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宇江木リカルド作品集
     詩集「反転の幻想」  (最終更新日 : 2003/05/23)
雨乞いの暇に

雨乞いの暇に (2003/05/22) それは見渡すかぎりの
すばらしい網目模様の亀裂だった
どこかの巨星から投げられた打ち網だろう
世界の終末を思わせる黒々とした口を開けて
内臓を曝け出そうとする球体
暗黒の宇宙に生まれ
そしていつかは滅ぶべきもの
豪雨と旱魃に見舞われながら
干涸びてゆくもの

大地に伏し天を仰ぎ
昔ながらにただ恐れ戦き
神なる幻影に向かって
祈りを捧げることしかしらない
愚鈍なる民の皺深き顏干涸びた手泥に浸った跣
かすれた喉を擦り抜けて出るつぶやき
貧しい祈りが神に通じるとは思えないけれど
神は貪欲なのだから

誇らしげな科学の智慧が
軽薄に軽飛行機を飛ばせて
雲を呼び氷雨をつくり
雨を降らせるという呪いに期待をかけて
旱魃の大地に踏張り空を睨む科学者たちの
あざけりの風圧が帽子を飛ばし
甲高いエンジン音が思い上りを嗤い立てる

洪水に溺れて死のうが
旱魃で干涸びて死のうが
どうせ生きている間だけの人生なのに
暗愚な祈りと科学する傲慢さを
太陽は無視しつづけるし
豪雨は容赦しない
祈りは怠け者の暇つぶしだと

雨乞いをする暇に
大地を削って用水路を造ればいいのに


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