する高層建築群が
一瞬に音立てて崩壊する日の來るのを
小刻みに震える全身で予感している


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